京都の劇場[アトリエ劇研]、2017年に閉館。
京都演劇シーンを牽引してきた小劇場が、30年以上の歴史に幕を閉じる。
関西小劇場界から、時代を作った劇場がまた一つ消えていく。京都を代表する小劇場の一つ[アトリエ劇研](京都市左京区)が、再来年8月をもって閉館することが、11月20日に劇場サイトにて突然発表された。劇場関係者に問い合わせた所、閉館の理由は「2017年8月末日に、所有者に土地建物を返還せねばならない事情があるため」とのこと。
[アトリエ劇研]の前身は、1984年にオープンした[アートスペース無門館]。ダムタイプや劇団M.O.P.などの著名な劇団を輩出し、京都の新しいアートの発信基地として全国的にも注目された。1996年には、現在の劇場名に改称。地元や各地域の劇団の公演のみならず、劇場主催のイベントやプロデュース公演も積極的に企画している。市内中心部からやや外れた場所にありながらも、年間稼働率が98%(2010年度実績)にもおよぶなど、京都演劇シーンを語る上では決して外せない劇場だ。特に2014年に、あごうさとしが劇場ディレクターに就任してからは、アソシエイトアーティストを中心とした年間プログラムを組んだり、東京の[こまばアゴラ劇場]と提携を結んだ「支援会員制度」を設けるなど、地方の民間劇場の新しい運営の形と、劇場文化定着の方法を探っているところだった。
2016年度まではこれまで通りの運営を行い、支援会員の募集も当面は続けていくそう。また来年4月には「アトリエ劇研スプリングフェス」を、1ヶ月に渡って上演することも決定している。しかし代替施設を使った劇場継続などについては、現時点では予定されていないとのことだ。できれば継続の道を切り開いてもらいたいが、まずは閉館までの約2年半をどのような形で駆け抜けていくのか、その動向を見守っていきたい。
http://gekken.net/atelier/lineup/2015performance.html