【G-FREAK FACTORY・山人音楽祭 2019】2日間繋がれたバトンを受け“全員”で完成させた奇跡の光景
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G-FREAK FACTORY
山人音楽祭 2019【赤城ステージ】 G-FREAK FACTORY
2日にわたり総勢35組の出演者がつないだ想いを背負い、最後に赤城ステージに立つのは、我らがG-FREAK FACTORYだ。頭からすっぽりと布をかぶった布を茂木洋晃(Vo/Gt)がばさりとはぎ取ると、満場のフロアから割れんばかりの歓声が湧いた。1曲目は「Too oLD To KNoW」。重心の低い爆音のバンドサウンドをかき消すほどの大きなシンガロングが会場から巻き起こると、「ヤバい、山人!」と、茂木が声を漏らし、「これは俺のフェスでもなければ、G-FREAKのフェスでもない。俺たちのフェスだ!」と言葉を重ねた。そうだ、私たちはG-FREAKのライブを“観に”きたんじゃない。G-FREAKとライブをやりに来たんだ。
原田季征の泥臭いギターが炸裂した「SOMATO」から、渡部“PxOxN”寛之と、吉橋“yossy”伸之が生み出す強靭なグルーヴが躍動したミディアムテンポの「Fire」へ。昨年の山人以降に完成させたG-FREAKの最新ナンバーも、すでに既存曲に引けをとらないライブアンセムになっていた。
多くのフェスやイベントが天災により中止を与儀なくされている昨今の状況を受けて、「開催できたら半分成功だし、最後までできたら大成功。群馬で、こんな辺鄙な場所で、奇跡を起こしたくてやってます!」と語りかけた茂木は、台風15号で被害を受けた千葉県の復興への願いを込めて、千葉発の伝説のバンドNUKY FIKESのTシャツを着て、そのステージに臨んでいた。中盤、「サンキュー、愛してます!ラブソングをやります」と言って、茂木がお客さんの頭上で届けたのは、「島生民」、さらに「ダディ・ダーリン」だった。社会にある悲しい出来事から目を背けずに歌う平和への祈り。そこにTOSHI-LOWも加わると、ふたりはガシッとこぶしを突き合わせた。本編の最後は「EVEN」。いくつもの“もしも“を重ねながら、明日への希望を手繰り寄せるナンバーは、また来年までみんなで生き延びようと再会の約束を交わす、『山人音楽祭』のフィナーレに相応しかった。
G-FREAK FACTORY
G-FREAK FACTORY
「ありがとう、こんな贅沢があっていいのかよ……!」と万感の想いを伝えたアンコールでは、三味線の演奏を交えた群馬讃歌「REAL SIGN」から、「日はまだ高く」へと、地元愛に満ちた2曲を披露。そこで茂木は「ありがとう、山人、大成功です!」と、もう何度目かわからないほど感謝の言葉を伝えると、上毛かるたの上の句と下の句でコール&レスポンス、さらに10-FEETのTAKUMAを迎えて、ライブを締めくくった。
G-FREAK FACTORY
これで終わりかと思いきや、最後はこの2日間でお客さんが自由にメッセージを書き込んだフリーウォールが置かれたステージに、なんと昨日のトップバッターを務めた四星球の北島康雄(Vo)が赤い雷様の恰好で登場して、昼間からこの時間まで残っていた高木ブーをステージに呼び込んだ。さらに、茂木は黒の雷様に、TOSHI-LOWが全身を緑色に塗った鬼に扮してステージに現れると、高木ブーの「全員集合!」という掛け声で、この日の出演者たちが一堂に会して、最後は「いい湯だな」を大合唱する大団円だった。
山人音楽祭 2019
自分たちが生まれ育った場所には、ずっとかっこよくあってほしい。そんなG-FREAK FACTORYのピュアな気持ちが生んだ『山人音楽祭』は、大勢の仲間を巻き込み、最後に信じられないような奇跡を生んだ。いよいよ来年、『山人音楽祭』は、この名称になってから5回目という節目の年を迎える。この火は絶対に絶やしてはいけない。
文=秦理絵 撮影=HayachiN
山人音楽祭 2019
セットリスト
2. SOMATO
3. FLARE
4. Fire
5. 島生民
6. ダディ・ダーリン
7. EVEN
[ENCORE]
8. REAL SIGN
9. 日はまだ高く