RADWIMPS×いきものがかり 違った道を歩んだ2組を確かに繋いでいたもの

2015.12.3
レポート
音楽

RADWIMPS

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『10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤』 2015.11.24 横浜アリーナ

RADWIMPSの胎盤ツアー終盤戦の横浜アリーナ3デイズ、中日となる2日目のゲストアクトは、いきものがかりだ。メジャーデビューがほぼ同時期で、RADWIMPSメンバーの出身地が横浜、いきものがかりは厚木・海老名と近いという共通項はありつつ、このツアーの中でも(本人たちもMCで語っていたが)ひと際異色の組み合わせである。

 

まずは、ドラマティックなサウンドにオーディエンスの手が一斉に揺れた、いきものがかりの「ありがとう」からスタート。上質のオーケストラに身を委ねているような、懐の深いバラードだ。

そのまま、吉岡聖恵(Vo)が「盛り上がっていけるかーっ!?」と叫んだ「気まぐれロマンティック」では、イントロから軽快な手拍子が起こる。それを見て微笑みを浮かべる水野良樹(Gt)のハートフルなプレイに、爽やかな風を吹かせた山下穂尊(Gt)のハーモニカに、そしていたずらっ子のようにステージを駆け回りながら吉岡が放つキラッキラの歌声に、誰もがどんどん惹きつけられていくのがわかる。

続くMCでは水野が「すんごいドキドキしてステージに上がってるんですけども、上がる前にRADWIMPSのメンバーのみなさんが見送ってくれて。それだけで嬉しかったのに、曲が始まったらみなさん、(拳を掲げつつ)こうじゃないですか? このフリは、いきものがかりのライブではほとんどないです!(笑)」と、ワンマンとは違う雰囲気に興奮を隠しきれない様子。

いきものがかり

とはいえ、パフォーマンスからは緊張はまったく感じられない。むしろ、路上からたたき上げたスピリットに火がついたのか、「RADWIMPSのファンのみなさんも、体を動かせる曲があるんです!」と、エモーショナルに「ブルーバード」を叩きつけたかと思えば、そのままタオルが乱舞する「じょいふる」を繰り出すなど、ポップのど真ん中に剛速球を投げ込むようなステージはマジカルのひと言。大歓声を上げる客席に、吉岡も「優しい!優しいね!」と笑顔を返す。

冒頭でも書いた通り、デビュー時期が近いこともあり、当時からRADを意識していたといういきものがかり。
「CDを私たちも買って、“この曲カッコいいな!”って聴いていた、私たちにとっても憧れのグループの方々の節目に呼んでいただけて。自分たちも、また新たに一歩を踏み出す力をもらいました」と、吉岡が感謝を語ると、続けて水野も感慨深げに話し始めた。

「それぞれ違うものを作ってきたと思うんですけど、どっか真ん中のところでは繋がってるんだと思います。みなさん優しく迎えてくれたし、僕らのファンも楽しんでもらえたと思うし……繋がることができて、本当に嬉しかったです」

 そんな風に、それぞれの10年に敬意を表するように披露したラストナンバーは、デビュー曲である「SAKURA」。サポートメンバー抜きで、3人だけのありのままを体現した、爽やかなフィナーレだった。

いきものがかり

そしてRADWIMPSのステージなのだが、とにかく圧倒的! 筆者がこのツアーで見たのは11月5日のZEPP TOKYO以来2本目だったのだが、何回見ても彼らが発散する超ド級のヴァイブレーションには息を呑むしかない。

開幕の「DADA」の時点で野田洋次郎のラップはキレまくり、桑原彰のつんのめったギターリフと武田祐介のぶっといベースラインが炸裂する「ギミギミック」では狂騒としか表現しようのない盛り上がりでアリーナが揺れに揺れ……と、いい意味でもはや笑うしかない、といった状態。

「後ろの方も届いてっか? めっちゃ見えてんぞオイ!! そこまで声飛ばすから。前の方も負けんなよ!」と野田が気炎をあげての「05410-(ん)」や、口笛とファルセットが豊潤な響きをもたらした「夢見月に何想ふ」など、同じ楽曲でも、場所が変われば表情もまったく違う。アリーナという、1万人規模の声や視線を受けて、さらに強度とスケールを増す。そういうキャパシティがRADの曲には確かにあると再認識させられた。

オーディエンスの年齢を挙手で確認した後、キッズたちに向かって「国の言うこと、聞かなくていいです。俺たちがいい国にしていきましょう。よくわかんない大人の連中に、俺らの底力見せてやろうかい!!」(野田)と煽り倒した「おしゃかしゃま」や、シンガロングがフロアを包んだ「いいんですか?」など名曲だけの全17曲。いろんな感情をぐちゃぐちゃにかき混ぜて濾過し、最後にはきれいな結晶が手元に残るような、多幸感に満ちたステージを見せてくれた。

RADWIMPS

「10年お互いにやってきて、やっぱり日本の音楽シーン、音楽業界っていうところで彼らはやってて。でも、僕らがまったく知らない責任だったりとか、苦しみだったりとか抱えながらも、音楽をちゃんと届けたいなってやってるんだろうなって。いつも僕はイチお客さんとして、テレビで(いきものがかりの曲が)流れてきたりとかした時にふと思ってて。今回、こういう対バンが実現して本当に嬉しい気持ちです」
いきものがかりについて、そう語った野田。ミュージシャンとして同時代を生きる者同士のリスペクトを飾らない言葉で語る姿に、大きな拍手が湧き上がる。そして最後に、同時代を生きる観客にも、彼はしっかりとメッセージを刻み込んだ。

「30になってみて、本当に年齢じゃなくてさ。この世界、大人も子供も実はいないんですよ。17歳とか15歳とかでも俺より全然大人な奴がいたりとか、50歳とかでも本当にクソだなっていう人もいて。だから俺はもう、あなたたちひとり一人と対話するし対峙するし。あなたたちも、「このクソめんどくさい大人が!」とかじゃなくて、目の前の相手で判断してほしい。あなたが大人っていわれる年齢になった時ね、平等だから。大人も子供もいないから。たった一人の人間、あなた一人の人間だから。そうやって生きてってほしいなと思うし、俺はそうやってこれからも生きていこうかなと思います。また是非会いましょう。ありがとう」


撮影=植本一子 文=矢野裕也

RADWIMPS

セットリスト

いきものがかり

1. ありがとう
2. 気まぐれロマンティック
3. キミがいる
4. コイスルオトメ
5. YELL
6. ブルーバード
7. じょいふる
8. 風が吹いている
9. SAKURA


RADWIMPS

1. DADA
2. ギミギミック
3. DARMA GRAND PRIX
4. 05410-(ん)
5. 遠恋
6. ヒキコモリロリン
7. Tummy
8. ふたりごと
9. 夢見月に何想ふ
10. おしゃかしゃま
11. ます。
12. ‘I’ Novel
13. いいんですか?
14. 25コ目の染色体
15. 君と羊と青
16. 会心の一撃
[ENCORE]
17. 有心論

 

ライブ情報
10th ANNIVERSARY LIVE TOUR FINAL​
RADWIMPSのはじまりはじまり

日時:2015年12月23日(水)
会場:幕張メッセ 国際展示場


 

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