栗山民也×鈴木杏で三好十郎の一人芝居『殺意(ストリップショウ)』の上演が決定 意気込みコメントも到着
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(左から)栗山民也 鈴木杏
2020年7月にシアタートラムにおいて、三好十郎の一人芝居『殺意(ストリップショウ)』の上演が決定した。本作品は1950 年に発表された三好十郎による女優の一人芝居で、今回は栗山民也が演出を手掛け、大役に鈴木杏が挑む。このたび栗山と鈴木からコメントが届いたので紹介しよう。
栗山民也 コメント
三好十郎の「声」
「三好十郎の仕事」(學藝書林刊)という四巻本を大学の通りの古本屋で見つけ何度も手に取るのですが、当時の学生の身では高額でとても届かず、だけどどうしても欲しいという気持ちでいっぱいになり、全てを削って買い求めたときのことが、今でも記憶の中に熱く残っています。そしてこの四巻本の世界のなかを夢中でさまよい、人間の生命力、業、女性の確かさ、そして人間の無数の声、欲望、甘え、ずるさ、醜さ、美しさなど、とにかくありとあらゆる人間の感情の姿に、出会えた気がします。時代の流れによって動かされた戦後思想の、その不条理なあり方に向き合った一人の女の全身をかけたドラマ「殺意」を、今どうしても人の心の壊れた時代に上演したいと思うのです。モノ ローグという劇形式をとることによって、より心の奥底に澱んでいた隠された気持ちが、一つひとつ生命力としての「声」になって響いてくるのです。その強い叫びのような三好さんの「声」を、今、聞きたいと願うのです。「けだものだと思はうではないか、そしてもう一度、自分たちの姿を見直そうではないか。」これは私の昔のノートに書き写された、三好さんの「貧乏の歌」という詩のなかの一説です。
鈴木杏コメント
信頼してやまない栗山民也さんが、とてつもないハードルを与えてくださいました。 やらせてください、としか言えませんでした。 あまりに大きな壁に今はただ震えるばかりですが、三好十郎さんの美しい台詞の海を泳げることは、役者としてこの上ない幸運なことだと思っています。「殺意」という素晴らしい戯曲を演じるには頼りない器ではありますが、いままでの自分、いまの自分、これからの自分、全部を余すことなく使って、挑みたいです。劇場で目撃していただけたら幸いです。お待ちしています。