舞台『宇宙戦艦ティラミス』校條拳太朗、高本学、磯貝龍乎インタビュー「年末年始に思いきり笑える宇宙ギャグを!」

2019.12.27
インタビュー
舞台
アニメ/ゲーム

(左から)高本学、校條拳太朗、磯貝龍乎

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2016年7月「このマンガがすごい!WEBオトコ編」第3位に選ばれた「宇宙戦艦ティラミス」。宇宙戦争が繰り広げられている壮大な背景の中、戦闘ロボットのパイロットらが繰り広げる日常を描いたギャグ漫画としてアニメ化もされている本作だが、その舞台版にあたる“ティラステ”は、2018年7月に第1弾を上演。

そしてこのほど、1年半の沈黙を破って帰ってきた。サブタイトルは「蟹・自分でむけますか」。いったいどんな舞台になるのか!? 主役のエースパイロット・スバルを演じる校條拳太朗、スバルの兄イスズ役の高本学、二人の父親・ソウイチロウ(とたくさんのモブキャラ)役の磯貝龍乎に話を聞いた。

パワーアップした“ティラステ”を!

ーー1年半ぶりに第2弾上演が決まりましたが、前回を終えていかがですか?

校條:けっこうネジのはずれた部分があるから、お客さんにどう受け入れられるのかなと不安もあったんですけれど……舞台が始まるとお客さんが楽しんでくれていて「こういう舞台もいいんだな!」と感じましたね。

高本:僕は稽古をがむしゃらでやっていたので、お客さんがどういう反応をするのだろうと考える暇もなかったです。東京公演は舞台とお客さんがとても近かったので緊張もしましたし。でも、本番を重ねていくうちに笑ってもらえるポイントがわかってきたので、楽しかったですね。

磯貝:まぁ『ティラミス』の原作自体がぶっとんでいて、その世界観がすでに成り立っているのでお客さんには受け入れてもらえるかなと思っていたけどね。校條くんはしっかり主役を演じていて、がっくん(高本学)は笑いがとれて「おいしい!」と思ったんでしょうね……後半はどんどん味をしめてきて(笑)人の奥深さを感じました。

高本:ちょっと~、悪口ですか?(笑)。

磯貝:いやいや(笑)。

ーーお二人が磯貝さんと共演した印象は?

校條:「こんな人がいるんだ!」って(笑)自由なんですよ。僕はふざけるシーンもあまりないし、守りに入っちゃうんですけど、磯貝さんは最初からトップギアですごく尊敬します。経験があるからこそ、お客さんの隙をついて笑わせられる。なにがくるんだろうというドキドキ感はあるんですけど、安心感もあるんです。ほんとにやっちゃダメなことはしないという安心感のうえで、めちゃくちゃなことを言ってくる(笑)

(左から)高本学、校條拳太朗

高本:舞台上に出るとすごい爆発力を持っている方ですよね。初めてお会いした時からすごく人見知りだったんですけど(笑)

磯貝:バレてる(笑)

高本:でもカリスマ性がハンパない。笑いをとることに対して、めちゃくちゃ計算して舞台上に立っていると思います。台本に対するアプローチの仕方も龍乎さんだからできる個性が溢れる演技なので、見ていてずっとおもしろいですし、尊敬しています。昔からずっと共演したかった先輩なので、一緒にやれることはすごく光栄です。

磯貝:横文字がたくさんーー(笑)アプローチ!? ゴルフ用語だと思ってた!(笑)

高本:頭の回転がすごくはやい方なので。

校條:すごくはやいですね。

高本:舞台上でもアドリブを振ってくださるけど、もし僕がそれに対応できなかった時のことも考えているんじゃないかな。ほんとうに尊敬しています、ほんとうに。

磯貝:もうやめましょう、この話。褒められ慣れてないから……(目が泳ぐ)

ーー物語設定が「宇宙での日常を描いたギャグ漫画」というかなりシュールな設定ですが、原作の宮川サトシさんの「原作を壊していいよ」という言葉を受けて、かなり挑戦的な舞台にしている印象です。

校條:原作も壊れているから、壊すのが正解かも(笑)

磯貝:もはやアートですね。宮川さんの原作を脚本のなるせゆうせいさんが壊し、なるせさんの脚本を演出の米山さんが壊してるからね。

高本:前作の時に原作の宮川先生が「すごくおもしろかった」と言ってくださって、作画の伊藤亰先生が小さな色紙にキャラクターが描かれていて、全部つなげるとひとつの絵になるものをわざわざ描いてくれたくらい喜んでくださったんです。米山さんが原作をぶっこわして、舞台オリジナルキャラとかもものすごく登場させたのに。

(左から)高本学、磯貝龍乎

磯貝:モブキャラがめちゃめちゃ活躍するんですよね、この作品! 今も稽古場で、台本にいないモブキャラが増え続けています。

ーー磯貝さんはすでに色々な役を演じていますが、校條と高本さんはやってみたいキャラはありますか?

高本:僕は毛。なにかの毛。

ーー「毛」は校條さんが演じる主人公のスバルの話し相手ですね。

高本:毛としてみんなの仲間に入りたい。僕の演じるイスズは大人数でワイワイすることがないから、楽屋でもずっと一人で出番を待っているんですよ。毛の役ならみんなと絡めるのに。

校條:僕も毛はやってみたいけど、でも毛にはスバルとしてかなりの愛情があるので、演じるよりも触れ合いたいな。

今度は、家族3人の物語

ーー第1弾では、校條さんと高本さんが演じる兄弟の関係が軸になっていました。兄弟として共演してみて、関係に変化はありましたか?

高本:校(めん)さんと二人のシーンが多かったのでだいぶ距離が縮まりました。ご飯を食べに行っても取り分けてくださったり、ああ、この人は本当に心が優しい人なんだなぁと。だからこそ今は信頼度が強いです。頼りにしていますし、なにも言わなくても通じるんじゃないかと思うくらい心置きなくリラックスできています。

校條:距離はだいぶ縮まったよね。最初の挨拶の時は距離が遠かったもんね。そもそも3人とも人見知りだから。

一同:(笑) 

校條:あと、1年前よりがっくんがすごく大人っぽくなったなと思います。現場に後輩が増えたからかもしれないけど、こんなにしっかりしてたかなと。

磯貝:いろんな現場を経由して慣れてきたんでしょうね〜。僕だって昔のままじゃないぜ、って。

高本:(爆笑)

(左から)高本学、校條拳太朗、磯貝龍乎

ーー今回は家族3人の物語にも焦点が当たりますが、演じる役の見どころは? 

校條:第1弾で自分の居場所がみつかったので、今回はお兄ちゃん(高本)とお父さん(磯貝)に対する態度が違っていて、それぞれの関係性が見えてくるかな。

高本:そう。今回は親子の繋がりや愛を表現するシーンも多く……。

磯貝:表現……したかったんでしょうね、米山さん……。

高本:たしかに、企画段階では「親子のストーリー」でしたよね(笑)

ーー稽古で変わっていったんですね。

校條:ええ。でも米山さんは最近お子さんが産まれて「家族の思いを感じることが増えて親子の話が描けた」と言っていましたね。

磯貝:たしかに家族の話もあるけど、台本全83ページのうち70ページくらいはなんのこっちゃわからないよ(笑)

高本:なんだかわからないけど、必死でがんばってる人達にぐっとはきます!

校條:うん、なにをしてるのかたまに自分でもわからなくなるんですけど、みんな一生懸命ですよ。必死なんですよ!

高本:一生懸命演じているのでめちゃくちゃ汗かきますよね。

校條:かきますよね。よくわからないけど汗だくです。

高本:やっぱり米山さんはすごいですよ。親子のシーンはとくに感動しました。なに言ってるのかよくわからないけど感動する。なんだかんだで最後に綺麗にまとまるのはすごいです。

ーー高本さんと磯貝さんの見どころは?

高本:僕は前作よりカッコつけるところが減りました。

校條:確かに、ダサイシーンが多いよね(笑)

高本:前は、カッコつけようとしたけれどうまくできなくてダサイ、みたいな感じだったんですけど、今作はつねに変な人みたいになってますね。第1弾では全員のキャラクター紹介的なところもあったんですが、第2弾はそれより踏み込んでいるし……。でも第1弾を観ていなくてもおもしろいものになっています。

磯貝:僕は前回8役くらい演じたんですが、今回は増えた。10役くらいかな。まだ増えるのか! という米山さんの愛の深さを感じますね。とにかく『チャー〇マン研!』(LIVEミュージカル演劇)を越えたいです。

高本:怒られるよ……!!

(左から)高本学、校條拳太朗、磯貝龍乎

スタッフさんが笑い疲れるほど、笑いが絶えない稽古場

ーー稽古の様子についてもお伺いしたいのですが、とにかく楽しそうですよね。 

高本:つねに笑っていますね。

磯貝:だね。台本自体もおもしろいし、演じ方ひとつでいろいろ変わる。お客さん目線で笑っているので、本当におもしろいと確信できるし、クオリティもいいんですよ!

磯貝:すべってもおもしろいですよ。

校條:やってても楽しいよね。

高本:前作以上にみんながいろんなことを試してキャラクターをつくりあげていますし、みんながノンストレスで過ごせています。毎回同じことをしない人も多いので稽古場はいつも新鮮な笑いがあります。その勢いもあって、第2弾からの新キャスト達もいろんなこと試そうとしてくれますし、前からいたんじゃないかという距離感ですね。

校條:あと、スタッフさんの笑い声がすごい! 普段ならいろんなセクションのスタッフさんが集まると緊張するんですけど、みんな吹き出しながら仕事しています。稽古終わりに「笑い疲れた」って言っていました(笑)

ーー舞台上でも笑っちゃいそうですね(笑)

磯貝:がっくんは舞台上で笑うからなあ……。

高本:龍乎さんも自分の台詞じゃない時に後ろをむいて笑いを隠してるじゃないですか!

磯貝:(藤本)かえでちゃんが笑うとオレも釣られちゃうんだよ。

(左から)高本学、磯貝龍乎

校條:起爆装置ですよね。かえでちゃんが笑うとみんな笑っちゃう。

高本:(上田)悠介さんが一番笑わないね。

磯貝:あいつは人の心を持ってない。筋肉でできてる。

校條:そう、筋肉と野球でできてる。

磯貝:あとはなんか変な料理。ワインあけながら。

校條:でもヴォルガー(上田さんの役名)は、めちゃくちゃかっこいいシーンもありますよ!

磯貝:ええ〜〜、やだなぁ(笑)

ーーでは最後に、第2弾で挑戦してみたいことはありますか?

校條:自分がなにかしたいというより、作品のなかで新しい挑戦がたくさんあるんですよ。今一番神経を使っているのは戦闘シーン。第1弾でも戦闘シーンの表現方法が特殊だったんですが、今回はまた初めてやることなので、楽しいけれど、ものすごく緊張しています。

磯貝:いや、ほんとに大変だね、戦闘シーンは。でもめちゃめちゃカッコいいですよ。

高本:第1弾よりもパワーアップしてるんじゃないでしょうか。戦闘シーンだけじゃなく、お客さんに楽しんでいただけるポイントがつまっていると思います。稽古場でキャストとスタッフさんがこんなに声をだして笑うことってなかなかないので自信になりますし、お客さんも共感して笑ってくれると思います。第1弾よりもっとおもしろいです!

(左から)高本学、校條拳太朗、磯貝龍乎

取材・文=河野桃子 撮影=ジョニー寺坂

公演情報

舞台『宇宙戦艦ティラミスⅡ』~蟹・自分でむけますか~
 
■公演日程: 
<大阪公演> 2019年12月27日(金)~29日(日)
<東京公演> 2020年1月8日(水)~19日(日)
 
■会場:
<大阪公演> IMPホール 
<東京公演> クラブeX(品川)
 
■料金:
<東京>1階席 7,900円(税込)/ 2階席 6,800円(税込)
<大阪>全席指定 7,900円(税込)
※未就学児入場不可 ※営利目的の転売禁止
 
■脚本:なるせゆうせい  
■演出:米山和仁(劇団ホチキス)
 
■キャスト:
スバル・イチノセ:校條拳太朗、イスズ・イチノセ:高本学
ヴォルガー・ハマー:上田悠介、リージュ・ルロワ:藤本かえで、ロメオ・アルファ:佐藤信長、ダッジ・ナイトロ:宮澤佑、
スバル・ビヨンド:伊藤孝太郎、エスカレド・キャデラック:正木航平
生協の人:三浦海里
ソウイチロウ・イチノセ:磯貝龍乎
 
■原作:宮川サトシ 伊藤亰(新潮社「くらげバンチ」連載)
■企画・プロデュース:4cu
■主催:舞台「宇宙戦艦ティラミスⅡ」製作委員会(Frontier Works Inc. サンライズプロモーション大阪)
 
【公式サイト】http://tiramisu-stage.com/
【公式Twitter】@tiramisu_stage
 
(C)宮川サトシ 伊藤亰・新潮社/「宇宙戦艦ティラミス」製作委員会
(C)舞台「宇宙戦艦ティラミスⅡ」製作委員会