劇作家・演出家の坂手洋二が主宰する燐光群が下北沢ザ・スズナリにて『草の家』を上演
2021.1.18
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劇作家・演出家の坂手洋二が主宰する燐光群が、2021年最初の作品として、2月5 日(金)〜18日(木)下北沢ザ・スズナリにて『草の家』を上演する。
本作は、愛媛県東温市の文化芸術によるまちづくり活動の一端として、次代を担う劇作家を地域から発掘するために設けられた「アートヴィレッジTOON戯曲賞」において、2018年に大賞と観客賞を受賞。執筆時58歳の作者による初の長編戯曲でありながら、高い評価を得ている。背景となる岡山出身の坂手による緻密な演出と、豊かな個性と充実したキャリアの俳優陣により、上演される。
空間を熟知したザ・スズナリで、加藤ちか+じょん万次郎による、視覚的にもリアルな舞台が出現。そこを土台にして、ユーモアと人情に溢れた家族間の情愛を描きつつ、日常的なストーリーの中に、誰もが思い当たるけれどここにしかない、普遍的な近親のやり取りと、個性的な人物像が交錯する。絡み合う感情の機微を通して、高齢化社会、核家族化、失われてゆく「故郷」という現実が浮き彫りになるだろう。
地域の言葉の魅力や、独自の家族のあり方等の感受性、土着性といった特色を打ち出し、「いま」の家族と、世代を超えゆくコミュニティのありようを見つめ直す作品。1982年の劇団創立より40年近く培われてきた、隠れた実力と魅力を発揮するであろう公演に期待したい。
◆ 坂手洋二 「草の家」選評より
TOON戯曲賞で審査員として『草の家』を推したことには、理由がある。古い商家の営みと家族制度の変遷をリアルに描きつつ、「不在の人物を思う」という仕組みを手に入れ、人間関係が密度濃く絡み合い、緊迫度を保った。読み進めながら、この役をあの俳優にやらせてみたいな、などと思うことは、滅多にないのだが、家族たちの生き生きとしたやり取りが、それだけ魅力的だった。岡山から頼もしい作家が誕生したことを、心から喜んでいる。
TOON戯曲賞で審査員として『草の家』を推したことには、理由がある。古い商家の営みと家族制度の変遷をリアルに描きつつ、「不在の人物を思う」という仕組みを手に入れ、人間関係が密度濃く絡み合い、緊迫度を保った。読み進めながら、この役をあの俳優にやらせてみたいな、などと思うことは、滅多にないのだが、家族たちの生き生きとしたやり取りが、それだけ魅力的だった。岡山から頼もしい作家が誕生したことを、心から喜んでいる。