まさに「観客」たちが主人公! 堀田竜成、外岡えりか、林明寛ら出演舞台『観劇者』ゲネプロ&初日前囲みレポート

2021.7.1
レポート
舞台

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)


舞台『観劇者』が2021年6月30日(水)、東京・池袋のシアターグリーン BIG TREE THEATERで開幕した。脚本と演出を開沼豊が担当し、「客席にこそドラマがある」をテーマに、客席開場から終演後までの観劇者たちを描いた物語だ。初日を前に、ゲネプロ(総通し舞台稽古)と囲み会見が行われた。その様子を写真とともにレポートしたい。

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

客席に入ると、舞台上には赤い座席が横一列に並んでいる。そこにも「客席」があるわけだ。

開幕冒頭は、開場のシーン。客席から「客席」を見るのもなんだか新鮮だが、次々と登場人物が場内に入ってくる。観劇マナーを徹底しようとする女性と、おそらく初めて演劇を見にきた男性。客席を出たり入ったりして、なぜか落ち着きのない男性など、男女9名が、その「客席」に座る。

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

そこで上演されるのは、どうやら痛快活劇「UMA 未確認生物が地球を救う」という演劇のよう。なぜその演劇を見るのか、なぜを買ったのか。男女9人それぞれの背景を、シーンをつないで描いている(なので「UMA〜」がどういう話なのかは、あまり深く考えなくて良い)。

「9人9色」とでもいえばいいだろうか。その演劇を見る理由は実にさまざまだ。

デートでたまたま来た人もいれば、観劇が趣味だという人もいるし、「推し」を見るためという人もいれば、出演者の親もいる。その演劇がなければ、きっと触れ合うことも出会うこともなかった人たちだが、その演劇を見るという一点において、老若男女が2時間ほどの時間を共有する。開沼が描きたかった「客席にこそドラマがある」というのは、そういう偶然をいうのだろう。

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

上演時間は約1時間40分(休憩なし)。全体的にコメディタッチで作品が描かれている上、シーンの切り替えが多いので、9人のストーリーをつぶさに拾っても間のびした印象はなかった。

むしろ、それぞれが抱えた事情には、きっとどこかで共感できるポイントがあるはずだし、特にこのコロナ禍で、以前のように観劇する機会に制限がかかっている状態の今こそ、本作を通じて「私たちはなぜ観劇をするのか」を考えさせられ、より一層、観劇する時間が愛おしいと感じると思う。 

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

ゲネプロの後、取材会が行われた。キャストのコメントを紹介したい。

堀田竜成(M列9番(高木蓮)):登場人物たちそれぞれのストーリーがあるように、みなさんにもきっとストーリーがあると思います。自分に置き換えられるものとか、感じられるものがたくさんある舞台になると思います。次への一歩につながる作品になればいいなと思います。精一杯頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。

外岡えりか(M列12番(松下彩夏)):まずはキャスト・スタッフ誰一人欠けることなく、幕が開くことが嬉しいです。私たち一人ひとりが背負っている物語や思いを、来てくださるお客さんも一人ひとり背負って、劇場に来てくれていると思うので、お届けするのが今から楽しみでいっぱいです。最後まで駆け抜けられるように頑張ります。

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

林明寛(M列5番(大澤亮太)):この脚本は長い間演出や役者をやられている開沼豊さんだから書けたものじゃないかなと思います。1回舞台を見たことがある人はどこかしらで引っかかるポイントが絶対ある。個人的には開沼さんの頭の中が見れた感じがして、非常に楽しくやらせていただけたなと思います。ぜひ楽しんでいただけたらなと思います。

大滝樹(M列6番(田淵舞)):私は推し活をしている女性の代表だと思って、生きました。見に来てくださる方の中にも、誰かの推しの方がいると思うので、その人に失礼のないように、精一杯演じさせていただこうと思います。 

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

岩佐祐樹(M列13番(野間洋平)):劇場に来てくださるお客さんが、劇場に来た段階で共感できる作品だと思っております。一人一人が主役の舞台じゃないかなと思います。誰かに共感して楽しんでもらえたら嬉しいですし、これからもっともっと観劇が楽しくなるような舞台になったら嬉しいなと思っております。

わたなべかすみ(M列7番(林田未来)):本日はありがとうございます。1ヶ月間稽古をしてきて、いろいろ悩んだり、考えたりしながら稽古をさせていただきました。頑張った結果を見せられればいいなと思います。私自身も観劇好きですし、いち観劇者の思いを伝えられたらいいなと思います。頑張ります。よろしくお願いします。

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

吉田翔吾(M列8番(佐々木真)):僕の役は単純なことなんですけど、多分一番共感を呼ぶようなことをやっている。(開沼)豊さんからは「単純だけど、お前が一番ドラマティックであれ、一番劇的であれ」と言われています。照明さんも音響さんもドラマティックにやってくれているので、だから僕はドラマティックに初日を迎えたいと思います!

斉藤レイ(M列11番(一条かなえ)):コロナ禍での稽古で、不安になることもあったんですけど、ゲネプロまで来て、お客さんに見ていただけたら、笑いもあったし、最後みんないい顔で終われていた気がします。これからもっともっと成長をしていくつもりですけども、第一歩を踏み出せたかなと思います。怪我なき、事故なき、病気なきで頑張ります。

長戸勝彦(M列10番(一条勉)):最年長ですが、若者と混じって、怪我のないように、笑顔で楽日を迎えられるように頑張って参りますので、応援よろしくお願いします。

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

ーーコロナ禍で改めて舞台に立たれる思いをお聞かせください。

長戸:稽古場から、そして、劇場に入ってからもずっと感染対策万全で過ごしてきました。演劇についてはいろいろ言われていますけども、僕は演劇人として、劇場が安全で安心で楽しい場所なんだということを、我々役者・スタッフ全員で力を合わせて、それを証明をしていかなければならないなと思います。感染者を出すことなく最後まで無事に終われればなと思っています。

斉藤:去年は3つ以上自分の舞台が中止になり、舞台に立てなかった時があったので、本当に舞台にあがる幸せを噛み締めています。お客様に必ず戻ってきてもらえるように、少しずつでも「演劇の灯火を絶やすなプロジェクト」と呼んでいますが、発信していきたいと思います。

吉田:僕もたくさんの舞台が中止になったり、延期になったり、いろいろあったんですけど、去年7月に改めて舞台ができて。その日から毎日、初日もそうだし、2日目も3日目も、舞台がある朝はドキドキしていて。「陽性者が出ました」と連絡が来たら、中止になってしまうかもしれないわけですから。その点どきどきするけど、舞台に立つということに関しては、いままでよりも幸せは感じるなと思います。

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

ーー演劇の愛にあふれた作品ですが、みなさんの演劇の「推しポイント」を教えてください。

わたなべ:まず劇場という空間が好き。その時だけに集まったお客さん、そして、1回1回毎回違う生の公演の空気感が好きです。それを楽しみに私も演劇を見に行ったりしています。

岩佐:私の演劇の推しポイントは、稽古中ももちろん楽しいんですけど、本番を迎えて、お客様が劇場に来て、もちろん稽古と同じことをやるんですけど、お客さんが入ることで、本能的に高まることがあって。お客さんと舞台を通して会話しているわけじゃないですけど、同じ空間を共有して、2、3時間ある作品を同じ空間を共有している瞬間は、言葉よりは本能的にワクワクを感じています。

大滝:心が動いた時ですかね。心が動くと、空気で伝わるんですね。舞台はお客さんと一緒に作るというけれど、本当にそう。出演している側としても、見ている側としても、心が動き時が一番の推しポイントです。

舞台「観劇者」ゲネプロの様子 ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

ーーご自身の役で共感するところがあれば教えてください。

:最初に本と向き合った時に、「こんなやついないだろう」と演出家に言ったんですけど(笑)、そこを演出と役者の力で成立させるというか。「いそうだな」と思わせる試練というか。やりがいのある役をいただけたことに僕は感謝していて。(相手役の役名である)舞さんも心でお芝居をされる方なので、がんばります。
(自身が演じる)亮太は、まっすぐな人。僕も嘘が苦手で、そこが似ています。みんなそれぞれ自分にあるところ、ないところがあるけど、それを成立させていると思うので、お客さんにも楽しんでいただけたらなと思います。

外岡:(自身が演じる)彩夏はこだわりが強くて、時間や数字、洗濯物の畳み方だったり、真面目だなと言われるような役柄なんですけど、私自身もこだわりがある方なので、共感できる部分がありますね。例えば洗濯物の畳み方は共感できます。でも、私の方がもうちょっと柔軟だなと思って演じています。

堀田:(自身が演じる)蓮は、負けず嫌いで、すごく頑張り屋さん。そんな負けず嫌いなところは似ているのかなと思います。
この座組みに入って、ストレートプレイが初めてで、最初に名前がある重みを学ばせていただきました。今後の役者人生で、すごく大きなきっかけになった気がします。これからもっとがんばろうという気持ちになりました。これからも役者としてしっかりと他の役でも演じられるように、頑張りたいなと思います。

舞台「観劇者」に出演する、堀田竜成、外岡えりか、林明寛、大滝樹、岩佐祐樹、わたなべかすみ、吉田翔吾、斉藤レイ、長戸勝彦(左側から) ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

舞台「観劇者」に出演する、堀田竜成、外岡えりか、林明寛、大滝樹、岩佐祐樹(左側から) ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

舞台「観劇者」に出演する、岩佐祐樹、わたなべかすみ、吉田翔吾、斉藤レイ、長戸勝彦(左から) ©️2021 kangekisha(撮影:五月女菜穂)

取材・文・撮影=五月女菜穂

公演情報

『観劇者』

公演日時:2021年6月30日(水)〜7月4日(日)全9公演
会場:シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都豊島区南池袋2-20-4)

脚本・演出:開沼豊
出演:堀田竜成、外岡えりか、林明寛、大滝樹、岩佐祐樹、わたなべかすみ、吉田翔吾/斉藤レイ、長戸勝彦
料金:7,000円(全席指定/税込)

企画・主催:エーディープロジェクト/サンライズプロモーション東京
制作:エーディープロジェクト
公式サイト:https://www.kangekisha.jp/
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