Goose house 7人が到達したツアーファイナル・国際フォーラムの景色は

2015.12.17
レポート
音楽

Goose house

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Goose house Live Tour 〜だって座れるんだもん〜 2015 東名阪ツアーファイナル 12月10日 東京・東京国際フォーラム ホールA

UstreamやYouTubeなどインターネット上の動画配信を活動拠点とし、SNSを通じて大きな反響を集めている、男女7人のシンガー・ソング・ライター・ユニット、Goose house(グースハウス)。初の東名阪ホールツアーのファイナルとなる、東京国際フォーラム公演が12月10日に行われた。開演前の入場口には、平日にも関わらず、友達同士やカップル、OLさんや学生服の男子、グループで待ち合わせする人々など、様々なファンの人達がすでに楽しそうに、長く長く延びた列に並ぶ光景が見られた。

会場内の期待感いっぱいのざわめきの中、客電が落ちて真っ暗になると、一斉に拍手と歓声が沸き起こった。紗幕にライトで映し出された“Goose house”の文字が躍ると、BGMに合わせて手拍子が鳴り出した。ステージに照明が灯り、7人のメンバーの姿が浮かび上がった。一瞬の静寂の後、パワフルなアカペラで始まったのは「ドミノエフェクト」。ハーモニーが会場を一気に包み込み、早くも多幸感で満たされる。前段の3人、マナミ・竹渕慶・工藤秀平はハンドマイクで踊りながら、一段高くなった後段の4人は沙夜香(キーボード)、齊藤ジョニー(ギター)、ワタナベシュウヘイ(ベース)、竹澤汀(ドラム)はバンド編成を取り、ボーカルは次々に全員でリレーしていく形式だ。遠くの席からでも、今誰がメインを歌っているかはスポットライトでわかるようになっている。

マナミ

みんなが空を指差した「この指とまれ」からMCを挟んで、ピアノのイントロでしっとりと始まった「ごはんを食べよう」では、エレキギターをフィドルに、ドラムをカホンに替えて、優しいぬくもりが伝わってくる。木製の本棚やリビングのようなフロアスタンドを配置したステージセットが良いカンジだ。他にサポートを入れることなく、曲毎にメンバーが楽器を持ち替えてサウンドを構成していて、シンガーソングライターの集合体なのだが、グースハウスはボーカルグループというより、その役割分担のバランス感覚はバンドに近いのかもしれない。 

齊藤ジョニー

ここからはカバー曲のコーナー。「絶対に踊りたくなっちゃうぐらい楽しい曲だから、ちょっとみんな一回立ってみない?踊ろう踊ろう!」と竹渕慶がお客さんを促し、オールスタンディングとなった国際フォーラムで、「SUN」(星野源)を披露。ハンドクラップしながらオーディエンスも踊りながら歌えば、まるでゴスペルのような、パワーアップしたカバーに仕上がった。もう一曲は、映画「STAND BY ME ドラえもん」の主題歌「ひまわりの約束」(秦基博)。一転して、スローバラードの柔らかなハーモニーが響き、素敵な照明がステージを照らす。こんなに大きな会場なのに、伴奏のピアノの一音一音、アコギの弦の一音一音、歌声と共に息づかいまで、まるでそばにいるように聴こえてくるから不思議だ。

前日に発売されたばかりのシングル「LOVE & LIFE」収録の「NonStop! Journey」は、悩みに悩んで表題曲にならなかった楽曲なのだが、その理由が明かされた。タイトル通り、旅立ちを歌った曲だったため、季節的に合わなかったのだとか。まさに春の陽射しを感じるような、駆け出したくなる軽快なロックナンバーだ。

竹渕慶

ここで“グースハウスのライブに初めて遊びに来た人”を客席に訊ねたところ、かなりの手が挙がったので、ライブ中盤になってようやく自己紹介となった。「(身長)148cm。本日も視界良好!マナミです!」「みなさんごきげんよう。メガネは伊達です。どうも沙夜香です」「国際フォーラムホールAって全部で5012席あって、日本では音楽用のホールとしては一番大きいんですけど、世界的に見ても2番目に大きいんです。今日もオチをどこかに落としてきました、齊藤ジョニーです」「好きな言葉は、麺特盛、味濃いめ、脂多め、煮玉子ダブル、ワタナベシュウヘイです!」「こう見えてもわたし肉食女子、脂身大好き!竹渕慶です!」「こう見えてわたし、今年一番テンションあがってます。竹澤汀です」「なんか歌ってよって言われるより、なんかしゃべってよって言われることの方が多いです。シンガーソングライターやってます、工藤秀平です」と個性バラバラの7人。そこからメンバーの共通項を探る話題に及び、最初の質問「わたしはお寿司が好きである」で全員が挙手した以外、眠る時の照明の有無、朝はパン派ごはん派、冬と夏とどっちが好きなど、好みはバラけており、後半は大喜利と化して、観客の爆笑を誘った。

竹澤汀

今回のツアーで新しい試みとして、それぞれのソロの楽曲をメドレーで披露するコーナー『グースハウス・スペシャル・ソロ・メドレー』が生まれた。工藤秀平が「今日は相方、木村(正英)くんに捧げます!」と叫び、K.K.の代表曲でポップなナンバー「Superman」を明るく歌い上げると、他のメンバーもコーラスでバックアップ。ムードを一転させて、アコギで歌い上げるマナミの「CURTAIN CALL」はちょっと切なく。沙夜香がピアノで弾き語る「君が教えてくれたラブソング」は心にグッときた。ワタナベシュウヘイの「ハレルヤ」はファンキーな魅力あふれるリズム&ブルース。齊藤ジョニーの「月に吠える」は攻めのカッティングギターが印象的。アコギを抱えて歌い出した途端、はかなげなのに力強さを感じる竹澤汀の世界に引き込まれた「I Like」。そしてメドレーを結ぶにふさわしい、竹渕慶の「ありがとう」で、やさしい歌声が会場に響き渡った。

沙夜香

今回のツアーは、日本屈指の東京国際フォーラムでもやるということで「音楽的に一歩踏み込んだことに挑戦してみたい」とゲスト・ミュージシャンとして“だって座れるんだもんカルテット”と命名したストリングス・カルテット(1stバイオリン、2ndバイオリン、ビオラ、チェロ)を呼んで、共に3曲を演奏した。「Humming bird」では、歌の世界を支えるように奏でるストリングスに竹澤汀の祈るような歌声が映え、水を打ったかのように観客が聴き入った。久々に演奏したという「Beautiful Life」では、ストリングスがよりドラマティックに盛り立てた。

そしていよいよ、発売されたばかりのニューシングル「LOVE & LIFE」。歌う前に、工藤秀平がこの曲に込められた想いを語った。「この曲は“テーブルを囲もう”っていうのがテーマ。大切な人と過ごす時間。家族、友達、恋人、そういう自分の好きだなと思う人と笑い合う時間。この時間を僕達は当たり前だなと思ってしまう。でも本当は当たり前じゃないんじゃないかって。もしかしたらこの国が平和だから、この時間を持ててるんじゃないかなって。そんなことを考えながら、僕達なりにずっと続いていく平和を願いながら、作らせてもらった一曲です」「今日はその「LOVE & LIFE」をこんなバージョンでみなさんに聞いていただきたいと思います」。そして始まったのは、心を込めたアカペラの「Silent night」で始まるクリスマス・バージョンの、アコースティックセットによる「LOVE & LIFE」。このツアーを通して伝えられているメッセージが、すべてここに繋がっていく。会場に徐々にハンドクラップの輪が広がり、グースハウスのハーモニーが心にしみわたっていく。

工藤秀平

カルテットとお別れをして、「僕らとみんなで思い出作り」とメンバーと観客のビデオ撮影へ。撮影は竹澤汀が担当した。ステージに立つメンバーから、会場にカメラが向けられると一斉にお客さんの歓声が響き渡る、という熱気あふれる動画になった(後日YouTubeにアップされた)。

ライブは終盤に突入。オールスタンディングとなった会場の割れんばかりの手拍子と共に「オトノナルホウヘ→」で一気に熱狂的な盛り上がりへ!多彩なコーラスを織り交ぜた、明るくて爽快感のある楽しい楽曲に、所々に入る三三七拍子のリズムもステージと観客の息はぴったり!まさに圧巻の国際フォーラム!さらにエレキギターを掻き鳴らしてマナミが「おいみんな!まだまだ盛り上がり足んねーんじゃねーのか!」と煽れば、オーディエンスも応えないわけがない。タオルをぶんぶん回して準備は万全!「スリー、ツー、ワン!」のカウントダウンで、客席めがけてキャノン砲が発射!ノリノリのロックンロールナンバーと共に会場に金銀のテープが舞った!ラストは、イントロが鳴った瞬間に大歓声が起こった「光るなら」。まさに観客総立ちの中、パンチのあるコーラスワークによる圧倒的な歌声と、疾走感あふれるピアノの音色に合わせて、誰も彼もが大盛り上がり!本編は終了したが、アンコールの拍手に加え、凄まじい規模の「アンコール!」の声がこだました。

ワタナベシュウヘイ

アンコールに応えて再び登場したメンバーは、それぞれの言葉で感謝の気持ちを伝えた。

マナミ「わたしは14歳の頃からやっているけど、ずーっと小さいライブハウスでやってたの。お客さんが2人の中でとか。だから自分がこんな大きなステージに立てるなんて夢にも思ってなかった。でもそれはわたしたちの力じゃなくて、みんなのおかげ。いつも大きな愛をたくさんありがとう!」

沙夜香「いつもは直接、顔を向き合わせてありがとうって言えないから、こうやってライブを設けて、みんなにありがとうって気持ちを込めて歌うために来たんですけど。結局は、みんなから大きな声だったり歌だったり声援だったり手拍子だったり、やっぱり逆に愛をもらうんだよね。みんながここにいてくれて本当にうれしいです」

齊藤ジョニー「いま世の中にいろんなことがありますけど、自分はこんなに楽しく音楽をやってて大丈夫なのかなって思ったりする。でもこうやってたくさんの人達と一緒に、音楽を楽しめる時間を体験してみると、やっぱり俺はこの空間と時間を、これからも守っていきたい、それが俺の役目なんだと思わされました。これからもっともっとがんばりますんで、またぜひ逢いましょう」

ワタナベシュウヘイ「僕はみんなみたいに上手くしゃべることができないので、いつも通り、短くやらせていただきます。僕は!みんなのことを!愛してるぞー!!ありがとう!」

竹澤汀「高校生の頃「お前が音楽で成功するわけなんかない」って言われたことがあります。だけど今日、国際フォーラムに立てて、みなさんと会えたこと、本当にうれしく思います。悩んだときに後押ししてくれた言葉でもあるんですけど、でも今は誰かのために歌いたいって、みなさんに教えてもらいました。まだまだ伝えたいことがたくさんあります。形にしてないこともたくさんあります。これからも応援、よろしくお願いします!」

竹渕慶「わたし、歌っている時だけは嫌なこととか全部忘れられるんだけど、みんなにとっても今日この時間が、悩みとか嫌なこととか全部忘れられる時間になっていたらいいなと思います。歌わせてもらっているのは、ここにいる応援してくれてるみなさんのおかげ。わたしたちはずっと明日からも歌っていくので、またどこかで会えたらいいなと思います。ありがとうございました!」

工藤秀平「僕たち今日この7人で立ってますけど、いろんなことがやっぱりありました。でもこのステージに立てているのは、紛れもなくここにいるみんなのおかげなんです。ここにいる誰もが、本当に続けていけるのかなって…バカにされたり、自信を失ったりしながらも、なんとか一歩一歩進んでここまで来れたカンジなんです」「どうしても、いつまでも7人で歌えるんじゃないか、ハッピーなことがずっと続くんじゃないかと思ってしまうけど、でもそれはここにいるみんながあってこそ。だからこそ一回一回のライブも全部の想いを込めてやりたいし、一分一秒、ちゃんと大事な人には大切な想いを伝えていきたいなと、今日は改めて、これだけたくさんの方に会うことによって思わせてもらいました」

「言葉では言い尽くせないので、最後にみんなと一緒に、歌いたいなって思うんですけど、いいですか?」アンコールとしての最後の曲は、これまでメンバーが入れ替わりながらも歌い継がれてきた、グースハウスの代表曲「Sing」。「もう最後なんで、みんな自分が主役だと思って、一緒に歌ってくれたらと思います!」大きな拍手の中、始まった「Sing」。指をパチンと鳴らしながら、5000人が大合唱。その光景はただただ壮観だった。すべてのオーディエンスを巻き込み、感涙の嵐となって大団円を迎えた。感極まったあまりステージ上で泣きじゃくるメンバーも。「これからも7人で走っていくから、一緒に走りましょう!グースハウスでした、ありがとう!」拍手と歓声の中、最後はマイクを通さずに、声を張り上げて二階や一番奥のお客さんにも聞こえるように「せーの、ありがとう!」とメンバー全員で叫んだ。その気持ちはきっとその場にいたすべての人に伝わったに違いない。

 

撮影=菊池貴裕 文=下村祥子

リリース情報

Goose house Phrase #12 「LOVE & LIFE」
発売中
1. LOVE & LIFE
2. NonStop!Journey
3. LOVE & LIFE -instrumental-
4. NonStop!Journey -instrumental-

初回生産限定盤:CD+DVD SRCL-8950 ~ SRCL-8951

初回盤

[DVD]LOVE & LIFE Music Video
定価 ¥1,620(税込)

通常盤:SRCL-8952

通常盤

定価 ¥1,300(税込)