THE BEAT GARDEN 4人での最後のステージ『The Beat Garden one man live tour「Afterglow」』をレポート

レポート
音楽
2021.8.16
THE BEAT GARDEN 撮影=Yuto Fukada

THE BEAT GARDEN 撮影=Yuto Fukada

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The Beat Garden one man live tour「Afterglow」
2021.8.7 リキッドルーム

ついにこの日が来た。8月7日、東京・恵比寿リキッドルーム、『The Beat Garden one man live tour「Afterglow」』ファイナル公演。13か所で1日2公演、ハイエースに乗って全国を巡った2年振りの楽しい旅の集大成であり、DJ SATORUがグループを離れる最後の日。楽しい、寂しい、楽しい、寂しい。花占いのように様々な感情が揺れ動く、Beemer(ビーマー=THE BEAT GARDENファンの呼称)の思い。デビュー5年、グループの歴史の大きなターニングポイントになる重要なライブ、いよいよ開幕だ。

全公演ソールドアウトのこのツアー、ファイナルのを手にできたラッキーなBeemerたちと、オンライン生配信を見守るBeemerたちの思いを乗せ、メンバーがステージに姿を現す。1曲目は「本当の声」だ。強いビート、爽やかな疾走感、音の広がり、せつないメロディ。「行こうか東京!」とUが叫ぶ。SATORUもマイクを持ってコーラスに参加。「心で歌え!」とUが煽る。REIとMASATOも笑顔で拳を上げる。「answer」は派手なロックギターのリフを持った、初期THE BEAT GARDENらしさあふれるEDR(エレクトリック・ダンス・ロック)チューン。フロアを埋めたBeamerと共に、体いっぱい使った手振りとアクションでぐいぐい盛り上がる。期待通り、気合満点の立ち上がりだ。

THE BEAT GARDEN/U

THE BEAT GARDEN/U

「Afterglowツアーファイナル、東京、恵比寿リキッドルームにお越しのみなさん、THE BEAT GARDENです。今日は13か所26公演のファイナルのファイナルです。何度めましての人も、はじめましての人も、配信をご覧のみなさんも一緒に楽しんでいきましょう!」

「次の曲は説明はいらないから、踊るよ!」とU。ラテン風味のダンスチューン「ダンシング・マン」は、《くるくる回って》の歌詞に合わせてメンバーが手をくるくる、Beemerもくるくる。SATORUもステージ前に飛び出して、全員でくるくる。「リキッドルーム、こんなもんじゃないと聞いてますよ」とMASATOが煽る。エンディングをばっちり決めたSATORUが、「あー気持ちいいよ!」とはしゃぐ。「過去イチの「ダンシング・マン」、ありがとう!」と、Uが叫ぶ。理屈はいらない、楽しい。

「今朝、寝坊しました! ぐっすり寝たので思い切り楽しみたいと思います」(U)
「5月から始まったツアーも、もうファイナル。楽しいことは早いなと思ったけど、ただ楽しみにしていました」(REI)
「最初から最後感出してたら、寂しいでしょ? 徐々に出して行きます。できる子なんです」(MASATO)
「すごい楽しんでるなぁ、俺。(鳴りやまない拍手に)もういいよ! わかった!(笑)」(SATORU)

THE BEAT GARDEN/REI

THE BEAT GARDEN/REI

たぶん照れ隠しだろう、ざっくばらんな言葉と笑顔でBeemerの思いに応えるSATORU。そしてオリコンウィークリー6位、LINE MUSICアルバムランキング1位を記録したアルバム『余光』から、この日が初お披露目となる新曲「Everglow」へ。端正なキックの四つ打ち、独特の浮遊感、ファンキーなギター。クールなダンスチューンでありつつ、「みんなに会えるまでの期間に4人で思ったことを歌にしました」(U)という、等身大の歌詞が胸に沁みる。REIのラップがいいアクセントになっている。続く「花火」も、四つ打ちのダンスチューンと、ポップでメロディアスなJ-POPの要素を組み合わせた、THE BEAT GARDENの進化系。ボーカル3人の気持ちの入り方が半端ない。歌の表現と歌詞のメッセージで直球勝負。アカペラコーラスできれいに締める、エンディングも完璧だ。

「世の中は音楽どころじゃないと言われている中で、本当にみんなに会えるのかな?と思っていました。帰って来てくれて本当にありがとう。音楽を聴いてくれる人がいるのは、本当に幸せなことだし、苦しかったけど、それは幸せだなと思いました」

深い思いを込めたUのMCから、すべてのBeemerに捧げる「遠距離恋愛」へ。ラブソングの形を借りて、Beemerへの思いがストレートに伝わる。SATORUもマイクなしでずっと歌ってる。心は一つ、思いは一つ。ライブはいよいよクライマックスだ。「うちのDJからみんなに話をさせてもらってもよろしいでしょうか」と、Uが紹介する。SATORUがマイクを握る。

THE BEAT GARDEN/SATORU

THE BEAT GARDEN/SATORU

「みんなにありがとうと伝えるツアーにしようと思ってたんだけど、みんなからの言葉のほうが大きくて、元気や勇気ばかりもらっちゃってます。3人に誘ってもらって音楽を始めて、みんなに支えられてやってこれたなと本当に思うし、寂しい気持ちはあるけど、THE BEAT GARDENはもっと成長して、武道館も東京ドームもやると思うし、その時に俺も含めてみんなでまた合流したいです。僕は、THE BEAT GARDENをやってきて本当に幸せでした。今日のライブでステージに立つのは最後だけど、みんなのことは一生忘れません。本当にありがとう」

つっかえながら、はにかみながら、涙をこらえながら。言葉を探し、気を配り、優しさで包み込む。一つ一つの言葉が生きている、SATORUらしい最後の挨拶。Uがそのあとを受ける。

「もともと友達で、DJがうまいから誘ったわけじゃないから、余計に寂しいです。でもSATORUは、家族のために生きていくと自分で決めました。俺らも、4人でもっと行けたんじゃないかという後悔も全部背負って、今まで以上に精一杯に歩んで行こうと思うので、これからも、どうか4人をよろしくお願いします」

俺ら4人の歌を歌います――。「エピソード」は、アルバム『余光』のラストを飾る、4人の始まりの風景を色鮮やかに綴った思い出の歌。歌いながら、UがSATORUを呼ぶ。REIとMASATOを呼ぶ。4人がステージ中央に揃う。さっきの挨拶では涙をこぼさなかったSATORUが、シャツの袖で目をぬぐう。逆光ライトが一層まぶしく見えるのは、涙を見せないスタッフの思いやりかもしれないと思う。歌い終えたUが「戻れ!(笑)」とSATORUに言う。たぶん照れ隠しだろう、ざっくばらんな言葉でSATORUの思いに応えるU。決して切れない絆がそこにはある。

THE BEAT GARDEN/MASATO

THE BEAT GARDEN/MASATO

「俺らは友達だから、友達に戻る。また一緒に会いに行くから、待っててね」

恵比寿リキッドルーム、思い切り行くぞ! ラスト2曲は、悔いを残さず全力疾走。5年前のデビュー曲「Never End」を爆音で響かせながら、吹っ切れたようにステージを飛び回るU、REI、MASATO。笑顔に戻ったSATORUも、コーラスに加わり盛り上げる。そして最後はやはりこの曲、インディーズ時代からのキラーチューン「Sky Drive」だ。「行くぞ! メイク・サム・ノイズ! 腕回せ!」THE BEAT GARDENのEDR路線を確立した強力なダンスチューンに乗って、Uがハイテンションで叫びまくる。レーザービームが空間を切り裂き、重低音がフロアを揺るがす。EDRからポップな歌ものへ、デビュー5年間でゆるやかに変化を遂げながらも、過去を決して忘れない。THE BEAT GARDENの音楽の歴史と進化を、9曲60分に濃縮したライブパフォーマンス。THE BEAT GARDEN第一章のラストを飾る、美しいファースト・フィナーレ。

「下を向きそうになったり、気づいたら後ろ向きになったり、たくさんあったんだけど、今日まで頑張って生きてて良かったなって、ライブのたびに思わせてくれました。あなたの“生きてて良かった”になれるように、一所懸命曲を作って、4人で作った曲も精一杯歌って歩んでいくので、これからも4人を、THE BEAT GARDENをよろしくお願いします」

すべての音が消えたあと、笑顔で手を振る4人の顔に涙はない。東京ドームでやる日が来ても「おまえはスタンドだ!」と、UがSATORUをからかう。REIとMASATOが、一人一人のBeemerの顔を覚えるようにフロアを見ている。最後まで一人残ったSATORUが「本当にありがとう」と2回繰り返す。ほかに言葉が出て来ない。それが、何よりも雄弁だ。

楽しい、寂しい、楽しい、寂しい。それでも、やはり最後は“楽しい”を取ろう。4人は生きてゆく。THE BEAT GARDENは続いてゆく。また会う日まで。音楽は鳴りやまない。

取材・文=宮本英夫 撮影=Yuto Fukada

 

セットリスト

The Beat Garden one man live tour「Afterglow」
2021.8.7 リキッドルーム
01. 本当の声で
02. answer
03. ダンシングマン
04. Everglow
05. 花火
06. 遠距離恋愛
07. エピソード
08. Never End
09. Sky Drive

リリース情報

アルバム『余光』各配信サービスURL
https://thebeatgarden.lnk.to/Afterglow

アルバム『余光』
2021年8月4日(水)発売
 
初回限定盤(CD+DVD) 
価格:\4,950(税抜き \4,500) / 品番:UMCK-7123
通常盤(CD) 
価格:\3,30(税抜き \3,000) / 品番:UMCK-1695

<収録曲>
01マリッジソング
02 Snow White Girl
03 遠距離恋愛
04 Morning Glory
05 夏の終わり 友達の終わり
06 好きな人がいる人を好きになった ※新曲
07 光
08 ぬくもり
09 Everglow ※新曲
10 スタートボタン
11 エピソード

<初回盤限定DVD収録内容>
2020年新木場STUDIO COASTワンマンライブ「THE NEST 2020」ディレクターズカット盤収録
オープニング / Alive / GAME / そんな日々が続いていくこと / Snow White Girl / エピソード / 本当の声で / ぬくもり / Sky Drive / みんなへ / Never End

【THE BEAT GARDEN 3rd ALBUM『余光』特設HP】
https://thebeatgarden.com/3rd_album/
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