堂本光一×井上芳雄、奇跡のタッグが再び! 「僕たちにできることはとにかくやり続けること」~ミュージカル『ナイツ・テイル-騎士物語-』製作発表会レポート
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(左から)井上芳雄、堂本光一
堂本光一と井上芳雄がタッグを組み、さらに世界的演出家であるジョン・ケアードが脚本・演出を務めることで話題を呼んだミュージカル『ナイツ・テイル-騎士物語-』。演劇界に衝撃をもたらした本作が、2018年の世界初演から3年経った今、大阪・東京・福岡にていよいよ再演を迎える。
開幕まで残すところ1ヶ月を切った2021年8月16日(月)昼、都内某所にて製作発表会が開催された。その模様を挨拶、質疑応答、囲み取材の順にレポートする。
壮大な音楽と共に会見の場に姿を見せたのは、堂本光一、井上芳雄、音月桂、上白石萌音、ジョン・ケアード(脚本・演出)、今井麻緒子(日本語脚本・訳詞)、池田篤郎(東宝(株)常務執行役員演劇担当)ら、計7名。この日は新型コロナ感染対策のため、登壇者全員が作品のロゴ入りマスクを身に付けた状態で進行された。まずは、登壇者一人ずつから挨拶があった。
池田篤郎(東宝(株)常務執行役員演劇担当)
「2018年の世界初演は、2000年というミレニアムな年に帝劇デビューを飾られた堂本光一さんと井上芳雄さん、お二人が帝劇に一堂に会するという記念すべき公演となりました。エンターテインメントの中心にいらっしゃるお二人と、国を跨いで活躍していらっしゃるジョン・ケアードさん、スタッフ、キャスト、そのスケジュールを合わせるのは大変なことでした。なのでまずは、昨年のコンサート版の上演に結びつきました。その最中にコロナ禍が押し寄せてきたわけです。2000年に帝劇デビューなさったお二人なので、それそれぞの公演の20周年を迎えるという大変大事な年でもありました。しかしコロナの影響で『SHOCK』も『エリザベート』も非常に厳しい事態となり、暗澹たる気持ちで過ごしてきました。昨年のコンサートバージョンは、万全な感染対策を施した上で、時差を乗り越えリモートでジョンさんが指導して仕上げてくださいました。本当にお客様はありがたいもので、感染予防に協力してくださるので非常に静かな客席なんですね。公演が終わったときの心の込もった大変に大きい拍手、これが私は忘れられません。この秋、いよいよバージョンアップをしてスケールも大きく、日本を縦断してまいります。こういう状況の中で私たちがエンターテインメントでできること、その力をぜひとも皆様に味わっていただきたいと思います」
堂本光一(アーサイト役)
「世の中、まだまだ本当に落ち着かない中ではありますが、こうしてジョンがイギリスから来てくださった。この作品自体がジョンの愛で包まれた作品なんです。改めて台本を読んでいると毎日いろんな発見があって。ニューノーマルと言われているこの時代に沿った作品に感じております。僕自身もこのコロナ禍になってからコンサートや舞台作品をやってきましたが、何よりもお客様がその場所のルールを守ってくださって協力くださっている。我々としては、安心してステージに立てる環境を逆にいただいてしまっているような感覚です。そういった意味でも、たくさんの方の協力があって自分は今ステージに立てているんだなと感じておりますので、感謝を忘れずにいたいなと思います。周りを見渡せば本当に素晴らしい実力のあるキャストの皆さんです。いろんな意味で自分の気持ちを律してステージに立つことができたらなと感じております」
井上芳雄(パラモン役)
「僕たちが(会見の場に)入ってくるときにすごく壮大なオーケストラによる、ハリウッド大作に出るのかなというくらいのオーバーチュアの中登壇させてもらって、改めてスケールの大きな作品をやらせてもらっているんだなと。3年経ってまたジョンと光一くんとやれることを幸せだな、嬉しいなと思います。世の中の状況はどんどん厳しくなっていく一方ですけれども、だからこそ稽古場ではとても穏やかで、みんなが純粋に作品を作っていく幸せなクリエイティブな時間が流れています。きっと舞台上でもその豊かな時間と空間はさらに強まっていくと思いますし、こういうときだからこそ劇場の中が一種のユートピアとなって、お客様にその時間だけでも楽しんでいただいて、皆さんの喜びや励みになるような時間にしたいと思って一生懸命稽古しております。本番が無事に完走できるように祈りつつ頑張っておりますので、よろしくお願いします」
音月桂(エミーリア役)
「世界的にも不安な状況が続いている中、また再演に出演できることを本当に嬉しく思っています。昨年、奇跡的にコンサート版をさせていただいたときに今舞台に立つべきなのか? といろいろな葛藤があったと思うんです。いざ舞台に立たせていただいたときは、宝塚で初舞台を踏んだときのような緊張と足の震えを久しぶりに体験しました。それと同時に、私は舞台に立つことが本当に好きなんだなと。なので、こんな状況ですけれど、皆様の心の支えになるようなエンターテインメントをお届けできたらいいなと思います。再演とはいえ、演出のジョンが素敵な魔法をかけてくださっていて、新作を作っているような感覚でお稽古が進んでいます。これからどんな作品になるのかなと楽しみで仕方ありません。座長のお二人がいつも温かな空気を作ってくださるので、伸び伸びとみんなで稽古を進めています。ぜひ楽しみにしていただければと思います」
上白石萌音(牢番の娘役)
「3年前の製作発表のときに私は出席できず、等身大パネルで皆さんにいじっていただいたので、今回は出席できてとても嬉しく思っています(笑)。3年前から状況がガラッと変わってしまって、お稽古場でも皆さんマスクをつけながら歌っていて……こんなにハードだったかなと思いながら日々頑張っているところです。稽古場の温かい空気感やジョンの愛のある演出はあの頃から全く変わっていなくて、むしろ温かさが増しているような感じで、タイムスリップしたような感覚で日々幸せに過ごしております。偉大な先輩方に食らいついていけるように精進して、この時期に舞台をさせていただくからには良いものをお届けできるように、しっかりと自分の役を全うしたいと思っております」
今井麻緒子(日本語脚本・訳詞)
「今話を聞いていたら、ちょうど(井上)芳雄くんと(堂本)光一くんが帝劇デビューしたときに私はイギリスに渡ったんですね。それ以来、イギリスと日本の架け橋みたいなことをさせていただいています。去年のコンサートバージョンは私しか来日できず、電話片手に大変な思いをしました。今回はジョンが来てくれたので、私だけかもしれませんが今回の方が楽かなあと思っています(笑)。ただ、ジョン本人が来ると、皆さんからインスピレーションを受けてたくさんの変更をするんですね。その度に睡眠時間を削って書き直していますけれども(笑)、さらに良いものになるんじゃないかなと思っているので、楽しみにしていただければと思います」
ジョン・ケアード(脚本・演出)
「ここに来られて皆さんにお会いできて、本当に嬉しく思います。コロナという嵐の状況で、この作品ができるということに感謝しています。例えばアメリカやヨーロッパは演劇を続けることができなかった。特に海外から来る観光客の方に頼っているので、そういう方たちが来られないと成立しなくなるんです。でも、東京は地元の方も劇場に来てくれるから成り立っている。そしてプロデューサーの方たちがルールを作って、PCR検査をして、本当に目を見張るような努力をしてくださっているからだと思います。
作品のテーマは平和、女性の声、自然の大切さ。これらは本当に今以上に大事なときはないと思っています。コロナを経験した私たちは、自分たちの世界の面倒を見なくてはいけない。それは『ナイツ・テイル-騎士物語-』の基本でもあります。そのことをさらに強調して主張したい。ですから、この作品ができること、そしてこの素晴らしいキャストで上演できることに感謝しています」
(左から)今井麻緒子、上白石萌音、井上芳雄、堂本光一、音月桂、ジョン・ケアード
7名が挨拶を終えると、質疑応答の時間が設けられた。
ーーキャストの4人に質問です。再演の稽古に臨んでいる今、改めて感じる『ナイツ・テイル-騎士物語-』の根本的な魅力を聞かせてください。
堂本:千穐楽まで毎日必ず何か発見があるのは、3年前もそうだったんです。ジョンから言われたのは「千穐楽まで答えは見つからないはずだよ。でもそれでいいんだよ。毎日それを楽しんで」と。今稽古に入って、それらを乗り越えてきたいい意味での自信と、素晴らしいキャスト・スタッフに囲まれている安心もあって、3年前よりも落ち着いて稽古場にいることができているんです。その環境で台本を読んでみるとたくさん発見があります。前はそんな余裕なかったんですけれど、今自分の中で深堀りし始めて、それぞれの発見が面白くて。この時代に必要なメッセージがすごく入っているとも思います。僕ら(堂本と井上の役)は頑張れば頑張る程、「あの二人バカだなあ」となるコメディなんですけど(笑)、視点を変えてみると、昔のがんじがらめだった思想がいかにバカらしいか、そこが笑えてくる作品になっているんです。3年前にご覧になったお客様もいらっしゃると思うんですが、そういう方たちにも新しい発見があるんじゃないかなと思います。
井上:ゼロからオリジナルミュージカルをこのメンバーで作れたっていうことが大きくて。改めて音楽の素晴らしさや物語の深さを稽古しながら感じています。今回はジョンを中心に皆で変えることを厭わないというか、むしろ喜んでそこに進んでいて、この作品の新しい魅力でありエネルギーになっているんだと思います。僕と光一くんの役はお互い愛し合いながら憎み合っているという役ですが、3年経ってお互いのことをさらに知ったときに、アーサイトとパラモンはこんなにも違う人物なんだなと気付いて。選んでいく人生、悩んでいくことの違いがよりはっきりしてきました。僕と光一くん自身もお互いのことをわかった上で、この役柄を演じさせていただけるのが面白いなあと思いながらやらせてもらっています。
音月:日々、ジョンが妥協せずにいろんな変化をつけてくださるんです。逆に3年前と変わらないのは、アーサイトとパラモンの美しい友情、私が牢番の娘を思う気持ち……本当に愛情に溢れた作品だなというのは最初の印象と変わらないんです。作品を作っていく上でも、愛情の大きさや豊かさは増している感じがしています。今は毎日稽古場に行って新しい課題をいただいて、それを自分のものにしていく時間がとても愛おしくて。私的に言うと、エミーリアは3年前に比べてもう少し芯が強い女性だなと。男性に対してしっかりと意見をぶつけていけるようなすごく強い女性だなという印象が増したので、その辺りに取り組んでいる最中です。これからどういう風に変化していくのかなと楽しみながら頑張っています。
上白石:私はこの作品の音楽が大好きで、それは去年のコンサートを経てより強まった気持ちなんです。お稽古場でセリフを喋っているときにアンダースコアで「ポロン♪」とピアノでメロディが奏でられたときも「なんて綺麗なんだろう!」と思うことが本当にたくさんあります。ジャンル的には、バラード、ポップス、ロック、カントリー、いろんなジャンルの曲があるんですけど、それが本当にキュッとひとつにまとまっているすごい作品だなと日々思いながらやっています。改めて落ち着いて台本を読んでみると新たな気付きがあるので、より深みまで見えるように導いてくださるジョンの演出についていって、あの頃よりさらに深まった、少し成長した牢番の娘を演じられたらいいなと思っています。今はただただ、この作品の中にいられることが幸せです。
ーージョンさんに質問です。ここにいる4人のキャストの魅力を教えてください。
ジョン:彼らがどれだけ魅力的か、僕が言わなきゃいけないの? 難しいなあ(笑)。皆さん素晴らしい役者であり、才能と自信がある方たちだと思います。芳雄さんと光一さんはいろんな部分が違うけれど、似ている部分もあるんです。二人の友情関係を見ているのもすごく楽しい。役者って大抵は競争意識があるんですね。でも、彼らは協力し合ってコラボレーションする人たちなんです。この二人は強くて自信があって、それと同時に優しくて愛らしい。
(音月)桂さんも強くて、チャーミングで頭もいい。元宝塚の方なんですけど、すごく規則を守って準備をちゃんとしてきてくださる。宝塚ならではなんですかね? それでも、彼女自身すごく特別に個性的な存在でいらっしゃると思うし、エミーリアをやるにあたってもいろんな引き出しを出してきてくださっています。(上白石)萌音さんも強いんです。小さく見えるかもしれないけれど中身は大きい。強くてかわいらしい個性というんですかね。役をやるときにちょっと弱いところもあって、観客がサポートしたくなるような雰囲気を自然に持っているんです。だから桂さんと萌音さんが一緒にいると良いパートナーシップが生まれる。それはすごく大事なこと。二人の役は会った瞬間は全然違う二人だったはずなのに、次第に似通って見えてくる。それは強さを共有することによって、二人の結束が生み出すものなんです。
ーー堂本さんと井上さんに質問です。エンターテインメントを通して思いを伝える役割のあるお二人から、全国の皆さんに向けて応援のメッセージをお願いします。
井上:日本の演劇界は、この状況下でも歩みを止めずにやらせてもらっています。こちらの努力もあるかもしれませんが、劇場に関しては来てくださるお客様の協力なしには成立しなかったですし、それは皆さん一人ひとりが協力してなんとか演劇文化を守ろうとしてくださった結果だと思うので、感謝の気持ちでいっぱいです。それでも劇場に来られない方もたくさんいらっしゃると思うんですけど、僕たちにできることはとにかくやり続けること。観ていただけなくても「僕たちはやっているよ」ということを発信し続けたいなと思います。演劇やエンターテインメントだけではなくどのジャンルでも、とにかく今はみんなで苦しいときを乗り越えて、新たな良い状況になったときに再開できるように、しっかり地に足をつけながらやれることをやりたいなと。それぞれの場所でエールを贈り合いたいなと思っています。
堂本:我々はエッセンシャルワーカーではないので、こういったイベントを開催することが良いのか悪いのか、それは日々葛藤でもあったりするんです。でもこういう状況だからこそ、心を豊かにしたいと思われている方がいるのは間違いないことで。泣く泣く観に行くことを断念する方もいると思います。でも今芳雄くんが言ったように、僕らとしては繋げていくことが大切だなとも思うんですよね。もちろん、止めてしまう覚悟というのも今は持っていないといけない。何としてでもやるという気持ちではいけないと思っています。そのバランスがすごく大事なときだなと。とにかく僕たちは繋げていきたいなと感じております。たくさんの方の協力をいただいて、大事にやっていきたいです。
会見の直後には、フォトセッションを挟んで囲み取材が行われた。囲み取材には、堂本、井上、音月、上白石の4名のキャストが登壇。直前まで行われていた緊張感ある会見とは打って変わって、リラックスした雰囲気の笑いの絶えない時間となった。
(左から)上白石萌音、井上芳雄、堂本光一、音月桂
ーー久しぶりに4人が顔を合わせたときはどんな印象でしたか?
堂本:久しぶりという感覚はあんまりなくて。萌音ちゃんがリモートで繋いでくれていたので、萌音ちゃんの功績が大きいと思います。
井上:今回の稽古に入る前にも久しぶりにリモート飲みをしたので、顔を合わせたような気はしていますね。
堂本:初演のときは本当に大変で、全体像が見えない中でもうすぐ初日というのを乗り越えてきた仲間たちなので、その信頼と自信があります。今稽古で女性陣のシーンを見ていると、3年前も同じことを思ったんですけど、完璧にやっているんですよね。
井上:女性陣は準備がちゃんとしていますよね。
堂本:それを見てちょっとイラッとして(笑)。また僕たちに見せつけてきやがったって(笑)。
井上:僕たちは3年間全然成長がないってことですね(笑)。
堂本:いい意味で乗り越えてきたみんなとの信頼関係というのがすごく厚くなっています。「この作品を良くしよう」「コロナ禍でできる最善を尽くしていこう」という想いが溢れていて、すごく幸せな空間だなあと。
井上:本当その通りだと思います。新しいキャストも自然と楽しそうに稽古していて、それはジョンのおかげが大きいと思います。キャスト同士の繋がりが3年経っても強くて、さらに深まっているというのは本当に珍しいこと。普通、公演中は仲が良くても1年経つと音信不通になるというか、それがカンパニーの常なんです(笑)。でもこの作品は再演が決まっていたこともあったかもしれないですけど、萌音ちゃんのお陰もあって。
堂本:この3年間で一番はねたのが萌音ちゃんだと思うので、そんな萌音ちゃんが僕らを見捨てないでいてくれたっていうのがね。
井上:確かに! ヒヤヒヤしたよねえ〜。萌音ちゃんが変わってたらどうしようって(笑)。
音月:グループLINEから途中退出していたらどうしようってね(笑)。
井上:でも全然変わらず。今も会見の直前に「緊張しますねえ」って言ってて、「あ、まだ萌音ちゃん緊張するんだな」って(笑)。
上白石:私がどうなったと思っているんですか!(笑)
井上:何も動じない、何の心もない、みたいになっていないかなと思っていたけど全然(笑)。だから奇跡のカンパニーだなと思います。
上白石:私はこの作品もカンパニーも本当に大好きで、リモート飲みも楽しいし、個々で連絡を取り合っているときに皆さんが「リモート飲みやりたいな」とおっしゃっていたのでこれはやらなきゃなと(笑)。本当に離れていても同じ場所を向いているってすごく心強いことですし、稽古場で顔を合わせたら本当に全然変わらない空気感があって、座長のお二人もこれだけの大スターなのに、何か全然……。
井上:オーラがない? ただの40代のおじさん? 夕方になるとボーッとしてるなみたいな?(笑)
堂本:おじさんたち疲れちゃってるんだよね。眠くなっちゃうんだよねえ。
上白石:(笑)。変な圧がなくて、どちらかというと脱力系の座長お二人で、全然嫌な緊張感がないんです。みんなが新しいことややってみたいことに挑戦できるお稽古場なので、そういう空気感を作ってくださる脱力系騎士のお二人です。
井上:それ(脱力系騎士)すごい弱そうだよ(笑)。
上白石:ステージに立つと本当に別人のようになられるので、勉強させてもらっているんです。毎日大好きな人たちと顔を合わせられるということで、元気いっぱいです!
ーー音月さんも、座長のお二人が温かい雰囲気を作っているとおっしゃっていましたが。
音月:私たちが稽古をしているときに、お二人の椅子を見たら同じ角度で二人共「スン」ってスイッチがお切れになっていらっしゃるんです(笑)。
堂本:あのねえ、最近3時くらいになるとすごく眠くなるのよ。
井上:時差ボケみたくなっちゃうんだよね。
音月:そういうところまでリンクしているんだなという、夫婦感(笑)。だからすごく私たちは伸び伸びとお稽古場にいます。萌音ちゃん企画のリモート飲みも私は仕事で1時間以上遅れちゃったんですけど、島田歌穂さんが「桂ちゃん! まだやってるから入っておいで!」と連絡をくれて待っていてくださって。岸(祐二)さんがよく面白い発言をされるんですけど、それを光一さんはいつも優しく「ハハハ」って笑っていて、芳雄さんがスパルタでツッコむみたいな感じの図がすごく懐かしくて(笑)。
井上:(ツッコむのは)しょうがなくですよ? 盛り上げるために。今日は岸さんどうしたんですか? 呼ばれてないんだ? 岸さん、今多分すごく怒っていると思います(笑)。
音月:こういう空間がすごく心地良いんです(笑)。
堂本:これは多分ジョンが作る空気感だと思うんですけど、他の人が稽古をしている間もみんなが楽しんで稽古を見ているんですよ。それは素敵な空気感だなあって。稽古場だけど素敵な空気感のあるカンパニーですね。
ーー堂本さんと井上さん、お互いの印象で改めて変わったことがあれば教えてください。
堂本:二つのものがすごく共存しているんです。僕が持っていないものを持っているので、そこは任せればいいやという安心感。あとはステージに立つという部分では実力者なので、うかうかしていると大パンチ食らっちゃうなという緊張感。だから「よし頑張ろう!」って思えるんですよ。そう思えるってすごく幸せなんですね。ずっとその感じが続いています。
井上:ありがたいですね。元からわかっていたことなんですけど、やっぱりスターなんだなって改めて思います。普段は隣をパッと見たら寝ているということもあるんですけど(笑)。常に自分を更新し続けていっているアーティストであり大スター。でも一緒にいるときはだれよりもシンプルというか素朴というか、飾りっ気がないんですよね。ステージ上に立っている光一くんと普段の光一くんのギャップがすごいんですけど、それがスターなんだなって年々思います。今久しぶりにやってみて、3年前よりエネルギッシュにいろんなことをしているんだなとも。今もコンサートをやりながら他の作品の演出もやって、自分の稽古もやっている。光一くんの役割が増えてそれを嬉々としてやっていて、その結果ちょっと夕方に眠くはなっていますけど(笑)、それくらいフル回転していてエネルギッシュにやっているなって。
堂本:一緒に寝てるじゃな〜い(笑)。
井上:僕なんかはこの稽古しかやってないのに寝てますけど(笑)。今の光一くんには、エネルギッシュさを感じますね。すごいなあ、更新してるなあって思います。
取材・文=松村蘭(らんねえ)
公演情報
原作:ジョヴァンニ・ボッカッチョ「Teseida」 ジェフリー・チョーサー「騎士の物語」 ジョン・フレッチャー/ウィリアム・シェイクスピア「二人の貴公子」
脚本・演出:ジョン・ケアード
音楽・歌詞:ポール・ゴードン
日本語脚本・訳詞:今井麻緒子
出演:
アーサイト 堂本光一
パラモン 井上芳雄
牢番の娘 上白石萌音
ヒポリタ 島田歌穂
シーシアス 岸祐二
ジェロルド 大澄賢也
【大阪公演】
日程:2021年9月7日(火)~9月30日(木)
会場:梅田芸術劇場メインホール
日程:2021年10月6日(水)~11月7日(日)
会場:帝国劇場
日程:2021年11月13日(土)~11月2日(月)
会場:博多座
製作:東宝