藤間爽子改め三代目藤間紫が国立劇場で襲名披露の舞踊会を開催
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『京鹿子娘道成寺」白拍子花子=藤間紫/『道行初音旅』静御前=藤間紫 (写真提供:紫派藤間流 藤間事務所) [無断転載禁止]
「初世藤間紫十三回忌追善 三代目藤間紫襲名披露 紫派藤間流舞踊会」が、2022年1月30日、東京・国立劇場大劇場でおこなわれた。
『京鹿子娘道成寺」白拍子花子=藤間紫
この公演は、初世藤間紫の十三回忌を偲びつつ、2021年2月に紫派藤間流の三代目家元を継承した、藤間爽子改め三代目藤間紫の襲名披露を目的とした、紫派藤間流一門による舞踊会。午前11時開演の一部と、午後4時15分開演の二部で全て異なるプログラムが用意され、家元補佐の藤間可笑(市川笑三郎)や藤間紫陽(市川猿弥)を含む一門が出演し、新たな家元の門出を祝うかのように、長唄、清元、常磐津、義太夫など多彩な演目を次々に繰り広げた。
三代目藤間紫は、第一部の締めくくりとして長唄「京鹿子娘道成寺」に挑戦。道成寺の鐘供養に訪れ、複雑な女心を舞で表現するうちに鐘に入った末、蛇に化身する白拍子・花子を堂々演じた。
『京鹿子娘道成寺」白拍子花子=藤間紫 (写真提供:紫派藤間流 藤間事務所) [無断転載禁止]
『京鹿子娘道成寺」白拍子花子=藤間紫 (写真提供:紫派藤間流 藤間事務所) [無断転載禁止]
また第二部では、二代目家元の十八番だった義太夫「道行初音旅」に、紫の兄である藤間貴彦改め初代・藤間翔と共に出演。吉野に逃れた源義経を慕って、佐藤忠信(藤間翔)と吉野山へ来る静御前を演じた。本作は三代目の祖母にあたる初世藤間紫が、当時小学生だった兄妹にいずれ踊らせたいと言っていた曲で、十三回忌の機に兄妹で挑戦することを決心したという。
『道行初音旅』左より、忠信=藤間翔、静御前=藤間紫 (写真提供:紫派藤間流 藤間事務所) [無断転載禁止]
『道行初音旅』左より、忠信=藤間翔、静御前=藤間紫 (写真提供:紫派藤間流 藤間事務所) [無断転載禁止]
紫派藤間流は、1987年に初世藤間紫によって創流された。2009年に初世が他界し、二代目家元を三代目市川猿之助(現・二代目市川猿翁)が受け継いだ。彼は、初世の「孫の爽子が年頃を迎えた暁に、三代目家元として藤間紫を襲名させてほしい」という遺志を実現させるべくこれまで準備を重ね、2021年2月に家元継承式をおこない、コロナ禍を経つつも、ようやく今回の公演開催まで漕ぎつけたという。併せて、この機に爽子の兄も二代目の命名により藤間翔を襲名することとなった。
『道行初音旅』左より、忠信=藤間翔、静御前=藤間紫 (写真提供:紫派藤間流 藤間事務所) [無断転載禁止]
終演直後に藤間紫より寄せられたコメントを以下に紹介する。
■三代目 藤間紫コメント
先ほど襲名披露舞踊会が終わりました。第一部で「京鹿子娘道成寺」、第二部では「道行初音旅」を兄・翔と共に演じました。
どちらの演目も古典舞踊の大曲で、無事に踊れた喜びと安堵、そして古典演目の難しさ厳しさを痛感しました。このようなコロナ禍の中沢山の方々のお力添えを頂き、お弟子さん方と喜びをご一緒できました事は、本当に幸せです。これから益々精進致します。どうぞ宜しくお願い致します。
三代目 藤間 紫
『京鹿子娘道成寺」白拍子花子=藤間紫 (写真提供:紫派藤間流 藤間事務所) [無断転載禁止]
紫派藤間流 藤間爽子(ふじまさわこ)改め三代目 藤間 紫 (ふじまむらさき)
1994年(平成6年)8月生まれ。幼少より、祖母の紫派藤間流家元・初世藤間紫に師事。7 歳で祖母、兄・貴彦と共に歌舞伎座にて初舞台。その後、長唄「藤娘」、長唄「鷺娘」、長唄「望月」花若丸、清元「幻お七」、初世藤間紫七回忌追善・紫派藤間流舞踊会では、初世藤間紫演出・常磐津「廿四孝」八重垣姫(2015年)を務める。日本舞踊協会の主催公演や協力公演「日本舞踊×オーケストラ」(2014年)、新作公演の日本舞踊未来座では『当世うき夜猫』(2017年)、『檜男(ぴのきお)』(2019年)、映像作品配信~日本舞踊 Neo~の「地水火風空 そして、踊」(2021 年)に出演。また、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」に出演。(2017年)舞台「半神」(原作・脚本:萩尾望都、脚本:野田秀樹、演出:中屋敷法/2018年)のマリア役、第三回日本舞踊未来座「彩 SAI」の『檜男(ぴのきお)』(2019年)、阿佐ヶ谷スパイダース公演「桜姫」(原作:四代目鶴屋南北、作・演出:長塚圭史/2019年)にて主演をつとめる。2020年4月より劇団ひまわり日本舞踊講師を務めている。大塚製薬カロリーメイトゼリー「体操選手と新入社員篇」(2018年)に出演する等、活動の幅を広げている。現在は祖父・二代目藤間紫(現・市川猿翁)に師事。青山学院大学文学部比較芸術学科卒業。
写真提供:紫派藤間流 藤間事務所【無断転載禁止】
公演記録
■会場:国立劇場大劇場