濱田めぐみ&笹本玲奈、大貫勇輔&小野田龍之介らが繰り広げる特別な時間 ミュージカル『メリー・ポピンズ』公開稽古レポート
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2018年に日本人キャストで初演が行われたミュージカル『メリー・ポピンズ』。パメラ・トラバースの小説を原作にしたウォルト・ディズニー・カンパニーによる映画は1964年アカデミー賞5 部門を受賞し、現在でも世界中の人から愛されている。ミュージカルは『ライオン・キング』 『アラジン』など数々のディズニーミュージカルを生み出したトーマス・シューマーカーと、『オペラ座の怪人』 『CATS』『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』といった大人気ミュージカルを生み出したプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュの手によるもの。オリヴィエ賞 9 部門ノミネート、トニー賞 7 部門ノミネートされ、日本でも大きな反響を呼んだ。2022年3月24日(木)からプレビュー公演がはじまり、3月31日(木)に本初日を迎えるにあたってキャスト総勢52名による公開稽古が行われた。
まずは演出を手掛けたジャン・ピエール・ヴァン・ダー・スプイからのコメントでスタート。
「4年前、日本で初演を迎えたこの作品をまた日本に持ってこれたこと、彼女を日本に連れてこれたことは大きな喜びです。私個人のみならず、キャメロン・マッキントッシュ、トーマス・シューマーカーからも、日本のプロデューサーの皆さん、ホリプロや東宝の皆様に感謝の気持ちを述べたいと思います」と話した後、「実は今朝、自分が滞在しているアパートを出たところにある桜の花が咲いており、その光景に息を呑みました。『メリー・ポピンズ』をご覧くださったお客様が、今朝の僕と同じように「すごいな、素敵だな」という気持ちになってくださることを望んでいます。桜の花が勢いよく咲き誇るように、我々のこの作品も命やイキイキとした思い、高揚感、大切な思いなどを勢いよく咲き乱れさせられると思っています。『メリー・ポピンズ』という物語の中心にあるのは、助けを必要としている家族。そういった家族のもとにメリーが舞い降り、人間性や価値観、大切なことを教えていきます。バンクス家の人々は摩訶不思議な力を持つメリーと過ごし、人生において大切なこと、忘れてはいけないことに気付かされていきます。そして今思うのが、このプロダクションが今この世の中でいかに大切な作品か、いかに意味のある作品かというところです。今回のカンパニーは、4年前にもメリーを演じた濱田めぐみさん、今回初参加の笹本玲奈さんが引っ張ってくれています。そして輝くほどに素晴らしい皆さんが集まってくれました。今回のカンパニーが、皆さんに大きな喜びをお届けできるように心から祈っています」と作品への想いを語った。
披露されたのは「最高のホリディ」、「お砂糖ひとさじで」、「チム・チム・チェリー(リプライズ)」の3曲。
「最高のホリディ(Jolly Holiday)」は、メリー・ポピンズを笹本玲奈、バートを大貫勇輔、ジェーン・バンクスを弘山真菜、マイケル・バンクスを田中誠人、ブーム提督をコング桑田が担当。
いつもの公園の散歩に退屈しているジェーンとマイケルは、メリーの古くからの友人・絵描きのバートに出会う。「公園なんて刺激がなくてつまらない!」と歌うジェーンとマイケルに銅像が声をかけてきたかと思うと、辺りは不思議で素敵な夢の世界に。映画では絵画の中に四人が飛び込み、アニメーションと組み合わせた幻想的な光景が繰り広げられていたが、舞台では花が咲き乱れる公園を背景にカラフルでキュートな衣装のアンサンブルキャストが次々に現れ、魅力溢れる光景を作り上げている。笹本の明るく溌剌とした歌声、大貫の軽やかで美しい身のこなしに誘われ、キラキラした瞳で辺りを見回す弘山、田中と一緒に不思議な世界を満喫できる。
「お砂糖ひとさじで(A Spoonful of Sugar)」は、メリーを濱田めぐみ、ウィニフレッドを知念里奈、ミセス・ブリルを浦嶋りんこ、ロバートソン・アイを内藤大希、ジェーンを西光里咲、マイケルを井伊 巧が担当した。
ドジでマヌケな使用人のロバート・アイは、みんなの役に立とうと頑張るものの、子供たちに罵られて焦り、キッチンを破壊する大失敗。子どもたちに苦い薬でお仕置きしようとする母・ウィニフレッドに、メリーが「子どもたちとキッチンを片付けます」と言い出し、難しい仕事もゲームに変えると楽しくなることを教える。濱田が演じるメリーは優しく頼れるお姉さんといった雰囲気。彼女の一声で壊れた棚やテーブルが次々に元通りになるなど、目の前で繰り広げられる魔法のような光景に、童心に帰ってワクワクする。濱田と子どもたちの朗らかな歌声に内藤の厚みのあるハーモニー、知念の澄んだ声が加わり、家のキッチンが歌詞にある通り“夢の世界”に変わっていく。
続く「チム・チム・チェリー(リプライズ)(Chim Chim Cher-ee(Reprise))」はメリーを笹本玲奈、バートを小野田龍之介、ミセス・ブリルを久保田磨希、ジェーンを弘山真菜、マイケルを田中誠人が担当した。ジェーンとマイケルは良い子たちだが、本人たちが変わろうとしないと助けられないと話し、彼らの元を離れる決意をするメリー。旅立とうとするメリーを見送るバート(小野田)が美しくも物悲しいメロディに乗せて紡ぐ柔らかい歌声が心地良く、二人のデュエットに心を揺さぶられる。そして、メリーからの手紙を見つけた子どもたちとミセス・ブリル(久保田)のやりとりがこの後の展開への期待を膨らませてくれる。
また、3月27日(日)の夜公演で、『メリー・ポピンズ』の日本公演が上演100回を迎える。メリーとバート役の4名よりコメントが届いた。
濱田めぐみ:『メリー・ポピンズ』は3/27の公演で、日本上演100回を迎えることになりました。オーディションから2018年3月の初日、そして4年後の今年の再演まで長い年月を重ねてきたことを考えると感慨深いです。この間『メリー・ポピンズ』のことが常にどこか頭の中にありました。これからも長く続いてほしい作品ですし、お客様にも応援していただけたら嬉しいです。コロナの影響もいろいろありましたが、ようやく本初日を迎えることができます。再演とはなりますが、新しい風も吹き素晴らしい作品を皆様にお届けできることになりました。劇場でお待ちしております。
笹本玲奈:本日(3/27)上演100回を迎えますが1,000回、1万回と続いていくように、責任を持ってしっかり努めたいと思います。この作品に出演するのは夢だったので稽古の前半は寝る時もずっと『メリー・ポピンズ』のことを考えて続けて夢にも稽古のことが出てくるくらいでした。どこかで素晴らしい作品にしなければとプレッシャーが大きかったと思います。舞台稽古が長く、しっかりきっちり準備できたので、今は初日を前に早く皆様に作品を見てもらいたい、わくわくした気持ちでいっぱいです。お客様とお会いするのがすごく楽しみですし、ご観劇いただいた方はきっと温かく楽しい気持ちになって劇場を後にすることができると思います。皆様に幸せな気持ちになって頂けるよう、私も楽しみながらメリーを生きたいと思います。
大貫勇輔:本日上演100回を迎えられて、めでたい!!純粋に嬉しいです。もうそんな回数やっていたのか!とびっくりしました。これからこの先も1,000回を目指して、1公演1公演を大切に積み上げて、公演に臨んでいきたいと思います。本初日を迎えるにあたって、プレビュー公演と本公演と分けられてはいますが、僕たちとしてはどの公演も変わりなく全力で挑んでいこうと思っているので、ここからも大切にバートを演じていきたいと思います。
小野田龍之介:100回の公演の中で、2つの役の視点からこの作品を務めることができたことを、すごく光栄に思っており、自分の中で大きな財産になっていることを、日々感じています。節目の時にこの大好きな作品に関わることができて、嬉しいです。まもなく本初日を迎えますが、プレビューをやっているとか、もう初日だとか気にしていられないくらい『メリー・ポピンズ』の世界にカンパニー全体が集中して作品に取り組んでいて、変に気を張ることもなく日々稽古できています。良き公演を皆様にお届けできるよう、健康第一でカンパニー一同努めてまいりますので、応援よろしくお願いいたします。
本作は5月8日(日)まで東急シアターオーブ、5月20日(金)~6月6日(月)まで梅田芸術劇場にて上演される。魅力溢れるメリーが巻き起こす奇跡とたくさんの名曲、魔法のような演出に彩られたワクワクするような非日常を、ぜひ劇場で体験してほしい。
取材・文・撮影=吉田沙奈
公演情報
【本公演】2022年3月31日(木)~5月8日(日)