フラワーカンパニーズ 結成26年目「いつも通りの」初武道館
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フラワーカンパニーズ photo by HayachiN
時代が求めるロックの一つ。フラカン初の武道館大成功の鍵
フラワーカンパニーズ『フラカンの日本武道館~生きててよかった、そんな夜はココだ!~』 2015.12.19 日本武道館
結成26年目、デビュー20年目、かつヒット曲のないバンドが初めて日本武道館公演を、しかもフルハウスで大成功させるというのはものすごくロマンティックで感動的なことだ(因みに初武道館最遅記録は、彼らにバトンを渡した怒髪天が記録を保持したまま)。怒髪天ら同世代、そして後輩バンドをはじめ、新旧に渡り彼らに関わってきたレコードレーベル、メディア関係者、もちろん新旧のファンの後押しがあってこの日の大成功があったわけだが、何より肝心なのは、ここ数年、フラワーカンパニーズのロックが、「深夜高速」に対する草の根レベルの評価とともに、再び時代に必要とされてきた事実がとてつもなく大きい。ずっと彼らを見て来たファンにとっては「いつも通りのライブ」だっただろうが、その「いつも通り」が9000人に求められたのは取りも直さず、フラワーカンパニーズが2015年の今、必要な音楽を鳴らしていることを証明していた。
フラワーカンパニーズ photo by HayachiN
ある種のお祭り感が溢れる観客のムードに対して、広いステージ上はちょっと広めの会場と変わらないステージセットと、大きな背景には小さすぎるバンド名のバックドロップ。左右に花道が伸びていることぐらいが武道館らしいセットだろうか。しかし暗転した際のファンの歓声というか絶叫は凄まじく、グレートマエカワ(Bs)は銀ラメ仕様のオーバーオールを着ている。鈴木圭介(Vo)は「フラワーカンパニーズです!武道館!行けるかー!」とのっけからテンションマックス。そして1曲目には最新作『夢のおかわり』から「消えぞこない」ときた。“消えぞこないでも立っている 死ぬこともできないで”という、紆余曲折と身も蓋もない彼ら自身の現実を受け入れた今を歌う曲だ。この時点で「ああ、フラカンは最新の自分たちから武道館ライブを始めるんだな。最高だな」と痛快な気持ちに。圭介はよく動くし、グレートもハイキックをかましながら何度もジャンプする。凄まじい身体能力。そういえば4人とも昔からあまり体型が変わってない気がする。4曲程度ずつシームレスにタイトな演奏を繰り広げ、MCになると一気にテンションが緩むのもいつもの光景だ。
「いつも通りとか言いながら、ジャケット着てるし」とグレートが圭介に突っ込むと、「いや、サイズ合うのがあったから」と言い訳。「いつも通りだったら23,000円のジャケットは買わんだろう!」と再び突っ込まれる、そんな具合に…。
フラワーカンパニーズ photo by HayachiN
photo by 柴田恵理
今となっては歌が染みるシンプルなロックンロール・バンドというイメージが強いフラカンだが、そのロックンロールの地層の厚さを感じる場面もしばしばで、竹安堅一(G)のギタリストとしての引き出しの多さを実感するシーンも多かった。例えば「脳内百景」でのガレージパンクばりのリフ、滅多にやらないという「夢の列車」でのアコギのスライドギターが作り出す、荒野を疾駆するようなスケール感は、圭介のブルースハープとの抜き差しも相まって、シンプルな4ピース・バンドながら大きな景色を描けるミュージシャンとしての実力も確実に見せつけた。
フラワーカンパニーズ photo by 柴田恵理
また、圭介がおっさんになった今と少年時代を一人二役で演じるような「この胸の中だけ」は、少年時代の自分自身にケツを叩かれるようなリアルな内容と圭介の熱演に思わず涙腺決壊。スタンスは違うけれど、大人だからこそ勇気を出せ、そんなメッセージにおいて鈴木圭介という人は忌野清志郎の血脈を継いでいるようにも感じた。そして中盤を過ぎた頃、イントロのギターフレーズにひときわ大きな歓声が上がった「深夜高速」。”生きててよかった、そんな夜はどこだ”——100%、前だけ向いてやってきたわけじゃない、やめ損なってここまできたとも言える。でも、生きててよかった、そんな夜が稀にあるからここにいるんだと思う。大方の人もそうだろう。描いた夢や目標通りに順調に生きてこれた人なんて恐らくいない。武道館という素晴らしい場所に立っても鈴木圭介という人は感極まってこの曲を歌っているようには見えなかった。むしろこの日も通過点。何度も何度も歌ってきたこの歌自体が逞しくなったんじゃないだろうか。
フラワーカンパニーズ photo by 柴田恵理
そして終盤に向かうほどしなやかで力強い演奏に変化していったのもさすがライブバンド。左右に伸びた花道に「チェスト」で駆け、ハンドクラップを巻き起こし、やめる勇気がないといいことあるよと言わんばかりの「終わらないツアー」でさらにヒートアップ、そして本編はくどいぐらいの“よさほいコール”で踊り続ける「真冬の盆踊り」という、決してかっこいいか?と言われるとかっこよくはないけれど、他のどんなバンドも成し得なかった“発明的”なロックで締めくくったのも、またフラワーカンパニーズらしいエンディングだった。
フラワーカンパニーズ photo by 柴田恵理
いつも通りと言えば、シュアなドラミングで屋台骨を支えたミスター小西(Dr)だけはいつも通りのツナギ姿。アンコールでは”人間クリスマスツリー”と化して登場したグレートのサービス精神とは対極だが、「これが正しい姿」と言い切る小西の言い分も納得。要はいつもの4人のままという。「こんなに一杯入るシミュレーションをしてなかったから」と、言わなくていいことを言ってしまう圭介しかり、”いつも通りのフラカン”で武道館ライブが成立することが、メンバーのキャラでも証明された。いや、普段と違うフラカンなんて誰も求めていないのだ(さすがにトリプルアンコールと「NUDE CORE ROCK’N ROLL」での金テープのキャノン砲は、特別だったけれど)。そしてグレートの「武道館は素晴らしいところだけど、今日良かったと思った人は、俺たちだけじゃなくて、ライブハウスに足を運んでください」というMCがバンドマンの本音と、フラワーカンパニーズの本質を表していた。その言葉通り、来年2月からは全国47都道府県ワンマンツアーに旅立つ彼ら。最新作、そしてそのツアータイトル「夢のおかわり」の如く、人間、死ぬまで生きるのだ。泣き笑いの3時間、こちらも負けてはいられない。
撮影=HayachiN、柴田恵理 文=石角友香
フラワーカンパニーズ photo by HayachiN
2015.12.19 日本武道館
01. 消えぞこない
02. 恋をしましょう
03. 星に見離された男
04. 永遠の田舎者
05. はぐれ者讃歌
06. 脳内百景
07. トラッシュ
08. ビューティフルドリーマー
09. 元少年の歌
10. この胸の中だけ
11. 夢の列車
12. 発熱の男
13. 吐きたくなるほど愛されたい
14. 深夜高速
15. 春色の道
16. チェスト
17. 俺たちハタチ族
18. 終わらないツアー
19. 真冬の盆踊り
<アンコール1>
20. 夜明け
21. ロックンロール
22. 孤高の英雄
<アンコール2>
23. 白眼充血絶叫楽団
24. NUDE CORE ROCK'N'ROLL
25. 三十三年寝太郎BOP
<アンコール3>
26. 東京タワー
27. サヨナラBABY
2月16日(火)大阪@梅田umeda AKASO
2月17日(水)大阪@梅田Shangri-La
2月20日(土)三重@松阪M’AXA
3月5日 (土)福島@福島OUT LINE
3月6日(日)宮城@石巻BLUE RESISTANCE
3月12日(土)神奈川@横浜BAYSIS
3月13日(日)神奈川@横浜BAYSIS
3月19日(土)長野@長野CLUB JUNK BOX
3月20日(日)石川@金沢AZ
3月25日(金)岡山@岡山ペパーランド
3月26日(土)広島@広島セカンド・クラッチ
4月2日(土)茨城@水戸LIGHT HOUSE
4月3日(日)山梨@甲府CONVICTION
4月13日(水)香川@高松DIME
4月16日(土)福岡@小倉FUSE
4月17日(日)佐賀@佐賀GEILS
4月22日(金)愛知@名古屋Electric Lady Land
4月24日(日)静岡@静岡Sunash
5月7日(土)北海道@函館club COCOA
5月8日(日)北海道@札幌PENNY LANE24
5月14日(土)鳥取@米子AZTiC laughs
5月15日(日)山口@周南LIVE rise SHUNAN
5月18日(水)兵庫@神戸VARIT.
5月20日(金)徳島@徳島club GRINDHOUSE
5月22日(日)高知@高知x-pt.
5月28日(土)山形@酒田Music Factory
5月29日(日)秋田@秋田SWINDLE
6月4日(土)栃木@宇都宮 HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
6月5日(日)群馬@高崎CLUB FLEEZ
6月18日(土)岐阜@岐阜CLUB ROOTS
6月22日(水)長崎@長崎Studio Do!
6月24日(金)福岡@福岡the Voodoo Lounge
6月26日(日)宮崎@宮崎SR-BOX
7月2日(土)東京@恵比寿LIQUID ROOM
7月3日(日)東京@恵比寿LIQUID ROOM
7月9日(土)沖縄@那覇桜坂セントラル
9月11日(日)大分@大分T.O.P.S Bitts hall
9月13日(火)奈良@奈良NEVERLAND
9月17日(土)富山@*某所
10月29日(土)福島@いわきSONIC
10月31日(月)宮城@仙台MACANA
11月3日(木・祝)岩手@盛岡CLUB CHANGE WAVE
11月5日(土)青森@青森Quarter
11月12日(土)福井@福井CHOP
11月13日(日)滋賀@大津U★STONE
11月16日(水)鹿児島@鹿児島SR HALL
11月18日(金)熊本@熊本Django
11月20日(日)島根@松江AZTiC canova
11月26日(土)埼玉@さいたま HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
11月27日(日)千葉@千葉LOOK
12月9日(金)新潟@新潟CLUB RIVERST
12月11日(日)愛媛@松山W-studuo RED
12月14日(水)京都@京都磔磔
12月15日(木)京都@京都磔磔
12月18日(日)和歌山@和歌山CLUB GATE
※全公演共通:前売¥3,800(tax in) ドリンク代別途必要
※一般
2/26~4/24公演分:2016年1月10日(日)10時~
4/2~6/26公演分:2016年2月27日(土)10時~
7/2~12/18公演分:後日発表
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詳細は各問い合わせイベンターサイト、またはフラワーカンパニーズ公式サイト