全力投球！　終わらない“青春の大冒険”　MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ～SUMMER 2022～ ゲネプロレポート

2022年7月16日（土）TACHIKAWA STAGE GARDENにて幕を開けたMANKAI STAGE『A3!』ACT2! ～SUMMER 2022～。“エーステ”のネクストステージ、「ACT2!」の2作目は6人目のメンバーを迎え入れた夏組の物語だ。“酷暑”も“戻り梅雨”も私たちをモヤモヤっとさせる日常のあれこれも全部吹き飛ばしてくれるようなポップで優しさに満ちた彼らの生き様は爽快。いつも笑顔を忘れないポジティブな夏組パワーを存分に浴びさせてくれたゲネプロの模様をプレイバックしよう！

 

一幕。地方公演真っ最中の夏組の本番を舞台裏からの視点で追いかける冒頭の演出は、まさに“LIVE”！　袖の中で小さなアクシデントを次々に解決しながら目まぐるしく出ハケを繰り返す5人。その言動から役者としての自信を身につけ舞台に立つことを楽しんでいる弾む心が伝わってくる。そんな彼らの様子がステージ左右に配された大きなモニターに映し出されるのも新鮮。そしてその映像を撮っているのは……秋組の兵頭十座の弟であり、MANKAIカンパニーに半ば無理やり入団を希望してきた高校生の兵頭九門。演じる新 正俊は時折キュッと語尾が裏返る話し方も印象的に、真っ直ぐで表裏のない少年らしさと「お兄さん大好き」なちょっと甘えん坊が同居する愛すべき九門として登場。劇団での稽古の日々を通じて長くとらわれてきた自身のトラウマを乗り越えるまでを熱演、夏組の新メンバーにふさわしい前向きなパワーを放出していた。

迎える夏組の5人はチームとしてこれまで重ねてきた公演の中で培ってきた “5人でいれば大丈夫”感も増量しつつ、個人としての見せ方もさらに骨太に。俳優を生涯の天職と定め着実に新たなトライを続ける皇 天馬（陳内 将）のプロ意識、憎まれ口は相変わらずだが仲間にはちゃんと本音で歩み寄る瑠璃川 幸（宮崎 湧）の芯の強さ、従兄弟である九門を見守り支える向坂 椋（野口 準）の達者な判断力と包容力、寮での暮らしと演劇の日々を心から楽しんでいる斑鳩三角（本田礼生）の素直な思考と充実感、将来への不安に揺れながらも仲間の思いに触れ大事なことを見つけていく三好一成（赤澤 燈）の“ホント”の気持ち。共に思いやり、触れ合い、芝居という共通言語で心を寄せ高め合っていく夏組のイノセントな人間関係は、本当にキラキラしている。冒頭ではなく「6人揃って夏組」となったところで初めて本作のメインテーマが歌われる構成も憎いっ！

二幕で上演される新生夏組第四回公演『初恋甲子園』は高校球児だった九門の過去にも迫るシリアスな主題ながら、“コメディの夏組”の特性を生かしたラブコメテイストの青春モノ。これまでのMANKAIカンパニー作品の中でもよりカラッとライトな表現に振り切ることで、主演を務めた九門のキャラクターが自然に伝わってくる新メンバーお披露目にぴったりな1作。テームワークありきのテンポ感の良い演目に仕上がった。

春組とはガラリと変わったセットも印象的だった。用意されていたのは大小サイズの違うボックス型の可動式セット複数。それを芝居の流れを壊すことなく俳優自身（＆時には黒子）が動かし、置き場所の違いで場面を転換。並べ方で上下の高さを強調したり、前面を開くことで中から三角の部屋が出現したり、稽古場の鏡になったり、倉庫になったり、また、一部を引き出すとソファにもなるなど、より演劇的な手法で舞台上が効率よく変化していくたびに「夏組らしいなぁ」と思えたのも不思議。おそらく、助け合いながら楽しそうにそして着実に丁寧にセットを動かしているそのこと自体が、寮の中で様々助け合っている彼らの日常に重なるようにも思え、微笑ましく映ったのだろう。劇中劇では一転、全てのボックスを取り払って舞台上一面球場空間となったのも、広々と気持ちがよかった。

ボケとツッコミの相性が案外良かった春組のシトロン（古谷大和）と秋組の七尾太一（赤澤遼太郎）のコンビも新鮮。普段は不器用な振る舞いの多い兵頭十座（中村太郎）が九門に見せる兄の顔は頼もしく、九門を思って歌う椋と2人のナンバーも優しく沁みた。劇団を切り盛りする松川伊助（田口 涼）はやっぱりいてくれると安心する存在。迫田ケン（田内季宇）も今回は銀泉会会長の息子・泉田 莇（吉高志音）にとって頼れる存在として登場。と、いうことで、いつの間にかMANKAIカンパニーに馴染んでいた莇の今後も気になるところだ。

“自分は何者なのか”を問い、やがて自覚をしながら夢に向かって歩みを進める若者の人生が交錯する場所がMANKAIカンパニー。同じ「ACT2!」でも前回の春組とは全く異なるカラーと新たなアプローチでの表現となった「～SUMMER 2022～」は、笑顔とユーモア精神を忘れず、あくまでもポップな青春ストーリーとしてそれを語っていた。そして、役者はとことん熱く、最後の一球まで全力で投げきるピッチャーのように溢れ出る思いを全部客席へと投げ込んでくれた。夏組公演、後味は爽快。まだまだ終わらない青春の大冒険が、ここに。

キャストコメント 

■皇 天馬 役：陳内 将
引き続き、皇 天馬を演じさせていただきます陳内 将です！
今年の夏は特別に暑いですね。観測史上最高の暑さを更新した地域もあるそうで。すみません、多分それ我々のせいです。
夏組が ACT2!に入り、新劇団員も加わり、なおかつ「SUMMER 2019」から約3年の時を経てストーリーが前に進む訳ですから！　それはもう、キャスト、スタッフ、監督、全員熱すぎるんです！
とはいえ、暑さにはしっかり気をつけつつ、劇場では存分に熱さを共有してください！また最高の夏の思い出を、共有できることを楽しみにしています。

■瑠璃川 幸 役：宮崎 湧
「SPRING & SUMMER 2018」公演から約4年の月日、濃い時間を共に積み上げてきたメンバーの中に新しい仲間が加わることが、稽古開始前までどんな夏組になっていくのか本当に未知数でした。しかし九門を演じる新 正俊の努力、根性、お芝居への誠実さ、そして夏の熱くてキラキラしたバイブスを持った彼の加入が、また一歩、新生夏組として違う色の輝き方を教えてくれた気が強くします。
劇中、夏組が乗り越えなければならない壁を、みんなで手を取り合い誠心誠意、自分の持ってる限界を超えられるよう日々溢れ出す想いで表現するので、一つでも多くのものをお客様に感じていただき明日への糧になるよう、そして何より劇場に来て笑顔になってもらえるよう努め、走り切ります！
応援の程、よろしくお願いします。

■向坂 椋 役：野口 準
いよいよ ACT2!。新しい夏がやってきますね。
本当に、ほんっとうに！またこうしてカントクさんに会えることが心から嬉しいです！
新生夏組、カントクさんと一緒に走り抜けられるように。
全力で頑張りますっ！！

■斑鳩三角 役：本田礼生
ついに夏組 ACT2!が始動します△
春組の公演を観に行って、とてもワクワクと元気をもらえたのを鮮明に覚えております△
フレッシュで、頼もしい新劇団員が加わった新たな夏組と、最高の夏を楽しみましょう△
さんかく△

■三好一成 役：赤澤 燈
「MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ～SUMMER 2022～」、まずはこの作品が開幕することを心から嬉しく思います。
今回の ACT2!は新劇団員の九門が登場するということもありとても楽しみにしていましたが、九門を演じる新 正俊くんはその名前の通り、夏組に新しい、そして心地よい夏の風を吹かせてくれています。
カントクちゃんに新しい夏組を、そしていつも通り騒がしく楽しい夏組を最後まで届けられるように、みんなで楽しみながら夏をエンジョイしちゃいます！

■兵頭九門 役：新 正俊
兵頭九門役を務めさせていただきます、新 正俊です。
本日、「MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ～SUMMER 2022～」が無事開幕となります。稽古が始まってから今日ま
で、夏組のみんなとたくさん乗り越えてきました。とても素晴らしいキャストの皆さん、スタッフさんと一緒に最後
まで怪我なく頑張っていきたいと思っています！
カントク、新しい夏組を楽しみにしていてください！！

取材・文＝横澤由香