Benlou 新しい音楽の息吹は確実に聴こえている、仙田和輝と山本幹宗による新ユニットがデビュー

2022.8.8
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Benlou

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Benlou(ベンルー)というバンド名を聞いてすぐにピンとくる人はまだ少ないかもしれないが、ボーカルが「アオノオトシゴ」の仙田和輝で、ギターが山本幹宗と聞けば「おっ?」と反応する人が一気に増えるはずだ。「アオノオトシゴ」はバンドオーディション『RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 20/21』で優勝を果たした若き逸材で、仙田はボーカル&ソングライターとしてバンドの中心にいた。山本幹宗はかつてThe Cigavettesのメンバーとして活躍し、その後はくるり、BOOM BOOM SATELLITES、銀杏BOYZ、never young beach などのサポートギタリストとして、引っ張りだこの男だ。数多のプロデュース業もこなし、昨年には俳優の永嶋柊吾をボーカルに据えたバンド、sunsiteを結成したことも記憶に新しい。2010年以降のバンドシーンにおいて、知る人ぞ知る才人のひとりだ。

その二人が手を組み、新たに始動させたユニットがBenlouだ。7月20日にその存在がアナウンスされ、同時にSNSやYouTubeでプロフィールが解禁となり、初リリースに向けてティザー映像も公開された。そして8月3日、Benlouのデビューシングルとしてデジタルリリースされたのが「Ripple Mark」だ。結成の報告からわずか2週間、用意周到かつ電光石火、いやがうえにも期待高まるデビュー劇だ。

楽曲のクレジットを見よう。「Ripple Mark」の作詞作曲は仙田と山本の共作で、アレンジは山本。バックを固めるバンドには、ベースに佐藤征史(くるり)、ドラムスに屋敷豪太、キーボードに西野恵未と強力なメンバーが名を連ねる。ミックスはCharlie Holmes。おそらく山本が招集をかけたのだろう、名前を見ただけでサウンドのクオリティの高さが約束される。聴こえてくるのは心地よくしなやかなグルーヴを刻むドラムスとベースと、硬質なエレピのサウンドと、そして控えめなカッティングでバランスを取るセンシティブなギター。いわゆるシティポップ感を漂わせる、洗練されたグルーヴィーなサウンドが耳に優しい。


ボーカルの仙田の声には、ちょっと不思議な個性がある。朗々というよりは訥々と、技巧というよりは等身大の、飾らない歌い方と少年めいた甘く透明感ある声質で、メロディをなぞるように丁寧に歌う。歌詞はとても甘酸っぱくノスタルジックで青春的で、この夢のような夏の日の恋が永遠に続くようにと願う、海と夏と風と波と君とが目に浮かぶような叙情的な言葉が胸キュンを誘う。「Ripple Mark」(リップル・マーク)とは波や風が砂や土の上に残す紋様のことで、引き潮の砂浜に残った美しい波模様を思い浮かべてもらえばいいかもしれない。はかなく消えてしまいそうで、しかしいつまでもそこにあるような、豊かなイマジネーションを喚起するメタファーだ。そして、夜の海辺を描いた印象的なジャケットデザインは、上野恒星(ex.Yogee New Waves)の手になるもの。山本幹宗とは盟友と呼んでもいい間柄の彼が、楽曲にぴったりのロマンチックなデザインを提供している。

 

現在、手元にあるのはまだ「Ripple Mark」1曲のみ。だがキャリアを重ねた山本と若い仙田との組み合わせは予想以上に対等で、互いに優れたソングライターである側面を尊重し合い、溶け合わせているように感じる。洋楽ロック出身の山本と、邦ロック新世代の仙田のユニットが、これからどんなふうに活動して、どんな音楽を生み出していくのか、興味は尽きない。Benlouという名前をいま覚えておいて決して損はしない。新しい音楽の息吹は確実に聴こえている。深呼吸をして耳を澄まそう。


文=宮本英夫

 

リリース情報

デジタルシングル「Ripple Mark」
2022年8月3日(水)配信
https://benlou.lnk.to/ripplemark

iTunes Store ほか主要配信サイト、音楽ストリーミングサービスにて配信
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、LINE MUSIC、Amazon Music Unlimited、AWA、KKBOX、Rakuten Music、TOWER RECORDS MUSIC、Spotify、YouTube Music
 
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