「実物を見ないと感じられない“美”がありました」 LE VELVETS・佐賀龍彦がNHK Eテレ「アートシーン」に登場の特別展『綺羅(きら)めく京の明治美術』見どころを語る

インタビュー
アート
2022.8.27

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京都市京セラ美術館で開催されている特別展『綺羅(きら)めく京の明治美術 ―世界が驚いた帝室技芸員の神業』が、前期展示を終え、2022年8月23日(火)より後期展示がスタートした(~9月19日(土・祝)まで)。展示会の音声ガイドを担当するのは、ヴォーカル・グループLE VELVETSの佐賀龍彦。7月~8月にかけてBSフジにて4週連続放送された特別番組『世界が驚いた!明治の日本美術』の番組ナレーションも務めた。

そんな佐賀が、このたび京都に赴き実際に本特別展を訪れた。展示会で登場する19名の帝室技芸員たちは、佐賀の出身校である京都市立芸術大学の創設に尽力した人や先輩たちも多い。「こんな素晴らしい作品をつくられる人たちが自分の先輩たちだなんて、あらためて凄いことだなあと思いました」と感嘆する佐賀。ジャンルは異なるとはいえ、こうした所縁ある帝室技芸員たちへの思いも含め、展示の感想や見どころを聞いた。

――実際に展示をご覧になっていかがでしたか?

今回は、日本画家にとどまらず、陶磁器や七宝や織物などの工芸の作家たちの作品を実際に目の当たりに出来るのが、楽しみでしたが、テレビの画面で見るのとは大違いで繊細なディテールや、意外と大きいと思っていたものが小さかったりと足を運んだ甲斐がありました。

――佐賀さんは、京都市立芸術大学をご卒業されていらっしゃいますから、ここに登場する帝室技芸員たちが、佐賀さんの学校の設立に関わられたり、佐賀さんの先輩だったりするわけですが、そのあたりあらためてどう感じられましたか?

こんな素晴らしい作品をつくられる人たちが自分の先輩たちだなんて、あらためて凄いことだなあと思いました。音楽をやるときの苦労も、絵画や工芸を仕上げていくときの苦労も似たようなことがあって、気の遠くなるようなひとつひとつの作業の積み重ねで、アートが出来上がっていくということを実感できましたねえ。

重要文化財 初代 宮川香山 褐釉蟹貼付台付鉢 明治14年 東京国立博物館(TNM Image Archives)

重要文化財 初代 宮川香山 褐釉蟹貼付台付鉢 明治14年 東京国立博物館(TNM Image Archives)

――陶磁器や七宝、刀剣装具や織物など様々な工芸美術が、気になるとおっしゃっていましたが、実際に行かれていかがでしたか?

気になっていた、初代宮川香山さんの蟹の高浮彫の深鉢、近代陶芸初の重要文化財に指定されたあの作品は生で見ると迫力がありましたし、普段は絵画を中心に楽しむのですが、今回の展覧会は、どちらかというと工芸の作品に魅せられましたね。

――以前からご覧になっていたという並河靖之の七宝はいかがでしたか?

思った以上に並河靖之さんの作品はたくさん展示されていて、どの作品も事前に画像で見たときの印象からすると、本当に小さくて繊細なものばかりで驚きましたね。明るい青い釉薬が美しい、香合も、番組の映像で見たときはもう少し大きい印象だったのですが、こんな極小サイズであんなに込み入った絵柄を有線七宝で制作していたのには舌を巻きました。

並河靖之《蝶に花図香合》宝満堂

並河靖之《蝶に花図香合》宝満堂

――ほかにも何か気になった作品はありましたか?

三代清風與平さんの器はどれも美しかったですが、これもまた映像や写真ではなかなか伝えきれないなと感じましたね。旭彩の繊細な桃色のグラデーションは実物を見ないと感じられない「美」がありますよね。人間の目の力ってすごいなあと思いました。デジタル技術の進歩で4Kや8Kで撮影しても、人間の目のレンズで感じる美を伝えることってまだまだ難しいんだなあと。

――特別番組のナレーションを担当されて、あらためて興味をもったとおっしゃっていた、伊藤若冲の「動植綵絵」をもとに二代川島甚兵衛が制作した織物はどうでしたか?

織物もすごかったですが、他の作品も大きくて迫力がありましたし、皇室のために制作された椅子はさすがの風格がありましたね。

初代清風與平《太白磁桜花文花瓶》京都市美術館

初代清風與平《太白磁桜花文花瓶》京都市美術館

――NHK教育の『アートシーン』で、8月28日(日)と9月4日(日)(再放送)に佐賀さんがご覧になった並河作品なども紹介されるそうです。

そうですか。僕のセンスも悪くないってことですかね(笑)。僕もチェックしないとですね。僕がナレーションを担当したBSフジ『世界が驚いた!明治の日本美術』も、京都新聞さんの公式YouTubeチャンネルで見ることができますから、見逃された方、『アートシーン』を見て気になった方は、是非そちらも見ていただきたいです。

公演情報

特別展『綺羅(きら)めく京の明治美術―世界が驚いた帝室技芸員の神業』

会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊 1 階
開館時間:10:00〜18:00(最終⼊場は 17:30)
休館⽇:⽉曜⽇(祝⽇の場合は開館)
 
会期:2022年7⽉23⽇(⼟)〜9⽉19⽇(⽉・祝)
前期:7⽉23⽇(⼟)〜8⽉21⽇(⽇)終了
後期:8⽉23⽇(⽕)〜9⽉19⽇(⽉・祝)
※会期中、展示替えあり

料⾦:⼀般:1,800(1,600)円 ⼤学・⾼校⽣:1,300(1,100)円 中学⽣以下無料
※( )内は前売、20 名以上の団体料⾦
※京都市内に在住・通学の⾼校⽣は無料
※障害者⼿帳等をご提⽰の⽅は本⼈及び介護者 1 名無料(学⽣証、障害者⼿帳等確認できるものをご持参ください)
 
主催:京都市、ライブエグザム、BS フジ、京都新聞、⽇本経済新聞社

【関連番組】
■NHK日曜美術館『アートシーン』
放送:2022年8月28日(日)9:45~10:00
再放送:翌週9月4日(日)20:45~21:00
 
■BSフジ『世界が驚いた!明治の日本美術』
8月25日(木)深夜25時~から毎週木曜日深夜に再放送がスタート
※第2回「二代 川島甚兵衛」(9月1日)・第3回「並河靖之」(9月8日)・第4回「初代宮川香山」(9月15日)
ナレーション:佐賀龍彦
テーマ音楽:角野隼斗
 
京都新聞TV・京都新聞の公式YouTubeチャンネルで、見逃された方はご覧になれます。

関連情報

▼佐賀龍彦プロフィール
佐賀龍彦(LE VELVETS・テノール担当)
グループ名は柔らかく上質で滑らかな生地「Velvet(ヴェルヴェット)」に由来し、メンバー全員が身長180㎝以上、音楽大学声楽科出身テノールとバリトンで構成されるヴォーカル・グループ。クラシックをベースにロックやポップス、ジャズ、日本の民謡に至るまで様々なジャンルの歌を自在に表現、独自の世界を創り上げている。これまでにクラシカルクロスオーバー三部作アルバム、世界のミュージカルの名曲を集めた1枚を経て、コロナ禍には「pray(祈り)」と一人一人が大切な楽曲を集めた「play list」の2つの意味を持つ「PRAYLIST」をリリース。秋には全国5公演コンサートが決定!来年は結成15周年を迎える。
 
☆コンサートツアー2022「Eternal」
10月23日(日)大阪:森ノ宮ピロティホール・11月20日(日)東京:Bunkamuraオーチャードホールほか
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