妻夫木聡、窪田正孝らがヴェネチア国際映画祭1,000人5分間におよぶスタンディングオベーションに喜び 映画『ある男』プレミア上映で
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左から、妻夫木聡、窪田正孝 (c)Kazuko Wakayama
9月1日、イタリアで開催中の『第79回ヴェネチア国際映画祭』にて、オリゾンティ・コンペティション部門に出品された映画『ある男』が上映された。現地では、キャストの妻夫木聡、窪田正孝、メガホンをとった石川慶監督が登壇した。
『ある男』は、第70回読売文学賞を受賞し、累計21万部を超える平野啓一郎のベストセラー小説『ある男』を映画化したもの。主人公・城戸役を妻夫木聡が演じるほか、安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、眞島秀和、小籔千豊、仲野太賀、真木よう子、柄本明らが競演。『蜜蜂と遠雷』 の石川慶監督がメガホンをとっている。
弁護士の城戸(妻夫木)は、かつての依頼者である里枝(安藤)から、里枝の亡くなった夫「大祐」(窪田)の身元調査という奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経て、子供を連れて故郷に戻り、やがて出会う「大祐」と再婚。そして新たに生まれた子供と4人で幸せな家庭を築いていたが、ある日「大祐」が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一が法要に訪れ、遺影を見ると「これ、大祐じゃないです」と衝撃の事実を告げる。愛したはずの夫「大祐」は、名前もわからないまったくの別人だったのだ。「ある男」の正体を追い“真実”に近づくにつれて、いつしか城戸の中に別人として生きた男への複雑な思いが生まれていく。
(c)Kazuko Wakayama
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Sala DARSENA(ヴェネチア・リド島内)を会場に行われたプレミア上映には、世界に先駆けて上映される本編を観るために1,000名の観客が駆けつけ、満席に。上映終了後のスタンディングオベーションは5分におよび、場内は熱気に包まれた。妻夫木、窪田、石川監督の3名は観客とともに本編を鑑賞。この日を待ち望んでいたという妻夫木は、「今日はありがとうございます。ここに来られて本当に嬉しいです」と英語で挨拶し、場内を沸かせる。さらに、脚本を読んだ感想について、「自分とは何者かと問い続けながら、役と向き合いました。弁護士という役どころなので、もちろんそういう勉強もしたのですが、今回は特に子供との時間を大事にしました。子供の存在を通して、自分の生きている意味や仕事について鏡のように考えることができました。皆さんにとってこの映画が少しでも人生の道しるべになってくれたら嬉しく思います」と語った。
(c)Kazuko Wakayama
ついで、窪田は、「本日はありがとうございました。観てくださる方の余白がなくならないように、情報を与えすぎないように演じました。自分の人生は自分だけのものですし、悔いのない人生を送ることができるように、背中を押してくれる作品だと思います」と述懐。
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最後に『愚行録』に続いて、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門2度目の登壇となった石川監督は、「“アイデンティティ”をなぜ今回のテーマにしようと思ったのか」を問われると、「映画を作る時には、個々のアイデンディティをテーマにすることが多いのですが、一人の人間の良い部分も悪い部分も過去も、全部ひっくるめて愛せるのか、憎めるのかということを一度きちんと描いてみたいと思ったのがきっかけです」と明かした。
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公式行事終了後、妻夫木は「映画と人が近いことに、映画への愛を感じた」と映画祭に参加した感想についてコメント。窪田も石川監督も、観客の反応に手ごたえを感じていた。
『ある男』は11月18日(金)全国ロードショー。