LiSA ロックシンガーとしての覚醒を見せた2015年、その集大成
LiSA
2015.12.23 LiVE is Smile Always~メガスピーカー~ 幕張メッセ国際展示場
日本武道館2daysライブ(1月)、3rdフルアルバム『Launcher』のリリース(3月)、全国ライブハウスツアー(4月~6月)、そして大型ロックフェスへの出演など、活動のフィールドを大きく広げた2015年のLiSA。その締めくくりであり、これまででもっとも大きな規模となる幕張メッセ国際展示場公演『LiVE is Smile Always~メガスピーカー~』が2015年12月23日(水・祝)に開催された。このライブについて「今年1年はフェスやイベントなどで、認めてもらった気がしていて。だからこそ幕張のライブでは、自分の好きなものを“どう? かっこいいでしょ!”と大きな声で言いたいんです」とコメントしていた彼女。その言葉通りLiSAは、自らが好きな音楽をあらゆる角度から爆音で放ちまくる、圧巻のステージを繰り広げた。
カラフルなレーザー、派手なライティング、ヘヴィロックとダンスビートが融合したSEによって、いきなりオーディエンスのテンションは最高潮。ステージの上部に“メガスピーカー”を持ったLiSAが登場すると、巨大な会場に凄まじい歓声が巻き起こる。スピーカーのオブジェを配したステージから放たれた最初の曲は、初の配信シングルの表題曲「ID」。爆音のラウドサウンドとともにシャープかつエッジ―なボーカルが鳴り響き、とんでもない量の興奮が押し寄せてくる。スクリーンにはリリックが映し出され、「今 いる場所が 例え 間違いでも/未来なんかに この時を預けないGet ID」というフレーズ――LiSAの生き方の本質を貫くような――にいきなり心を揺さぶられる。
スクリーンに“メガクマ”(幕張ライブのキャラクター)と少女を主人公にしたアニメーションが映され、「大事なこと、好きなことは大きな声で伝えればいい」というメッセージが伝えられた後、ポップアップでメインにステージに現れたLiSAは「rapid life シンドローム」「crossing field」を続けざまに披露。ラウドかつポップなロックチューンを全身で表現し、観客のテンションをグイグイ引き上げる彼女のステージングは“現在、最強のロックシンガー”と呼びたくなるほどの充実ぶり。幕張メッセ国際展示場は(ソロライブとしては)これまででもっとも大きな会場だが、この巨大なフロアを彼女は完全に掌握していた。
LiSA
「ようこそ、『LiVE is Smile Always~メガスピーカー~』へ。おまたせ。LiSAです! すごい! (ピンク色のペンライトで染まる会場を見て)後ろのほうまで“まっピンク”だね。大事なクリスマス・イブイブに幕張に集まってくれて、本当にありがとう」
「今日はここにいるみんなと、大好きな音楽を楽しみたいと思います。いちばん後ろの87列の48番の人! そして、87列の1番の人。私、そこに座ってみました。どこにいても楽しめる作戦を練ってきたから、期待しかしないで!」
ワクワク感をさらに膨らませるようなMC、「飛ばしていくよ!」というシャウトとともに「妄想コントローラー」へ。LiSAがアリーナのど真ん中に設置された花道に進むと、会場全体から絶叫に近い歓声が上がる。観客と積極的にコミュニケーションを取りながらダイナミックなメロディを高らかに響かせるLiSA自身からも、この記念碑的なライブを全身で楽しんでいることが伝わってくる。さらに「踊る準備はいいですか?!」という声とともに披露された「say my nameの片想い」では大きなメインステージを端から端までダッシュし、「アコガレ望遠鏡」では双眼鏡を片手にスカートをヒラヒラさせながらダンス。ものすごい運動量だが、ボーカルが乱れることは一切ない。そのバツグンの歌唱力をじっくり体感できたのが、LiSAのピアニカ演奏から始まった「ギフトギフト」。切なく、ロマンティックな雰囲気が広がるバラードを、彼女は凛としたファルセットを交えたボーカリゼーションによって生々しく表現していく。スクリーンに映された雪、フロアを照らすブルーとホワイトのペンライトも本当に美しい。
ここからはセクシーかつワイルドなロックシンガーとしての魅力をアピール。まずはLiSAがギターを弾きながらパフォーマンスした「リスキー」。小南泰葉とのコラボレーションによるこの曲からは、彼女が持っている“女”の部分がダイレクトに突き刺さってくる。巻き舌気味のボーカルも迫力十分だ。続く「DOCTOR」では、ステージ上のお立ち台に寝そべり、“すごく痛いの だんだん乱れてく”というフレーズをセクシャルなニュアンスを込めながら描き出す。ガイコツと絡み合うシーンのエロティシズムも強いインパクトを放っていた。
LiSA
“ロックアーティスト・LiSA”の魅力がもっとも強く発揮されたのは、MAH(SiM)の作曲による「L.Miranic」、YOOKEY(THE MUSMUS)とのコラボレーションによる「Empty MERMAiD」だった。MAH、YOOKEYはいずれも、LiSAのバンド時代から交流のあるミュージシャン。彼らが生み出す重厚でダイナミックなナンバーを自らのボーカルスタイルにしっかりと結びつけ、LiSA独自のロックミュージックとして体現する。この2曲のパフォーマンスには、自分の好きな音楽を守り、それをメジャーのフィールドで表現してきた彼女のスタンスが強く反映されていたと思う。
ここで再び映像コーナーへ。メガクマとLiSAのキャラクターがマーメイドを下敷きにしたトークを展開(「あの人、自分を助けたのはそばにいた女だと勘違いしてるのよ!」「男なんてそんなもんだよ」みたいな)、最後はメガクマが観客に向かって「大きな声でLiSAを呼んで」と呼びかけ、“リ~サ~!”というコールが巻き起こるとフリフリ&カラフルな衣装に身を包んだLiSAが2人の女性ダンサーとともに登場。ポップに振り切ったダンスナンバー「Rally Go Round」をキュートに歌いながら、3台のトロッコに乗ってアリーナの後方へ移動。LiSAの満面の笑顔に導かれ、アリーナ中央、後方のオーディエンスもさらに熱狂度を上げていく。
アリーナの真ん中まで移動したLiSAは「すごいところまで来ちゃった! 超近くない?!」と楽しそうに叫び、「せっかくここまで来たから、みんなと一緒に踊りたいんだけど。いい?」という声に導かれた「エレクトリリカル」へ。お揃いの振り付け、“アソアソボウ ムチャシチャオウジャン!”というコールによって、会場全体の一体感が瞬く間に上がっていく。続く「WiLD CANDY」では“L・i・S・A!”のコール&レスポンスを行いながらメインステージに向かって移動。トロッコの上でも一瞬も動きを止めず、観客を指さし、視線を交わし続ける。カラフルかつダイナミックなエンターテインメント性もまた、彼女の大きな魅力。根底にあるのはもちろん、“この場所に来てくれた人たちを徹底的に楽しませたい”という強いモチベーションだ。
LiSA
ここからライブはクライマックスに向かって進み始める。ステージの上で衣装を脱ぎ、セクシーな黒のコスチューム姿になったLiSAはふたたびロックモードへ突入。刺激的なスピード感に満ちた「Bad Sweet Trap」を放ち、花道で熱狂的なステージングを繰り広げる。幕張メッセのなかにライブハウスのような熱気、一体感を生み出すパワーはやはり圧倒的。ここまでほぼノンストップで楽曲を続けているが、声のテンションはさらに上がっているように感じる。言い古された表現で申し訳ないが「その細い身体にどこに、そんなパワーが?!」と心底驚いてしまう。エンディングの“にゃお”のポーズもメチャクチャかわいい。
「EGOiSTiC SHOOTER」では花道のなかに設置されたリフトが上昇、7mの高さで起伏に富んだメロディを高らかに響かせる。赤いレーザーライトに照らされながら、驚異的なハイトーン・シャウトを放ちまくる姿はまさにロックスター。LiSAの雄姿を見上げる観客も「I'm egoistic shooter」というラインを叫び、力の限り声援を送っている。さらにブルーのライティングのなかで「幕張のみなさん、まだまだ遊べる力はありますか?!」と煽り、まさにジェットコースターのようなスピード感に満ちた「コズミックジェットコースター」、強靭なビートとヘビィなサウンドが押し寄せる「ROCK-mode」をぶちかましたLiSAは最後の力を振り絞るようにパフォーマンスを続ける。その興奮が頂点に達したのは、現時点における最大のアンセム「Rising Hope」。イントロが始まった瞬間にすべての音が聴こえなくなるほど歓声が生まれ、そのままスリリングなメロディへとなだれ込む。LiSAのボーカル、ステージングもまさに全身全霊。切れ味と迫力を増していくパフォーマンスを目の当たりにして、ゾクゾクするような興奮が沸き起こる。
LiSA
ここでLiSAは改めてオーディエンスに向かって語り掛けた。日本武道館から始まった2015年がすごく楽しかったこと。いろいろな場所で歌わせてもらうチャンスをもらって、それがみなさんの力になれるなら、がんばりたいと思っていたこと。その集大成を幕張で見せることができてすごく感謝していること――。特に「ここにいられるのは、自分が好きな音楽を好きでいてくれる人、信じていてくれる人がいるからです」という言葉には、彼女自身のモチベーションに直結する強い思いが確かに込められていた。
「ここにいるすべての人に、感謝をこめて」という言葉に導かれた「シルシ」は、この日のライブの大きなハイライトだった。アカペラで“伝えたい想いは どれだけ届いたんだろう”という切実なフレーズを響かせるLiSA。“キミと生きた今日“を心に刻みながら生きていきたいという思いをダイナミックに映し出すこのバラードは、まさに彼女の存在そのものだ。
本編ラストは圧倒的な開放感に満ちた「Mr.Launcher」。「自分の好きなものくらい、自分で守りなさいよ!」と叫び、心地よい疾走感に貫かれたメロディを歌いまくるLiSA。その笑顔からは、すべてを出し切った達成感で満たされていた。
アンコールでも最強のエンターテインメント性を発揮。まずはサンタクロースのファッションで登場し(女性ダンサーふたりはトナカイ)、再びトロッコに乗りながら極上のポップチューン「BRiGHT FLiGHT」を披露。「メリクリ~!」と観客に向かってプレゼントを投げ込むLiSAも本気で楽しそうだ。MCでは2016年の“5th ANNiVERSARY!!”を宣言。「“いま”を楽しんでください、OK? そして、私たちにしか作れない未来をいっしょに作ろうね!」というコメントとともにラストの「ジェットロケット」へ。幕張メッセが祝祭のムードで包まれるなか、この記念すべきライブは幕を閉じた。
2016年4月20日(水)に2ndミニアルバム「LUCKY Hi FiVE!」(新曲書下ろしによる全7曲を収録)をリリース、さらに4/20(水)・21(木)の東京・NHKホール2days公演を皮切りに全国ホール&Zeppツアー『LiVE is Smile Always~Hi! FiVE~』の開催も決定。5年目の集大成とも言える幕張ライブを大成功に導いたLiSAはアニバーサリーイヤーとなる2016年、さらに大きく飛躍することになるだろう。
文=森朋之
LiSA
LiVE is Smile Always~メガスピーカー~
2015.12.23 幕張メッセ国際展示場
M-1 ID
M-2 rapid life シンドローム
M-3 crossing field
M-4 妄想コントローラー
M-5 say my nameの片想い
M-6 アコガレ望遠鏡
M-7 ギフトギフト
M-8 リスキー
M-9 DOCTOR
M-10 L.Miranic
M-11 Empty MERMAiD
M-12 Rally Go Round
M-13 エレクトリリカル
M-14 WiLD CANDY
M-15 Bad Sweet Trap
M-16 EGOiSTiC SHOOTER
M-17 コズミックジェットコースター
M-18 ROCK-mode
M-19 Rising Hope
M-20 シルシ
M-21 Mr.Launcher
[ENCORE]
M-22 BRiGHT FLiGHT
M-23 ジェットロケット
4/20(水)~21(木) NHKホール
5/1(日) 神奈川県民ホール
5/7(土) 大阪オリックス劇場
5/8(日) 名古屋センチュリーホール
6/4(土) 福岡市民会館
6/10(金)~11(土) ZeppTokyo
6/19(日) 金沢市文化ホール
6/25(土) 仙台市民会館
7/9(土) 広島上野学園ホール
7/10(日) 三木町文化交流プラザ(四国・高松)
7/16(土) 新潟テルサ
7/23(土) Zepp Nagoya
7/24(日) Zepp Namba
7/30(土) Zepp Sapporo