春奈るなという“個性”は10年経ってもまばゆく輝く「HARUNA LUNA 10th Anniversary Live Tour "MOON CIRCUS"」東京公演レポート

2022.10.15
レポート
アニメ/ゲーム

撮影:佐藤祐介

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「HARUNA LUNA 10th Anniversary Live Tour "MOON CIRCUS"」の東京公演が10月9日(日)に池袋harevutaiにて開催された。彼女のデビュー10周年を記念し、10月1日(土)の大阪公演を皮切りに、名古屋・東京と駆け抜けてきた東名阪ツアーのファイナルの様子をお届けしよう。所属事務所を離れ、フリーに転身するなど色々と変化の年にもなった10周年という節目。また10月11日の誕生日を目前に控えたタイミングということもあり、サプライズあり、ちょっぴり涙もありの、なんともアットホームで温かい時間を過ごすことが出来た。

この日の池袋は直前に雨が降り出していたが、それをもろともしないファンの熱気が会場前を包んでいた。ソールドアウトの場内は満員御礼、ペンライトを光らせながら開演の時を待っていると、彼女が姿を現す。

「行くよ!ツアーファイナルー!」と威勢の良い声で披露したのはプレデビューの曲「微熱の月」。春奈るなの物語はこの曲から始まった。10周年ライブの1曲目としてはピッタリだろう。続けて「飛べーるな充〜!」と「PEACE!!!」を披露。るな充(ファンの総称)ひとりひとりの顔を覗き込むように指差してフロアを見渡す。

撮影:佐藤祐介

「ついに10thファイナル池袋やって来ました〜!」と軽く挨拶を交わす。「悔いのないように、全身全霊で楽しんでって!」と「ステラブリーズ」を披露。合いの手の息もピッタリで、ファンの熱気がすごい。「KIRAMEKI☆ライフライン」、「Ripple Effect」と続く。ここでharevutai自慢の巨大LEDモニターを全面に使った海の映像も流れる。そして「君がくれた世界」まで4曲続けて披露。アウトロでフロアを見渡し、想いを伝えるように、確かめるようにアイコンタクトしていく。後のMCで「今日は会話するようにライブ出来ました。」と語っていたが、本当にそのように会場の隅々までしっかりと目を配っていた。

続くMCでは「いや〜、10周年ツアーの千秋楽、身が引き締まる想いでノドもからっから。みんなは大丈夫?水分補給もしてね、座って休んでください」とフロアを気遣う。ここで改めてツアーを振り返っていく。実は名古屋でワンマンをするのは初だったそうだが「色々とカオスで楽しかった!」とのこと。そして「全国ツアーもしたいよね!全部で48都道府県だっけ?」と勘違いから1県増えてしまった”48都道府県”ツアーの野望も飛び出す(笑)。また「るな氏、池袋でライブやりすぎじゃない?前回の会場行きそうになっちゃったけど、今回の会場もいいよね。隣にアニメイトあるし、ライブ前に吸い寄せられました(笑)」と抗えないオタクの性を感じる。

撮影:佐藤祐介

続いてメジャーデビュー曲「空は高く風は歌う」「Windia」とエモめな選曲で続く。さらにこれからの季節にピッタリな「snowdrop」では、モニターに雪が降りしきると、合わせて会場も白いペンライトの光で埋まる。続く『劇場版冴えない彼女の育てかた Fine』主題歌の「glory days」の良さを改めて感じる。”ダイアリー”や”シグナル”など過去の主題歌を彷彿とさせる歌詞もありつつ、壮大にまとめ上げる。10thの振り返りとしてもピッタリではないか。そして「Startear」で力強くアニメタイアップのターンをまとめる。
 

撮影:佐藤祐介

改めて「曲の重みを感じますね」と様々なアニメを彩ってきた楽曲たちを振り返りつつ、ここで衣装紹介。黒を基調に青い蝶と薔薇をモチーフに取り入れたTriple*fortuneのドレス。ブルーローズが縫い付けられたパニエは動きが加わると本当に可愛い。やや高めのステージから「見て見て!」と見せてくれるから、我々もついつい首を伸ばして覗いてしまう(笑)。またライブコンセプトも青薔薇がモチーフになっていることを語る。彼女の最新楽曲「BLUE ROSE」はスマートフォン向けRPG『メメントモリ』のキャラクター、コルディのラメント(キャラクター別主題歌)となっており、彼女が元サーカス団員のガンマンという設定から衣装に弾丸のガーターベルトを取り入れたり、るな(月)とサーカスを掛け合わせてツアータイトルを「MOON CIRCUS」とした。想い入れもたっぷりのツアータイトルも「ドトールで思いついた割にエモい(笑)」と笑い混じりに語ってくれた。

そんなMC中に青くペンライトを光らせる察しのいいるな充もチラホラと居たが、当然次の曲は「BLUE ROSE」。異国情緒あふれる幻想的な3拍子のケルト音楽風な楽曲だ。続く「S×W -soul world-」ではファンタジーな雰囲気から一変、バンドの演奏にも熱が入る。また原曲はKOTOKOとのデュエット曲となっており、ソロverでの披露は初であったことも付け加えておこう。

撮影:佐藤祐介

そしてヘビィロックな「JUSTICE」、「回転木馬」では転じてゴシックメタルに。ドラマチックな曲の展開に合わせて、背景には洋館の映像も流れ、世界観へと没入できた。ライブも終盤に差し掛かり、勢いを止めることなく「TRUE STORY」では「るな充〜!」の呼びかけに全力のジャンプで応える。「まだまだ行くよ〜!」と続ける「アイヲウタエ」も、やはり合いの手やジャンプのポイントは完璧で、この日を通じてステージと客席が1番通じ合ってる感じがあった。「ラスト行くよ〜!」と最後の「君色シグナル」まで、怒涛のラストスパートを無事に駆け抜け、その熱が冷めやらぬうちにステージを後にした。

撮影:佐藤祐介

撮影:佐藤祐介

アンコールを求める拍手に応じて、ツアーTシャツにお色直しをした彼女が登場すると、「今日は皆さんと会話をするようにライブが出来ました」とライブを振り返る。最後に再びバンドメンバーをひとりずつ呼び込みつつ、メンバー紹介へ。ドラムの”べーちゃん”こと田辺貴広。キーボードの”くわっち”こと桑原康輔。ベースのokamu.、ギターの森空青、マニピュレーターのタルタノリキ、そして最後にギター/バンマスのSakuが、メンバーの演奏と青薔薇のブーケと共に登場。2日後の10/11に31歳の誕生日を迎える彼女と10thのお祝いのサプライズ演出があった。またメンバーも「テンション上がっちゃって前に出ちゃった」とリハではやらなかったステージングを明かしたり、レコーディングだったり、作編曲など、それぞれが春奈るなとの関わりを振り返り、会話に花を咲かせる。「世に出ることの無かった曲もいっぱいあるよね」「確かに!じゃあ今度は、ボツ曲を集めてボツコンピを出して、ボツ曲ライブをやりましょうよ!(笑)」と夢は膨らむ。

撮影:佐藤祐介

撮影:佐藤祐介

「いつまでも話せちゃうんですけど、そろそろ曲に行きましょうかね。次の曲は今回のグッズの”るな充扇子”を使います!」と「桃色タイフーン」へ。ギターの2人が前に出てユニゾンを気持ちよさそうに弾く姿が印象に残っている。曲中のセリフで「やっぱりるな充が好きだー!」と叫び、最後の「Overfly」では「高く、高く」という歌詞に合わせて天高く伸びるペンライトたち、そしてラスサビ前のお決まりのタイミングは全員でジャンプ。誰1人として飛んでない人が居なかったのが本当にビックリしたし、それくらいに本当に熱意の高いファンが集まった濃密な空間だった。途中、少し目を潤ませながらも最後まで毅然と歌いきった。「色んな人に支えられてここまで歩いて来ることが出来ました。今日はありがとう、いつもありがとう。そしてこれからもよろしく!」と力強いコメントを残し、ライブは幕を閉じるはずだった。

撮影:佐藤祐介

撮影:佐藤祐介

終演後も、なかなか鳴り止まない拍手に求められ、まさかのWアンコールに突入。この日のサプライズは誕生日の花束だけではなかったのだ。我々、関係者に事前に知らされていたセットリストにもWアンコールの記載はなく、本当に突発的な出来事であったということは念を押して記しておきたい。「えー、ちょっとバンドメンバーの皆さんもう一度出てきてください!……じゃあ、もう1曲くらい歌いますか?何にしましょうか?(笑)」と、少し戸惑いながらも「やっぱり、今回のツアーの日替わり曲の中からどれかじゃない?」とバンマスのSakuさんと決めたのは「ルパとアリエス」。「こないだ名古屋で弾き終わって、やったー!って言ってたのに(笑)」とバンドメンバーから不満が出るほどの超絶技巧ソングだ。「本当にリハとかしてないので、間違えちゃったらゴメン!」と予防線を張りつつも、どこか楽しそう。このWアンコールは間違いなく、るな充と彼女との関係値が生んだ時間だ。だからこそ、この贅沢な時間を細かく記すのは野暮というものだろう。奇跡のようなWアンコールを引き寄せることの出来た、幸運なファンの諸氏におかれてはあの時間を反芻して頂きたいのだが、私からひとつ言えることは、最後まで本当に楽しそうに演奏するメンバーと彼女の姿がとても印象に残っている。「またこのメンバーでライブやろうね!」の言葉が早く実現する事を本当に願う。

撮影:佐藤祐介

衣装やグッズ、楽曲のどれをとっても”春奈るな”らしさを感じとれるくらいに、その随所に彼女のこだわりや信念が散りばめられている。まさに独特な”春奈るなワールド”としか形容のできない世界観が彼女の魅力であると、改めて感じさせられたライブだった。また10年を経て、様々な環境が変わっていく中でも、こうして10年を共に過ごした仲間とライブが出来たということも非常に意義があったように思える。スタンド使いが引かれあうように、強いオタクもまた、強火なオタク同士で引かれあう運命にあるのだ。それが”春奈るな”であり、”るな充”であることは言わずもがな。声を大にして大好きなモノを「大好きだ!」と言える信念の強さが、環境の変化をもろともしない固い絆となっているように思えて仕方がなかった。春奈るなはきっとどこまで行っても春奈るなだ。ボツコンピに48都道府県ツアーと、やりたいことはまだたくさん。思い返せばライブの終盤に彼女がしきりに「終わりたくない、寂しい」と繰り返していたのは、旅行先からの帰宅途中に襲われるあの感覚に近いのではないだろうか。しかし旅を終えてみれば、逆にもっと行きたいところが増えてしまった。きっと彼女にとってそんな”ツアー”となったはずだ。

インタビュー・文=前田勇介

セットリスト

「HARUNA LUNA 10th Anniversary Live Tour "MOON CIRCUS"」@池袋harevutai

2022年10月9日(日)
 
01.微熱の月
02.PEACE!!!
03.ステラブリーズ
04.KIRAMEKI☆ライフライン
05.Ripple Effect
06.君がくれた世界
07.空は高く風は歌う
08.Windia
09.snowdrop
10.glory days
11.Startear
12.BLUE ROSE
13. S×W -soul world-
14.JUSTICE
15.回転木馬
16.TRUE STORY
17.アイヲウタエ
18.君色シグナル

 
EN1.桃色タイフーン
EN2.Overfly

WEN.ルパとアリエス

イベント情報

『LADY BEYOND』

一般発売:10/15(土)10:00~
■開催時期:2022年11月21日(月)
■OPEN/START 16:00 /16:30
■会場:川崎CLUB CITTA'
■出演アーティスト:NightOwl、CODE OF ZERO、START TO BLING、春奈るな 他
■主催:株式会社LITORY
■制作:H.I.P.
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