テノール高島健一郎が語る『プリンスガラ』~オペラ、ミュージカル・ナンバーも披露でバラエティに富んだ内容に

2023.2.1
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『プリンスガラ 〜4日遅れのホワイトデー 王子達からの贈り物〜』


2022年は、オペラシティでのリサイタル公演、夏のウィーン郊外のメルビッシュ湖上音楽祭への参加、そしてLE VELVETSの佐賀龍彦プロデュースによって佐賀と旧友石井琢磨と共演した展覧会テーマ曲の発表などなど、話題を呼び続けてきたウィーン在住のテノール歌手・高島健一郎。今年最初の仕事となる、ミュージカル『パジャマ・ゲーム』は売り切れ公演となりそうだが、1月30日付の朝日新聞夕刊で「コロナ禍の人生の変化」について語った記事にも登場して多くの反響が寄せられている。

そこで、いよいよ開催まで2か月をきった、東京芸術大学時代の先輩や後輩たちとの浜離宮朝日ホールでのガラ・コンサート=題して『プリンスガラ 〜4日遅れのホワイトデー 王子達からの贈り物〜』について改めて話を聞いた。

――前回のインタビュー(三者三様、王子達からの贈り物~テノール高島健一郎にきく藝大声楽科出身の仲間が集う一夜限りのガラ・コンサート​)から2か月ほど経っていますが、ガラ・コンサートに向けての準備はいかがですか?

オペラシティでのリサイタルを終わって、自分1人でやるコンサートの楽しさもすごく感じたのですが、誰かと一緒にコンサートをすることやチームで何かを企画するといったことに興味がわいてきて……みたいなことは先日お話したと思いますが、あれから仲間と一緒にYouTubeの映像を撮影したり、企画会議を何度かしていく中でますますその楽しさを再確認していますね。

――映像というのは、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を3人で歌っていたMVのことでしょうか。

そうですね。あれでまず3人でどんなことができるのか、3人でしかできない表現があるんだなということも、改めて実感できました。あと、YouTubeっぽい企画では、3人で「ふわふわパンケーキ」をつくるというものもアップしてみましたが、あのような企画でも3人の相性の良さとか、役割分担とか、3人でしかできないことがあることが、音楽以外の部分でも改めて実感できました。

藝大卒男声三声によるアヴェ・ヴェルム・コルプス - Ave verum corpus【モーツァルト / Mozart】

――鳥尾さんのかわいいところや、堺さんのバリトンらしい「低音キャラ」みたいなことは見て伝わっていきました。

ですね。コンサートの方も、3人ならなんとか頑張って面白いものにできるんじゃないかという予感が、確信に変わりつつありますね。

――企画会議では、さらに内容がはっきりしてきたのでしょうか?

もちろんです!追加で演奏する曲目も決めました。

―― 「誰も寝てはならぬ」や「オー・ソレ・ミオ」といった男声歌曲の華々しいレパートリーが楽しみでしたが、他には?

ソロ・パートは、すでに発表されている「グラナダ」を鳥尾君が歌うことは前回のインタビューでお伝えしたと思いますが、それに対抗して僕と堺君も各々一番得意な曲をもってきましたよ。堺くんはバリトンの名曲、ビゼーが歌劇『カルメン』の中で書いた「闘牛士の歌」。僕の方はマスカーニの「アヴェ・マリア」を選びました。二人が比較的アッパーな歌できたので、少ししっとりと心が高まる歌をお届けしたいと思います。そして、ミュージカルの曲も各々歌いたいと思っています。鳥尾くんが『リトル・マーメイド』から「Her Voice」、堺くんが『レ・ミゼラブル』から「Stars」!これは僕も聞くのが楽しみです。彼のミュージカル・ナンバーをこれまであまり聞いたことがなかったので。

――高島さんは当然あのミュージカルから何か聞けるでしょうか?

はい。ご期待いただいている通り、『パジャマ・ゲーム』から「Hey There」を歌おうと思っています。YouTubeでもアップしましたが、今度は藤川くんと演奏できるのが楽しみです。3人で歌うミュージカル・ナンバーもありますよ!

――藤川さんのソロも聞けるのでしょうか?

もちろんです。何を弾くのかはまだ聞けてませんが、彼のソロ・パートもご用意していますから、藤川ファンの皆さんにも是非おいでいただきたいですね!

――ますます楽しみになってきました。主演をつとめられるミュージカル『パジャマ・ゲーム』の公演も近くなってきました。こちらの方はいかがでしょうか?

11月からはじまった稽古もいよいよ大詰めを迎えています。演じる役のキャラクター、歌う音域、音楽のスタイル、全てが僕に合っていてこのタイミングでシド役を日本で出来る事に運命のようなものを感じています。そしてついに日本の皆様に僕が舞台に立っている姿を見て頂ける事が心から楽しみです。

――ありがとうございました。最後にSPICEを読んでいただいた皆さんに一言あれば。

いよいよ楽しいコンサートになる予感が確信となってきておりますので、まだ迷っている方はも残り少なくなってきていると聞きましたから、ぜひお早めにお買い求めください!4日遅れではありますが、3人から心をこめてホワイトデーの贈り物のつもりで歌の花束をお届けますので。

取材・文=神山薫

公演情報

『プリンスガラ ~4日遅れのホワイトデー 王子達からの贈り物~』
 

日程:2023年3月18日(土)
開演:14:00~ (開場 13:00~)
会場:浜離宮朝日ホール(東京都)
出演:堺 裕馬(バリトン)、高島健一郎(テノール)、鳥尾匠海(テノール)、藤川有樹(ピアノ)

●高島健一郎(テノール)
東京藝術大学声楽科卒業後、同大学海外留学支援奨学生としてウィーンへ留学。  
ウィーン市立音楽芸術大学オペレッタ科在学中の2018年バートイシュル・レハール音楽祭にてオペレッタ 微笑みの国 / フー・リー役にてデビューし、2018/2019シーズンからルッケンヴァルデ市立劇場、ゾーリンゲン市立劇場、レックリングハウゼン祝祭劇場等ドイツ各地の劇場でジプシー男爵タイトルロール / バリンカイ役、伯爵令嬢マリツァ / タシロ役等オペレッタの主役を務めドイツ各地の新聞で好評を得る。
舞台活動の出来ないコロナ禍ではJAM MUSIC LAB音楽大学ジャズヴォーカル科修士課程にてジャズヴォーカルも学び、2022年夏にはヨーロッパ最大規模の野外フェスティバル・メルビッシュ湖上音楽祭にソリストとしてデビュー。
2022年春より日本でも活動を開始。オール・シューマン・プログラムの初リサイタルを東京オペラシティ・リサイタルホールで成功させ、2022年秋のコンサートは発売開始5分で完売するなど現在最も注目を集めるクラシック系男声歌手の一人。
YouTubeチャンネル「Vocalist Ken Takashima」も開設し、ジャンルを問わず様々な歌を公開中。  アーティストビザを取得しウィーン在住。
 
●堺 裕馬 Yuma Sakai バリトン
埼玉県出身。 東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。在学中に安宅賞受賞。同大学院修士課程独唱専攻修了。 二期会オペラ研修所第61期マスタークラス修了。 
オペラでは《コジ・ファン・トゥッテ》グリエルモ役、《フィガロの結婚》アルマヴィーヴァ伯爵役、《魔笛》パパゲーノ役、《ラ・ボエーム》マルチェッロ役、《椿姫》バローネ役などを演じ好評を博す。 
宗教曲のレパートリーも幅広く、第63回《藝大メサイア》、ヴェルディ《レクイエム》、ベートーヴェン《第九》、ハイドン《天地創造》等のソリストを務める。 これまでに尾高忠明、高関健、松尾葉子、鈴木秀美の指揮、藝大フィル管弦楽団、愛知室内オーケストラ等と共演。
2021年5月に行われた《二期会創立70周年記念公演》二期会ニューウェーブ・オペラ劇場《セルセ》にエルヴィーロ役として出演し二期会公演デビューを果たした。二期会準会員2020年12月6日(日)に日本武道館で行われた『音楽朗読劇READING HIGH』の「ALCHEMIST RENATUS~Homunculus〜』にボーカルアンサンブルとして出演。
 
●鳥尾匠海(テノール)
16歳より声楽を始める。第71回全日本学生音楽コンクール東京大会第2位、テノールとして初めて同全国大会第1位。日本放送協会賞、かんぽ奨励賞受賞。甲子園ボウル決勝、jリーグ町田ゼルビア開幕戦、都市対抗野球開幕戦等にて国歌独唱。フィンランド大使館にてフィンランディア賛歌を独唱。新国立劇場オペラ研修所公演にて複数のオペラに出演。新国立劇場オペラパレスにて東京フィルハーモニー交響楽団と共演。その他様々なコンサート等に出演。新国立劇場オペラ22期修了。
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