BIM、yonawo、STUTSら客演も続々、『KOBE MELLOW CRUISE 2023』ーーヒップホップカルチャーが神戸に集結!2日目の熱狂をレポート

レポート
音楽
2023.6.16
 写真提供=KOBE MELLOW CRUISE 2023(撮影:渡邉一生、Hoshina Ogawa、ヨシモリユウナ)

写真提供=KOBE MELLOW CRUISE 2023(撮影:渡邉一生、Hoshina Ogawa、ヨシモリユウナ)

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『KOBE MELLOW CRUISE 2023』2023.5.21(SUN)兵庫・神戸メリケンパーク内 特設会場

「文化を発信してきた港町・神戸を象徴するポートタワーの麓、メリケンパークで開催する新たな都市型音楽フェス」として昨年新たにスタートした『KOBE MELLOW CRUISE 2023』が今年も5月20日(土)・21日(日)に行われた。2日目の出演者はAile The Shota、BIM、C.O.S.A.、chelmico、CreativeDrugStore、Nariaki Obukuro、Q/N/K(QN+N/K a.k.a 菊地成孔)、RIP SLYME、Ryohu、Skaai、STUTS、tofubeats、yonawo、Wez Atlas(O.A.)の14組。最高の天気とロケーションの元で人々が熱狂した2日目の模様を一部レポートしよう。

撮影=ヨシモリユウナ

撮影=ヨシモリユウナ

初日に続き、これ以上ないほどの晴天に恵まれた『KOBE MELLOW CRUISE 2023(以下、『メロクル』)。会場の神戸メリケンパークは神戸海洋博物館やオリエンタルホテルなどの特徴的な建物がそびえ立ち、すぐ近くに海がきらめく最高のロケーション。ランドマークの神戸ポートタワーは残念ながら改修工事中だが、どうやってもテンションが上がってしまう。

撮影=ヨシモリユウナ

撮影=ヨシモリユウナ

昨年はコロナの情勢を鑑みて声出しもアルコールもNGだったが、今年はついに解禁! 『メロクル』自体、コロナで2021年の開催が見送られているだけに喜びはひとしお。会場に訪れたオーディエンスは、お酒片手にフードエリアに足を運んだり、芝生エリアのyogiboのビーズクッションや木陰で寝転び、くつろぐ様子が見られた。

撮影=ヨシモリユウナ

撮影=ヨシモリユウナ

アートやファッションのカルチャーも楽しめるのが『メロクル』の特徴。南京町の提灯とミラーボールが煌びやかなオブジェの横ではライブペインティングが行われていた。また、神戸や関西を中心に全国から集まった人気アパレルショップも13店舗出店。Tシャツやキャップなどがリーズナブルな価格で販売されていて、ハイセンスなファッションを身に纏ったオーディエンスが買い物を楽しんでいた。オフィシャルグッズも豪華で、タトゥアーティスト・TAPPEIやRyusuke Eda(BAL)、神戸発のアパレルブランド・APARTMENTとのコラボ商品が登場し、早々に売り切れる商品も出ていた。

撮影=ヨシモリユウナ

撮影=ヨシモリユウナ

日差しは強く気温も27℃と高い日だったが、時折吹く風が気持ち良い。各エリアへのクルーズもしやすく、再入場も可能ということで、かなり快適に過ごすことができる。屋根付きのVIPラウンジはさながらクラブかBARのようで、日光を避けながらお酒を飲みつつ音楽を楽しめる最高の環境だった。

Wez Atlas 撮影=Hoshina Ogawa

Wez Atlas 撮影=Hoshina Ogawa

いよいよ開演の時が近づく。「URBAN STAGE」では、O.AのWez Atlasがバンドセットでナイスグルーヴを響かせて会場の期待感を高める。フロアを埋め尽くした観客は皆笑顔。定刻になりKiss FM KOBE DJの川田一輝がステージに登場、「DAY1もALIから始まっAwichへと、最後は気持ち良い海風が吹いてきて、1日通してメロウにクルーズできました。今日も一緒に最後まで盛り上がっていきましょう!」と叫んでDAY2がスタートした。

chelmico 撮影=渡邉一生

chelmico 撮影=渡邉一生

トップバッターはchelmico。DJの%C(パーシー)がトラックを流すとRachelとMamikoが元気にステージに飛び出し「ISOGA♡PEACH」でポップに盛り上げる。2人のポジティブハッピーな空気があっという間に会場を満たす。「Highlight」ではコール&レスポンスでひとつに。MCでは友達みたいに「会いたかったよ〜元気してた〜?」と話しかけ、日常のエピソードを明るく笑い飛ばす。tofubeatsとのコラボ曲「Meidaimae」ではダイアンの「ゴイゴイスーポーズ」をキメ、メロウな「Balloon」で体感温度を下げた後はDJ FUMIYA(RIP SLYME)とのコラボ曲「GOOD GAME」を投下。フロアは手を挙げてダンスダンス! 最後の「Love Is Over」まで終始楽しいエネルギーで盛り上げた。

RIP SLYME 撮影=渡邉一生

RIP SLYME 撮影=渡邉一生

炎天下が似合う熱々のステージを披露したのはRIP SLYME。DJ FUMIYAが煽ると人がぎゅっと前に押しかける。RYO-ZとILMARIもステージに走り込み、「楽園ベイベー(Remix)」を投下すると一気にテンションアップ! 続きドラムンベースがグルーヴィな「Rightnow!」でさらに会場を惹き付ける。「朝10時に老祥記に30分並んで豚まんを食べてきて、英気もきっちり養われてるRIP SLYMEです。1人1人にしっかりビートを打ち込むんで最後まで楽しんでください(RYO-Z)」と披露された「サヨナラSunset」からは、フレンズのおかもとえみが揃いのユニフォームで参加。イントロでヴァン・ヘイレンの同名曲をフィーチャーした「JUMP」から全員でタオルを振り回した「JOINT」へと、ダイナミックなパフォーマンスの連投で会場の熱気はMAXに。「最後の最後まで熱い夜にしていこうぜ! 声出しはいくらでもOK!」と叫んでラストは「熱帯夜」を大合唱。さすがの貫禄で最高の余韻を残したRIP SLYMEだった。

撮影=Hoshina Ogawa

撮影=Hoshina Ogawa

「SEASIDE STAGE」には、昨年オープニングアクトをつとめたSkaaiが登場。このステージは背後に海が見えて絶景なのだが、直射日光が突き刺さりものすごい暑さに。そんな中でもSkaaiは勢いよく飛び出して「BEANIE」のバースを力強く繰り出し、ニット帽が吹っ飛びそうなほど頭を振り乱す。歌い終わると「水飲んで塩食って、倒れないように騒ぎましょう」と述べて、「Period.」とリリースされたばかりの「SCENE!」を続けてドロップ。沸騰しそうな暑さだが、滑らかなフロウに牽引されて体が揺れる。「原点みたいな曲」と想いが込められた「Footnote」では神戸のシンガー・Tioをゲストに招いて共に歌う。終盤、SIRUPとのコラボ曲「FINE LINE」をグルーヴィに飛ばし、アカペラから「Nectar, Remix」を披露して灼熱のステージを終えた。

tofubeats 撮影=ヨシモリユウナ

tofubeats 撮影=ヨシモリユウナ

レペゼン神戸といえばこの人、tofubeats。1人鮮やかに機材を操り「RUN」「LONELY NIGHTS」を連投して高めてゆく。「今日はせっかくの神戸なんでゲストに来てもらってます」と地元神戸の2人組・Neibissを呼び「don’t Like u」でゆらゆら踊らせる。続く「VIBRATION」ではKotetsu Shoichiroをゲストに迎え「皆さん、メロウに狂ってますか!?」と観客をヒートアップさせる。

tofubeats feat. Neibiss 撮影=ヨシモリユウナ

tofubeats feat. Neibiss 撮影=ヨシモリユウナ

ノンストップのDJスタイルで「WHAT YOU GOT」〜「Anirvana」〜中村佳穂とのコラボ曲「REFLECTION」を繋ぐ。加速するビートに恍惚とした様子で没入するオーディエンス。そこからシームレスに名曲「水星」へと繋ぐと会場の興奮は最高潮に達し、全員で大合唱。やはりこの曲は神戸で聞くと特別感がある。ラストチューンにはメッセージ性の強い最新曲「自由」を投下して「最後までバチコン楽しんでください!」と爽やかにステージを後にした。

STUTS 撮影=渡邉一生

STUTS 撮影=渡邉一生

昨年に続いての出演となるSTUTSは、サポートに高橋佑成(Key)と仰木亮彦(Gt)を迎えたトリオ編成で登場。1曲目の「Back & Forth」からくしゃっとした笑顔でMPCを楽しそうに弾き出す。続く「Pretenders」ではこの後SEASIDEステージに出演するC.O.S.A.がジョイン。さらに「Storm」では「『KOBE MELLOW CRUISE』、略したら『KMC』なので、KMCさんに来ていただいてます」とKMCを招き、嵐のようなラップを繰り出して会場の熱を引き上げる。「Conflicted」でどっぷりSTUTSワールドに導いた後、「もう1人友人を呼びたいと思います」と言うと、先ほどライブを終えたばかりのtofubeatsが登場。

STUTS feat. tofubeats 撮影=渡邉一生

STUTS feat. tofubeats 撮影=渡邉一生

「One」を大切そうに歌い、心地良い風を吹かせる。2番ではSTUTSもハンドマイクでラップを披露! これには観客も大喜び。ナイスすぎるグルーヴの渦に巻き込んだ。「最後は夏の曲を、もう1人友人を呼んでやろうと思います」と「Summer Situation」が流れ始めると、鈴木真海子が「こんにちは〜友人でーす」と登場するも、同時にトラブルが発生。急遽「ベースなしで生っぽい感じでやります」とレアバージョンでプレイ。鈴木とのデュエット的ハーモニーを響かせた。STUTSの作る繊細なトラックと指先から繰り出されるビートは魔法のよう。愛される人柄も良く表れた、豪華な30分だった。

Nariaki Obukuro 撮影=Hoshina Ogawa

Nariaki Obukuro 撮影=Hoshina Ogawa

ロンドンを拠点に活動するNariaki Obukuroは、3人の男女混声コーラスを率いて登場。1曲目は「Work」。Obukuroのフィンガークラップから4人向き合って美しいアカペラを響かせ、赤いトランシーバーをマイク代わりにして<生きるためには働かなきゃな>とライムする。それぞれが置かれた状況によって聞こえ方が変わるだろうリリックと歌の力に吸い込まれる。続いてホーンサウンドとビート、4人のフェイクが絡み合った「Borderline」、溶けそうな質感のハーモニーが全身を包んだ「Butter」を披露してフロアを釘付けに。壮大な「Gaia」に続き「最後、新曲やっていいですか。神戸愛してるよ」と述べてラストチューン「Waterbug dance」へ。シンプルながらも存在感を感じる歌声でオンリーワンの時間を作り上げたNariaki Obukuroだった。

yonawo 撮影=ヨシモリユウナ

yonawo 撮影=ヨシモリユウナ

SEASIDEステージのトリをつとめたyonawoは、夕暮れにぴったりの「good job」からライブスタート。荒谷翔大(Vo.Key)がキーボードを弾きながら歌い、斉藤雄哉(Gt)のギターソロが美しく空に溶けてゆく。荒谷の人懐っこい挨拶の後はカーペンターズの「close to you」をカバー。最高にロマンチックで、トリップするような心地良さ。斉藤のエフェクターさばきも素晴らしい。

yonawo feat. 鈴木真海子,Skaai 撮影=ヨシモリユウナ

yonawo feat. 鈴木真海子,Skaai 撮影=ヨシモリユウナ

野元喬文(Dr)と田中慧(Ba)のビートが骨太な未音源の楽曲「Stay」に続く「矜羯羅がる」では鈴木真海子とSkaaiが登場し、2番は一緒に歌唱。ラストは誰もが期待したであろう「tokyo feat.鈴木真海子,Skaai」を披露。しかもここから撮影OKとのスペシャルサプライズ。沈む夕陽や紋白蝶が飛び回る自然の演出も、切なさと哀愁を引き立てた。

BIM 撮影=渡邉一生

BIM 撮影=渡邉一生

海風が心地良く肌を撫でる。日没を迎え、大観覧車もライトアップされて港町神戸に輝きが増した。DAY2のヘッドライナーで、今年のメロクルを締め括る大トリはBIM。SEが流れ「Bonita」のイントロが聞こえるとフロアからは大歓声の嵐。CreativeDrugStoreに次いで本日2本目のライブとなるBIMは、ステージを動き回りながらラップを紡いでゆく。さらにDJ dooooとDJ ZAIの見せ場もバッチリの「Yearn」「Veranda」を連投し、フロアをガンガン盛り上げてMCへ。

撮影=渡邉一生

撮影=渡邉一生

<遠くデカイステージ立つ頃には 白髪で笑ってる夢を見た>とkZmとのコラボ曲「Dream Chaser」のリリックを引用し「まだ髪が黒くてフサフサのうちに、大きいステージの大トリをやることができました」と感謝を述べる。キャリアも10年を超えたBIM、「最初はラッパーBIMにならなきゃと無理してカッコつけてた」と吐露し「ここ3〜4年ぐらい、普段の高木優人のままで皆と遊ぶことができるようになってきて嬉しい。今日は自然体のBIMでやらせていただこうと思います。ステージは、この時間だけは俺のもの」とステージの床に触れる。そして「あなたたちがいるフロアは自分のもんだと思って最後までついてきてくれますかEverybody!」と放ち、Skaaiを招いて「FLOOR IS MINE」を披露。さらにDAY1に出演していたkZmがジョインして「Runnin'」と「One Love」を熱くフロウした。

BIM feat. Skaai 撮影=渡邉一生

BIM feat. Skaai 撮影=渡邉一生

BIM feat. kZm 撮影=渡邉一生

BIM feat. kZm 撮影=渡邉一生

2度目のMCでは「恥ずかしいんで」と照明を落とし、暗闇の中で語り始める。「ラップを始めた時は周りにヒップホップ聴いてる友達が1人もいなくて、世の中に出ていこうと思ったらしょっぱなからデカい壁、3人組の超カッコ良いヒップホップグループがいて、悔しいとかじゃなくて怖いと思って。でも俺にしかできないことは何だろうと考えて、10年かかってやっとここまでこれました」とマイクスタンドを握りしめて述べ、天国の友人を想って書いた「Starlight Travel」を照明なしで目を閉じて歌う。フロア一面に広がるスマホの光が、星のようにBIMの想いを輝かせた。

撮影=渡邉一生

撮影=渡邉一生

後半は怒涛の展開。「Presence」ではSTUTSを、「マジックアワー」ではRYO-Z(RIP SLYME)を呼び込んで熱狂させる。客演のオンパレードはこれで終わらない。「BUDDY」ではPUNPEEがシークレットゲストで登場し、オーディエンスは大興奮!「Night Rider」ではBIMとPUNPEEがステージを縦横無尽に駆け回り、サビでは全員で大ジャンプ。

BIM feat. STUTS,RYO-Z 撮影=渡邉一生

BIM feat. STUTS,RYO-Z 撮影=渡邉一生

BIM feat. PUNPEE 撮影=渡邉一生

BIM feat. PUNPEE 撮影=渡邉一生

そして「皆さん後ろ見てもらっていいですか?」とのBIMの言葉で後ろを振り向いたその瞬間、大輪の花火が神戸の空に打ち上げられた。「たまやー!」と叫ぶBIMと一緒に花火を見るスペシャルな展開。「これで2日間の最高のフェスは終わります。来年も出れるように音楽頑張りますから、皆さんも日々の生活頑張ってください!」とサイン入りのレコードを客席に投げ込んで『メロクル』を締め括った。

撮影=渡邉一生

撮影=渡邉一生

関西でヒップホップカルチャーを味わえるフェスとして熱視線を集めている『KOBE MELLOW CRUISE 2023』。今年もこの場所でしか見ることのできない演出満載で幕を閉じた。来年はどんな景色が待っているのか、楽しみにしていよう。

取材・文=久保田瑛里 写真=KOBE MELLOW CRUISE 2023(撮影:渡邉一生、Hoshina Ogawa、ヨシモリユウナ)


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『KOBE MELLOW CRUISE 2023』PHOTO REPORT

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