THE ORAL CIGARETTES 果たされた美しきリベンジ、高らかに歌われた野望

レポート
音楽
2016.1.7
THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES

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唇リベンジワンマン ~復活・返上・BKW!! の巻~ 2016.1.4 Zepp DiverCity

18時16分。フロアのBGMと照明がゆっくりとフェードアウトしていく。大歓声が上がる中、静かに幕が開かれていくが、ステージには誰もいない。舞台後方に設置されたスクリーンに映像が流れ始める。そこには、バックステージでうずくまり、激しく嗚咽する山中拓也(Vo/G)の姿が映し出された。

2015年7月14日、全国9カ所を廻るワンマンツアーのZepp DiverCity公演で、ポリープを患っていた山中の喉の具合が悪化。公演を中断し、セットリストを大幅に変更しながらも最後までやり遂げたTHE ORAL CIGARETTES。先日行なったインタビューではその日のことを包み隠さず話してくれたが、そのライヴのリベンジ公演『唇リベンジワンマン ~復活・返上・BKW!! の巻~』が、2016年1月4日にZepp DiverCityで開催された。そのライヴのオープニングである。

映像は続く。夏フェス出演時の様子やバックステージ風景など、スクリーンにはオーラルの2015年が次々に映し出され、再び7.14の映像に。
「次にここに戻ってくるとき、その分、全力で歌いますから。そのときまで待っていてください」
目を涙で滲ませながらオーディエンスに話しかける山中の姿が、そこにはあった。

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雄々しいSEが鳴り響き、次に映し出されたのは日本地図。昨年のツアーで廻った都市が順を追って紹介され、「2015.7.14 Zepp DiverCity」と表示される。そしてすさまじい勢いで日時が一気に進んで行き、「2016.1.4.Zepp DiverCity」と映し出されたとき、フロアからは一際大きな歓声があがった。先ほどまでスクリーンが掲げられていた場所にバンド名が大きく書かれたバックドロップが掲げられると、鈴木重伸(G)、あきらかにあきら(B)、中西雅哉(Dr)の3人が、そこから少し遅れて山中がステージに姿を現した。

山中「帰ってきたよ!」

リベンジマッチの火ぶたを切ったのは「GET BACK」。パンパンに膨れ上がっているフロアから無数の手が挙がる。そこから立て続けに「モンスターエフェクト」へ。楽器隊から放たれるキレにキレまくったサウンドの上を、山中は完全復活を宣言するように、力強くメロディーを歌い上げつつも、「そんなもんか? 来いよ!」と、何度も激しくフロアを煽り倒す。MCで鈴木が「今日が終わらないと2015年を終われない」と話していたが、あの日の雪辱を果たすように……いや、あの日を経たことで成長した今の自分たちのすべてをぶつけるように、すさまじい演奏とパフォーマンスを繰り広げていった。

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山中「ほんまにここに集まってくれてありがとう! 7月14日にここで倒れて、裏に行ってからの記憶がほとんどありません。でも1つだけ覚えていることがあって。マネージャーがうずくまってる僕のところにきて、「今回の件でお客さんがゼロになるかもしれへん」と。「でもゼロからでええやん。やり直そうや」って言われたことをすごい覚えていて。だからゼロじゃなくて、が即完したときは本当に嬉しかったです。本当にありがとうございます」

フロアからの拍手が鳴り止まない。

山中「オーラルのファンはどうかしてんな?(笑) そんなあんたたちが大好きです! 本当にありがとう!」

そこから続けて、手術をしても声が変わらなくてよかったと話しつつ、「ひとつだけちょっと変わったのは、全体的に下ネタが増えた(笑)」と告白。「復活ライヴで何言うてんねんって話ですけど」と笑いを誘っていたが、もしかしたら今の彼らは、念願だったバンドを組むことができて、はしゃぎまわるように音を鳴らす10代のような気持ちに戻っている……というのはちょっと大袈裟だろうか。しかし、そんなことを思ってしまうぐらい山中は、ライヴ中に何度も「マジでやばくない!?」と口にし、フロアに向けて屈託のない笑みを浮かべていた。

そこからも凄まじい熱を放ちながらライヴが続く。サイレンがけたたましく鳴り響いて突入したキラーチューン祭りでは、「STARGET」から続けて「mist…」を投下し、巻き起こるオーディエンスの大合唱に「170点あげるわ!」と叫ぶ山中。さらに「自分の目で観たもの、自分の耳で聴いたもの、それだけを信じてフロアに来い!」と、求心力抜群なアジテーションを交えて「カンタンナコト」へなだれ込み、フロアを激しく興奮させた。また、狂騒を生むのみでなく、メロウなサウンドでフロアを包み込んだ「透明な雨宿り」や、昨年の公演ではやむなく断念したというアコースティック編成で「机上の空論に意味を為す」と「出会い街」の2曲を披露。薄明かりの中で椅子に座り、4人は音を奏でて行く。どちらも原曲はアップテンポなものだが、ゆったりとして心地よい音像にアレンジを施し、彼らの楽曲のど真ん中にある心地よいメロディーをしっかりと届けていた。他にも、あきらが7月14日のライヴで急遽楽器隊3人のトークで繋いだときに披露した本田圭祐のモノマネにリベンジしたり、「あの日、誕生日祝ってもらえへんかったけど……ここでドラムとか叩いちゃったらみんな祝ってくれるんかな?」という中西の言葉からの「32歳童顔」など、さまざまなリベンジが果たされていく。

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終盤戦では本日2度目のキラーチューン祭りを開催。オーディエンスが力強く飛び跳ねる振動に2階席も揺れた「大魔王参上」や「Mr.ファントム」、そして「起死回生STORY」でのクラップや大合唱など、フロアと双方向で繰り広げられる全力のコミュニケーションは、まさに「祭り」という名にふさわしいものだった。

山中「正直、ここに立つのめっちゃ怖かったです。またああなったらどうしようって。イメトレとかすんねんけどさ、あのときの記憶がすごい邪魔して、よう前に進めんくて。でも、ここに立って、あんたたちと楽しいワンマンが出来て、やっぱりオーラルのファンかっけえなって思いました! 本当にありがとう!」

そして「2015年、気づけばいつもこの曲がそばに寄り添ってくれてました」と「エイミー」を披露。力強くも優しい光で包み込むようなサウンドを高鳴らし、ステージの幕が閉められた。

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通常であれば、ここからアンコール、もしくはライヴ終了なのだが、この日はなんと2部構成! ここまでの第1部は2015年7月14日公演の「リベンジSET」で、ここからの第2部は、1月5日にリリースした最新アルバム『FIXION』の収録曲を中心にした「FIXION SET」が繰り広げられた。

合間に挟まれた10分間のブレイクタイムを物ともせず、一気にフロアの興奮を頂点まで高めた「狂乱Hey Kids!!」を幕開けに、強烈なドライヴ感で駆け抜けて行く「MIRROR」、その勢いを落とすことなく強靭なパワーでメロディーをぶつける「STAY ONE」と、矢継ぎ早に曲を繰り出して行く4人。そこからもアルバムのリードトラック「気づけよBaby」や、新たにキラーチューン祭りに組み込まれそうな「A-E-U-I」では銀テープが発射され、「7月14日という大事な日があったから書けた」という「Everything」まで、全6曲を披露。前述のインタビューでも話してくれていた“攻めの姿勢”のサウンドを楽しむオーディエンスの姿に、メンバーたちは確実に手応えを掴んでいたはずだ。

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山中「5年間、地べた這いつくばってやってきた結果が今日のフロアだと思います。こういうライヴをしてきてよかったよ。2016年は信頼を深めてきたあんたたちとロックシーンに攻め込む時期やなと思ってますんで。いっぱいおるやん。カッコいいバンド。でも俺ら負けてへんと思うし、お前らも負けてへんから。俺らとあんたたちで攻め込みましょう!」

約3時間におよぶステージで、リベンジという有言実行を果たし、ネクストステージを鮮やかに見せつけたTHE ORAL CIGARETTES。苦難の2015年を乗り越え、一回りも二回りもたくましくなった彼らの快進撃は、もう始まっている。


photo by Viola Kam (V'z Twinkle) text by Tetsuo Yamaguchi

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セットリスト

THE ORAL CIGARETTES『唇リベンジワンマン~復活・返上・BKW!!の巻~
2016年1月4日 Zepp DiverCity TOKYO セットリスト

第1部
01. GET BACK
02. モンスターエフェクト
03. ハロウィンの余韻
04. N.I.R.A
05. 踊り狂う人形
06. 嫌い
07. 透明な雨宿り
08. STARGET
09. mist...
10. カンタンナコト
11. 机上の空論に意味を為す(アコースティックver.)
12. 出会い街(アコースティックver.)
13. 32歳童顔
14. 大魔王参上
15. Mr.ファントム
16. 起死回生STORY
17. エイミー

第2部
18. 狂乱 Hey Kids!!
19. MIRROR
20. STAY ONE
21. 気づけよBaby
22. A-E-U-I
23. Everything
[ENCORE]
24. LIPS

 

ライブ情報

THE ORAL CIGARETTES 唇ワンマンツアー~奈良まで続くよ道のりはツアー!~

2016年4月 5日(火)東 京 赤坂BLITZ  Open 18:00 / Start 19:00
2016年4月 7日(木)埼 玉 HEAVEN’S ROCK 熊谷VJ-1  Open 18:30 / Start 19:00
2016年4月 9日(土)長 野 松本a.C  Open 17:30 / Start 18:00
2016年4月15日(金)愛 知 名古屋ダイアモンドホール  Open 18:00 / Start 19:00
2016年4月16日(土)三 重 松坂M’AXA  Open 17:30 / Start 18:00
前売:¥3,500(税込)
一般発売:2月20日(土)


THE ORAL CIGARETTES 唇ワンマンライブ~故郷に錦を飾りまSHOW!!~

2016年04月30日(土)奈 良 なら100年会館 Open 17:00 / Start 18:00
前売:¥4,000(税込)
当日:¥4,500(税込)
一般発売:2月20日(土)


THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマン TOUR 2016 ~復活・激突・BKW!!の巻~

2016年02月08日(月)京 都 MUSE w/BLUE ENCOUNT Open 18:30 / Start 19:00
2016年02月11日(木・祝)高 松 MONSTER w/SUPER BEAVER Open 17:00 / Start 18:00
2016年02月12日(金)広 島 CLUB QUATTRO w/a flood of circle Open 18:00 / Start 19:00
2016年02月14日(日)福 岡 DRUM LOGOS w/androp Open 17:00 / Start 18:00
2016年02月19日(金)仙 台 RENSA Open w/SiM 18:00 / Start 19:00
2016年02月21日(日)札 幌 PENNY LANE w/WHITE ASH Open 17:00 / Start 18:00
2016年03月05日(土)新 潟 LOTS w/04 Limited Sazabys  Open 17:30 / Start 18:30
2016年03月11日(金)大 阪 ZEPP NAMBA w/ HEY-SMITH Open 18:00 / Start 19:00
2016年03月13日(日)愛 知 ZEPP NAGOYA w/UNISON SQUARE GARDEN Open 17:00 / Start 18:00
2016年03月20日(日)東 京 STUDIO COAST w/THE BAWDIES Open 16:00 / Start 17:00

全公演共演者あり

前売:¥3,500(税込・ドリンク代別途必要)

 

 

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