コンテンポラリーダンスx現代音楽xメディアアートが一体化する舞台『ON-MYAKU 2016 - see/do/be tone -』試演会レポート

レポート
舞台
2016.1.8

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身体と映像で音を視覚化する幻想的体験。音響が完備された老舗ホールで実演

2016年1月30日(土)、1月31日(日)、東京文化会館・小ホールにて、コンテンポラリーダンサー・白井剛、ピアニスト・中川賢一、映像演出・堀井哲史(ライゾマティクス)の三名による舞台『ON-MYAKU 2016 - see/do/be tone -』が行われる。
 
 
各分野の第一線で活躍するアーティストが集い、ひとつの舞台を作り上げる実験的な公演が、クラシックの殿堂/オペラの聖地として名高い東京文化会館で開催となる。この歴史ある音楽ホールで、ダンスと映像を交える先鋭的な作品が演じられるのは前例のないことで、意欲的な取り組みだ。
 

今回のレポートは、2015年12月27日、兵庫県にある城崎国際アートセンターで行われた試演会となる。都内での本公演に向けて、出演者3名がアートセンター内のアーティスト・イン・レジデンスで12月上旬から1月中旬まで合宿を行い、閑静な温泉街で集中的に作品制作がされている。その滞在制作の過程をアートセンター内のホールで披露した。
 

本公演の枠組みは、中川賢一が演奏する現代音楽の名曲に合わせて、白井剛がしなやかな五体を駆使して躍動的に舞い、堀井哲史がヴィジュアルイメージをステージ上に投影する。舞踊や演奏をリアルタイムで測定したデータを用いて、プログラムが映像を生成。楽曲ごとにメディアアート的な手法が使い分けられる点が見どころだ。上記の写真は、演奏中の中川賢一の脳波をヴィジュアライズさせた映像。頭部に装着された脳センサーから測定された"緊張”と“弛緩”のデータに共鳴して、CGが波打つ。生で実演される緊迫感に思わず身震いしてしまった。
 

打鍵したデータが送信されるピアノの演奏に合わせて、投影された映像がシンクロする。打鍵した場所ごとに、3Dグラフィックが出現しては倒壊する。演奏される楽曲は、現代音楽家であり建築家のヤニス・クセナキスの歴史的楽曲。クセナキスの来歴を知る堀井哲史によって、建築を連想させるコンセプチュアルなヴィジュアルイメージが演奏に施された。
 

この試演会でのパフォーマンスは約2割の制作過程だという。1月30日からの本公演までには舞踊/演奏/映像ともに磨きがかけられ、より息の合った舞台へと刷新されるだろう。熟練者たちが合流して新たな表現形式を模索する、この公演のは現在発売中。各ジャンルに触れたことのない方も、一度に体験できる希少な機会となるはずだ。
 
写真提供:東京文化会館
 
イベント情報
舞台芸術創造事業 ON-MYAKU 2016 - see/do/be tone
 
日時:2016年1月30日(土)19:00開演(18:30開場)、1月31日(日)15:00開演(14:30開場)
※30日の終演後、アーティストによるアフタートークを行います。
 
会場:東京文化会館 小ホール
構成・振付・ダンス:白井剛
音楽構成・ピアノ:中川賢一
映像演出:堀井哲史(ライゾマティクス)




 

 

白井剛(振付家・ダンサー)
1996〜00年ダンスカンパニー「伊藤キム+輝く未来」に参加。98年、カンパニー「Study of Live works 発条ト(ばねと)」を設立。00年「バニョレ国際振付賞」、06年トヨタ コレオグラフィーアワード「次代を担う振付家賞」を受賞。06年カンパニー 「AbsT」を設立。これまでに、06年『しはに‐subsoil』、5人の音楽家との共作『THECO‐ザコ」、09年『blue Lion』、10年『静物画‐still life-』など自身の振付出演作品を発表する傍ら、アルデッティ弦楽四重奏団とのコラボレーション作品「ジョン・ケージ『アパートメントハウス1776』」やダムタイプ の藤本隆行やメディアアートの真鍋大度ら10人のアーティストによる『true/本当のこと』など他ジャンルのアーティストとの共同製作作品にも多数参加している。
http://shiraiabst.wix.com/tsuyoshi-shirai-abst​

 

中川賢一(ピアニスト)
桐朋学園大学音楽学部でピアノと指揮を学び、ベルギーのアントワープ音楽院ピアノ科首席修了。1997年ガウデアムス国際現代音楽コンクール第3位。ダンスや朗読など他分野 とのコラボレーションも活発。これまでに、伊藤キム、山田うん、白井剛、森下真樹、新井英夫、中村恩恵、東野祥子、田畑真希ら、多数のコンテンポラリーダンサーやタップダ ンサーの熊谷和徳と共演している。また、ピアノ演奏とトークのアナリーゼを展開し好評を博す。O.メシアンピアノ曲全曲演奏、J.ケージ「ソナタとインターリュード」、F.ジェフスキー「不屈の民変奏曲」、L.フェラーリピアノ作品集演奏会、武満徹ピアノ曲全曲演奏等数多くを演奏し各方面から高く評価された。指揮者として、東京室内歌劇場、東京フィル、広響他と共演。現代音楽アンサンブル「アンサンブル・ノマド」メンバー。現在、お茶の水女子大学、桐朋学園大学非常勤講師。
http://www.nakagawakenichi.jp/​

 

堀井哲史 (Rhizomatiks)(ビジュアルアーティスト・プログラマー)
1978年生まれ。ビジュアルアーティスト/プログラマー。ライゾマティクス所属。東京造形大学デザイン学科、国際情報科学芸術アカデミー[IAMAS]DSPコース卒。既存のソフトウェアやツールに頼らない、コンピュータならではの動的な絵作りからプログラミングまで一貫して行い、インタラクティヴ作品、映像制作を、エンターテインメント、アート等様々なフィールドで行っている。プログラミング/デザインを担当した『Perfume Global Site Project』は第16回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門大賞、カンヌ国際広告祭等多数受賞。14年、elevenplayの『MOSAIC』では映像を担当、14年度のD&AD年鑑に、脳波をビジュアライズしたグラフィックを提供するなど、形態にとらわれない制作活動している。
http://satcy.net/​

 

 

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