Fear, and Loathing in Las Vegas 武道館を狂騒の渦に叩き込んだ革新的サウンド

レポート
音楽
2016.1.8
Fear, and Loathing in Las Vegas

Fear, and Loathing in Las Vegas

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Fear, and Loathing in Las Vegas
“Feeling of Unity” Release Tour TOUR FINAL ONE MAN SHOW@武道館
2015.1.7 日本武道館

ちょっと意外なようだが、Fear, and Loathing in Las Vegas(以下、FaLiLV)にとって、関東圏で行う初めてのワンマンライブが、この日本武道館公演である。筆者は2015年だけでも『SUMMER SONIC』や『Ozzfest』といった大型フェスにおいて、そのパフォーマンスと多数のオーディエンスを歓喜させていた姿を目にしていたので、余計にそう感じたのかもしれない。とはいえ、フェスでの10曲前後のセットではなく、場所もライブハウスでもオールスタンディングでもない、しかも日本武道館という特別感のある会場だけに、一体どんなステージが展開されるのか?と、期待と疑問符を頭の中で交差させながらゲートをくぐったのであるが……恐れ入ってしまった。凄絶なまでに、FaLiLVはFaLiLVを貫いていた。

Fear, and Loathing in Las Vegas

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2016年1月7日、日本武道館。アルバム『Feeling of Unity』のリリースツアー・ファイナルにして初の日本武道館公演、関東圏でのワンマンライブでもあったこの日、をSOLD OUTさせた大観衆が見守るステージは、開演前からド派手であった。ステージ頭上に据えられたミラーボールが旋回して壁面や客席に光の粒を映し、七色の光線がゆっくりと動きながら会場中を染めている。ステージを隠すように設置された横長のビジョンには鮮やかな色どりとバンドのロゴがあしらわれ、BGMは強烈なビートを叩き出すEDMだ。そこから突如暗転、赤いレーザーが観客席を射抜く中、中央のビジョンがゆっくりと上昇し背後の巨大スクリーンに様々な映像が映し出されると、総立ちで手拍子と大歓声を送る武道館。ステージに登場した6人も当然、既に臨戦態勢だ。Taiki(G)は登場するやおもむろに着ていたシャツを裂いてみせ、Minami(Vo/Key)はいきなり花道まで猛ダッシュ、So(Vo/Pro)はお立ち台からぐるりと場内を指差す。そして「Cast Your Shell」のイントロを合図に、およそ2時間弱に及ぶ狂騒の幕が切って落とされた。

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「日本武道館っていう場所で、俺らみたいなスタンスのバンドがライブできるっていうのは、とても大きな意味があると思うし、自分たちらしく精一杯ライブをやってみんなにラスベガスの日本武道館ライブをしっかり感じて帰ってもらいたいんで、今日の時間を共有していきましょう。よろしくお願いします!」
Sxun(G/Vo)がそう宣言した通り、ユーロ/トランス系のビートとハードコア/メタルの硬質なサウンドを巧みに融合させた彼ら独自の「アゲる」力学は、この日もいつも通り、いやそれ以上に炸裂した。スタンディングのアリーナ席は、前へ前へと押し寄せるオーディエンスによってたちまちモッシュピットと化す。1、2階席もガンガン揺れる。激しく展開しながらも乱れないサウンドの屋台骨を支えるTomonori(Dr)やKei(B)も、ヘヴィな音の塊をたたき出しながら視覚にも映えるプレイをみせ、フロントの2名は時折息のあった振り付けや決めポーズも披露しながら、それぞれのボーカルパートを歌い上げる。特にMinamiは、キーボードをプレイしたかと思えば、ステージに駆け出し暴れまくり、激しくスクリームやグロウルを轟かせ、おまけにアクロバティックなアクションまで繰り出すのだから、とんでもないバイタリティだ。とにかく「こうノってください」と言わんばかりに分かりやすく曲中でビートとノリが変化し、本能に訴えかけてくるサウンドと視覚効果が、格別に楽しい。SoとMinamiを中心に、メンバーも一緒に飛び跳ねたり頭を振ったりと先導してくれる。「アルバムのテーマは一体感」とも語っていたように、どの曲でもメンバーとファンが一丸となって踊り、暴れ、特別な時間を共有していった。

Fear, and Loathing in Las Vegas

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冒頭からの3曲に象徴されるように『Feeling of Unity』収録曲中心にセットリストが組まれたこの日。中でもちょうど1年前の2015年1月7日にリリースした「Let Me Hear」では、一際メロディアスなSoのボーカルラインから「踊ろうぜ!」のシャウトを合図にMinamiがお立ち台で踊りまくり、そのままヘドバンタイムの到来……と思ったら再びメロディアスなパートに!という急転直下の構成で、FaLiLVの真髄を見せてくれた。ライブ全体での起承転結が設けられているのはよくあることだが、彼らの場合、むしろライブ全体を通した起承転結はそれほど無く、ひたすら攻めの姿勢を貫いている。その代わりにひとつひとつの曲中に有り得ないレベルの起承転結が存在する。だから一切弛緩することのないライブの中で、しっかり身体と心を揺さぶられ、持っていかれるのだ。もちろんそこにはしっかりとメッセージも込められており、アルバムで最後に完成したという「Journey to Aim High」の演奏前には、2年連続のフルアルバム制作で時間的に追い詰められながら、とにかく良いものを作りたくてあがいたこと、肉親や近い存在の死といった精神的に追い込まれる状況もあったこと、そんな中でファンの支えを実感したこと……Sxunのまっすぐな言葉で告げられた。ツインギターの美しいユニゾンから放たれるスケールの大きなサウンドに乗せ、Soが歌い上げる歌詞が日本語で背後のスクリーンに映る。<僕らは自分のやりたいことを突き詰めて 最高の人生を歩んで見せる>。苦悩の中で再確認したその想いこそが、この日の武道館で提示された一体感であり、貫かれた”FaLiLVらしさ”、さらには彼らが多くのファンを惹きつけてきた理由に他ならない。

Fear, and Loathing in Las Vegas

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終盤には誇張なしに会場全体が揺れた「Chase the Light!」、Taikiの渾身の絶叫でさらにその震度を増した「Evolution」、彼らの音楽のあらゆる楽しさを詰め込んだ「Party Boys」という容赦ない波状攻撃を繰り出してから、「最後に一緒に大きな声で歌って、アルバム『Feeling of Unity』を完成させたいです。いけますか!?」の呼びかけにオーディエンスが全力で応えて「Virtue and Vice」からの「Starburst」で締め。金テープが噴射される中で全員が歌い踊り、ラストのサビでは大量の紙吹雪がキラキラと舞い上がる。なんという輝かしい光景だろうか。「ありがとうございました!!」と大きく手を広げて絶叫したSoに鳴り止まない拍手が送られる中、静かにエンドロールが流れ出し、FaLiLVの武道館公演は幕を下ろした。時間にすれば2時間に満たない。アンコールは無し。ド派手な演出とは対照的に、3時間越えも珍しくない武道館のライブにおいて、清々しいほど潔い簡潔なステージだ。それでもこれほどまでに全員が出し尽くし、達成感と充足感を味わうことができるのだから、彼らのサウンドとパフォーマンスは本当に恐ろしい。

またこの日、彼らから4つの発表があった。
・自身のアパレルブランドを立ち上げること
・この日の武道館公演が映像化され、MVやインタビューも収録されること
・4月26日より『FIRST ONE MAN SHOWS TOUR 2016』と題し、全国ツアーを行うこと
・8月には大阪某所で初の主催イベントを開催すること。
これらは武道館公演を経ても決して歩みを緩めることなく進み続けるという、決意表明でもあるだろう。

Fear, and Loathing in Las Vegas

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「今日このステージに立って改めて強く実感した想いがあります。これからももっと大きなステージに挑んでいきたいし、ライブハウスとか、すごく近い距離で一緒に汗だくになるようなライブもやっていきたいんです。自分たちの原点も大事にして、新しいことにも挑戦していく。そういうバンドでありたいと思っています!」(Sxun)

その言葉通りに、彼らにはこれからも会場の大小に関係なく、自らの信じる音楽と方法論をどこまでも貫き、痛快に頭のネジを吹っ飛ばせるライブを続けていってほしい。その先に誰もが未体験のサウンドとステージが待っているはずだ。

 

撮影=小野雄司 文=風間大洋

Fear, and Loathing in Las Vegas

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セットリスト

“Feeling of Unity” Release Tour TOUR FINAL ONE MAN SHOW@武道館
2015.1.7 日本武道館

1. Cast Your Shell
2. Meaning of Existence
3. Escape from the Loop
4. Rave-up Tonight
5. Swing it!!
6. Let Me Hear
7. Burn the Disco Floor with your “2-step”!!
8. Ignite Your Frail Mind
9. Thunderclap
10. Interlude
11. Gratitude
12. Journey to Aim High
13. Just Awake
14. Sparkling Sky Laser
15. The Demon Called Careless
16. Shout but Seems Long, Time of Our Life
17. Chase the Light!
18. Evolution
19. Party Boys
20. Virtue and Vice
21. Starburst

 

ライブ情報

ONE MAN SHOWS TOUR 2016

4月26日(火)Zepp Fukuoka
4月29日(金)Zepp Sapporo
5月6日(金)Zepp Nagoya
5月7日(土)Zepp Tokyo

最速オフィシャル先行
受付期間:2016年1月8日(金)12:00~2016年1月17日(日)23:59
一般発売:2016年2月27日(土)

 

 

リリース情報

The Animals in Screen Ⅱ
-Feeling of Unity Release Tour Final ONE MAN SHOW at NIPPON BUDOKAN-

発売日:2016年4月27日
※2016年1月7日の日本武道館ワンマン公演のライブ映像に加え、全8曲のビデオクリップも収録!!

<収録ビデオクリップ>
Rave-up Tonight / Virtue and Vice / Thunderclap / Swing It!! / Let Me Hear / Starburst / Cast Your Shell / Party Boys

・第二弾メンバースペシャルロングインタビュー本収録

DVD:VPBQ-19096   ¥4300+tax
Blu-ray:VPXQ-79007 ¥4800+tax

 

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