福岡『TRIANGLE 2024』5年ぶりに完全復活ーーSHANK、マンウィズ、オーラル、ジーフリらと12組がビーチを熱狂の渦に

2024.5.30
レポート
音楽

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『TRIANGLE 2024』2024.4.27(SAT)福岡・シーサイドももち海浜公園地行浜ビーチ内特設ステージ

2024年4月27日(土)、28日(日)、29日(月・祝)の3日間に亘って、福岡・シーサイドももち海浜公園地行浜ビーチ内特設ステージにて、野外音楽フェス『TRIANGLE 2024』が開催された。同イベントは、「主催者・出演者・お客さんの全てが楽しめる場所を作りたい」 という思いで2001年に初開催され、九州各地を回るイベントとしてスタート。2016年より野外イベントに形を替え開催されてきたが、2020年より新型コロナ等の事情により、例年のような形での開催を断念することに。

その後は、ライブハウスを巡る原点回帰、そして配信での開催(2021年)、福岡・糸島市にあるLASPARK RESORTでのアコースティック開催(2022年)など新たな挑戦を続けながら、今年は5年ぶりにシーサイドももち海浜公園での野外開催となった。

撮影=SPICE編集部

ちなみに、このシーサイドももち海浜公園のすぐ近くには、みずほPayPayドームやZepp Fukuokaがあり、博多駅や天神など繁華街からバスで20~25分、福岡空港からでもバスで40分程で行けるアクセス抜群の好立地。都会でありながらも、ゆったりとした非日常な時間が流れる抜群のロケーションで音楽を楽しむことができる。

開場時間になると、入り口のアーケードの前で列を成していたオーディエンスが歓喜の表情を浮かべながら続々と入場。お目当てのバンドTを着た人たちだけでなく、過去の『TRIANGLE』のTシャツを着ている人の多さが、いかに開催を心待ちにされていたのかを物語っているようで印象的だった。

開演に先駆けて、オープニングMCを務める長岡大雅(KBCアナウンサー)が登場。「みなさんがいてくれるから今日を開催することができました!」とオーディエンスと同様に開催を待ち侘びたひとりとして喜びいっぱいに拳を掲げる。「さっき2歳の女の子を抱っこしているお母さんと会いました。「5年前に来た時は、この子はいませんでした。当時、友達だった今の旦那と遊びに行って、そのあと結婚してこの子が生まれて、初めて連れてくることができました」と。きっとその子にとっては初めてのフェス、初めてのライブなんじゃないでしょうか」と感慨深そうに語られた。

長岡大雅(KBCアナウンサー)

確かに、オーディエンスの年齢層は幅広く、子供連れのファミリーも多く見かけた(キッズエリアも設けられている)。長く続いてきたイベントだからこそ、バンドだけでなく、集まったオーディエンスひとりひとりに今日までの『TRIANGLE』との思い出がある、ということが早くも感じられるようなエピソードだった。その後、準備体操として恒例のヘドバン体操を実施。SHIMAのEGACCHO(Vo)を呼び込み、ライブさながらに頭を振って準備満タン!

長岡大雅(KBCアナウンサー)x SHIMA・EGACCHO(Vo)

Paledusk

トップバッターは、地元・福岡出身のPaledusk。「Lose Yourself」でアグレッシブにライブをスタート。KAITO(Vo)の合図でフロアはもみくちゃとなり、朝から問答無用にぶち上げていく。「人生で初めてのフェスが『TRIANGLE』で当時は難しい曲ばかりやってたけど、(初めて聴いた人の)入り口になるような曲がないと、と思ったことをキッカケに作った曲です」とKAITOが話し、「Blue Rose」へ。まだ自分たちのことを知らない人にこそしっかりと届けたい、という真摯な姿勢が一気通貫した、誠実さと熱情に溢れたステージで堂々とスタートダッシュをきった。

バックドロップシンデレラ

続くバックドロップシンデレラは、1曲目「アメリカでウンザウンザを踊る」から、でんでけあゆみ(Vo)がオーディエンスにダイブして転がりながら熱唱。MCでは、豊島“ペリー来航”渉(Gt.Vo)が「なんで『TRIANGLE』のアコースティックライブに呼ばれないんだよ!」とボヤきながら、出たいので「いい曲」を作ってきたと新曲「桜。轟音にのせ」を披露したり。じっくり聴かせたかと思えば、気づけばでんでけあゆみがステージの鉄骨をよじ登って歌っていたりとハチャメチャに。「そう何回も福岡に来れるバンドじゃないから……今日この1回に、この場所に全てを置いていきます!」と宣言しての「月あかりウンザウンザを踊る」は言葉通り全身全霊の1曲だった。

GOOD4NOTHING

GOOD4NOTHINGは、「Cause You’re Alive」からフルスロットルで「RIGHT NOW」「Maximize」と畳み掛ける。U-tan(Vo.Gt)が「めちゃくちゃ楽しいやんけー!」と見せたはち切れんばかりの笑顔は、オーディエンスの表情の写鏡であり、フロアは早々に沸点めがけて高騰。MCでは「大好きな仲間の大事なイベントに出させてもらえて、バンドマン冥利につきます!」と喜びを露に。今年25周年、4月に新メンバーとしてsasa(Dr.Cho)が加入したばかりのGOOD4NOTHINGにとっても特別なステージであり、その想いの丈は最新アルバム『HEARTS BURNING』の楽曲を織り交ぜながらしっかりと届けられた。

SPARK!!SOUND!!SHOW!!

初出場のSPARK!!SOUND!!SHOW!!はというと、「JUNGLE BUN DEM」でライブをスタートさせたかと思うと全員楽器を置いてダンスしたり、隣り合わせのもうひとつのステージまで走り回ったりとルール無用のお祭り騒ぎに。フロアをかき回して踊らせたかと思えば、沁みる「アワーミュージック」を聴かせたりする緩急がにくい。「ヘビーローテーション」ではPaleduskのKAITOが参加してさらに熱気を上昇させ、ラストスパートはビーチの砂埃が舞う大狂乱。チヨ(Ba.Cho)もダイブし、タナカユーキ(Vo.Gt)はオーディエンスの頭上をサーフしたり鉄骨を登ったりと鮮烈なステージングで心を鷲掴みにした。

04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabysは、「swim」「message」「My HERO」と頭からロケットスタート。「Galapagos Ⅱ」が鳴らされた頃には波のようにステージへと押し寄せるオーディエンス。GEN(Ba.Vo)は「帰ってきました! お帰りなさいとただいまと、おめでとうとありがとうの気持ちでいっぱいです!」と笑顔を見せつつ、MCではレポートには残せないビーチでの思い出を語って会場を笑いで包みこむ。「monolith」から「嫌なことも忘れて。ここでは何者にもならず、一緒にいいところに行きましょう」と、「fiction」「escape」そし水平線の果てまで突き抜けていくような「Horizon」を経ての「Squall」でフィニッシュする、ぐうの音も出ない完膚なきセトリでぶち上がらずにはいられなかった。

神はサイコロを振らない

一転して爽やかに、自分たちのスタイルを貫いたのは福岡発の神はサイコロを振らない。柳田周作(Vo)が「結成した頃からずっと出たかったフェス。激しいバンドの中に自分たちがいてもいいのか心細かったけど、考える必要がないくらいみんな盛り上がってくれて」と穏やかな表情をみせた。海沿いのロケーションにぴったりの「キラキラ」で美しい音色を届けたかと思えば、「修羅の巻」でゴリっとロックなスタイルを見せつけるレンジの広さを見せつける。最後まで華やかに、クラップ&ジャンプを誘う堂々たるライブで爪痕を残した。

OVER ARM THROW

OVER ARM THROWは「Stardust」で火蓋を切って落とすと、「Spiral」「ZINNIA」と問答無用に立て続けに投下。オーディエンスも拳を突き上げ、振り落とされまいと熱をぶつける。気づけばビーチにサークルが現れ、砂埃が舞う。海風と日差しが心地よく感じるほどの熱狂の渦を巻き起こしていく。後半戦につれて勢いは加速するばかりで、「Dear my songs」では菊池信也(Vo.Gt)が膝をついて迫真のプレイ。寺本英司(Dr.Cho)の打ち鳴らすリズムが鼓動を早め、鈴野洋平(Ba.Cho)の拳に合わせて衝動のままに体をぶつけ合う、凄まじい盛り上がりに。

KUZIRA

「​​Snatch Away」から「In The Deep」「Blue」「Pacific」と畳み掛けたKUZIRA。メロディの美しさと壮大な力強さがロケーションとの相乗効果もあいまって、みるみる熱気をまとっていく。高まりきった気分をぎゅっと凝縮して、今度は「The Weak」をじっくりと聴かせた。そんな心地いいムードから「Everywhere You Look」で急転、性別も年齢も関係なしにフロアがごちゃまぜに。末武竜之介(Vo.Gt)は『TRIANGLE』のライブハウスツアーに参加した時から待ち望んだステージであったと明かし、「この曲作った時、こんな景色を想像してたわ」と披露された「Backward」で、強く握りしめられた拳が勢いよく青天を突く光景は圧巻だった。

G-FREAK FACTORY

山びこのように海を渡り、対岸の島からも歌がかえってきそうなほど雄大なステージをみせたG-FREAK FACTORY。「海がない群馬県からきました。海が見えるステージは数年に1回だから嬉しい」と茂木洋晃(Vo)。「『TRIANGLE』が数年間諦めなかったから、今日ここに来れた」と開催されたことへの感謝を伝える。晴れたからと「SUNNY ISLAND STORY」を披露し、ラストは九州でのライブの足掛かりを築いてくれた主催・PROJECT FAMIRYに、そして集まったオーディエンスと作り上げる3日間に捧げるようにして届けられた「Fire」が、胸にいつまでも反響している。

THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTESは、「A-E-U-I」から「Red Criminal」でスタート。「お前らやばいってこと見せてください!」と山中拓也(Vo.Gt)が煽り、続け様に「Shala La」を投下。「最後まで休み曲、持ってきてませんから! 全力で暴れて帰って!」の言葉通り、怒涛のセットリストを見舞う。そんなオーラルに身を委ね、思いっきりぶつかっていくオーディエンスのキラキラとした表情が印象的。8年ぶりの出演にも関わらず温かく迎えられたことに感謝しつつ、ラスト「BLACK MEMORY」の大合唱は、彼らにしか作りえない狂おしいほど美しい光景だった。

MAN WITH A MISSION

大歓声に迎えられながら登場した、MAN WITH A MISSION。「Raise your flag」に始まり、「FLY AGAIN」で一気にオーディエンスの心をひとつにすると、ビーチが波のように揺れるは揺れる盛り上がり。「コンナ、クソ暑イ、ロケーションニ 呼ビ ヤガッテ!」とやっかみつつ、究極の生命体なのでなんのそのと言わんばかりに灼熱のステージをぶちかます。閉鎖感のある、つまらない毎日に感情をぶちまけるトリガーとして音楽があると切り出し、「INTO THE DEEP」からの「Take What U Want」のラストに、しばらく拍手と声援がやまなかった。

SHANK

そして初日のトリを飾ったのはSHANK。「Set the fire」から「Extreme」「620」と捲し立て、衝動に火をつけられたオーディエンスはいてもたってもいられず全身で音に応える。MCは淡々と、あくまでも楽曲で想いを伝えられ、熱情とメッセージを受け取ったオーディエンスが荒波のようにうねる。

SHANK

庵原将平(Vo.Ba)は改めて、主催・PROJECT FAMIRYの首藤氏への想いを語り、「続いていくのであれば、またこの場所に立ちたい。3日間の成功を祈って」と、ラストは日が暮れたビーチにぴったりの「Good Night Darling」。鳴り止まないアンコールに応えた「Honesty」に加えて、とどめの「submarine」で最高のフィナーレに。海が広がる開放的なロケーションでも、いつものライブハウスと変わらない等身大の轟音をこれでもかと打ち鳴らし続ける姿は痛快だった。

SHANK

SHANK

興奮冷めやらぬステージの余韻がしばらくビーチにただよった、初日の『TRIANGLE』。ステージには長岡大雅が登場し、最後まで手を振り観客を見送っていた。残り2日もバンドとオーディエンス、そしてスタッフが気持ちをひとつにして最高の1日を共に作り上げていくこととなる……!

取材・文=大西健斗 写真=『TRIANGLE』オフィシャル提供


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