カルティエの展覧会に北野武、香取慎吾ら登場 自身の作品展示も 『結 MUSUBI』展オープニングイベントレポート(後編)
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「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」オープニングイベントに登場した香取慎吾
「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」が、2024年6月12日(水)から7月28日(日)まで、東京国立博物館 表慶館にて開催されている。開幕直前となる6月10日(月)にはオープニングイベントが開催され、北野武や香取慎吾など著名人12名が出席。豪華なジュエリーに身をまとった出席者(後半6名)の様子を、コメントとともにお届けする。
燦爛たるゲストと華麗なジュエリー
これまでのドレスやスーツ姿の登壇者から一転し、着物姿で登場した内田也哉子。着物は樹木希林さんから受け継いだ昭和初期のものだそうで「母は古い職人さんの手仕事が生きているモノをとても大切にする人だったので、それを私が受け継いで、またモデルの息子は、洋服の上にダウンのように(この着物を)羽織って撮影したりもしています。カルティエのジュエリーもそうですけど、世代を超え、時代を超えて引き継がれていくものという意味で、これを選びました」と本展覧会にちなんだ衣装で魅せた。襟元の〈パンテール ドゥ カルティエ〉のポケットジュエリーについては「男性がつけるものですが、それを女性である私が着物の帯留めや襟元にあしらって使えることも、ジェンダーを超えて良いなと思います」とコメントした。
内田也哉子
ーー大切にしている絆はありますか?
絆、結び、ご縁という言葉で思い浮かんだんですけど、私が生まれて初めて映画館で見た映画がジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』という映画だったんですね。それからフランス映画、本、絵画を見たり、中学校からフランス語を学んだり、フランス語圏のスイスの高校に行ったり、大学もフランスにちょっと行ったりと、フランスとのご縁を感じます。15歳のときに出会った夫(本木雅弘)もジャン・コクトーをすごく敬愛していたので、その作品の話で夫とのご縁が深まって。ジャン・コクトー自身もカルティエの歴史を振り返ると出てくる縁の深いアーティストですし、カルティエというメゾンは、自分たちのなかでも憧れの存在としてありました。結婚してしばらくはロンドンで生活していたんですけど、電車に乗ってパリに行き、カルティエ展の展覧会に行った思い出も。時代や人生のいろんな季節を経て、フランスの文化だったり、カルティエの職人技だったり、夫との縁結びも含めて……。今、長女がパリの大学院で勉強していてもうすぐ会いにいくので、カルティエのショップに行けたらいいなと思ったりもします。
ーーこれまでに影響を受けた日本の文化や美学はありますか?
日本は花鳥風月を愛でる文化というか、季節の移ろいの儚さなどの部分で、はっきりと目には見えないけれどもそれを慈しんだり、アートや職人技にインスパイアされたりしていると思います。着物ひとつにしても、襦袢など表には見えないところでおしゃれをしたり、裾の裏に技術が光っていたり、パッと目に見えるものではない、奥に感じる感性というか……。今から(展覧会を)鑑賞するのでとても楽しみにしているのですが、藤棚や桜だったり、日本のいろんな四季から影響を受けているカルティエの作品が見られるということなので、そういう意味でも日本の文化が相互に影響を与え合っているというのが、日本人として誇りに思います。
内田也哉子
小澤征悦は、2024年9月発売予定の新作〈サントス デュモン〉を身につけて登場。サントスは飛行家の友人のためにカルティエが作った腕時計の礎となる1本であるというルーツを披露し「そんな歴史のある、素晴らしい時計をつけさせていただけるなんてありがたいです」と感激した様子。また、胸元・手元に光る〈ジュスト アン クル〉については「これは釘をモチーフにしているそうで。日常にあるものをあえてラグジュアリーに、品がある感じに作り変えているのがカルティエらしいですよね」と笑顔を見せた。
小澤征悦
ーー大切にしている絆はありますか?
実はちょっと前に結婚させていただきまして。今つけている結婚指輪は、妻(NHKの桑子真帆アナウンサー)と相談していたら「カルティエっていいよね」と、銀座のお店に行かせてもらって。色々見たのですが、そこで目についたものが「なんか見たことあるなぁ」って思いまして……。それをうちの両親に聞いてみたら、なんと55年くらい前に両親がニューヨークのカルティエで買った結婚指輪だったんです。だったら一緒にしようよと、これ(指輪)を購入しました。だから自分にとってはカルティエが絆だともいえます。今回、カルティエが日本に来て50周年という場に自分が立たせていただいていて、カルティエの指輪をしているということも、僕にとっての絆かなと思います。
ーーこれまでに影響を受けた日本の文化や美学はありますか?
実は二十歳のときに1年間アメリカに留学していたことがあって。夏祭りやお祭りは、日本国内にいたときは普通だなと思っていたんですけど、一回外に出てみると、なんて素晴らしい文化なんだろうと感じたんです。それから、コロナ禍もあって行けなかったときもあったのですが、毎年伊勢神宮に参拝に行っておりまして。朝5時にスーツを着て手を合わせに行くのですが、日本の古来からある、みんなが心の中で大切に持っているもの……二礼二拍手一礼にしたってそう、そういったものが脈々と続いているということが日本のすごく良いところだと思っています。
小澤征悦
鈴木保奈美は光沢のあるホワイトのドレスに〈パンテール ドゥ カルティエ〉を身につけて登場。8000万円のネックレス、3500万円のブレスレット、1500万円のイヤリング……と超豪華なジュエリーであるにも関わらず、それをサラリと身につける姿は女神のようで、一瞬にして目を奪われてしまった。「非常にあるボリュームのあるデザインなのですが、とても軽やかに滑らかに製作されていて、私は専門的なことはわからないんですけれども、きっととても高い技術が駆使されているんだろうなと思います」とカルティエの技術に驚きつつ、「ここ(胸元、左右の耳)にパンテールちゃんがいて、神聖なものに守られているような気がします」と微笑んだ。
鈴木保奈美
ーー大切にしている絆はありますか?
私は出会った方、全てとの絆をできるだけ大切にしたいと思っています。家族や友人や仕事仲間はもちろんですが、初めて会う方、もしかしたら一度きりになるかもしれない方、今日ここにいらしているみなさんも、何かこの場を共有できるというのは奇跡的なことのような気がしますので、みなさんと全ての絆を常に大事にしていきたいと思っています。
ーー展覧会を見た感想は?
素晴らしかったです。カルティエというハイブランドがおそらく100年以上前から日本の文化の美しさにどれだけ注目して好奇心を持ってくれていたのかということがよくわかります。でも……、難しいことは置いておいて、かわいらしいおもちゃ箱を見るような、とても楽しい作品がたくさんありますし、カルティエのアーカイブジュエリー、トラディショナルなものと、カルティエ財団の展示である新しいアートが同時に見られて。カルティエの持っている懐の深さや歴史の深さなんだろうなと思います。それを一度に見られる機会はなかなかないと思うので、私ももう一度時間を取って、丸一日ゆっくりと見たいと思うような素晴らしい展示でした。
鈴木保奈美
爽やかな笑顔を見せながら香取慎吾が到着。〈パンテール ドゥ カルティエ〉のリングをはめた手をパッと開いて見せながら「豹ですね。すごい好き。このままつけて帰りたい。遊び心というか、いたずら心をくすぐられる。勢いがありますよね」と茶目っ気たっぷりにコメント。「指輪って、コロナ禍でアルコール消毒とか手を洗う機会がすごく増えて、しなくなっちゃった時期があって。ファッションってどこか武装するじゃないけど、その日の自分に立ち向かうときに、それを盛り上げてくれるひとつだと思うから、今日もこんなに素敵なジュエリーをつけさせてもらってうれしいですね」と笑顔で答えた。手首に添えられた〈タンク アメリカン〉とは深い関係があるようで「タンクが100周年を迎えた2017年、僕はそのときにタンクの絵を描かせていただいて」と切り出し、「その絵が今回も展示されているということで。本当に幸せ」と感無量の様子。「2017年って新たな道を歩もうとしたときで、もうなかなかの時期でして。仕事も何も一度無くなったくらいのなかでカルティエが声をかけてくれて。そのときは自分もまだどこに向かえばいいかわからないなかで必死に描いた絵なんだけど、それが何年も経って繋がって、こんなに素敵な場所に自分の絵が飾られる。錚々たるアーティストの方々と展示されるというのがすごくうれしく思っています」と感慨深い様子。最後に「結構ちゃんとしたコメントを言いました(笑)」と締めるのが彼らしく、会場内がパッと明るい雰囲気に包まれた。
香取慎吾
ーー大切にしている絆はありますか?
絆だらけですよ。結び、縁……。生きるって大変じゃないですか。苦しいことも大変なこともあるけど、自分だけじゃなくいろんな人との縁が繋がって、今日も僕はここにいるだろうし、みなさんと今日出会えたのもそうだし、これを見てくださったみなさんがここに足を運んでくれて僕の絵を見つけてくれたら、また僕と結ばれるかなって思ってます。
ーーカルティエ現代美術財団との思い出は?
2017年に声をかけていただき絵を描いたのもそうなんですけど、それよりもっと前に(北野)武さんがパリのカルティエで展覧会(『絵描き小僧』展)をしたのを、僕は地下鉄を乗り継いで見に行ってるんですよ。それでそのとき図録を、すごい大きい武さんのサイン入りの図録を買って。それをお仕事で会えたときに持っていって「こっち側にもう1個サインください」って言って、僕の図録にはサインが2個あるんです。そのときの武さんの絵も今回展示されてて。同じ展覧会に自分の絵も飾られるなんて!こんなことないですよ、本当に幸せ!
香取慎吾
松嶋菜々子は、この日一番となるトータル約3億円のハイジュエリーを身にまとって登場。ブラックのジャケットとドレスのシックな装いからは凛としたオーラが溢れ、「ジュエリーそれぞれにカルティエの昔からのモチーフが施されていて、すごく歴史を感じます」と話すその美しさに魅了されてしまう。身につけたネックレスの特徴について触れ、「途中で取り外すことができて、ネックレスとブレスレットの2wayになるんです。そういう粋なところもカルティエの特徴だなと思います」と微笑んだ。
松嶋菜々子
ーー大切にしている絆はありますか?
絆やご縁というのは日々いつも感じていて。それはすごくインスピレーションを受ける関係もあれば、助け合う関係でもあったり。ちょっとした小さな出会いであっても一つひとつを流すことなく大切に、一つひとつを見つめていくことで、お互いに良い影響を与えられるものとして大切に育んでいけるものだと思います。
ーーこれまでに影響を受けた日本の文化や美学はありますか?
一番初めに日本の文化に触れたのは、子供の頃ですけれども、浴衣を着て盆踊りに行くということであったり。書道を習っていたので文字を美しく書くということ、そして適切な漢字を選んで文章を書くということ、そういうことに日本の表現としての素晴らしさをいつも感じています。また美学に関しては、足し引きといいますか。ひとつのものを際立たせるために他のものを引くという、このうまいバランスを推し量れるのが日本の美学の素晴らしさかなと思っています。
松嶋菜々子
最後に登場したのは北野武。カルティエ現代美術財団のエルベ・シャンデス氏と挨拶をする姿からも、すでに圧倒的なオーラが漂う。指定の位置につき質疑応答の時間になると、他のゲストと同じように“大切にしている絆はありますか?”と質問をされるが、「何を?絆?大切に思ってること?何を大切にしてるのかよくわかんないな」と、早速の武節が炸裂した。
北野武
北野武
ーーカルティエ現代美術財団との出会い、思い出は?
フランスに行ったときにエルベさんとちょっと会って、カルティエの建物のなかに現代美術財団の方がいたんだけど、そこで「この建物を全部使っていいから何かやらないか」って言われて。「ロケットを上げたい」とかいろんなことを言ったんだけど、結果的にはまあまあ好きなことをやらせていただいたんですけど。でもやってることが俺だから、すごい幼稚で。一番人気出たのが、近所の小学校の生徒の遠足の会場になってしまったっていう。だから入場人数はすごかったんですけど、内容を見れば実に小学生向けというか。まあ自分の実力もそんなもんですから。でも楽しんでいただけたかなと思います。
左から:北野武、エルベ・シャンデス氏
展覧会「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」は、左右対称の構造をなす表慶館を舞台に、カルティエと日本、そしてカルティエ現代美術財団と日本のアーティストという2つの絆を紐解く。2024年7月28日(日)まで、東京国立博物館 表慶館にて開催。
文=SPICE編集部 撮影=大橋祐希
展覧会情報
会期:2024年6月12日(水)~7月28日(日)
休館日:毎週月曜日、7月16日(火)*7月15日(月・祝)は開館
開館時間:9時30分–17時、金・土曜日は19時00分まで(入館は閉館の30分前まで)
会場:東京国立博物館 表慶館(〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9)
前編レポートも公開中!
https://spice.eplus.jp/articles/329601