Base Ball Bear×橋本絵莉子 脈々と続いてきた二組の歴史の新たな1ページ、『なかなか(いい感じの)男女』開催目前対談
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Base Ball Bear×橋本絵莉子 撮影=高田梓
Base Ball Bearと橋本絵莉子。両者の長く深い繋がりを知る者には感涙必至のツーマンライブが遂に実現する。同じ事務所、ほぼ同期デビュー、新人バンド三組で回った伝説のツアー『若若男女サマーツアー』、チャットモンチーのラストライブ『こなそんフェス2018』での共演、昨年のBase Ball BearのLINE CUBE SHIBUYA公演で橋本絵莉子が影アナをつとめる等、脈々と続いてきた二組の歴史に新たな1ページが書き加えられる時が来た。
SPICEでは3月9日に開催される『SMA 50th Anniversary presents 「なかなか(いい感じの)男女」supported by KT Zepp Yokohama 5th Anniversary』を盛り上げるべく、両者の対談を実施。橋本絵莉子、小出祐介、堀之内大介、関根史織の4人に、昔話から未来の話までを縦横無尽に語ってもらった。
■当時、好きでいてくれて、間があいていたとしても、今回のライブを観て、現在進行形の二組の演奏を観て、もっと好きになってくれれば。
――最近、お互いのライブは観ていますか。
小出:去年の9月、うちのLINE CUBE SHIBUYAのライブの影アナをやっていただいて。そのちょっと後に絵莉子のO-EASTのライブを全員で観に行きました。
橋本:私はLINE CUBE SHIBUYAで観たんですけど、面白いし、しっかりしてるし、不安なところが全くない。安心して見れるし、楽しいから、めっちゃいいなと思いました。
小出:「キャリア重ねたねぇ」って感じ?
橋本:そうそう。安心感がある。ずっと前から知ってるっていうのもあるかもしれないけど。
小出:なるほど。でもね、うちのバンドは「ライブが安定してないな」って思ってた時代が長かったんですね。
関根:「良くないライブしたな」って、メンバーで反省会するけど、明確な答えも出ないみたいな時間が結構長かった。
小出:それで、ライブプロデューサーの人が入ったりとか。
橋本:そうなんや。それって、何を言ってくれるの?
関根:セットリストの流れとか、曲のつなぎとかね。
小出:ライブアレンジや演出も含めて、アドバイスをしてくれる。
関根:その人に頼まないといけないくらい、メンバーの中でも明確な答えがわからなくて。
橋本:それ、いつ頃の話?
小出:2回目の武道館の頃。2012、13年の2年間見てもらって、そこから自分たちでライブのことを考えるように、また切り替えていったんだけど。
橋本:聞いてもいい? それは演奏面において? それとも感触? お客さんとの。
小出:どっちもだと思う。
橋本:へえー。ちょっと、知りませんでした。
小出祐介(Base Ball Bear:Vo,Gt)
小出:そのせいで、長いことライブが好きじゃなかった。3人になって「もう一回土台からの作り直しだね」みたいな感じにはなったけど、むしろ、そこからのほうが「自分たちでやらなきゃ」っていう意識が強くなって、どんどんライブが楽しくなっていった。それでも、この間、3回目の武道館(2022年11月)が終わった後、PAさんと話したら「もっとできた気がする」って言われて。何についてなのかを聞いたら「音的に」って。
橋本:楽器の音ってこと?
小出:全員の楽器の出音もそうだし、それをどう束にするか、中と外の音をどう混ぜるか。総じて、どんなライブの音にするのか、っていうことだね。これはチームのコミュニケーションの話でもあるんだけど、たぶん小出はそういう話をすると嫌がるって思われてたのね。でも、本当は逆で、音に関してはいろいろ試すのが好きな人だから、PAさんにたくさん意見をもらって、なるほどって。そこからツアーを通じて毎回試行錯誤をくりかえしていったから、今では武道館の当時より、もっと良くなったと思ってる。
堀之内:そうだね。
小出:自分たちでライブの全体をコントロールできるようになってきて、どんどん楽しくなってる。
橋本:そこを超えてからの、LINE CUBE SHIBUYAだったんだ。そんなこと、微塵も感じへんかったよ。でも、だからこそ良かったんだね。
堀之内:逆に、O-EASTに観に行った時は、ちょっと羨ましいなと思った。
小出:ナチュラルなライブだった。
堀之内:素がめっちゃ出てるなと思った。こうやって普段の時の素の感じと、ステージの上の姿がちゃんとマッチして、お客さんもそれを楽しんでる感じが俺はしたから、すごくいいなと思った。
橋本:ありがとう。
小出:ソロのアルバムもそうだけど、チャットモンチーの時代を含めても、元々、音の隙間をすごい作る人じゃない? ライブの場でも、音が埋まってない時間が長くて、その緊張感がすごい良かった。
橋本:あるよね。緊張感。
小出:その緊張感で、ちゃんとお客さんを育ててきてる感じがある。緊張感をお客さんもちゃんと楽しんでる。それがかっこよかったです。「なめんな」って感じがしましたね。
橋本:それ、まだ出てた?(笑) だいぶ出なくなったと思ってたけど、出てたか。
小出:まだ出てますよ。
堀之内:お客さんも、それ待ちみたいなところがある(笑)。
小出:こういう音の構成でやってる人は、常に「なめんな」って思ってるに違いないよ。
関根:そうだね。思ってるはず。
橋本:そうかー。自分的には、だいぶフレンドリーな気持ちでやってるんだけど。
小出:空気感はね。全然フレンドリーではあるんだけどね。
橋本:だから「もうちょっと来てくれても」って思う瞬間も、ぶっちゃけあるんやけど。それをするにはどうしたらいいかな? って、考えたりはする。そこがちょっと、上手くできへんのやけど。
小出:いや、そのままでいいよ。連れて行かなくていい。勝手に行けばいいっていうか、勝手にみんな、もう行ってる感じがするよ。見てて。
関根:うん。そのほうがいい気がする。もう私たちも、この年数ですから、あんまり考えないでいいのかな?とか思いつつ。
小出:あんまり、連れて行こうとしちゃうとね。適度に、加減はあっていいかなと思います。でも、そうか「もっと来いよ」って思ってたんだ。
橋本絵莉子
橋本:もう、ずっとMCが苦手で。普段人と話す時には、うなずいてくれたりとかするやん。でもMCって、それがないやん。それがすごい苦手で、ちゃんと理解してくれてるのかな? って、不安になるわけ。で、曲をやってる時にも、そういう気持ちにちょっとなったりするのよ。だからなるべく歩み寄りたいって思うんだけど、それが難しい。今、ちょっと考え中。
小出:なるほどね。確かにさ、こっちが強めの火力で行ってる時に「よく棒立ちでいられますね」みたいな時、あるもんね。
橋本:あはは!
堀之内:でも、意外と自分がその立場だったらそうなっちゃう。
小出:そうなんだよ(笑)。
堀之内:それは俺も、30代後半くらいから、より思ってることで。「そんなんで大丈夫?」とか言ってるけど、自分がやってる時もあるから。棒立ちを。
小出:意外と大丈夫なんだよね。
堀之内:全然大丈夫。だって、会場に来てるんだもん。だし、また来てくれるんだもん。
橋本:そうか(笑)。大丈夫なのか。
関根:お金払ってライブハウスに来るなんて、尋常じゃないことだなと思う。
堀之内:移動も含めて体力がいるから。でも、それでも来てくれるんだもん。
橋本:足も疲れるしね。
小出:ほんとだよ。ライブを観るのって、大変だよ。
堀之内:それで、本当にお客さんが来なくなったら、ここまで続いてないです。だから、それでいいの。(お客さんのことを思う)その気持ちがあればいいの。
小出:あとは、各々の受け止め方で、全然問題なし。
堀之内:むしろ「気にしてくれるんだ、ありがとう」って思うよ。自分がお客さんになった時のことを考えると。
橋本:うん。そんな気がしてきた。
――楽屋話をこっそり聞いてるような気分で、楽しいです。ここでちょっと、昔話をしていいですか。チャットモンチー、Base Ball Bear、シュノーケルの新人三組で回った『若若男女(にゃくにゃくなんにょ)サマーツアー』(2006年、2007年、2008年に開催)の話を。今回の『なかなか(いい感じの)男女』って、明らかに、オマージュになってるじゃないですか。
小出:これ、なんでこのタイトルにしたんだっけ?
堀之内:最初、色々言ってたんだよね。3月9日だからサンキューとか言って。あれは収録の日か何かで、二人(小出&関根)は結構疲れてて。楽屋からリモートで。
小出:テレ朝の楽屋だ。
堀之内:で、俺がずっと、収録のしゃべりのテンションのままでワーッと言ってて。「やっぱり“男女”は付いてたほうがいいんじゃないの?」って。「いい感じの男女」って、最初に言ったんだと思う。
橋本:そう。ホーリーが「いい感じの」って言ったの。
堀之内:で、最終的に「若若」に語感が近いものをということで、「なかなか」が出てきた。「いい感じの」をカッコに入れて『なかなか(いい感じの)男女』にしようみたいな話をした気がする。当時もたぶん、そんな感じで決めてるよね。
――誰が決めたんでしたっけ。
小出:『若若男女』は僕でしたね。当時のシュノーケルのチーフマネージャーから、タイトルを考えて欲しいと言われて、三つ四つ、考えたうちの一つだったと思う。Base Ball Bearと、チャットモンチーと、シュノーケルで、若い男女の集まりでしたからね。そういうタイトルにさせていただいて。でも、初回の2006年の段階では、3組の面識はそこまであったわけじゃなかったよね。
堀之内:対バンが、1回か2回ずつぐらい。『若若』の前だっけ、チャットに出してもらった『半熟』は。
小出:チャットが2006年の4月に、新宿LOFTでやった自主企画ライブだね。『新宿で半熟』。
橋本:やったねー。
堀之内大介(Base Ball Bear:Dr,Cho)
堀之内:シュノーケルは、うちが代々木Zher the ZOOでやった『東京ピラミッド』ってイベントに呼んでた。チャットは、シュノーケルと面識はあった?
橋本:どうだったんだろう……。すみません、忘れちゃってます。激動すぎて、その辺りが。
堀之内:みんな、そうだよね。デビューの当時って、1年ぐらい記憶がなくなるんですよ。忙しすぎて。
小出:『若若』は覚えてます?
橋本:覚えてるよ。何回目の思い出かとかは、ちょっと思い出せんのやけど、覚えてはいる。第1回目で何か所回ったとかは、全く覚えてないけど。
堀之内:毎回、3か所でしょ?
――いや、2年目は5か所ですね。横浜BLITZ、ダイアモンドホール、新木場COAST、福岡LOGOS、なんばHatch。
小出:気合入ってますね。
――1年目が渋谷AX、大阪BIG CAT、福岡LOGOSですね。
堀之内:最後も3か所ですよね。
――そうですね、3年目のラストイヤーは、Zepp Osaka、JCBホール、Zepp Sapporoです。
小出:1年目が「今夜はブギーバック」で、2年目が「Choo Choo TRAIN」で、3年目がm-floの「Summer Time Love」か。アンコールでカバーをやるのが恒例でね。楽器を持ってないメンバーが踊ってる時間があった。
堀之内:俺、めっちゃ振り付けを考えていった気がする。
小出:そういうのもさ、全体的に発想が若いよね。
関根:よくやってたよね。
堀之内:20年前だよ。
橋本:めっちゃ楽しかったのは、覚えてる。
小出:自分はもう、とにかくその2バンドに負けたくなかった。一番、キマッてた。やりに行ってた。 ちょっと前に映像を発掘して観たんだけど、恥ずかしくてしんどかった。力、入りすぎてて。
橋本:新木場COASTって聞いて、今めっちゃ蘇った。全然上手くできんくて、その日。で、トイレにこもるっていう。
堀之内:あ、なんか今、めっちゃ思い出した。しかもさ、それ、出順の結構ギリギリまで。
橋本:そうそう。ベボベが最後で、めっちゃ良かったの。ライブが。
関根:そう言われたの、思い出した。
橋本:で、余計に自分のできなさが悲しくて。でも、トイレにこもるとかも、若いよね(笑)。今考えたら。
小出:若いけど、わりと、そういうことをやってるイメージでしたよ(笑)。
橋本:結構、こもりがちではあった(笑)。何回か、こもってました。思い出しました。
小出:それが2007年か。
関根史織(Base Ball Bear:Ba,Cho)
――いい意味で、ライバル心があったということですね。お互い。
小出:僕はやっぱり悔しかったんですよね。チャットモンチーが四国から出てきて、自分たちはずっと東京で泥水をすすっていたのに、デビューのタイミングのブーストが、すごいかかってたから。レコード会社ブーストが、すごいあったように見えてたから。
堀之内:サンプル盤をもらった時に、「ウェイ!」っていう感じがあった。
小出:「絶対に四国に追い返すぞ」と、思ってた。
橋本:あははは!
堀之内:思ってはいたよね。シュノーケルに対しても。
小出:「九州に送り返してやる!」って。
堀之内:チャットとかが出て来る前までの話だけど、うちらがライブハウスで活動していた頃は、東京のバンドがいなかったんですよ。各地から来て「フロム〇〇」っていうのがすごく多くて、そういうバンドと会うたびに「俺ら東京だよ。頑張ってやってんだよ」みたいな感じでやってた時代だから。「すげぇ強いの来た」っていう感じが、やっぱりあったよ。
小出:実際、チャットモンチーはすごい良かったからね。そういうバンドと、東京で出会ってなかった。強敵に。対バンするのが年上ばっかりで、でもこっちは負けてないってずっと思えてたんだけど、チャットモンチーを初めて見た時に「これはまずい」って思った。絶対に負けたくなかった。チャットモンチーは事務所所属の同期ではあるけど、デビューはちょっと早いんで、フェスに先に出たりとかしていてね。見ていて悔しかったし、置いていかれないようにしなきゃなって思った。
堀之内:それこそ、武道館もね。早かったし。
小出:我々視点で言うと、そういうことです。
――『若若』は、3年で一区切りしたんですよね。そして、3組がそれぞれのフィールドへ向かっていった。
小出:でも絵莉子さん、さては、あれですね。この時期のことは、本当にあんまり覚えてませんね。
橋本:上京してきて、東京に慣れるのも大変だったし、そっちの大変さとデビューの大変さがぶつかって、もう本当にぐちゃぐちゃすぎて、頭の中とかも。
小出:上京は何年?
橋本:2005年。でも、デビューの前からレコーディングでちょくちょく来て、ホテルにずっと泊まってたりしたから。ちゃんと住み始めたのは、2005年かな。2006年かな。で、いきなりフェスとかも出たから、すごい目まぐるしかった。
小出:うちより、1クール早いんだよね。夏フェスの前に『CDJ(COUNTDOWN JAPAN)』とかに出てた。
橋本:そう。『05/06』に出てる。
堀之内:俺らはそれに出てなくて、翌年の夏からだからね。フェスに出始めたのは。その時、チャットと一緒だった。WING TENTができた年。あと、『SETSTOCK』と。
小出:2007、2008年とか、覚えてる? 映画のタイアップ、ドラマのタイアップやりますみたいな、その時期のこと。
橋本:タイアップをやったのは覚えとる。でも、自分の発言とか、忘れてる。細かいこととかは忘れてます。
小出:そうだよね。デビューして、最初の3年ぐらいは、スケジュールを追っていくのでやっと、みたいな感じだった。うちも。
橋本:やっぱり最初はみんな、ギアが入ってるから。
――そんな、長く濃密な過去を経て。今回、久々ですよね。対バンは。
小出:対バンは、めっちゃ久々じゃないですか。
堀之内:『こなそんフェス』(2018年)以来でしょ。たぶん。
関根:橋本絵莉子名義になってからは、初めて。
――何をやりますか。
小出:それも、決まってないんですよ。決めたほうがいいですよね。何やりましょうか。
橋本:一緒にやることは、しゃべってもいいのかな。
小出:じゃあ「この日はアンコールがあります」とだけ言っておきますか。というか、ほぼ三部構成ぐらいに思っていただければ。
橋本:何かしらあるっていう。
小出:それぞれのライブは、どうなるんですかね。それぞれのパートはそれぞれのパートで、っていう感じでしょうけど。
堀之内:普通に現在進行形のものをやるんでしょうけど。
小出:絵莉子バンドの緊張感に、負けないように頑張りたいですね。
関根:頑張りたいです。
堀之内:えっちゃんのバンドは、ベテラン勢が強いからね。曽根(巧)さんは、俺のことをやる気で来るって、事前に言われてるから。圧をかけられてるから。「やってやっからな!」って。
橋本:優しいな。事前に教えてくれるなんて(笑)。
小出:俺は、(村田)シゲさんを黙らせる。
関根:あんな、おしゃべりな人を(笑)。
小出:シゲさんを、MCでしゃべらせないように頑張る。
堀之内:それぐらい、やっぱり居心地がいいんですよ。えっちゃんのバンドは。俺、やっぱりそれはすごい思いますもん。おととしの年末に、一緒に演奏してて(『FM802 RADIO CRAZY 2023』で橋本、堀之内、関根が共演)、そういう感じになったもん。あったかいんだから~って。
小出:クマムシみたいに。ひとりクマムシ。
堀之内:でも、本当にそう。「あったかい~」って思った。それぐらい、メンバーのみなさんが、えっちゃんとやってて楽しいんだろうなって、すごいファミリー感がありましたよ。
小出:みなさん、楽しそうですもんね。
橋本:良かったです。嬉しいです。
小出:そういう柔和な感じは、ソロになって、さらに出てきたと思うんですよね。バンド時代は、パーソナリティみたいなものって、実はそこまで見えてなかった。
橋本:うん。そうね。
小出:それが、ソロになって出てきましたね。
橋本:バンドの中におったら、役割分担っていうのもあると思うし、やっぱりみんなで進めていかなきゃいけないから。なんて言うんだろうな、尖ってる部分だけ出るっていうか、そこを突き合わせて、みんなで進んでいくみたいな感じで、それ以外のなだらかな部分って、別に発揮せんでもいいっていうか。
小出:なるほどね。
橋本:そうだった気がするんだけど、やっぱり一人になって、メンバーさんはすごい優しいし、色々話も聞いてくれるけど、甘えたらいけないと思ってて。自分で、ちゃんと決めるところは決めて、お願いしなきゃって思ってる。だけど、やっぱり丸見えにはなってると思うから、その隠せない部分っていうのは、出るかもしれない。
堀之内:だから、素の部分が出てるなって感じたのかもしれない。それがすごい良かった。なんで良かったって思ったのか、理由が今わかった。話を聞いて。
小出:結果、それが丸みだったというのは意外だよね。人によっては、ソロになってさらにエッジが出たりするじゃん。ちびまる子ちゃんの、永沢くんみたいな、バンド時代はここ(頭のてっぺん)しか見えなかったけど……。
堀之内:下は意外と丸いな、みたいな(笑)。
小出:「あ、丸なんだね」って(笑)。それが意外で、良かった。
橋本:そうかもしれない(笑)。
小出:それが見えるから、今はすごい余裕もあって。ライブとかの佇まいに。
関根:それはあるかも。余裕が生まれてる。
小出:どっしりしてるよね。
関根:私は、一緒に演奏した時に、どっしりしてるっていうのをすごい感じて「橋本絵莉子、来た!」っていう感じがあった。それがすごい、プレイヤーとしてはめちゃくちゃ嬉しいから、きっと、えっちゃんのバンドの人たちも、橋本絵莉子と演奏してる緊張感と同時に、一緒に演奏できる喜びもあるなと思ったかな。どっしりしてて、すごいかっこよいと思いました。
橋本:はあ~。嬉しいです。でも、どっしりしてるって言ったら、すごいよ、3人は。
小出:どっしり感が。
橋本:うん。本当にすごい。
堀之内:だいたい、あれから10キロ以上は増えてるからな。
小出:1名だけ、実際にどっしりしてる。
橋本:私、「クチビル・ディテクティヴ」で呼んでくれた時に……。
小出:数年前の野音ね。『日比谷ノンフィクション』(2022年)。
橋本:あの時、私は1曲だけやし、お客さんの顔とかもステージ袖から見れるやん。そういうお客さんの顔とか見てたら、すごいなって思ったもん、3人が。こんなに人がいて、こんなに喜ばせて、演奏もMCも楽しいし、すごいなって、その時から思ってた。
小出:良かったです。そう言っていただけて。お互いやっぱり、キャリアを重ねてきましたね、いい感じで。
橋本:そうですね。
小出:タイトルに返ってきましたね。「いい感じの」で。
――「なかなかいい感じの男女」になっていると思います。
小出:今後は? 今後はどうしたらいいですか。目標は。
堀之内:聞いておきたいよね。うちらも。
小出:参考までに。
橋本:曲作りは、引き続き、自分が気に入るものを増やしていく。それは変わらずなんやけど、やっぱりライブかな。ライブでもうちょっと、こうしたいああしたいっていうのを叶えていきたいかな。どうですか?
小出:目標ね。何ですかね、目標は。まぁ。こうやって長くやってるとさ、先輩ってすごいなって思うよ、さらに。しかも、残って続けてる人たちは。
橋本:そうだね。確かに。
小出:ずっとパフォーマンスできてるとか、ずっと作品を作ってる人たちとか、もうここから上の人たちになると、みんな化け物ばっかりになってくる。自分たちも、そのような年齢に差し掛かってきていて、後輩もどんどん増えてくるわけで。その人たちにとって、ちゃんと脅威的でいるぐらいじゃないとダメだなって思ってます。「ヤバいことやってんな、この人たち」って、ずっと感じさせることが目標ですかね。「なめんな」と。
橋本:うん。
小出:今回のイベントも、全体的に「なめんな」って思ってます。 Base Ball Bearと、橋本絵莉子さんが一緒にライブをやる。「わー、あの頃聴いてました」「俺の青春です」みたいな、久しぶりにライブに来られる方もいらっしゃると思いますけど、全員ぶん殴ります。
関根:ふふふふ。
橋本:それぐらいの気合は必要だな。
小出:僕らも当然ですし、橋本絵莉子さんも全力で殴ってきます。
堀之内:当時、好きでいてくれて、間があいていたとしても、今回のライブを観て、現在進行形の二組の演奏を観て、もっと好きになってくれれば。殴りに行くっていうと、ちょっと語弊がありますけど。
小出:いや、ない。文字通り。
堀之内:文字通り殴ったら、捕まるよ(笑)。でも、本当にね、喰らってほしいですね。
小出:懐メロじゃないんだよ。人を勝手に、あなた時間の壁に閉じ込めるな。現在進行形のヤバい連中だということを思い知って、反省してください。
堀之内:そこは「良かったなと思ってください」でしょ(笑)。「来て良かったな」という話です。でも、そういうマインドで来てほしいよね。「俺はあのライブ行ったから」って。そんな雰囲気で来てほしい。
関根:もう、めちゃくちゃエネルギーのあるイベントになると思うので、楽しみにしていてください。
取材・文=宮本英夫 撮影=高田梓
ライブ情報
supported by KT Zepp Yokohama 5th Anniversary
開場 16:00/開演 17:00
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イープラス https://eplus.jp/bbb0309/