能楽と現代音楽の融合『春の謡会2025』ライブ音源のオンエアが決定、CHEMISTRYやかりゆし58らが出演、オフィシャルレポート到着
1月28日(火)、29日(水)の2日間にわたって、登録有形文化財の大槻能楽堂を舞台に行われた『春の謡会 2024』のライブ音源が、2月16日(日)21時からFM802の番組『802 BINGTANG GARDEN』にて放送されることが決まった。
毎週異なるテーマ、異なるDJで放送される『802 BINGTANG GARDEN』。今回放送が決まった『春の謡会 2025』は、「うたう(謡う)」という共通のテーマのもと、長い時を超えて受け継がれてきた能楽と、現代音楽が楽しめるイベント。人間国宝の大槻文藏が演じる「能楽」と、かりゆし 58、日食なつこ、CHEMISTRY、八木海莉による「音楽」のスペシャルコラボが叶った。発表とともにオフィシャルレポートが到着したので紹介する。
大阪・関西万博が4月13日(日)、ついに開幕。そしてこれを機に国内外から来阪する人々に大阪の文化芸術を楽しんでもらおうと、2023年より展開されているのが「大阪国際文化芸術プロジェクト」だ。1月18・19 日にはその一環として“謡(うた)う”をテーマに「春の謡会 2025」を開催。大阪市にある登録有形文化財の大槻能楽堂にて伝統芸能・能楽と現代音楽が貴重なコラボレーションを果たした。
[DAY1/1 月 18 日]
初日はFM802のDJ・深町絵里が司会を担当。平家物語でおなじみの人物が登場する能楽「船弁慶」に続き、日食なつことかりゆし58が、それぞれの個性を際立たせるライブを披露した。
「船弁慶」
「船弁慶」
「船弁慶」は前後半で雰囲気が一変。前半は人間国宝の大槻文藏がしなやかな舞で別れの悲しみを表現し、後半は次世代を担う27歳の能楽師・大槻裕一による力強い演技と、囃子方の迫力ある演奏が観客を圧倒した。また、源義経を演じた小学3年生の子方・福王登一郎にも注目が集まった。さらに能楽終演後には大槻裕一と深町のトークセッションも。大槻は能楽のルールに加え、舞台に施された数々の“仕掛け”を明かし、能楽への興味をますますかき立てた。
日食なつこ
続く日食なつこの弾き語りは、まず能楽からイメージしたという7曲を。ポエトリーリーディングをはさみつつ、歌声もピアノも表情豊かで、「Misfire」のリズムが軽やかさをもたらせば、「泡沫の箱庭」は幻想的に……といった具合に7曲を通して一つの絵巻物を見るようだった。また最後に「水流のロック」をプラスすると、観客はクラップで呼応してアッパーな締めくくり。ライブ後には“人間の底力が試される芸術だなと思いました”と能楽の感想を述べ、“いにしえのカルチャーとの交差点”とこの日を形容した。彼女にとって『春の謡会 2025』は特別な体験だったに違いない。
かりゆし58
沖縄出身のかりゆし58は1曲目の「ホームゲーム」など、南国ムードをどころどころにちりばめながら。「まっとーばー」で描く青春や「アンマー」の家族のストーリーは、ギターのトレモロやユニゾンのコーラスもクリアに響く能楽堂でのアコースティックセットにより、胸の痛みをともなうほどみずみずしく聴覚を刺激。また「オワリはじまり」のどこかノスタルジックな音像は、前川真悟(Vo&B)が“お母さんのお腹の中ってこんな感じかな”と語った会場に夕焼けを広げてみせた。ちなみに“愛おしさと敬意が混じる”と、前川は子方・福王登一郎のファンになった様子だった。
[DAY2/1月19日]
FM802のDJ・大抜卓人が進行役を務める2日目は、音楽ライブに CHEMISTRY と、オープニングアクトとして八木海莉が出演。幕開けは前日同様に能楽で、演目は「野守」が選ばれた。
「野守」
「野守」では、大槻裕一が野の番人である野守の翁と鬼神の二役。特に終盤は鬼神の足拍子が激しくなりターンやジャンプも。さらに笛や鼓の音色も鋭く、そのダイナミックな演出に小さな子どもも思わず釘付けになるほどだった。そして大抜とのトークタイムには大槻文藏が登壇。能楽に音楽の源流を感じる“足拍子も音楽の一つです”という言葉に加え、能楽での鬼の解釈や、足拍子が大きく鳴る理由なども解説し、観客の能楽への理解を深めた。
八木海莉
YouTubeでも話題の八木海莉は「know me…」など3曲をセレクト。息づかいも聞こえる会場では、その存在感あるボーカルが一段と映え、ゆらゆらと影を揺らして響かせるファルセットや、感情を込め叫ぶような熱唱も耳に焼きついた。また本人も“歌っていてとても気持ちよかったです”とライブを楽しみながらも、“すごいものを見たって気持ちになりました。(裏で気さくにあいさつをした能楽出演者と)全然違う人がいるって感じでした(笑)”と出演者ならではの「野守」の感想も残していった。
CHEMISTRY
そしてフィナーレを飾るのは、来年デビュー25周年を迎えるCHEMISTRY。「月夜」でゆったりスタートを切ると、続いてデビュー曲「PIECES OF A DREAM」を披露し会場の盛り上がりは早くもピークに。人気バラード「You Go Your Way」では、楽曲と歌唱のパワーに人々は動きを止め耳を傾けた。しかし後半は「Play The Game」などアップテンポなナンバーを並べて客席を総立ちに。伸びやかなボーカルや見事なハーモニーに歓声も上がり、まるでホールのような状態で 2 人はゴールにたどり着いた。ライブのあとには大抜が“(スタンディングは大槻能楽堂の)90 年の歴史で初めて”と報告。なんと“歴史的快挙”を達成して『春の謡会 2025』は幕を下すこととなった。
CHEMISTRY
写真提供:FM802、撮影:松本いづみ、文:服田昌子
放送情報
802 BINTANG GARDEN 「春の謡会 2025」 LIVE ON AIR
●日時=2 月 16 日(日) 21:00-22:00
●DJ=大抜卓人/深町絵里
●URL= https://funky802.com/site/pickup_detail/7757
●radiko URL= https://radiko.jp/share/?sid=802&t=20250216210000