the GazettE 23年の歴史をたどると共に新たな未来に向けて“5人”で進んでいく決意を示した日、『証跡』ツアー最終公演を振り返る

2025.4.2
レポート
音楽

the GazettE 撮影=Keiko Tanabe

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the GazettE LIVE 2025 23rd ANNIVERSARY TOUR 証跡
2025年3月10日(月)東京ガーデンシアター

2002年3月10日。この日、the GazettEは初のライブを行い、バンドとしての道のりを歩み始めた。そして23年後の同じ日。彼らは『証跡』と名付けた東名阪ツアーの最終公演で、なんと十数年ぶりに披露する曲も交えながら、23年の歴史をたどると共に、新たな未来に向けて今後も“5人”で進んでいく決意を、すべてのファンに示してみせた。

場内が暗転し、黒地に白いバンドロゴを染め抜いたバックドロップが掲げられる。そして、現時点での最新アルバム『MASS』の最後に収録されている「LAST SONG」のイントロフレーズが流れ、いつものようにthe GazettEのライブが幕開ける――と思いきや、麗(Gt)が弦を鳴らして始まったのは、なんと「貴女ノ為ノ此ノ命。」。20年以上前の“大日本異端芸者ガゼット”と名乗っていた時代の定番曲であり、現在でもアンコールで時折演奏される楽曲での開幕に、オーディエンスは一斉に振りを繰り出して踊りまくる。麗と葵(Gt)のツインギターもさっそくポジションをスイッチし、間奏ではお立ち台で麗がおなじみの独特な節回しのソロを放つが、戒(Ds)の力強いドラミングとも相まって、若き日の衝動をハイキャリアの熟練へと見事に昇華。クライマックスでは「聞かせろ!」とRUKI(Vo)が合唱を煽り、満場のオーディエンスは即座に応えていく。

撮影=Keiko Tanabe

以降も結成初期の楽曲を並べて、アニバーサリーならではの序盤戦を展開。葵がイントロのリフを鳴らすなり客席の拳が振り上がった「舐~zetsu~」では、場内を飛び交うレーザー光線が目を焼き、「Sugar Pain」では赤と青のライトが瞬いて、やがて紫へと融け合っていったりと、初期曲でこれだけ大掛かりな演出を味わうことができるのも周年ライブだからこそ。同時に、激しさと艶めかしさを併せ持った「Sugar Pain」のパフォーマンスは、“甘い痛み”を意味するタイトルや照明演出と共に、the GazettEの個性は相反するように見える要素を大胆に嚙み合わせることにより形作られてきたのだと再確認させる。分厚いバッキングに支えられてRUKIがメロディックに歌い上げる「飼育れた春、変われぬ春」も、当然ながら21年前のリリース時とは比べ物にならないほど重厚感のあるものに。“証拠となる痕跡”というツアータイトルが示す通り、23年前に始まったthe GazettEというバンドが、どのような音楽を生みだして、その精神を現在まで引き継いできたのかを示すような序盤ブロックに、オーディエンスは歓喜し沸騰する。

RUKI 撮影=Kyoka Uemizo

「会いたかったぜ、東京! 今夜も忘れられない夜にしようね」と挨拶したRUKIは、4層になっている客席の名称を階層ごとに確認して「アリーナ! 1階! 2階! 3階! そして天国まで続きます。今夜もみんなを暴れさせていきたいと思います。イケるか!? かかってこい!」と煽動。『MASS』からハイスピードな「ROLLIN‘」をドロップすると、ゴリゴリのベースソロパートではREITA(Ba)のベースアンプにスポットライトが当たって、オーディエンスを沸かせた。シャウトボーカルで煽り立てるRUKIは《終わりの無い未来》を誓って、『NINTH』(2018年リリース)収録の「NINTH ODD SMELL」では会場が一体となって《die!》と叫び、身体を折りたたんで“不滅”を唱える。直近のアルバム2作からの激しくもキャッチーなナンバーで頼もしいメッセージを示す一方、戒のドラムフィルから幕開けた「裏切る舌」では《さぁ 堕ちろ…》とお立ち台の上でRUKIが蠢いて嘆きの世界観を表現。アグレッシヴ極まる演奏でオーディエンスの身体を揺らし、余計な思考をすべて剥ぎ取った上で、リアルとフィクション双方の物語を注ぎ込んでオーディエンスの心を揺さぶっていく。まず、バンドの始まりを見せてから、今、現在のthe GazettEのスタンスを叩きつけても、そこにギャップを感じさせないのは、23年間にわたり彼らが地続きの道を歩んできた証だろう。

麗 撮影=Kyoka Uemizo

ここで「久しぶりに歌います。聴いてください」とRUKIがタイトルコールしたとたん、悲鳴にも似た歓声が湧いたのは「幸せな日々」。2003年にリリースされた女性目線のラブソングで、ライブでは十数年ぶりの披露となるが、彼ららしい奔放なフレージングといい、哀切と透明感に満ちた甘い歌声といい、完成度の高さが楽曲に綴られた危うい想いと絶妙なバランスを為して、これが2025年のthe GazettEなのだとアピールする。大きな拍手を受けてからもバラードのターンは続き、「CALM ENVY」ではお立ち台の上、白いスポットライトを浴びたRUKIが曲終わりの凄まじいロングトーンで場を圧倒! そのままアコースティックギターが彩る「LAST HEAVEN」では、永遠を誓って《悲しみは置いて行くよ》というリリックが沁みる。さらに、オーディエンスの胸に深く突き刺さったのが「PLEDGE」だ。2010年リリースのCMソングにも起用されたシングル曲だが、失った《君》への尽きせぬ想いを綴りながらも、これからは二度と迷わず歩いて行くのだと歌う物語には、2025年の今のthe GazettEにもピタリと通じるシンクロニシティがある。ステージに瞬く星、そして麗から葵、2人のハモりへとつなぐ透明感あるギターソロも相まって、ロストラブソングを清廉な決意の曲へと発展させていくのが感慨深い。

葵 撮影=Kyoka Uemizo

「もっと声聞かせてくれ、東京! 楽しんでる? 俺もメッチャ楽しんでる」と笑顔を見せたRUKIは、久しぶりの曲をやることでキャリアの長さを実感するとMC。「もう、この曲やんねーだろうなって曲でも、久しぶりにやると“今やっても全然いいじゃん!”と思ったの、すごくね? 音楽にはタイムスリップできるっていうか、一瞬で作ったときに行ける力がある。それが音楽だなと思います」と伝えて、オーディエンスから同意の拍手を受ける。そして「『証跡』という名のツアーなので、結成から今までやってきたことを全部見せられたらと思うんですが……まだまだ違う面もたくさんあるんで暴れていきましょう。ここから先は頭が……もげます。覚悟できるか、東京!? さぁ、楽しもうぜ!」と言い放ってからは、完全に有言実行。「Filth in the beauty」でヘッドバンギングするオーディエンスに「見せてみろ!」とRUKIが叫べば場内の照明があがり、サビで跳ね飛ぶ姿までをも照らし出す。さらに「東京! 悔い残すんじゃねーぞ! ブッ飛ばす!」と「COCKROACH」になだれ込めば、楽器隊も負けじと頭を旋回。「もっとグチャグチャになれるよな、東京! 椅子、関係ありません。グチャグチャになって帰ってください!」と懇願しての「HEADACHE MAN」では場内にモッシュの渦が巻き起こり、その光景にRUKIは狂気と狂喜の笑い声をあげる。

戒 撮影=Takashi Konuma

また「ここはライブハウスだ! やっちまえ!」と号令をかけての「UGLY」では、ギターリフに煽られて一気に拳が振り上がり、呼応するように戒のアクションも大きくなるという理想的なエモーションの相乗効果も。さらに「ATTITUDE」の同期イントロが鳴って、場内が《until die!》の声でいっぱいになれば、LEDに表示される歌詞に合わせて掛け声があがり、クラップにジャンプ、ヘッド&ボディバンギングと、全オーディエンスが狂乱の宴を笑顔のまま繰り広げていく。そんな客席に「頭イカレてるぞ、東京! 終わりたくねーな! だけど、ラスト行くよ!」とRUKIが号令をかけて、戒の4つ打ちが入ると、場内には大きなクラップと“ハイ! ハイ!”の声が。そして「命がけで来い! さぁ、お前らも共に歌うぞ!」と投下されたのは、彼らのライブエンディングにはおなじみの「TOMORROW NEVER DIES」だ。大サビ前で演奏が止まって、嵐のようなメンバーコールを受けたRUKIは「聞こえるかい!?」と宙に向かって4度叫び、ギターを鳴らす麗と向き合って再び歌い始めると、その輪に葵と戒のタイトなビートも加わって、the GazettEにしかないグルーヴを“5人で”生みだしていく。そして吐き出されたRUKIの血の滲むような咆哮には、the GazettEが23年間生きてきた証が間違いなく存在していた。

「最高だよ、東京! ありがとう! ホントに今日は明日とか関係ねーから! 限界まで行こう。行くぞ、東京!」

アンコールで登場するなり、そう宣言した戒がマイクレスで「かかってこい!」と気合を入れると、麗と葵のギター隊、そしてRUKIと順にステージに現れて、マーチのリズムで贈ったのは「INSIDE BEAST」。客席からのクラップを受けて広がる軽快でラグジュアリーなノリは、そのまま「SILLY GOD DISCO」へと引き継がれ、曲頭のREITAのソロではベースアンプを黄色いライトが照らしだす。RUKIは拡声器を使っての歌唱でオーディエンスに大きく手を振らせ、間奏ではしゃがみ込んでメタリックなソロを放つ麗に寄り添う一方、葵はワウギターを鳴らしてフリーでロックンロールな空気感を全開に。続いて「声聞かせろ!」と拳を招いた「SWALLOWTAIL ON THE DEATH VALLEY」では、さらにダンサブルな空間を繰り広げ、カラフルな照明がポジティブな高揚感を高めていく。後半、ドラムとクラップだけでRUKIを歌わせるパートも躍動感たっぷり。跳ねるドラムにうねるベース、エフェクティブなギタープレイと、the GazettEの重要な個性の一つである“破天荒”を思う存分に発揮していく。

撮影=Kyoka Uemizo

「東京! 最高の暴れっぷりです! みんな知ってると思うんですけど、今日でthe GazettE、23周年になります。たくさん想いはあるので、メンバー全員から話させてもらえたらなと思います」

そんなRUKIの言葉に続き、1人ずつ順に想いを口にしていく。戒は「今、この瞬間、一緒に楽しめていることに、すべてのthe GazettEを愛するファンとスタッフに本当に感謝してます。これからも想いは変わらず、終わりの無い未来へ共に一歩一歩、歩いていきたいと思います」と決意表明。麗は、このツアーで改めて自分たちを、そしてthe GazettEの歴史を見つめ直すことができたと伝え、「みんなからとてつもなく大きなエネルギーを受け取ることができて、そのエネルギーが次の活動の原動力になる」と述べる。葵は「いろいろ考えてたんだけど、今日楽しくて、そんなのどうでもいいかなぁと思っちゃった」とほほ笑んでから「これからも皆に憧れてもらえるようなバンドを、この5人で作っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします」と簡潔な、けれど心に響く言葉をくれた。最後にRUKIは「まず23周年を迎えて、今日、俺たちとお前たちが同じ時間を共有できていることに感謝」とおなじみの言葉を告げてから、想いの丈を語り始める。

「本当に、皆のおかげでthe GazettEは23周年を迎えることができました。改めて、心からありがとうございます。この『証跡』というタイトルのツアー、the GazettEというバンドが改めてどんなことでも乗り越えていけるという証を残して、このバンドの持つ力を再度信じていきたいと付けたタイトルでした。東名阪を回って純粋に感じたのは、みんなは同じ空気を吸って、同じ景色を見て、俺らといろんな苦しみや悲しみを一緒に乗り越えようとしてくれているんだなということ。だから思い切り泣く姿もいっぱい見てきたし、久しぶりに暴れ回ってる笑顔もちゃんとこの目に焼き付けてきました。そのどれもが愛しくて、ありがたくて、気持ちを支えてくれました。そして、このバンドが自分たちの力だけじゃなくて、みんなで作ってきたものだなって。誇らしいファンであり、大切な仲間であると感じまして……心から言うけど、みんなが俺らの宝物です。きっとREITAが“永遠であってほしい”と言っていたthe GazettEは……俺らとお前らが日々の鬱憤を爆発させる、この場所こそが永遠に守りたかった存在なんだって思います。誰がなんと言おうと、REITAという存在を忘れることなく、ちゃんと心の中に生きているなって感じます。こうして一緒に永遠を繋いでくれて、本当にありがとうございます。また新しい“証跡”を残して、もっと強いバンドになれるよう、23年目もthe GazettEの最高の時間を届けていきたいです。その幸せな瞬間を、これからも側でこうして見ていてください。俺らは、この先も変わらねーから。お前らも絶対に変わるなよ! いくつになってもお互い暴れ倒そう。なんなら100歳目指そう。そのつもりでいろよ。絶対に後悔のないように、俺らも全力で楽しむから、お前らも全力で楽しんでくれ! 気合入れてかかってこい! 23年目の感謝を贈るぜ!」

そして「赤いワンピース」に「LINDA ~candydive Pinky heaven~」と、初期から愛され続け、現在でもアンコールでしばしばお目見えするナンバーがオーディエンスを踊らせて、壮観な景色を作り上げる。後者ではベースフレーズが前に出る部分で、しっかりアンプにライトが。皆、激しく身体を振って、この曲で誰よりも躍動していたREITAへのリスペクトを表していく。「東京! ラスト!」と贈られた「LAST SONG」では、5本の青いライトが客席に伸びて大きなクラップを招き、その大音量を受けてRUKIは懸命にファンへの愛を歌唱。“終わり”と“続く”という相反した意味を持つ単語を掲げた楽曲のクライマックス、銀テープが飛んで、彼は心からの想いを叫んだ。

「ここにいる全員、愛してます! ありがとうございました!」

撮影=Kyoka Uemizo

鳴りやまぬアンコールの声を受け、再登場したダブルアンコールでは「この『証跡』というツアー、またひとつ自分たちの足跡を残せたと思います。これもみんなのおかげなので、最後に僕たちからみんなの為に作った歌を歌わせてください」というRUKIの言葉から「枯詩」を披露。2005年に発表された写真集に封入された、ファンへの想いをストレートに綴ったナンバーを振り絞るように歌う彼に、曲中のブレイクでは「RUKI!」の声が注がれる。ファンへ向けた新旧の楽曲で締めくくった今回のライブは、バンドの23年間の足跡をたどって新たな一歩を刻むと共に、結局はファンへの感謝を伝えるものであったように思われてならない。

万雷の拍手の中で曲を終えると、RUKIは「必ず、また会いましょう。また笑顔で必ず会えることを約束するんで、会いに来てください」と宣言。その言葉の通り、終演後には5月27日にFC限定ライブ『SIX GUN'S』を豊洲PITで、6月から9月にはライブツアー『LIVE TOUR 2025 -HERESY LIMITED- EACH MEMBER'S PRODUCE ACT:1 異演』を東京・神奈川で行うことを映像で発表した。5月27日は言うまでもなくREITAの誕生日であり、昨年の同日に豊洲PITで「今後もこの日にライブをやり続ける」と交わされた約束が果たされる形となる。ツアー『異演』は各メンバーがそれぞれプロデュースするライブ4本から成るもので、6月の麗は『もげる』、7月の葵は『妖乱朧狂』、8月のRUKIは『共喰い』、9月の戒は『本能は不可侵』と、それぞれに意味深なタイトルが。さらに新作が冬にリリースされることも告知された。新たな“SCENE”をつなぎ続け、23年間を紡いできたthe GazettEは、これからも“永遠”の道のりを歩んでいく。


取材・文=清水素子
撮影=Keiko Tanabe,Kyoka Uemizo,Takashi Konuma

ライブ情報

LIVE 2025 HERESY LIMITED 「SIX GUN’S」
5月27日(火) 豊洲PIT

LIVE TOUR 2025 -HERESY LIMITED- EACH MEMBER'S PRODUCE ACT:1 異演
■第一 「もげる」-PRODUCED BY URUHA-
6月17日(火) Zepp Yokohama
■第二 「妖乱朧狂」-PRODUCED BY AOI-
7月16日(水) 豊洲PIT
■第三 「共喰い」-PRODUCED BY RUKI-
8月25日(月) Zepp Haneda
■第四 「本能は不可侵」-PRODUCED BY KAI-
9月30日(火) CLUB CITTA`

リリース情報

『LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL" LIVE AT NIPPON BUDOKAN』
発売中
 
■初回生産限定盤A
Blu-ray(1枚組) / 豪華LPサイズ仕様 / 撮り下ろしPhoto Book
品番:SRXL-475
価格:¥13,250 (TAX IN)
 
Blu-ray DISC
LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL"
LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN(本編+アンコール)
LIVE TOUR2022-2023 MASS DOCUMENTARY
 
■初回生産限定盤B
DVD(2枚組) / 豪華LPサイズ仕様 / 撮り下ろしPhoto Book
品番:SRBL-2245~2246
価格: ¥12,250 (TAX IN)
 
DISC01
LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL"
LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN(本編)
DISC02
LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL"
LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN(アンコール)
LIVE TOUR2022-2023 MASS DOCUMENTARY
 
■通常盤A
Blu-ray (1枚組)
品番:SRXL-476
価格:¥7,400 (TAX IN)
 
Blu-ray DISC
LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL"
LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN(本編+アンコール)
 
■通常盤B
DVD(2枚組)
品番:SRBL-2247~2248
価格:¥6,400 (TAX IN)
 
DISC01
LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL"
LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN(本編)
DISC02
LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL"
LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN(アンコール)
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