六本木で世界を感じる、極上のエンターテインメントを――Billboard Live TOKYOならではの魅力と、人を繋ぐステージの裏側。SIX LOUNGEの特別な一夜もレポート

2025.6.6
レポート
音楽

Billboard Live TOKYO 写真提供=Billboard Live

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120年以上の歴史を持ち、世界で最も信頼される音楽ブランドである“Billboard”の名を関した世界標準のライブレストラン、Billboard Live。横浜・大阪クラブの紹介に続いて、最後にレポートするのは、Billboard Live TOKYOだ。

2007年8月の開業から今年で18年、ビジネスとカルチャーの両面で東京の中心に位置する六本木の東京ミッドタウンという最高のロケーションに、世界と日本のトップクラスのアーティストが出演する豪華ラインナップ。一流シェフによる料理と選りすぐりのドリンク、快適なインテリア、どの座席からも視覚と聴覚を満足させるレイアウトや音響、照明システムなど、その特徴はいくつもある。大阪でも横浜でもない、Billboard Live TOKYOならではの特徴について探るべく、取材班は早速会場へ足を運んだ。

Billboard Live TOKYO フロント 写真提供=Billboard Live

東京メトロの日比谷線と、地下鉄大江戸線の六本木駅から地下通路を歩けば東京ミッドタウンは目と鼻の先。雨でも濡れずに快適だ。しかも東京ミッドタウンの中にはファッションや雑貨のブランドショップ、各種の飲食店やスーパーマーケット、期間限定の雑貨やグルメショップなどがずらりと並んでいるので、寄り道の理由には事欠かない。ゆっくり歩いてのんびり眺めて、エレベーターかエスカレーターで4階へ上がれば、そこがBillboard Live TOKYOのエントランスだ。

Billboard Live TOKYO 写真提供=Billboard Live

Billboard Live TOKYOのフロアは3層構造で、3階と4階に位置するテーブル席、ソファ席、主に5階に位置するカジュアルな席まで、天井の高い広々とした空間が目の前に広がる。会場全体がコンパクトなのでどの席からでもステージが近く、5階最後方のスツール席に腰かけてもステージがばっちり見えるのが嬉しい。そしてフードもドリンクもメニューは豊富、ここでは紹介しきれないのでぜひオフィシャルホームページでチェックしてほしい。アーティストによっては「コラボメニュー」として、その日だけしか味わえないオリジナルドリンク等が用意されているのも、Billboard Live の特徴の一つだ。

Billboard Live History 写真提供=Billboard Live

そしてもちろん、Billboard Live TOKYOの一番の「メインディッシュ」は音楽だ。開業当初はジャズ、ソウル、クラシックロックなどの洋楽アーティストが中心で、客席にも大人の観客が多く、若い音楽ファンにはやや敷居の高い印象のあったBillboard Liveだが、近年は邦楽アーティストが登場する機会も増え、観客層も明らかに幅広くなった。1stステージと2ndステージの1日2公演、来日アーティストの貴重なライブと、邦楽アーティストの通常とは異なるスタイルのライブと、どちらも楽しめる場所としてBillboard Live TOKYOの価値がますます上がっていることは間違いない。

Billboard Live TOKYO アーティストリレーションズ・林 界人氏 写真提供=Billboard Live

「場所的な特徴で言うと、Billboard Live TOKYOは開業から18年目になるんですが、外国人アーティストの公演を観られる場所としての知名度がかなり上がってきているのかなと思います。というのも、Billboard Live YOKOHAMAから移ってきて感じたことなんですが、同じアーティストでも東京のほうがの売れ行きが早い公演が多くありました。そこは、六本木にそういったハコがあるという歴史を築いてきたBillboard Live TOKYOの強みなのかなと思っています」 

そう語るのは、Billboard Live TOKYOのAR(アーティストリレーションズ)・林界人さん。5年前、Billboard Live YOKOHAMAが開業するタイミングでアルバイトとして入社し、その後はアーティストのアテンド業務も担当するようになり、今の部署であるARへと配属。Billboard Live TOKYOとBillboard Live YOKOHAMAを仕事場に、アーティストに最も近い場所で様々な激務をこなす、若いながらも経験豊富な人材だ。

「ARというのは、Billboard Liveの制作担当として、事前の事務作業や、公演当日の統括と管理をおこなう部署になっています。具体的には、ブッキング(契約)担当の部署が公演を決めたあと、それに紐づく手配としてホテルの選定や飛行機、車の送迎や楽器の手配、あとは舞台周りのすり合わせですね。音響、照明、楽器に関しての機材や人材の手配を事前に管理して、公演当日は丸一日、楽屋周りのケアをするという仕事です。AR担当は、Billboard Liveの中で関西グループと関東グループに分かれていて、関東は僕も含めて5人います。それぞれ月に8~10公演ぐらい担当しているので、それの事前準備も常に並行しておこなっている感じですね」

え、それを一人で全部管理しているんですか?と驚くような、スーパーマン的な活躍を日々繰り広げている林さん。そのルーツは何よりも音楽への純粋な愛情で、学生時代から音楽漬けの日々を送り、音楽ファンとしての無償の情熱は本物。その仕事ぶりに惚れ、安心して任せてくれるアーティストも増えているという逸話も。 

Billboard Live TOKYO アーティストリレーションズ・林 界人氏 写真提供=Billboard Live

「地元が石川県なんですけが、石川のライブハウスにはほぼ毎日いる、ぐらいの学生生活でした(笑)。そこで観ていたアーティスト、バンドさんが今よくBillboard Liveに出てくださっているので、初対面ではそんなにお話しはしないですけど、2回目、3回目ぐらいになって関係値ができてきた頃に“いつも聴いています”というようなお話をすると、喜んでくださる方も多いですし。そうするとアーティストの方もより一層気持ちを入れてくださるというか、僕もこの公演を成功させようという気持ちがより強まるというか、そういう気持ちでいつも働いていますね。僕は日本人のアーティストばかり聴いていたので、今のBillboard Liveがとても性に合っているというか。それこそ、このあと見ていただくSIX LOUNGEさんも学生時代によくライブハウスで観ていましたし、そういうアーティストとBillboard Liveで直接お会いして、お仕事をご一緒できるというのが、今とても嬉しくてありがたいと思っています」

アーティストリレーションズとは文字通り、アーティストとのRelation(関係性)を重視し、アーティストとスタッフ、そして観客とのRelationをも繋ぐ仕事。きわめて多忙だが充実度無限大、今どきやや古めかしく感じる「やりがい」という言葉が生き生きと蘇るような仕事ぶりが、林さんのスタイルだ。

「事前準備にせよ、当日の担当にせよ、技術チーム、アーティストチーム、会場のスタッフや、様々なセクションとコミュニケーションを取って調整する役割をステージの裏側でしていますが、表ではお客様の笑顔とか反応を近くで見られるような部署に居て、まさに私のやりたい仕事内容なんです。 自分が携わった公演でのお客様の笑顔もそうですし、一番好きなのは、想定していなかったアンコールが起こった時とか、あとは終演後にアーティストの方に“やりやすかった”というようなお褒めの言葉をいただいたりした時には、強くやりがいを感じますね。最近あったことで言うと、アーティストと直接のやり取りが必要な公演で、ご本人がやりたいことが実現可能かどうか様々なセクションとすり合わせをする事がありました。普段はあまりないことなんですが、事前のリハーサルから参加することで実現する方法を考えて提案する事ができたので、より密な関係値を築けたと思います。そういったところは難しい反面、やりがいにも繋がりますし、結果的にお客様もすごく喜んでくださったので、やって良かったなという気持ちになりますね」

そんなお話のあと、観せていただいたのが4月10日に開催された『SIX LOUNGE ACOUSTIC Billboard Live 2025』の1stステージ。大阪、横浜で開催された公演が大好評につき、新たに加えられた東京追加公演だ。SIX LOUNGEは大分出身、ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)、ナガマツシンタロウ(Dr)、イワオリク(Ba)の3人組で、2012年の結成以降、歌謡的な憂いをたたえたメロディと、ヤマグチのエモーショナルな歌声、多様な音楽性を取り込みながらも芯を貫くロックンロールサウンドで、熱烈な支持を集めるバンドだ。

SIX LOUNGE 撮影=masushi watanabe

この日のライブはアコースティック・ギター中心のアンサンブルだが、激しいロカビリー調の1曲目「憂き世の花」から、アコースティック楽器とは思えないパワーとスピードでぐんぐん飛ばす。アニメ『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』第3クールオープニングテーマになった「言葉にせずとも」も、熱さとエモさはそのままに、大人の余裕を感じる伸びやかな演奏だ。

SIX LOUNGE 撮影=masushi watanabe

SIX LOUNGE 撮影=masushi watanabe

SIX LOUNGE 撮影=masushi watanabe

ライブ後半のハイライトは、オリジナル・ラブのカバー「接吻」。ラストシーンでステージ背後を覆っていたカーテンが左右に大きく開かれ、六本木の夜景が窓いっぱいに広がった瞬間、客席のあちこちから「おお!」というため息が漏れた。これぞBillboard Live TOKYOの名物と言ってもいい、六本木という立地を生かした特別な演出。林さんによると、カーテンを開くタイミングはアーティストが希望する場合も、スタッフが提案する場合もあるらしい。今日のタイミングはばっちりだ。

SIX LOUNGE 撮影=masushi watanabe

ちなみに、この日のコラボメニューとして提供されたのは、「メリールー」と名付けられたオリジナルドリンク。SIX LOUNGEの結成の地であり、現在も拠点としている大分県の麦焼酎・二階堂をベースに、ピーチシロップと紅茶をブレンドしてフルーティーに仕上げた一品だ。アルコール/ノンアルコールの2種類が用意され、どちらもファンに大好評だった。

SIX LOUNGE 撮影=masushi watanabe

最後にもう一度、林さんの仕事に触れておこう。実は取材班は、ライブの前後も林さんの仕事に密着していたのだが、会場中は客席の様子をうかがいながら、楽屋の準備をサポート。開演直前は時計をにらみながらタイミングを計り、アーティストの入場をアテンド。そして終演直後はアーティストを拍手で迎え、ねぎらい、挨拶に訪れたバンドの友人たちを先導する。特に印象的だったのは、楽屋に軽食を運んできたスタッフを制止して「あとにしようか」、中をうかがってから「入っていいよ」とOKを出したシーン。その後も、観客の満足度を確かめるようにブースや客席を見回るなど、アーティストと観客の全てに気を配る姿が心に残った。

Billboard Live TOKYO アーティストリレーションズ・林 界人氏 写真提供=Billboard Live

「Billboard Live TOKYOはこれまでレジェンドアーティスト、トップアーティストが上がってきた舞台なので、晴れ舞台というのもそうですし、初登場のアーティストからすると、憧れの地みたいに捉えてくださっているハコになりつつあると思っています。今後もそういう意識を持ちつつ、アーティストの皆さんと向き合って、上質なエンターテインメントの提供をできればと考えています。大人が楽しめる社交場というのはもちろんそうなんですけど、大人だけがターゲットというわけではないので、幅広いジャンルで、普通のホールやライブハウスでは味わえないような、お食事とともにリラックスした空間の演奏をお求めいただきたい方に、ぜひご来店いただけるような場所にしたいと思っています。他の会場と比べて代が高いというイメージがあるかもしれませんが、うちも代はピンキリなので(笑)。お手頃な公演もありますし、アーティストとの距離がここまで近い会場は他に数少ないと思いますので、そういったところをぜひお楽しみいただけたらなと思います」

東京のど真ん中に位置する世界標準のライブレストランとして、日々進化し続けるBillboard Live TOKYO。初めての方はぜひ一度、来たことのある方もぜひ二度三度と足を運んでほしい。そのたびに新たな発見があるはずだ。

取材・文=宮本英夫

SIX LOUNGE ライブ情報

SIX LOUNGE “Do You Love Me?” TOUR
6月4日(水) 福岡 BEAT STATION w/カネヨリマサル
6月6日(金) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM  w/FOMARE
6月9日(月) 大阪 BIGCAT  w/シンガーズハイ
6月10日(火) 名古屋 Bottom Line w/サバシスター
6月12日(木) 仙台 RENSA w/秋山黄色
7月6日(日) 東京 日比谷野外大音楽堂 ワンマン
 
■SIX LOUNGEオフィシャルサイト https://six-lounge.com/

会場情報

【Billboard Live TOKYO】
場所:東京都港区赤坂9丁目7番4号東京ミッドタウン ガーデンテラス4F
電話:03-3405-1133
https://www.billboard-live.com/tokyo/details

※Service Area …スタッフサービス付きで料理を楽しめるテーブル席・ソファ席
※Casual Area …1ドリンク付きのカウンター席
 
<問い合わせ>
お問い合わせセンター受付時間・・・平日 12:00~17:00
公演開催日 12:00~2ndステージ開演まで
※開催日につきましては各店舗のスケジュールよりご確認ください。
休業日 土曜、日曜、祝日(公演開催時は上記の通り2ndステージ開演まで営業)
※平日に臨時休業をいただく場合がございます。決定した場合はTOPページNOTICEよりお知らせいたします。
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