藤井 風、ミセス、YOASOBIなどが選出、国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』各部門のノミネートを発表、最終投票へ

2025.4.18
レポート
音楽

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『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』ノミネート作品発表会 2025.4.17(THU)東京某所

国内最大規模の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」(MAJ)による、『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』ノミネート作品発表会が4月17日(木)に都内で行われ、各部門のノミネート251作品65アーティストが発表された。

MAJは、音楽業界の主要5団体(日本レコード協会、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽出版社協会、コンサートプロモーターズ協会)が垣根を越えて設立した、一般社団法⼈カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会(CEIPA)によるアワードで、今年が初開催となる。アーティストを含む音楽関係者5,000人の投票により、エントリー楽曲から各部門5作品5アーティストのノミネートが選出され、5月21日(水)、22日(木)に最優秀作品・アーティストが決定する。

住吉美紀とクリス・ペプラー

発表会は、「最優秀楽曲賞」、「最優秀アーティスト賞」、「最優秀ニュー・アーティスト賞」、「最優秀アルバム賞」、「Top Global Hit from Japan」、「最優秀アジア楽曲賞」の主要6部門のノミネート発表をメインに進められた。会の冒頭、MCを務めるクリス・ペプラーと住吉美紀の紹介で、主催者代表の野村達矢委員長が登壇。「このアワードは4つの約束として、透明性、グローバルに、称賛、そして創造という理念を掲げて構築しています。世界とつながり、音楽の未来を灯す・音楽の未来を決めるフェアなアワードとして全世代・全世界へお届けしたいと思っております。音楽に関わるアーティストやクリエイターも含めた、音楽業界に関わる国内外の音楽人が投票して、日本で初めて開催されるアワードとなりますので、どうかご注目していただきたいです。公正なる投票を踏まえて、今日、第1回目のノミネート作品が発表されます」と挨拶した。さらに、クリスと野村委員長によりベールが引かれ、主要6部門の受賞者に贈呈されるトロフィーがお披露目された。

小籔千豊

貴島明日香

続いて、ゲストとしてお笑いタレントや俳優のみならずジェニーハイのドラマーとしても知られる小籔千豊、ファッションモデルとしてTV番組やCMで活躍中の貴島明日香、デジタルプロモーション・マーケティング会社arne代表の松島功、音楽ジャーナリストの柴那典が拍手に迎えられて登壇すると、主要6部門が順番に発表された。

最優秀ニュー・アーティスト賞

61アーティストの中から選ばれたのは、以下の5組。

FRUITS ZIPPER
Number_i
Omoinotake
tuki.
こっちのけんと

最優秀ニュー・アーティスト賞 ノミネート一覧

「昨年のチャートを賑わした大ブレークした5組ですね」とクリス。ノミネートされたアーティストの感想を訊かれた小藪は、「僕みたいなおっさんでも耳にしたり目にした方ばかりでした。僕は『フォートナイト』というゲームをやるんですけど、中高生の男の子とやっているとアイドルファンではないのに、「なぁぜなぁぜ」とみんな言っていて(FRUITS ZIPPER「ハピチョコ」が元ネタ)、影響力があるなと思いました。パフォーマンスも見せていただいたんですが、しっかりとお客さんの心を掴んではってすごいなと思います」と語った。柴は「全体的に言えるのはTikTok発のアーティストがブレイクする世の中になっていることです。それからtuki.さんは15歳という若い年齢で楽曲が評価されて広まっていったので、そういう意味では非常に面白い世代交代が起こっていると思います」と分析。松島は、「興味深いのは、メジャーレーベルのアーティストがOmoinotakeだけということ。他の4組は所謂ディストリビューターと呼ばれるサービスを使って、音楽配信されている形なので、音楽の届け方も結構変わってきてるんだなというのはすごく思います」と、それぞれの立場でのコメントを残した。

「最優秀アルバム

171作品の中から選ばれたのは、以下の5作品。

Mrs. GREEN APPLE『ANTENNA』
米津玄師『LOST CORNER』
藤井 風『LOVE ALL SERVE ALL』
Vaundy『replica』
宇多田ヒカル『SCIENCE FICTION』

最優秀アルバム賞ノミネート作品

発表を受けてクリスは、「最近はあまりアルバムを聴く習慣がなくなってるような感じもしますけども、やっぱりアルバムっていうのは、発表した時期のアーティストの心模様や状況がよくわかる。思い入れや、コンセプト、ストーリー性がある1枚になるんじゃないかなという感じがします」とサブスクが主流となった現在とアルバムの作品としての価値に触れる。貴島は、「ジャンルもカラーも違う、個性的で豪華な顔ぶれだなと思います。私が実際にアルバムとしてたくさん聴いたのが、Mrs. GREEN APPLEさんの『ANTENNA』です。ミセスさんの楽曲って、「青と夏」みたいなエネルギッシュで疾走感あふれる爽やかな印象があったんですけど、アルバム収録曲の中にはバラードもあって、楽曲の幅広さや深みをすごく楽しめるようなアルバムだったなと思いました」と作品への思いを明かした。柴は、「サブスクで楽曲ごとに発表していくという手段が当たり前になっている中で、逆に言うとアルバムっていうものの作品性、創造性をどう発揮するかっていうのは、アーティストの美学の見せどころになっているんですね。そういう意味で言うと、例えばVaundy『replica』はあえて2枚組にしてデザインを含めてアルバムの意味を出していたり、米津玄師『LOST CORNER』はいろんなタイアップ曲が収録されているアルバムを通して聴くことのできるストーリー性や展開を考えていて、アルバムならではの作品性が表れている。そういった作品が選ばれているなと思いました」と鋭い考察を披露した。続いてコメントを求められた小藪は、「僕はなかなかアルバムのことについて深く考えたことはなかったんです。でもジェニーハイというバンドをやらせてもらっていて、プロデューサーの川谷絵音さんが、「今回、こういうふうな曲中にしたのは」みたいなことを喋っているときに、「あ、適当に入れてるわけちゃうねんな」とそのとき初めて思いました」と笑いをとって会場を和ませた。

「最優秀アジア楽曲賞」

24曲の中から選ばれたのは、以下の5作品。

ベルナディア(Bernadya)「Satu Bulan」(インドネシア)
レジーナ・ソング(REGINA SONG)「the cutest pair」(シンガポール)
エスパ(aespa)「Supernova」(韓国)
プレイブ(PLAVE)「WAY 4 LUV」(韓国)
ジェフ・サター(JEFF SATUR)「ซ ่อน(ไม่)หา (Ghost)」(タイ)

最優秀アジア楽曲賞ノミネート作品

「最優秀アジア楽曲賞」は、対象となる各国のチャート上位3曲のエントリー作品の中から、一次投票によって5曲がノミネートされている。松島は、「ベルナディアはインドネシアで非常に人気が高くて、全体のストリーム数のほとんどがインドネシアで聴かれているアーティストです。去年Spotifyがグローバルで発表している2024年のブレイクアウトアーティスト8組の1人に選ばれています。一方でレジーナ・ソングはTikTokで自分で投稿した動画がどんどんバイラルしていって、シンガポールでは10%ぐらいしか聴かれていない。残り90%はほとんど海外で、フィリピンやシンガポール、インドネシアとか周辺各国に聴かれているんですよね。地元の国でサポートされてるアーティストと、海外にどんどん広がっているアーティストという違うタイプがノミネートされていますね」とまだ日本ではあまり知られていないアーティストについて紹介した。

貴島が「私はK-POPが好きなので、やっぱり注目しているのはaespa「Supernova」ですね。楽曲のキャッチーさやビジュアルのインパクトが本当に印象深くて、MVも都会的でかっこよくて。可愛くて癒されるアイドルっていうよりは、かっこよくて女性が憧れるアイドルという感じがしますね」と熱心に語ると、クリスは「強烈ですよね!」と共鳴。柴は、「かつては洋楽っていう言葉を使うとき、日本からだとどうしてもアメリカとイギリスの音楽を意味していて、それに対しての憧れっていうのが、海外の音楽シーンへの意識だったと思うんです。でも今は東南アジアでもそれぞれのローカルな地域のカルチャー、そしてアメリカやイギリスのポップミュージックの歴史っていうものを、それぞれのアーティストが、それぞれの美学や感性でブレンドしている。だから、日本で歌謡曲の時代から起こってきたことと同じことが起こっている。そういう同時代性というか、そのアーティストのことを詳しく知らなくても、音楽リスナーだったら「あっこの感じ素敵だな」って感じられる。今回、MAJの中でも、「最優秀アジア楽曲賞」って非常に意義深いと思います」と力説した。

Top Global Hit From Japan

100曲の中から選ばれたのは、以下の5作品。

Lotus Juice / 高橋あず美「It’s Going Down Now」
XG「WOKE UP」
YOASOBI「アイドル」
藤井 風「死ぬのがいいわ」
松原みき「真夜中のドア〜stay with me」

Top Global Hit From Japanノミネート作品

「この賞の面白いところは、世界でヒットした国内各曲をエントリー作品として、海外のリスナーのみなさまに選ばれた曲がノミネートされているところ」とのクリスのコメントを受けて松島は、ゲーム『ペルソナ3 リロード』のサウンドトラックに収録されヒットしているLotus Juice / 高橋あず美「It’s Going Down Now」について、「日本の人だと、あまり知らない人もいるかもしれないですけど、グローバルで見ると本当にすごい再生回数になっていて、1億数千万回聴かれている中で90%以上が海外なんですよね。特にUSで非常に人気が高い楽曲です」と解説した。また、小藪は「松原みきさんのようなアーティストの方々が世界の方々に発見されて評価されると、最近日本の音楽がすごくなったという感覚ではなくて、「昔からすごかったんだな」ってちょっと誇らしげな気持ちになるので、この方々には感謝したいと思います」と語った。

「最優秀アーティスト賞」

167アーティストから選ばれたのは、以下の5組。

Creepy Nuts
Mrs. GREEN APPLE
Vaundy
YOASOBI
藤井 風

最優秀アーティスト賞ノミネート一覧

説明不要の日本を代表するアーティストたちの名前が並ぶノミネートを受けて「どのアーティストが受賞しても文句が出ないと思います。ミセスさんもVaundyさんも、聴かない日はなかったんじゃないかなっていうくらい、ドラマやCMなどいろいろなところで大活躍されていましたし、新曲が出るたびに斬新でワクワクするような楽曲を届けてくれていると思います」と貴島。松島はMrs. GREEN APPLEについて、「どのサブスクサービスのランキングを見ても、上から順に聴いていくと、Mrs. GREEN APPLEの曲が半分以上を占めているんですよね。実際ストリーミング再生数は国内だけでも40数億回という数になっているので、本当に圧倒的に聴かれていてすごい活躍だったんだなと思います」と称えた。

「最優秀楽曲賞」

256作品のエントリーの中から選ばれたのは、以下の5作品。

ロゼ & ブルーノ・マーズ(ROSÉ & Bruno Mars)「APT.」
Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」
YOASOBI「アイドル」
藤井 風「満ちてゆく」
Mrs. GREEN APPLE「ライラック」

最優秀楽曲賞ノミネート作品

クリスは「栄えある第1回目のMAJ。その最優秀楽曲賞のノミネーションですが、これはむずかしいんじゃないですか!?」とひと言。住吉は「ほとんどの賞が音楽業界の垣根を越えた業界の方々、アーティストを含めた5,000人による投票で、しかも非常に公平な投票での選出ということで、たぶん受賞するアーティストもうれしいと思います。受け取る私たちとしても「ああ、こういう評価なんだ」っていう発見があるんじゃないかと思います」と、改めて賞の意義を語る。小藪は、「みなさんもちろん素晴らしい方なんですけど、Creepy Nutsさんがこういう大きな賞にノミネートされたり何億再生もされているということは、今頑張っていてラップで夢を掴みたいと思っている子たちも希望が持てると思います。これからも日本のラップシーンが盛り上がるような兆しというか、Creepy Nutsさんが切り開いた道っていうのは、すごく大きいなと思います。 他の方々も本当によく耳にさせていただく方々ばっかりですけど、僕この間、映画の撮影で大阪から岡山に行ったときに新幹線の中でYOASOBIの動画を見過ぎて、福山まで行ってしまいました。ちょっとこう、良い面と悪い面あるなと思ってるんですけども(笑)。福山まできっちり聴かせていただきました」とエピソードを披露して笑わせた。

柴は「本当にどれが選ばれても申し分ない、非常にクオリティの高い5曲が集まったなと思います。そして、アーティストを中心にした音楽関係者が投票するということで、単にヒットしているということだけではなくて、音楽的にプロが聴いても「あ、やられた」って思うような新しい試み、仕掛けだったり、メロディーの強さだったり、そういった「楽曲の強度」を持つものが選ばれている印象があります。なのでどの曲が選ばれてもすごく納得なんですが、なかでもやっぱりMrs. GREEN APPLE「ライラック」はリリースから1年経った今もヒットチャートの1位2位にいるような、本当にモンスター楽曲なので、これは非常に強力だなと思います。あともう1つ、ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」。これも海外の楽曲がこのタイミングで、MAJにノミネートされるっていうことの意義も結構大きいなと思います」と、音楽ジャーナリストならではの視点で語った。

主要6部門の発表の後は、スクリーン上で全ノミネート50部門251作品65アーティストが発表され、16時から公式サイトで公開された。尚、ノミネートされたアーティストには、MAJオリジナルホイッスル及びゴールドパートナーであるアサヒビールからの記念品「キンキンタンブラー」が進呈される。

『OTOMO』

また、MAJとYouTubeがコラボしてノミネートされたアーティストのパフォーマンスを世界に発信する「YouTube Music Weekend celebrating the MUSIC AWARDS JAPAN」の開催も決定。5月16日(金)~18日(日)まで、参加するアーティストのYouTube公式アーティストチャンネルにて、タイムテーブルに沿って、順次ライブ映像をプレミア公開していく、3日間のYouTube上のバーチャル音楽フェスとなる。さらに、新しいオウンドメディア『OTOMO』がローンチとなった。このサイトは、日本の多様な音楽やカルチャーの魅力を世界に発信していく新メディアサイトとのこと。

授賞式イメージ

最優秀作品を決定する最終投票が、発表会終了後の16時よりスタート。授賞式は5月21日(水)、22日(木)にロームシアター京都にて開催される。

取材・文=岡本貴之

イベント情報

MUSIC AWARDS JAPAN 2025 KYOTO』
開催日時:2025年5月21日(水)・22日(木)
※開催ウィーク:2025年5⽉17⽇(土)~5⽉23⽇(⾦)
会場:ロームシアター京都
放送:NHKにて生中継 ※22日(木)のみ
配信:YouTube(グローバルストリーミングパートナー)にて全世界配信予定
※一部地域を除く

『OTOMO』:https://otomo.net/
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