「これからも突き進んでいきます!」地元神戸で初の主催サーキットが大団円にーーEGG BRAINと仲間の絆、歌い叫ばれたアンセム『SCRAMBLE CIRCUIT 2025』レポート
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『EGG BRAIN presents SCRAMBLE CIRCUIT 2025』
EGG BRAINが地元神戸で初の主催サーキットイベント『EGG BRAIN presents SCRAMBLE CIRCUIT 2025』を6月14日(土)に兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎 、KOBE108、KINGSXの3会場で開催した。GOOD4NOTHINGやNorthern19、ADAM at、Launcher No.8他、世代もジャンルも関係なくEGG BRAINの3人が「最高!」と思うバンド18組が集結。5月末に
イベントのトリはもちろん主催のEGG BRAIN。挨拶がわりの登場曲「Welcome To The ROCK SHOW」が鳴り響くとフロアは歓声&ハンズアップ&手拍子。JOEY(Vo.Gt)、KUN(Ba.Vo)、Uchie(Dr)が登場すると、その音量はさらに大きくなる。JOEYの歪んだギターがうなりだすと、スイッチが入ったようにフロアでは次々にモッシュの波が起きる。いきなりのハイスピード。「VITAMIN」だ。「神戸のEGG BRAINです!音楽で楽しく遊ぼうぜ!」と狼煙を上げるような挨拶に続き「MUZIC」が鳴らされたら、もうたまらない。
キャッチーな中に「音楽から始めよう」というファイティングスピリットをたぎらせ歌わずにいられないアンセムだが、これほど大声の「MUZIC」を聴いたのは初めてだ。「『SCRAMBLE CIRCUIT』楽しんでるか? まだまだ元気か? 最後まで楽しんでってくれよ」とフロアを見渡し「Start From Scratch」へ。2019年に活動休止から復活し最初にリリースしたこの曲は「ゼロから始める」というバンドのタフなメッセージが刻まれたものだが、この日初めてEGG BRAINに出会った人でもコーラスの<Da na na na na na>は口ずさめただろう。勢いや疾走感と共に、初めて耳にしても口ずさむことのできる&歌いたくなるポップさ、親しみやすさはEGG BRAINの武器のひとつだ。
「とんでもないイベントになっちゃったね」と3人を代表しJOEYが、一人一人に届けるように感謝の思いを言葉にする。「お客さんも演者も、スタッフも全員がHAPPYな気持ちになって帰ってほしいと思ってました。今日はそうなったんじゃないですか?」とフロアに問えば、地鳴りのような賛同の声。ソールドアウトの感謝の報告とともに、これまでずっと周りから「EGGのイベントをやった方がいい」と言われていたがなかなか一歩が踏み出せなかったと告白。仲間がハッパをかけてくれて実現したことを喜び、「これからも続けていきます。来年も絶対やる」と高らかに宣言。これには会場を揺らす勢いの拍手と歓声が湧いた。その声、目の前に広がる太陽と虎のフロアの光景を焼き付けるように「俺たちは過去のバンドじゃない。これからツアーも回る。新曲もライブでやる。これからも突き進んでいきます」と新曲の「WARNING」を投下。ザクザクと切り込んで行く突破力を装備したこの曲はこの日の夜から配信が開始されたが、ライブではすでに演奏されてきている。
「今日集まってくれた音楽好きのみんなに、これからの人生幸ありますように」と言葉を添えた「World」は、特大のシンガロングと繰り返される<you are golden>のフレーズが一層強く染み渡っていく。「ラスト、ぶち上げて帰るぞ!」と最後に「METEOR」で再び火を放つ。フロアの前方だけじゃなく、真ん中あたりでも人に人が重なるように飛び込み、転がり泳いでいる。誰の顔も輝いている。その光景は、EGG BRAINの音楽が、ライブが、聴き手を解放するさまを見るようだった。毎日の生活の中で人の目や誰かの言葉を気にしていつの間にか手足を縛っていた枷のようなものや、心を塞いでいた蓋みたいなものを取り払って、好きな音楽に合わせて踊ったり歌ったり、叫んだり跳んだり。音楽がもたらす喜びを全身で表すことができるライブハウスという場所は最高に音楽を楽しめる場所で、同じように今このフロアで音楽を楽しんでいる、名前も知らない、でも同じ音楽が好きという共通点を持った仲間たちの存在も自分を解放してくれる重要な存在なのかもしれない。
アンコールを求める大声援に応えてメンバーが再びステージへ。「楽しかった」「終わんないで!」という声にUchieが「俺も終わりたない」と返す。まだまだ遊び足りないフロアに感謝の思いを伝え、7月からのツアーについて語った。ツアーに持っていく新曲はさっきの「WARNING」とこれから演奏する「ANTHEM」。それに加えサブスク配信はしない1曲を加えた会場限定CDを作る。
「新曲をリリースするのは実は3年ぶりです」とJOEYは切り出し、「難産だった。ファンのみんなとの曲、バンド仲間との絆みたいな曲をずっとずっと書きたくて、でもできなくて苦しんでたけど、ようやくできた」と語り、仲間の曲ですと前置きし「ANTHEM」を披露。ギターとボーカルだけで最初の数小節を歌うと、マイクを離れ「ありがとう!」と叫んだ。どこまでも突き進んでいける可能性を指し示してくれるような、文字通り真新しいアンセムであり、強力でいて温かいメロディックパンクの誕生にフロアは惜しみない喝采を送った。ラストは誰もが待ち望んだ「SEVENTEEN」。波状攻撃のようにダイブ、モッシュ、リフトが繰り返され、踊る人もいれば固く拳を握りかみ締めるように歌う人の姿も。「またライブハウスで会おうぜ!」と約束し『SCRAMBLE CIRCUIT 2025』は幕を下ろした。
KUNはフロアにピックを、Uchieはスティックを投げ入れ、JOEYはフロアから伸びるいくつもの拳に拳を合わせる。その姿を見ていて、さっき聴いたばかりの仲間の歌を思い出した。7月から始まるツアー『EGG BRAIN TOUR 2025』の目玉となるのは間違いなく「ANTHEM」「WARNING」といった新曲だ。ライブで演奏を重ねるたびにさらに強くもっとしなやかにその曲たちは育っていくに違いないし、これまでの曲と混ざり合った時にどんな化学反応を見せるか。今からわくわくしている。
取材・文=梶原有紀子 写真=オフィシャル提供(撮影:Toshinari tani)
リリース情報
ツアー情報
2025年7月25日(金)@千葉LOOK (千葉県)
2025年8月1日(金)@福岡OP’s (福岡県)
2025年8月2日(土)@大分SPOT (大分県)
2025年9月6日(土)@高松DIME (香川県)
2025年9月7日(日)@周南RISE (山口県)
2025年9月22日(月)@名古屋RAD (愛知県)
2025年10月4日(土)@金沢vanvanV4 (石川県)
2025年10月5日(日)@新潟GOLDEN PIGS BLACK (新潟県)
2025年10月10日(金)@大阪BRONZE (大阪府)
2025年11月1日(土)@松山Double-u studio (愛媛県)
2025年11月2日(日)@広島ALMIGHTY (広島県)
2025年11月7日(金)@神戸 太陽と虎 (兵庫県)
2025年11月29日(土)@Spotify O-Crest (東京都)