2025年最注目アーティストが大阪で熱演、luv、十明、Baby Canta、紫 今、OddRe:が最高のオーディエンスと相乗効果で記憶に残る夜に『OSAKA NIGHT PARADE vol.13 -MINAMI WHEEL EDITION-』
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撮影=ハヤシマコ
『OSAKA NIGHT PARADE vol.13 -MINAMI WHEEL EDITION-』2025.8.29(FRI)大阪・心斎橋Music Club JANUS
2025年8月29日(金)、大阪・心斎橋Music Club JANUSにて『OSAKA NIGHT PARADE vol.13 -MINAMI WHEEL EDITION-』が行われた。今要注目のアーティストをピックアップして2021年から開催を続けてきた本イベント。13回目となった今回は『MINAMI WHEEL EDITION』として、毎年10月にミナミ一帯で行われるライブショーケースフェスティバル『MINAMI WHEEL』(以下、『ミナホ』)とコラボレーション。MCはFM802 DJの中島ヒロトが担当した。出演者のluv、十明、Baby Canta、紫 今、オープニングアクトのOddRe:は、全組今年の『ミナホ』にも登場する。改めて『ミナホ』への機運を高めるとともに、新進気鋭のアーティストのライブを存分に堪能したこの日。集まったミュージックラバーの愛情で素晴らしい一体感が生まれた一夜となった模様を振り返る。
OddRe:
オープニングアクトには、大阪でのライブは初というOddRe:が登場。 YUI、絢香、VaundyやChilli Beans.らを輩出した音楽塾ヴォイス出身の注目アーティストで、開場中のアクトにも関わらずフロアは既にパンパン。その高揚感はすさまじく、いかに彼らの来阪が待たれていたかが伝わってきた。SEが流れ、AirA(Vo)、ユウキ サダ(Ba.Vo)、SOI ANFIVER(Gt.Comp)がステージに走り込んだ瞬間、湧きに湧きまくるオーディエンス。なんという熱量だろう。1曲目は「CRASH OUT!!!」。初見の人がほとんどで、筆者も彼らのライブを観るのは初めてだったが、ベースラインに乗って聴こえてきたAirAの情感豊かなボーカルに耳を奪われた。ロックでファンキーでグルーヴィで、時折がなるように熱を帯びて歌う様子からはレベルの高さが伝わってくる。楽器隊も、音数はシンプルながらタイトでパワフルでスキルフル。前へ放つサウンドとオーディエンスの熱狂が溶け合って、ポジティブな空気が醸成されていく。直感的に「今日は絶対に良い日になる」と確信した。
「初めましてOddRe:です! 一緒に盛り上がっていきたいんですけど、踊れますか大阪!(AirA)」と投下された「FEVER TIME」では、声色の異なるAirAとユウキ サダのツインボーカルが楽曲にアクセントをつけて、フロアの高まりをさらに更新。メンバーも嬉しそうに笑顔を見せた。ラップ調のボーカルがエッジーな「東京ゴッドストリートボーイズ」で無敵感すら感じさせると、雰囲気を一変してドラマチックなバラード「ai my me」へ。ラストは未発表曲(タイトル未定)でパワフルに締め括った。のっけからワンマンさながらの熱いライブで最高のバトンを繋いでくれた。
ステージにはMCのFM802 DJ・中島ヒロトが登場。OddRe:について「盛り上がった〜! ライブの迫力がすごい。名前通り、最初からすごく踊らせてくれた」と絶賛し、「しかも今日大阪初ライブでしょ? 皆さん目撃者になれたということで、おめでとうございます!」と一体感を高め、「最後まで楽しんでいきましょー! よろしくー!」と明るく会場を盛り上げた。
なおロビーでは「ミナホフォトブース」で写真を撮ったり、『ミナホ』の
紫 今
本編のトップバッターは紫 今。SEと照明が連動して鼓動のように脈打ち、パープルに染まったステージにバンドメンバーと紫 今がスタンバイ。そして、紫 今がいきなりダイナミックなシャウトをお見舞い! 鼓膜を突き抜けるような声量と高音のロングトーンで一気に惹きつけると、まずは「Server Down」を右へ左へ動きながら歌声を響かせ、シンガロングパートはしっかりひとつに。続く「エーミール」では、しゃくりあげる歌い方や少しハスキーな声色で魅了する。ミステリアスな空気を纏い圧倒的なボーカル力を見せつけたかと思えば、「ねえみんな、楽しんでますか?まだまだ休ませるつもりないから遊ぼうね♪」とキュートに煽って観客の心をわし掴む。妖しげな「ウワサのあの子」では徐々にサウンドが加速、ギターとベースも唸りを上げて熱を上昇させた。
アカペラから始まった「酔い夏」は壮大で美しく、丁寧に感情を乗せて涼やかな歌声を響かせていく。マイクに被せられていた柔らかな白い布を紫 今がそっと持ち上げて落とす、そんな挙動も演出のひとつとして存在感を放ち、しっかりと記憶に刻まれた。
MCでは「初めましてだよって人〜?」とファンとコミュニケーションを取り、「後半戦やってまいりたいと思うんですけど、ブチ上がる準備できてますか?クレオパトラと見惚れる準備できてますか!」と「魔性の女A」を色気たっぷりに披露した。ここからはラストスパート。クラップとジャンプで一体となった「フラットライン」に続き、自身最大のバイラルヒット曲「凡人様」で完全掌握。「最高だぜ大阪! こんなに素晴らしい夜になったのはみんなのおかげです!」と楽しそうに笑顔を見せた。終始ハイセンスなライブパフォーマンスで人々を虜にした紫 今だった。
Baby Canta
続いては、OddRe:と同じく音楽塾ヴォイス出身で、2024年から活動を始めたBaby Canta。SEが流れてバンドメンバーが音を鳴らすと、Baby Cantaはお立ち台に乗ってクラップを煽り「Baby Canta、ライブ始まるぜー!」とロックンロール・ナンバー「696936」でパワフルに飲み込んでいく。全身で放つ伸びやかな歌声と力強いロックサウンドに導かれて、オーディエンスの手は自然に上がり、クラップが発生した。
Baby Cantaは気合い十分で「今日は過去最高のライブをしに来ました!」と宣言し、ポップでキャッチーな「ビビってバビってブー」へ。ステージを動き回り、瞳を輝かせてギターを弾く様子から「楽しくて仕方ない」という気持ちが伝わってくる。バンドメンバー3人との空気感も穏やかで、生み出されるナイスグルーヴが本当に心地良かった。続き「皆さんお熱いライブはお好きでしょうか? 私もお熱いライブが大好きでして。出来立てのままお召し上がりください!」と「Hot Cake」を情熱的にプレイ。リズムに身体を乗せて、ラップ調のボーカルを前のめりに叩き込んだ。
MCでは「今日めちゃめちゃ楽しみにしてました。大阪には何度かライブで来ているけど、3曲やっただけでも皆さんの優しさと熱狂が見られるくらい。前やった時もそうだった」と大阪のオーディエンスの反応を喜ぶ。『OSAKA NIGHT PARADE』にちなみ「PARADEを作る準備、大丈夫ですか!?」とギアを上げて、今年5月度のFM802邦楽ヘビーローテーションになった「SHYBOY」を躍動感マシマシで届け、ミドルナンバー「揺れる」を大人っぽく響かせると、「最後だぜ! 大阪いけんのか!」とさらにテンションをアップ。タンバリンを手に、ダンサブルかつ爽やかに「アークサーチライト」で駆け抜け、ラストは自身もギターを持ってファンキーな「The Weak」で最高潮を刻みつけた。最後までハイパワーで牽引し続けたBaby Cantaは「あなたたちに出会えたこと、本当に誇りに思います!」と感謝を口にした。
十明
トリ前は、映画『すずめの戸締まり』の主題歌で話題となった22歳のシンガーソングライター・十明が、ドラムとキーボードを迎えた3人編成で登場。ライブはRADWIMPS・野田洋次郎プロデュースの「NEW ERA」からスタート。ボーカルエフェクトをかけた繊細で透明感のある歌声が会場を満たしていく。その佇まいやオーラ、衣装から受けるのはミステリアスでクールな印象だが、1曲を終えると「皆様こんにちは! 十明と申します。今日は楽しんでいってね♪」と明るく声を弾ませた。
昭和歌謡を思わせるノスタルジックな「蜘蛛の糸」、ダークポップな「Discord-disco」と続くにつれ、彼女が歌っている時と話している時の声色やギャップはより強くなっていった。どこかに連れて行かれてしまいそうな妖しさと艶やかさを纏わせたり、不穏な空気を孕ませて囁くように歌ったり、圧巻のフェイクを響かせたり、高笑いしたりと、表現がくるくると変わり、まるで舞台を観ているかのよう。さらに繊細なピアノの音色が美しいデビュー曲「灰かぶり」を経て、アコギの弾き語りで叶わない恋愛への切なさを綴った「月並」をあたたかくも儚く、生歌感たっぷりに歌唱した。
MCでは「去年も出演させていただいて、今年も『ミナホ』に参加することができてすごく嬉しいです」と笑顔。11月に控えたワンマンライブのアナウンスをすると拍手が鳴り止まず「みんな盛り上げてくれるから嬉しいです」とはにかむと、メンバー紹介を経て最新曲「クズ男撃退サークル」をパワフルに歌い上げた。
ラストチューンは十明自身が「決意の曲」と称する「革命」。中華的要素のあるサウンドに表現者として生きていくという意思の強さを、のびやかに凛とした歌声で乗せていった。30分の間で、千変万化の魅力を余すところなく伝えた十明。そんな姿からは彼女の芯の強さも垣間見れた気がした。
luv
トリは、Hiyn(Vo.Gt)、Zum(Ba)、Sho(Dr)、Rosa(Key)、Ofeen(DJ)からなる、大阪発のluv。メンバー全員2003年生まれの彼らは、2023年6月に結成、翌年にメジャーデビュー。ボーカルのHiynは個人で楽曲提供なども手掛けるなど、マルチな才能で注目を集める新進気鋭のバンドだ。Hiynは「Are you ready OSAKA! 最後まで残ってくれてありがとうございます!」と笑顔で叫び、「脳におまじないなme」をとびきりファンクに華やかにプレイ。5人の奏でるアンサンブルは推進力があり、聴いているだけでウキウキする。「Let’s goみんな踊れますか! 華金やぞー!」とのHiynの言葉でフロアは勢いづき、めくるめくluvワールドへと吸い込まれていった。
シンガロングでひとつになったミドルナンバー「Rear」に続いては、メジャーデビューシングル「Fuwa Fuwa」を極上の音色で響かせる。ぐんと音圧がアップした「柔軟剤DOPE」はただただグルーヴィに流れる音の波に酔いしれ、オーディエンスは一心不乱に踊りまくる。楽器隊の音がまたひとつ大きくなり、ピンクに染まったステージに投下されたのは「Lee Un Vile」。 日本語詞と英語詞と織り交ぜてまろやかに歌うHiyn。 ZumとShoの安定したビートにRosa、Hiynのリフが重なるイントロの展開もクセになるが、曲中でのソロ回しではもう一段階グルーヴを増して、最高にダンサブルに。OfeenのスクラッチからのShoの爆音のドラムソロはあまりにカッコ良く、大歓声が湧き上がった。
和製ポップス色の強い「好人紀行」で多幸感に包まれ、いよいよラストチューン、90’sシティポップの香り漂う「Send To You」へ。サビは一斉に手が左右に振られ、この日一番の一体感を作り出した。どこまでもいけそうなスターの片鱗を見た気がした。
まだ足りないとばかりに、アンコールを求めるオーディエンスたち。嬉しそうにステージにカムバックしたメンバーは「今日は楽しい華金になったと願い、サッとやって僕たちは帰ります!(Hiyn)」と叫び「Spare」を披露。後半は爆発力を上昇させ、クラップとジャンプで観客を跳ばせ、Zumは前に出てベースを、Hiynはギターを全力で弾き倒す。華麗なキメとスピード感のあるアンサンブル。イベントの締め括りにふさわしい熱狂で、盛り上がりはMAXに達したのだった。
MCの中島ヒロトは出演アーティストをステージに呼び込み、ライブの感想を尋ねる(紫 今はスケジュールの都合上不在だった)。OddRe:のSOIは「初めての大阪でこんなにあたたかく受け入れていただいて、最高のライブになりました。また大阪へ遊びに来ます!」、Baby Cantaは「僕が楽しんでいるのに対して、皆さんも楽しんでくれて。逆に僕がお客さんに楽しませてもらってる感覚になるライブでした。ほんとにありがとうございました」、十明は「みんなが良い感じの顔で見てくれたので、楽しく歌えました。本当にありがとうございます」、そしてluvのHiynは「まじでまじで、みんな熱すぎてめっちゃ好きー!」とそれぞれ挨拶。
何度も書くが、この日は訪れたオーディエンスの「音楽を心から楽しもう」という姿勢が群を抜いていた。全てにおけるレスポンスがポジティブだった。それによりアーティスト側も安心して演奏できているように思えたし、オーディエンスも感情のまま、素直に身を委ねているように感じられた。もちろんライブの楽しみ方は人それぞれだが、ステージとオーディエンスの良い相乗効果があったからこそ、『OSAKA NIGHT PARADE vol.13 -MINAMI WHEEL EDITION-』が記憶に残る夜になったことは間違いない。それはライブが終わった後のアーティストと観客、MCの中島の顔の輝きを見ればすぐにわかった。
いよいよ開催となる『MINAMI WHEEL』には400組以上のアーティストが集結する。そんな素敵なミュージックラバーが『ミナホ』に来てくれることが楽しみで誇りだ。今年の3日間で、どんな出会いとドラマが繰り広げられるだろうか。
取材・文=久保田瑛理 撮影=ハヤシマコ
セットリスト
日程: 2025年 8 月 29 日(金)
OA:OddRe:
SNS:
X @OskNightParade
Instagram @osaka_night_parade
<OSAKA NIGHT PARADE ARCHIVES>
■2025-7-29「OSAKA NIGHT PARADE~vol.12~」@ Yogibo HOLY MOUNTAIN
出演:JIJIM 、烏兎-uto- 、KI_EN、ココラシカ
イベント情報
●開催日時:2025 年 10 月 11 日(土)・10 月 12 日(日)・10 月 13 日(月・祝)
●会場:
ANIMA / AtlantiQs / BEYOND / BIGCAT / BRONZE / CLAPPER / club JOULE / club vijon / CONPASS / DROP /
FANJ twice / FootRock&BEERS / hills パン工場 / JANUS / OSAKA MUSE / OSAKA RUIDO / Pangea / soma /
SUNHALL / VARON / なんば Hatch(11 日・12 日のみ)
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3DAYS PASS(全会場共通 3 日間通し券) ¥12,000
SATURDAY/SUNDAY /MONDAY PASS(全会場共通・各日 1 日券) ¥5,000
なんば Hatch 限定 PASS 1F スタンディング ¥4,000
※1ドリンク 600 円(税込) 別途必要 。
※ドリンク代は PASS 交換時にお支払いいただきます。
※ドリンク
※
(イベント中止による払い戻しの場合、販売事務手数料を除いた金額を払い戻します)
※出演者の変更に伴う払い戻しは致しません。
※当日券の発売は未定です。
※大阪府の条例により夜 7 時以降は、16 歳未満のお客様は保護者同伴の上ご入場下さい。
※6 歳以上
な
●DJ=樋口大喜、豊田穂乃花