Rei 家入レオがゲスト出演、『Reiny Friday –Rei&Friends– vol.17』オフィシャルレポートが到着
-
ポスト -
シェア - 送る
家入レオ、Rei
シンガー・ソングライター/ギタリストのReiが、8月22日に東京キネマ倶楽部で『Reiny Friday –Rei&Friends– vol.17』を開催した。デビュー10周年ということで今年は3ヵ月連続で開催されているこの『Reiny Friday -Rei & Friends- 』。Ginger Rootを迎えた7月11日公演に続く今回のゲストは、家入レオだ。
開演前にはいつものようにReiがセレクトしたBGMが流れていた。家入レオがゲストということで、この夜は女性シンガー・ソングライターの曲が集められていたが、青葉市子、阿部芙蓉美、メイ・シモネス、アリス・フィービー・ルー、ビーバドゥービー、クレイロ、プリシラ・アーン、ジョニ・ミッチェルほか、やはりギターを弾いて歌う女性の曲を多めにセレクトしていたのがReiらしいところだなと思ったりも。
開演の19時になり、いつものReiny Friday同様、まずは下手側上方のサブステージからゆっくり階段を下りたReiがメインステージの端に座って、ひとりでアコギを弾きながら「Reiny Monday Blues」(このシリーズ・ライブのテーマ曲)を歌う。曲が終わるとこの日のバンド・メンバーがステージに登場。真船勝博(ベース)、渡辺シュンスケ(鍵盤)、澤村一平(ドラムス)だ。ここから4曲続けてパワフルなロックだったりファンクだったりの曲をぶっ放すRei。「HEY BLUE」ではファンキーにフリも交えて歌い、「My Runway」ではライムスターのラップ・パートを自らがラップ。バンド・メンバーたちのコーラスも効いていた。お馴染みの「JUMP」はイントロ部分がいつもと異なり、サーフロックまたはガレージロック的とも言えるアレンジに。「COCOA」ではベースの真船とReiがやり合い、最後のシャウトの破壊力も凄まじかった。
続いてザ・ビートルズの「Birthday」。この曲の演奏が始まると、Reiは「今日はReiny Fridayということで特別なお友達をお呼びをしてます。みなさん用意はいいですかー?」と煽り、そして同曲の終盤で「では、みなさんお待ちかね、ここでスペシャルゲストをお呼びしたいと思います。家入レオ!!」とその名前を。「Birthday」の演奏が終わると同時に傘をさした家入がサブステージに現れ、階段を下りると「こんばんは~。Reiny Friday、楽しんでますか~?!」と挨拶。その声のクリアさに驚かされる。Reiもあとで「登場したときの突き抜けるような美声にびっくりしました(笑)」と話していたが、キレイな声でありながらなのに出力が凄いというのが家入のボーカリストの個性であり強みなのだと一瞬で理解させられた瞬間だった。「凄いね、お客さんの熱気が」と家入が言うと、「レオちゃんが来てくれて、みんな嬉しいんだよ」とRei。家入は「音楽の最高なところは、一緒にステージに立ってライブするなかでどんどんひとつになっていくことだと思う。Rei、レオ、どっちでもいいんですよ。とにかく来てくださった方に“ああ、今日来てよかったな”って思っていただけたら、それ以上のことはないので」と話した。
ふたりの初めの共演曲は、家入の「Silly」。彼女が10代最後の年に初のバラード・シングルとしてリリースした曲で、感情を込めて歌う家入の歌声はReiのギターとコーラスの力も手伝って限りなくどこまでも広がっていくよう。続いては家入が25歳のときにリリースしたシングル曲「未完成」。“愛を止めて 僕から逃げて”という出だし部分を無伴奏で歌う家入。やはり広がりを持って響く声の力、歌唱の力を実感させられた。また曲途中でジャズのようにスウィングする渡辺のピアノもいいアクセントになっていた。歌い終えると「Reiちゃんのギターがやばいし、ミュージシャンのみなさんのグルーブも半端なくないですか? やっぱり歌をうたわれる方のギターって歌心が宿る演奏なんだなって、隣で感じながら歌わせていただきました」と家入。「(家入の歌に)聞き惚れて、ギターを弾くのを忘れそうになるくらい(笑)」とRei。
そんなふたりが出会って仲良くなったのは、2019年10月23日に代官山UNITで行なわれたReiとOLIGINAL LOVEの2マンライブを家入が観に行ったのがきっかけだそうだ。Reiはそれまで家入に対して「美しくて、孤高の存在」といった印象を抱いていたが、そこで初めて話をし、その気さくさに「ギャップ萌えした」と言う。そんな話を受けて「Reiちゃんは友人として会っていると、ひらがなの“れいちゃん”なんですよ。ギターを外すと、けっこう天然な女の子で」と言う家入。「いやいやいや、そんなことない!(笑)」とReiが笑って否定しつつ、「でも(普段とライブのときの)ギャップがあるのはけっこう共通点かも。スイッチが入るって言われるでしょ?」と問うと、「え? どうだろ。私はわりとこのままじゃないかな」と答える家入だった。そして「だからこそ、こうやってお互いが音楽をやっているときの姿で会えて嬉しい」とも。
ふたりの次の共演曲は、Reiの「Heaven」だ。激しいReiのギターに呼応して家入のロック・スイッチもここで入ったようで、長い髪を振り乱し、表情も変化。ふたりが交互に歌うことで熱がどんどん高まり、背中を合わせて弾く/歌うふたりの姿も絵になっていた。Reiは「レオちゃんは普段接している人との会話や表情を丁寧に摘んで、自分の心のなかで花を咲かせているんだなって思った」と話し、家入は「英語を通過した上で日本語の歌詞を書く人独特の言葉のハメ方をする。そういうところにもReiちゃんの人となりが出ていると思う」とReiを評し、そうしてソングライターとしての互いの個性と魅力を言い合ったあと、共演パートの最後にやったのは家入の代表曲「君がくれた夏」。Reiがアコースティックギターを弾き、家入は細やかなビブラートで感情表現してオーディエンスを引き込んでいく。家入の歌にそっと寄り添うようなReiのコーラスもいい。曲を終えると、ハイタッチして抱き合うふたり。「楽しかった! 一瞬でした。ありがとうございました」と言って、傘をさしながら家入がステージを去った。
ここから再びReiのコーナー。以前のインタビューで「私自身を象徴する曲」と言っていた「GUITARHOLIC」に始まり、5曲続けて激しい曲、盛り上がりまくる曲、じっとして聴くなんてできっこない曲を演奏した。これでもかとばかりに耳をつんざくギターソロを弾き倒して圧倒した「GUITARHOLIC」、「キネマ倶楽部、本気を見せてくれますか?!」と煽って始めた「Lonely Dance Club」、「一緒に歌える?」と言って“Run, run away, run away~”の箇所をオーディエンスとシンガロングした「RUN,RUN,RUN」、アコギでカントリーテイストの陽気なメロディを弾き始めて中盤からフライングVに持ち替えブギへと展開させた「New Days」(サングラスをして台上でプリンスのように弾き倒した間奏のギターソロは鳴りもインパクトも出色。弾き終えてサングラスを無造作に投げ捨てたのもかっこよかった!)。そして本編の最後を飾るに相応しい「What Do You Want?」だ。「東京、準備はいいですか?! アー・ユー・レディ?! 自分の欲しいものは自分で手に入れるんだよ!」と煽って演奏を始め、バンド、オーディエンスと一体となって凄まじい爆発力を見せたこの曲の熱量はちょっと尋常じゃなかった。
アンコール。まずひとりでステージに再登場したReiは、「ちょっとシリアスな話だけど、最近思ってることがあって」と切り出した。「私がデビュー10周年で、レオちゃんは13年。どんどん新しくてかっこいいアーティストが出てくるなかで焦ったりする瞬間もあるし、自分をより進化させて上質でかっこいい音楽を提供して楽しんでいただくことのハードルが年々高くなっているのを感じることもある。と同時に、ネガティブなニュアンスを含んだ感じで年齢について言われることも出てきて。ひとりの女の子として、歳を取ることで自分の価値がなくなっていくんじゃないかという怖さを覚えるときがあります。でも今日、本質的に輝く同世代のレオちゃんを見ていて、自虐的にならず、積み上げてきた分の芸術を表現できることを誇りに思いながら自分もやっていきたいと思ったし、どんな年齢や肩書であろうともみなさんが自分に誇りを持てるように私がまずそれを発信していきたいと思って……」。そして「フルーツも熟したら美味しくなるよね!って曲をやりたいと思います」と力強く言い、述べた思いを「BLACK BANANA」に丸ごと乗せて爆発させた。“Banana-na-na せかさないでBanana-na-na 成り行き任せ Banana-na-na わがままな実が熟すまで”。10周年記念ベストアルバムのタイトルを『FRUIT』と付けた理由も明確にわかった気がした瞬間だった。
「ということで、再び呼びたいと思います。家入レオ!」。Reiのその声でステージに再登場した家入は、明るく大きな声でさらに場を盛り上げ、「おめでとう10周年!!」と言って手に持ったブーケをReiに渡した。感激した様子のRei。そんなふたりがこの夜の最後に歌ったのは、「わたしたち」とタイトルの付けられたフォーキーな初共作曲だった。「Reiny Fridayのゲストに出てくれませんか?」と1月にReiから誘いを受けた家入は、「友達と一緒にライブするなんて、なかなか機会のないことだから、スペシャルなものにしたい」と思い、「その日のために一緒に曲を作りませんか?」とReiに提案。「じゃあランチがてらミーティングしましょう」ということになり、、そこで歌詞の1コーラスが書かれた便箋をReiから渡され、「2コーラス目をレオちゃんに書いてほしいんだよね」と言われた……というのが共作の経緯だったそうだ。「そのとき私、なんかグッときちゃって」と家入。そして「Reiちゃんも私も10代で東京に出てきて、好きなことを仕事にしているけど苦しいこともたくさんあって。立ち止まりそうになることもあるんですけど、でもきっと音楽はそういうときのためにあって。私も苦しくなったらReiちゃんに連絡して“肩かして”って言いたいし、みなさんも辛くなったらReiちゃんや家入レオの曲を聴こうって思ってもらえたら……。そんなことを思いながら2コーラス目の歌詞を書かせてもらいました」とも。そうしてReiと家入がかわりばんこに歌ったその曲「わたしたち」は、Reiが数分前に明かした心の内と結びつく内容だった。
曲を書いて歌い、10数年間夢を追い続け、ときに傷ついたり葛藤したりしながらも、これからまたそれを続けていこうと決めているそれぞれのリアルな思いが、あたたかくて少しだけ切なさもあるメロディに乗せて優しい声で歌われた。途中からバンドも演奏に加わり、カントリーっぽく展開していく曲構成もよかった。胸に沁みる、本当にいい曲。歌い終えて「いい曲だったよね」「形にしたいよね」「リリースしたいよね」「したいしたい」とふたり。この一夜の共演と、それによって生まれた「わたしたち」という共作曲は、間違いなくこれからのふたりの音楽人生においての糧となるに違いない。
文=内本順一
撮影=Kana Tarumi
ツアー情報
2025/10/4(土) 会場:東京ヒューリックホール
2025/10/5(日) 会場:愛知TOKUZO
2025/10/9(木) 会場:広島Live Juku
2025/10/10(金) 会場:福岡Gates7
2025/10/13(月) 会場:宮城 誰も知らない劇場
2025/10/25(土) 会場:兵庫 653cafe
【バンドツアー】
2025/11/7(金) 会場:福岡DRUM LOGOS
2025/11/8(土) 会場:岡山YEBISU-YA
2025/11/13(木) 会場:愛知DIAMOND HALL
2025/11/14(金) 会場:大阪GORILLA HALL OSAKA
2025/11/18(火) 会場:北海道cubegarden
2025/11/20(木) 会場:宮城RENSA
2025/12/5(金) 会場:東京duo MUSIC EXCHANGE