さとみ(すとぷり) “感謝の体現”をするために努力を惜しまないーー2ndフルアルバム『S’s』&6年ぶりのワンマン・横浜アリーナ公演について語る

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『Satomi ONE MAN LIVE 2025』


2.5次元アイドルグループ・すとぷりのメンバーであるさとみが、2ndフルアルバム『S’s』を2025年9月24日にリリースする。
「実は、今回のアルバム『S’s』を出すのをやめようかなと思った」と悩みつつも、「これまでの活動で得たものや表現を全部詰め込んで、リスナーさんが自分を好きになってくれたことは間違っていなかったんだよということを証明できるような作品にできたらいいな」という思いで完成した今作について、そして9月27日・28日に横浜アリーナで行う6年ぶりのワンマンライブ『Satomi ONE MAN LIVE 2025』に向けて。“感謝の体現”をするために努力を惜しまない彼に、たっぷりと話を訊いた。

――2025年9月24日に発売の2ndフルアルバム『S’s』は、前作『Never End』以来、実に2年ぶりとなるフルアルバム。どんな想いから生まれた作品なのでしょうか。

2年前に発売した『Never End』は、活動を始めてから得てきたもの全部を詰め込もう、というアルバムだったんですね。活動をしていなければ歌を本気で練習してないし、ダンスなんかは絶対にやっていないだろうし、自分の見た目も気にしていなかったはずで。その全部を使って実写MVや特典のフォトブックまで含め“ありがとう”をリスナーのみんなに届けたので……実は、今回のアルバム『S’s』を出すのをやめようかなと思ったこともあったんですよ。

――そのときのすべてを出し尽くした作品のあとでは、ハードルが高くなってしまうわけで。

そうなんですよ。『Never End』で全力を出しすぎて、次の作品でそれを超えられるのか、どう作ればいいのかと考えてしまって。でも、10周年間近、活動9年のリスナーさんへの感謝の気持ちを目いっぱい込めて、Satomiの頭文字である“S”から始まる“Sexy”“Star”“Summer”といったワードをテーマにした曲で構成したら、『Never End』とはまた違った切り口で振り切ったアルバムになるんじゃないかなと。もともと勉強していたお芝居の経験も含め、これまでの活動で得たものや表現を全部詰め込んで、リスナーさんが自分を好きになってくれたことは間違っていなかったんだよということを証明できるような作品にできたらいいな、という想いもありました。

――そんな『S’s』、まるで洋楽のような1曲目の「CURVE」からして驚かされました。繊細なファルセットや流暢なラップ、ほぼ英詞の発音など、隅から隅までこだわられていますよね。

最高の誉め言葉! ありがとうございます。「CURVE」は、自分にとって挑戦の曲で。名だたるアーティストの方の英語曲を監修されている方に来ていただいて、かなりシビアに発音指導をしていただいたんですよ。今の言葉で報われました、めっちゃ嬉しいです。

――「CURVE」に始まり、『S’s』の全15曲は実に色彩豊かで、歌の表現というところでも楽曲によってがらりと異なる表情で魅せますね。

1曲1曲にテーマがあって、それが集まったときにまったく違う曲がたくさん入っている感じになったら正解だなと思っていたのでその言葉も嬉しいです。

――楽曲それぞれの解釈や表現をするにあたって、どんなことを心がけていたのでしょうか。

歌詞の中の主人公の目線になったり、俯瞰しているような感じで歌ったり……お芝居にしてもそうなんですけど、結局自分の感じてきたものしか表現できないし、「人間は自分が触れてきた言葉でしか語れない」っていう大好きな言葉の通りなんですよね。日頃からわりとアンテナを張って生きるようにはしているので、活動9年の中で自然と増えていった引き出し、日々のインプットがいかされていたらいいなと思います。

――中でも、もっとも感情移入をしてしまった曲を挙げるとするならどの曲になりますか?

「青に染まる」ですね。別れの歌ではあるんですけど、距離的に会えないのかとか、もう二度と会うことができないのかとか、人によって捉え方が変わってきそうな、解釈の余地を残した歌詞で。歌いながら自分の頭の中に映像が鮮明に浮かんできて、感極まりながらレコーディングしていましたね。

――だからでしょうか、歌も途中にはさまれるセリフも、とても感情的で。きれいに整えるということよりは吐き出したい情動や衝動を大事にしたテイクで、心揺さぶられてしまいます。

嬉しいな。きれいに歌うこともできるけど、この曲ではきれいさはいっさい置いておこうと。感情をむき出しに歌ってそれをそのまま形にするっていうのは今までやったことがなかったんですけど、今回は攻めてみました。曲をミックスダウンしてくださるエンジニアさんにもめちゃめちゃ好評だったみたいで、チャレンジしてみてよかったです。

――では、歌っていて純粋に楽しい!と感じた曲を挙げるとしたら?

さっき触れた「CURVE」と、「Strawberry Shadow」ですね。レコーディングしながら、こういうダンスをしたいなとか、ライブの光景がめちゃめちゃ頭に浮かんできて。英語の発音とか歌の技術的な部分とか難しさはあったんですけど、楽しく乗り越えられました。9月27日・28日に行う横浜アリーナ公演に向けてのリハーサルが始まっているんですけど、断トツにかっこいいパフォーマンスになるんじゃないかなと思います。

――ライブを重ねるたびに歌もダンスもどんどん磨きがかかっていくさとみさんですが、今度のライブに向けてもまた期待が膨らんでしまいます。

前回と同じことをやってもダメだし、前回と同じレベルのものを見せないって自分で決めていて。

――自分に厳しくストイックな人じゃないとできないことです。

表に立つ人間である以上はこうあるべきだっていう理想像が自分の中にあるから、「きつい」「できない」とか言っていられないし。そういう理想像を追い求め続けることこそが感謝なんじゃないかって僕は思うんです。

――ライブにしても音源にしても、いつもリスナーさんの期待を超えていくさとみさん。2019年リリースのミニアルバム『Memories』に収録されていた「涙色」を歌いなおした「涙色 2025ver.」でも、その進化度合いがわかります。

6〜7年前は音域がせまかったから、もともとのキーから下げて歌唱させていただいたりもして、それがめちゃめちゃ悔しかったんですよ。今回の再収録で自分自身、成長を感じられたので。よかったなって胸をなでおろしました(笑)。

――また、シドのマオさん作詞、ゆうやさん作曲の「涙の順番」では、“シド節”をさとみさんのものにしているなと。

言葉の一音一音を立たせるように気をつけて歌ったんですけど、そう感じてもらえたならよかったです。

――<許せなかった>が伝わりすぎて怖いくらいです。

最後のフレーズですよね。すみません、ははは。「歌詞がちゃんと耳に残るね」とスタッフさんにほめてもらえたのも嬉しくて。シドさんは学生時代から大好きでずっと聴いてきたし、カラオケに行くと必ずみんなで歌っていたので、すとぷりの「恋の行方」に続いて今度はソロでも曲を書き下ろしていただけることになった、その感動がまずは大きくて。シドさんならではのどこか懐かしさを感じるメロディを自分が歌えるっていうことがすごく嬉しかったし、いまだに不思議な感覚もあります。ほかの楽曲にしても然り、いろいろな方に提供していただいたどの曲も素晴らしくて、本当にご縁に感謝です。

――そして、「Echoes」にはすとぷりのメンバーが歌唱参加されていますよね。

『Memories』に収録の「Feeling Love」、『Never End』に収録の「Contact」に続いて、メンバーに参加してもらいました。「Contact」から2年、ちょっと大人になった歌詞とか歌い方とか、そういうところも楽しんでもらえたら嬉しいなと。メンバーがいると落ち着くし、全員の声が合わさったハーモニーってやっぱりすごくいいなってあらためて思いました。

――ソロの活動もそうですし、すとぷりのこともすごく大事にされているんだなということもひしひし伝わってきます。

ソロとしてもすとぷりとしても、活動9年なんですよ。ずっと一緒に歩んできましたからね。すとぷりの活動があったからできた経験、見られた景色もたくさんあるし、すとぷりはやっぱり、自分にとって大事なもの、特別なものです。

――さとみさんの想いや経験、人生、リスナーの方への感謝が詰まった『S’s』。制作を通して見つけたもの、あらためて気づいたことなどはありますか?

『S’s』という作品、さらには9月27日と28日に横浜アリーナで行う『Satomi ONE MAN LIVE 2025』にしても、どんなコンセプトを掲げようかと思って行き着いたのが“感謝の体現”なんですよね。これまで、たとえばリリースイベントがあったらその数十秒だけでもひとりひとりをめちゃめちゃ幸せにしたい、しなきゃいけない、と僕は思っていて。でも、今回のこのアルバムとかライブの制作をしながら、そういう気持ちはもちろんあるんだけど、もうちょっと肩の力を抜いた接し方、より等身大な自分を見せることが、今届けられる愛なのかなと思ったりして。

――ありのままの自分で、ということですよね。

そうそう。これまでもそうしているつもりだったけど、やっぱりどこか肩に力が入っている部分があったので。本当に素直な、等身大の言葉を届けられるようになろうと思えたことが、今回の一番の見つけものです。

 

――9月27日・28日に横浜アリーナにて行われる『Satomi ONE MAN LIVE 2025』は、さとみさんにとって6年ぶり、人生で3回目のワンマンライブ。2日間であわせて全4公演、それぞれ『Memories』『Never End』『S’s』『Period』という異なるタイトルで、演目や楽曲を変えこれまでの歩みや現在、そして未来までをつなぐような内容になっているそうですね。

もちろんずっと好きでいてくれている人には超ありがとうだし、それが一番嬉しいのは大前提として、この時期はめっちゃ好きだったけどこの時期はあまり追えていないとか、絶対あると思っていて。『Memories』『Never End』『S’s』というふうに作品タイトルがライブタイトルになっていたら、この日はこの作品の曲が軸になるんだなということがわかりやすいじゃないですか。このアルバム好きだったからこの公演に行ってみようってふらっとライブに来てくれたら、僕としてはものすごく嬉しいです。今は離れていても、自分のことが大好きでいてくれたという事実は変わらないですからね。ちなみに、『Period』も含めその日しかやらない日替わり曲が4曲ぐらいあります。

――4曲×4公演ということは……。

16曲ですね。それだけでライブ1本作れちゃうっていう。何公演かあると基本のセットリストは一緒で1〜2曲替えるくらいだとは思うんですけど、全公演に来てくれる人もいますから。全公演で統一してやるのは4曲くらいしかないです。全公演同じじゃなくて違うことしたいな、もっとできるかなと思ってたらこんなことになりました(笑)。

――“感謝の体現”をするために、努力は惜しまないわけですね。それにしても準備が大変そうです!

会場に足を運んでくれる人全員を楽しませたいし、9年間の「ありがとう」を伝えるにはそのくらいしないと釣り合わないですから。次の曲これくるかな?という予想を簡単に当てさせない、ワクワクと高揚感が詰まった全4公演になると思います!

―― “感謝の体現”をしたいという想いがあるということはここまでのお話で承知した上で……どんなモチベーションがあってそこまでできるのでしょうか。

たぶん、僕はモチベーションで動いていないんですよね。たとえば、ライブだったら出演者やスタッフが全員怪我なく終わって、来てくれた人が「楽しかった」って言って終わってほしいと思いますけど。当たり前にいつもいてくれているリスナーさんにお返しをしようと思うととことん突き詰めたくなってしまうし、モチベーションとかじゃなく当たり前にこうするべきだ、なんですよ。

――応援してくださる方たちの気持ちとか存在に生かされている、みたいな感覚もあったりしますか。

今の自分があるのって、間違いなく常に支えてきてくれたリスナーさんのおかげなので。自分の好きな自分でいさせてくれてありがとう、という感謝の気持ちはものすごくあります。作品リリースもライブもできるのが当たり前じゃないし、これからも活動すべて、ひとつひとつ悔いなく向き合っていきたいです。

――覚悟が決まっているのですね。ちなみに、初めてステージに立ったときのこと、憶えていますか?

めっちゃ憶えています。すとぷりの活動が始まってすぐくらいのタイミングで、キャパ150人ぐらいのライブ会場でした。

――アリーナやドームでライブをする今からすると、想像できません。

お客さんとすごく距離が近くて、あまり凝った演出もなくステージに急に出て歌う、みたいな。マジで緊張しましたけど、最前列にいたお客さんの顔とか、今でも憶えています。

――強烈に脳裏に焼き付いているわけですね。そんな初ステージは、さとみさんにとって “楽しい”と感じる場所でもあったのでしょうか。

緊張はしたけど、すごく楽しかったんですよ。普段の活動がネットの生放送とか、画面越しの会話じゃないですか。だから、目の前にいるお客さんの顔を見て、反応を肌で感じたり、直接コンタクトがとれたりする場所ってすごく貴重だなって感動して。

――その楽しさや感動は、今も……。

めちゃめちゃ味わっています。ライブもそうだし、対面のイベントもそうだし。

――ライブでは、会場の規模がどんどん大きくなってもトロッコでお客さんの近くに行かれたりもされますよね。テンション上がりますか。

ペンライトを振ってくれたり大きな声援をくれたり、そりゃあテンション上がりますよ。トロッコに乗っているときの自分の写真を見ると、ずっとにこやかで幸せそうで。我ながらあまりにいい顔なので、グッズのブロマイド写真に採用したこともあります(笑)。

――リスナーさんの顔が見えるライブは、さとみさんが自然な笑顔になれる大切な居場所でもあるのですね。

間違いなくそうですね。ライブやリリースイベント、それに普段のネットでの活動にしても、本当にリスナーのみんなの愛を感じられる場所があって、僕は本当に幸せだなと思います。だから、この先、たとえば何十年か後にネットとかYouTubeがあるかとか、どう世の中が移り変わっていくのかはわからないですけど、どのような形であれみんなの前には居続けるよっていうのはリスナーのみんなに約束しちゃっているんですよ。守れない約束はしたくないし、綺麗事とかもめっちゃ嫌いだし。でも、自分が約束できること、偽りなしの言葉はそれなんです。頻度とかはわからないけど、10年後もみんなの前で楽しく話している自分は絶対想像できますから。

――活動10周年を前に、そう言い切れるというのは素敵なことです。

たとえば、起業して全然違うことを始めたとしても、配信は絶対にします。その時に感じていることとか、楽しかったこととか、いけてないことを、たぶん今と変わらないテンションでみんなの前で話している姿も想像できますもん。リスナーさんはリスナーさんで僕の発する言葉の輪郭をとらえてくれていると思うし、自分にとって不可欠な場所はこれからも大事にしていきたいです。

――さとみさんとリスナーさんの、揺るぎない愛と信頼の関係。今度の横浜アリーナ公演でも、また確かめ合えそうですね。

そうなったら嬉しいですね、うん。昔から応援してくれている人も、お久しぶりの人も、初めましての人も、みんなが楽しめるようなライブにしますし、僕なりの感謝の体現をしますので。ぜひ、会いに来てください!


取材・文=杉江優花

ライブ情報

『Satomi ONE MAN LIVE 2025』

【日時】
-2025年9月27日(土)
<昼公演>-Memories- 開場 12:00/開演 13:00
<夜公演>-Never End- 開場 17:00/開演 18:00

-2025年9月28日(日)
<昼公演>-S's- 開場 12:00/開演 13:00
<夜公演>-Period- 開場 17:00/開演 18:00

【会場】 
横浜アリーナ 〒102-8321 神奈川県横浜市港北区新横浜3丁目10

リリース情報

2ndフルアルバム『S’s』
2025年9月24日 (水)
 
●通常盤
品番:STPR-1025
JAN:4573621879707
価格:2,750円 (税込)
仕様:CD1枚 (新曲を含む15曲収録)
 
●初回限定盤A
品番:STPR-905
JAN:4573621879714
価格:4,400円 (税込)
仕様:CD1枚 (通常盤収録曲)+アクリルスタンド特製豪華BOX仕様
 
●初回限定盤B
品番:STPR-9056/7
JAN:4573621879721
価格:3,300円 (税込)
仕様:CD2枚組 (Disc1 通常盤収録曲/Disc2 通常盤未収録 リアレンジ楽曲6曲)
 
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