大阪・万博記念公園で初開催『OTODAMA EXPO 千里丘編』太陽の塔の地で大雨の中、世代を超える音楽を浴びた1日をプレイバック

18:00
レポート
音楽

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『OTODAMA EXPO~千里丘編~』2025.10.25(SAT)大阪・万博記念公園もみじ川芝生広場

関西の名物イベンターの清水音泉が主催する名物野外イベント『OTODAMA~音泉魂~』。去年、20年という一区切りがついたことと、春に開催するのであればの交通事情も踏まえて、今年は休止するはずだった。しかし、場所は大阪・万博記念公園もみじ川芝生広場に変えて、10月25日(土)という秋に急遽開催となった。そのあたりの詳しい事情は、清水音泉の番台こと代表である清水さんのnoteを読んでいただくとして。『OTODAMA EXPO 千里丘編』というタイトルにも込められたように、清水さんが青春時代を過ごした千里地域への想いが詰まった祭。なので、ステージ名もセルシーステージとHALLO’Sステージと名付けられている。と言っても、その意味がわからない人も多いはずなので、やはり清水さんのnoteを読んでいただけたらと思う。

千里中央駅からモノレールに乗り換える時に、今はなき千里セルシー跡地を横目で色々と感じながら観て来れたのも、このイベントコンセプトのおかげ。清水さんのnoteを読む時間がない人にも、かいつまんでいうと『OTODAMA』は独特のノスタルジーを感じるイベント。それは1970年の大阪万博が開催された場所でもあるし、まだ1980年代も1990年代も活気があった街。その頃の活気を懐かしみながらも、今は今だから出せる活気を楽しもうと、そんな風にリラックスしながら自然と思える祭であった。あーだこーだ私が書いても仕方ないので、この日をプレイバックしていきたい。

Nagakumo

朝10時15分。HALLO’Sステージ。welcome actとして地元大阪のバンドであるNagakumoが登場。ギターカッティングから始まる1曲目「スゥィート・スペース」は、ふんわりとした緩やかなナンバー。緑の芝生に囲まれて、OPEN AREAとSHEET AREAと落ち着いて楽しむ野外イベントにはぴったりなライブ。1990年代が青春時代の身からしたら、ネオアコ的な要素があり、同じ世代の観客からしたら懐かしさもあり、でも新しい音でもあるし、若い世代の観客からしたら真っ直ぐに新しさを感じるだろう。来年結成5周年を迎えるバンドならではのフレッシュさがあった。

この日は雨天になるのではと数日前から恐れていたのだが、朝から晴れて、ほっと胸をなでおろしていた。が、予断は許さない中、4曲目「思いがけず雨」で小雨が軽く降り出したのも、これまた一興で。そんな気まぐれな天気にも左右されず、最後まで気持ちのこもったwelcome actであった。

会場BGMで西岡恭三「プカプカ」が聴こえてきた。本来は、タバコに対してのプカプカという意味だが、のんびりほんわかした意味でプカプカというフレーズが入ってくる。本当にのどかだ。

柴田聡子

セルシーステージは柴田聡子から始まる。バンドセットで「Movie Light」をじっくり聴かせていく。毎度のことながら曲終わりの「センキュー」というクールな〆方がたまらない。続く「Synergy」でのシナジーの響きに合わせての歌詞が韻を踏む感覚で心地良い。そして、「結婚しました」では、一転してキュートでポップでキャッチ―なメロディー。その引き出しの多さに改めて驚く。打楽器のビブラスラップを鳴らしたりと全体的にリズミカルである。

特に「Side Step」でのダンサンブルなテイストは、またまた引き出しの多さに驚いてしまう。その後の「ワンコロメーター(Erykah ver)」では浮遊感のあるアレンジを聴かせてくれて気持ち良くなる。ラストナンバー「雑感」は聴き入るのみ。地に足が着いたライブは、より機嫌が良くなってしまう。

YOGEE NEW WAVES

HALLO’Sステージ。YOGEE NEW WAVES。サウンドチェックから「あしたてんきになれ」が聴こえてくる。雨が降るかも知れないと言われているだけに、その歌声だけで景気良い心持ちになれる。で、1曲目「Megumi no Amen」というのも何だかニクい。ボーカル&ギターの角舘健悟は法被を着ている。これは清水音泉スタッフ用の法被であり、「清水音泉」と「闘魂継承」という言葉が記されている。角館は、あくまでステージ衣装として軽やかに着ているだけなのだが、清水音泉の闘魂を継承してくれているようでもあり、勝手な感情だがすごく嬉しかった。燃える闘魂だとしても、それは静かに青く燃える闘魂であり、メロディーを聴いているだけでとろけてしまう。空は青く、雲もどこかにいっている。

「法被をお借りしまして。大好きなフェスティバルなんで、今日は心を込めて」

そんな言葉もあったが、本気で心を込めてくれているのが伝わってくる。そんな心が観客にもしっかりと伝わり、「Ride on Wave」では、観客も<音が鳴る方へ>という歌詞を自然と歌っていた。激しく煽ったり鼓舞したりしなくても、心を込めて良い歌を届けてくれたら、勝手に自然と聴いている方は高揚してくるのだ。ラストナンバーは「SISSOU」。緩やか穏やかながらも疾走感があるヨギーならではのライブ。終始楽しく体も心も踊り笑顔であったが、その心意気につい涙がこぼれてしまうくらいに素敵な時間だった。

iri

セルシーステージ。エリア全体的にシートをひいて、ゆっくり楽しむ観客が多い雰囲気であったが、まだ本番前のサウンドチェックだというのに、iriを待ちわびている熱気をビシビシと感じられた。1曲目「friends」からキックの強いサウンドが鳴り、ゆっくり登場したiriが歌い出すと、若いのに風格や貫禄すらある。「Sparkle」→「ナイトグルーヴ」と曲名にも入っているが、グルーヴの強さを感じるし、グルーヴィンなんて言葉を使うならば、今なのだろうとすら思う。そこから弾き語りで「会いたいわ」を歌ったが、その落差がある緩急の付け方は惹き込まれるしかない。

凄腕のバンドと共に鳴らされるグルーヴも素晴らしいが、弾き語りだからこそより浴びられたのは何よりも歌であり、改めて歌の人なのだなと感心してしまう。「rhythm」では光も射してきて、馴染み深いメロディーである「Wonderland」では観客が体を揺らしている。来年は早くも10周年。著しい進化を感じられたライブ。

長岡亮介

HALLO’Sステージ。長岡亮介が本人自らのサウンドチェックで、おもむろに現在来日中である外タレの超有名曲を歌う。何気に「はい!」と長岡が観客に渡すと、観客全員が大声で歌い出して、思わず長岡も笑う。ライブ後に軽く言葉を交わさせてもらった時に「書かなくていいよ!」と念を押されたが、本人も歌い終わった時に「一番盛り上がったね!」と言っていたので、ついつい書いてしまいました。その場にいた人だけの秘密の共有にもしたいので、すぐわかるとは思うものの、軽くぼやかして書いております。

「次はKIRINJIです! また後で!」と言って舞台袖にはけようとするが、「もうやるか!」とそのままやることに。その前に缶ビール片手の「乾杯!」もあり、それだけで場が和み、楽しくなる。そして、ギターを爪弾き、「Yukon」を聴かせるが、さっきまでの楽しい雰囲気とはまた違う世界へと瞬時に連れていってくれる。続く「湖畔」でもそうだが、観客は体を揺らすこともなく、真剣に総立ちで聴いている。一瞬でも聴き逃したくないという観客の胸中がわかる。「Miss the Mississippi And You」「Crazy」とカントリーミュージック2曲ほど歌い、冨田ラボとの楽曲「パスワード」へ。

ライブで弾き語るのは2回目であり、歌い終わりに前回の63点を更新できなかったと茶目っ気たっぷりに話していたが、点数なんてつけようのない弾き語りライブである。先日、私もライブレポートで入った大分は別府で開催の『small circle』で演奏した瞬間に雨が降り出したという「雨」へ。やはり雨が降ったのも御愛嬌。次は長岡いわく「KIRINJI大先生」。贅沢すぎる祭だなと改めて嚙みしめる。

KIRINJI

セルシーステージ。KIRINJI。堀込高樹、グランドピアノの前には小田朋美、ウッドベースを弾く千ヶ崎学、ドラムの伊吹文裕と大人シックな4人編成。その並びを観ているだけで惚れ惚れとしてしまう。「歌とギター」から始まり、軽快なビートを聴かせてくれる「時間がない」。この2曲を聴いただけなのに、うっとりしてしまう感覚。私の横ではスタッフふたりが「幸せです……」「良い演奏ですね………」とうっとりした表情で言い合っている。スタッフが、それもベテランのスタッフが、そう言うのだから間違いない。サウンドチェックでも演奏していた「虹を創ろう」では、<雨はやんだよ>という歌詞が耳に飛び込んでくる。天候的には曇天で、いかにも雨が……という状況ではあったが、その歌が心を晴れやかにしてくれる。

<雨上がりの>という歌い出しの「薄明」でも雨は持ちこたえ、キリンジ時代からの名曲「Drifter」では、その楽曲の良さにこれまたうっとりとしてしまう。しかし、「Rainy Runway」では<Rainy>とタイトルに入ってるからか、ついに雨が降り出してしまう。これには堀込も苦笑いしていたが、観客は野外イベントに慣れているのか手慣れたもので慌てずに曲中に雨具を装着していた。実際、この時の雨はまださほどであり、何よりも歌と演奏に夢中になってしまう。現在アルバム制作中であり、中国ツアーや年明けには大阪でもライブを控えているという。大人でシックなライブではあるが、その調子の良さは自然に感じられた。ラストナンバー「Runner's High」では雨の中であり、それも最後でもあるのに熱がどんどん帯びてきて夢中の時間はまだまだ終わらない。<こんな晴れの日は永遠が見えそうだ>という歌詞が、<〝こんな雨の日〟は永遠が見えそうだ>と歌われるのも、とてもスマートで粋であった。

岸田繁

HALLO’Sステージ。岸田繁。「みなさん雨の中、ご苦労様です」という言葉が何よりも労いになる。そして、「正調 鹿児島おはら節」から弾き語りで歌われるが、聴いているだけで引き締まるし、荘厳ささえある。「いくつかくるりの曲を」と「pray」へ。そのタイトル通り、<祈ろう祈ろう>という歌詞のリフレインが頭から離れない。「雨が降ったら岸田のせいと恐れていましたが、俺のおかげで雨が上がりました」という言葉もあったが、「のぞみ1号」で雨がまた降り出す。決して良いはずは無いのに、岸田の歌を聴きながらの雨だとそないに嫌な気がしないのも不思議なもので。

Oasis「Champagne Supernova」が唐突に歌われる。歌う前も歌い終わりも特に言葉はなく、何事もないように歌われる。観客たちも手を上げて口ずさむものもいる。弾き語りでということもあるかも知れないが、本家とはまた違う沁み方があった。そして、雨が強く降り出す中、「その線は水平線」が歌われる。終わり、岸田は袖のスタッフに「あと何分?」と時間を確認して、何も曲を決めずに着のみ着たままで来たことを明かし、「真面目な曲が多いんで、ふざけた曲をやろか」とひとこと。「人としてはふざけているけど、曲は真面目やねん」という言葉も、何でも無いMCだったかも知れないが、長年くるりを愛する者としては、だから、くるりが好きなんだなと妙に納得してしまった。

「キャメル」の<さぁ行け行け 陽はまた昇る>という歌詞には、絶賛雨降り中なだけに励まされたし、続く「Baby I Love You」は歌い出された途端、大好きなラブソングだけに思わず喜びの声が漏れてしまう。ラストナンバーは「雨を止めれるように、わーっと歌いますんで」と、「ブレーメン」へ。雨が降り、観る側としてコンディションは絶対に良くないのに、歌の力に引っ張られる。<そのメロディーは街の灯りを大粒の雨に変えてゆく>という歌詞にも微笑んでしまうし、終盤のギターをかき鳴らしてテンポアップしていく場面では、おのずと生気づいていく。充分に魅せられたし、言葉少なめに挨拶して袖へと去っていく岸田が何よりも格好良かった。

大貫妙子

セルシーステージ。キャリア50年以上を誇る大貫妙子を関西の野外で観れるとは……。『OTODAMA』出演が発表された時に歓喜した人は多いはずだ。サウンドチェックから食い入るように観ている観客たち。「寒くない? 一旦はけさせて頂きます」と観客たちを気遣いながら、袖へと戻る。1曲目「LULU」から電子音が鳴り、ささやくように歌われる。続く「タンタンの冒険」は坂本龍一が編曲を手掛けた楽曲。日本の音楽の歴史を感じる…。曲終わり、みんな若いしと言いながらも、「寒くない?」と気遣ってくれる大貫。『タンタンの冒険』についても「観たことある? 見つけたら手に入れてみて下さい」とひとこと。そして、大貫は野外でのライブはあまりなく、去年のフジロック以来だと明かす。

「私の曲はポップな曲が多いですけど、心の中はロックなのよ」

痺れるのみの凄みある言葉だが、すぐに「ちょっと言ってみただけです」と付け加えるのも洒落ている。歓声が起きる「都会」。鍵盤の音も色鮮やかであり、ギターソロにも惹きつけられてしまう。1977年の名盤『SUNSHOWER』収録曲であり、何故か最近海外で注目されていて、SNSでもバズっていることも説明する。来年2月にはロサンゼルスでライブをするとのことだが、SNSでバズるという言葉が好きじゃないと明かしたのも素敵であった。

「ふたりの星を探そう」終わり、「すみません、屋根のあるとこで」とまた気遣い、「結構降ってる? ちょっと心配」と語りかけてくれる。残念なことに雨は強く降り出していく……。「Happy-go-Lucky」では凄い雨が降っているが、ポップで軽やかに跳ねる。凄い雨が降り続ける中、早いもので最後の曲だとアナウンスされる。凄い雨という悪環境でもあるにも関わらず、観客たちは、もっと観たいという気持ち、次が最後の曲なのを惜しむ気持ちが伝わってくる。

<いつでも心は雨のち晴れ>

「色彩都市」の歌詞が心に響きわたり、沁みわたる。確かに外は雨だが、心は晴れている。大貫の歌を聴くことができていることで。また、我々と逢う日を楽しみにしてくれており、逢えることを絶対に約束してくれる。「色彩都市」がラストナンバーだと思っていたが、最後にもう1曲「Wonderland」へ。最後の最後までリズムを取りながら歌う。ずっと冴える演奏も素晴らしいという言葉しかない。また、いつか晴れた関西の空の下でも大貫の歌を聴いてみたい。

真心ブラザーズ

「こんばんは! いい天気ですね!」

HALLO’Sステージ最後の出演者は真心ブラザーズ。開口一番、YO-KINGの言葉に雨でぐっちゃぐっちゃになった体と心がほぐされる。

<慌てるなよ僕の心よ 慌てるなよ僕の心よ>

1曲目はまさかの「GREAT ADVENTURE FAMILY」。元々、弾き語りの楽曲なだけに、このYO-KING・桜井秀俊ふたり弾き語り編成は、ともかく心が浄化される。屋根があるとはいえ、悪環境に変わりはないのに、真心のふたりの全く流されない佇まいを観ているだけで勇気づけられる。ハーモニカを用意して、ハンドマイクへと持ち替えるYO-KING。続く「BABY BABY BABY」は、歌声がどこまでもどこまでも飛んでいく。激しい雨が降り続いているのに、ふたりは凛として歌を届けていく。そして、「情熱と衝動」へ。情熱と衝動という強い言葉が並ぶのに、フラットに歌われるし、しっかりと情熱と衝動が我々聴く者の胸に刺さる。

雨なのでいつもより大きな声で歌っていると、飄々と伝えるYO-KINGに、「いつも大きな声でお願いします!」と返す桜井。普段と全く変わらないふたりのやり取りが心身を落ち着かせてくれるし、激しい雨の中で歌われる「流れ星」はロマンチックでもあった。YO-KINGと桜井の口元には湯気もみられる。厳しい天候だが、ふたりは関係なく歌い続ける。桜井のギターカッティングから始まり、YO-KINGがリズミカルに歌う「マイ・リズム」。YO-KINGのハーモニカが吹き荒れ、シャウトも決まっていく。そこからの「じゃあ、来て欲しくないけど「突風」という曲を!」という運びもグッとくる。YO-KINGも話していたが、決して天気は良くないのに、気持ちいい音が跳ね返ってくる。そして、「桜井が雨が当たるとこで弾きます!」、「ギターお借りしていいですか?」とYO-KING・桜井の軽妙なやり取りは雨が降ろうと何も変わらない。そんなやり取りからの「どかーん」は興奮するのみ!

さっと袖のスタッフへと駆け寄ったYO-KINGが「時間は? 後2曲やっていい??」と問う。この時は偶然にも袖でライブレポートをしていたので聴けたのだが、どんな最悪のコンディションでも最後までやりきるショーマストゴーオン精神に震える。その最後2曲は「サマーヌード」からの「空にまいあがれ」。激しい雨の中、何食わぬ顔で最高のライブを魅せてくれた真心に感銘を受けるしかなかった。

UA

セルシーステージ。大トリ。UA。まだまだ激しい雨は降り続ける。バンド陣がサウンドチェックを行ない、全員が手で丸の形を作り、そのままギターカッティングからUAが出てくる。気合いの叫び声から「太陽手に月は心の両手に」。30年前、太陽の塔がある万博記念公園でライブを行なったUAがデビュー30周年の今、この場所に帰ってきて、太陽という言葉が入った歌を歌う。素敵じゃないか。サウンドもダンサブルでクールでスタイリッシュ。雨という悪環境での演奏とは思えないくらいに弾けまくっている。

「恵みの雨だよ~! 浴びていこうよ~!」

この言葉に少し救われる。「UAと一緒に温かい飲み物を飲んで下さい!」と「お茶」へ。続く「リズム」では、どんどんダンサンブルにアップビートになっていく。話したいことはいっぱいあると30年前についても触れる。

「ありがとう万博公園! ありがとう太陽の塔! ありがとう岡本太郎! ありがとう大阪のみんな!」

何よりも心が踊らされたのは、ここから新曲が「Happy」→「Mood」と続いたこと。30周年の今を、現在進行形の凄みを体感できることは、それこそ幸せである。「Mood」は緩やかさがある曲だが、それでも拓けていて弾けている。雨粒よりも音粒を浴びて体感している感覚。「AUWA」~「TIDA」はダンスビートであり、ミニマムテクノでもあり、雨で体も凍えかけているのに勝手に体が踊り出す。UAも踊っており、曲調や歌詞の雰囲気も相まって、まるで雨の崇高な儀式を観ているよう。ラストナンバーは、重たいドラムのリズムでどっしりしたビートに包み込まれる「甘い運命」へ。大名曲に合わせて観客たちの傘が揺れている。傘をさすしかない苦しい状態なのに、「甘い運命」に喜び傘がメロディーに合わせて揺れている光景は、とてもとても美しかった。

「バーイ! シーユースーン!」と言って、袖へと去るが、すぐに戻ってくる。「あったかい曲だから!」と言ってから、こんな言葉が投げかけられた。

「みんな深刻になり過ぎず、真剣に生きていこうね」

今現在の雨という天候、そして普段の日常生活自体も深刻にならざるおえない中での、この言葉。その後の「ミルクティー」が沁みないわけがない。全ての言葉が胸に響き、心を温かくしてくれる。

「また早く逢いたいです。どうか温まっていい夢見てね」

約8時間以上の長丁場。一筋縄ではいかなかった天候。それでも凄く楽しかったのは、間違いなく音が楽しかったから。20年続く『OTODAMA』ではあるが、『OTODAMA EXPO』として万博公園で音が鳴り響いたのは初。早くも来年、2回目の『OTODAMA EXPO』へ向かいたい。そして、来年こそは晴れますように。

取材・文=鈴木淳史
写真=『OTODAMA EXPO』提供(撮影:渡邉一生、浜村晴奈)

ライブ情報

『OTODAMA EXPO~千里丘編~』
日程:2025年10月25日(土)
会場:万博記念公園もみじ川芝生広場
出演:iri / UA / 大貫妙子 / 岸田繁(くるり) / KIRINJI / 柴田聡子(BAND SET) / 長岡亮介 / YOGEE NEW WAVES

公式SNS
X:@onsendamashii
IG:@onsendamashii/
#音泉魂 #オトダマ25
清水音泉https://www.shimizuonsen.com/
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