音楽でバンドリーマーと殴り合う! RAISE A SUILEN 2DAYS LIVE『RUMBLEHEADZ』DAY2レポート
撮影:ハタサトシ (C)BanG Dream! Project
■2025.11.16「RAISE A SUILENのライブ『RUMBLEHEADZ』」DAY2 @TACHIKAWA STAGE GARDEN
2025年11月15日(土)、16日(日)にRAISE A SUILENのライブ『RUMBLEHEADZ』が東京・TACHIKAWA STAGE GARDENで開催された。今回の公演は『BanG Dream!』のファン、通称バンドリーマー(=HEADZ)と音楽で殴り合う(=RUMBLE)2日間というコンセプトのもと実施されたもの。本稿ではその2日目、11月16日のステージの模様をレポートする。
(C)BanG Dream! Project
当日のTACHIKAWA STAGE GARDENはフルハウス。2階、3階のバルコニーエリアソールドアウトし、オールスタンディングの1階アリーナエリアはまさに立錐の余地もない様相を呈していた。しかも会場に詰めかけたバンドリーマーたちの臨戦態勢は十分。開場SEとして流れるRAISE A SUILEN(以下、RAS)ナンバーのインストバージョンにノリよくクラップし、時には〈ハイ!ハイ!〉コールを贈るなど、開演前からライブさながらの盛り上がりをみせていた。
撮影:ハタサトシ (C)BanG Dream! Project
定刻、巨大サウンドシステムを模した、まさに“HEADZ”と“RUMBLE”するのにふさわしいデザインのステージに登場した、Raychell(Ba.&Vo.・レイヤ役)、小原莉子(Gt.・ロック役)、夏芽(Dr.・マスキング役)、倉知玲鳳(Key.・パレオ役)、紡木吏佐(DJ・チュチュ役)は、この日の1曲目に11月12日にリリースしたばかりのSingle表題曲「'FIGHT' ADDICT」をセレクト。バンドのカラーを大胆に配した近未来的なストリートスタイルの5人は、この端正かつパワフルなロックナンバーという開戦のゴングを打ち鳴らした。
撮影:ハタサトシ (C)BanG Dream! Project
以降、RASはフロアにガチンコ勝負を仕掛け続けていく。夏芽の切れ味鋭い8ビート、小原の由緒正しきハードロックギター、倉知の野太いリードシンセ、頭上でタオルを振り回す紡木がパッドコントーラやターンテーブルから繰り出す電子音が絡み合う「Invincible Fighter」で、夏芽とともにビートを支えるRaychellは〈Fight with ココロと Fight with カラダで〉〈勝利の旗を振れ!〉と高らかに歌い上げる。さらにその直後には、小原のインプロビゼーションとコードバッキング、紡木のシリアスながらも挑発的なラップで、妖しくもダーティな世界を現出させる「SOUL SOLDIER」をパフォーマンス。まずは強靱な楽曲を2連射してみせる。
……かと思えば、倉知によるトランシーなシンセリードとともにRaychellが「さあ、まだまだアゲてくよ」「着いてきな」とバンドリーマーを挑発する「DEAD HEAT BEAT」や、小原のシャープなギターと倉知のオルガンによるソロバトルを挟んだのちに投下された「BIBIBABI BRAVER」では様相が一変。「DEAD HEAT BEAT」では〈NA NANA〉のシンガロングとともにオーディエンスを踊らせまくらせる。一方、現在スマートフォン向けゲーム『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』内でのみ配信されている「BIBIBABI BRAVER」では、そんな“ハンデ”もどこへやら。小原のコードストロークと倉知のピアノが軽やかになぞるスウィングビートと、Raychellと紡木による妖しくも楽しげな高速マイクリレーでSTAGE GARDENを、オーディエンスはおろかバンドメンバーやスタッフ陣までが踊りだすダンスフロアへと変身させた。
撮影:ハタサトシ (C)BanG Dream! Project
その後もRASとバンドリーマーのガチな“RUMBLE”は続いていく。「THE WAY OF LIFE」では楽曲の展開に応じて手数を変えることで、BPMはそのままに速度感を操る夏芽のドラミングや、Raychellと倉知がツインボーカルで届けるメッセージを聴き入っていると、その刹那、バンドがドロップしたのは「V.I.P MONSTER」。夏芽とRaychellが支えるグルーヴ、紡木のコミカルな高速フロウ、三三七拍子を下敷きにしたブレイクダウンなどなど、ただただフロアを踊らせるためのアッパーな仕掛けが満載されたパーティチューンだ。このブロックでも、それまでと同様、タフなボーカリゼーションと熱い楽器のプレイでメッセージを届けるロックチューンと、誰もが否が応でもステップを踏んでしまう重低音ダンストラックを畳みかけて、RASの音楽を食らいつくさんとする“HEADZ”たちを迎え撃っていた。
幕間、RAS楽曲のメガミックスがスピンされたところでライブは折り返し地点に。ここでバンドは新旧3曲続けて、あらためて自らのアティチュードを歌い上げる。まずは紡木の「会場のみなさま、もっともっと声を聴かせてくれますか?」「それじゃあいくわよ!」の声を合図にヌケのいい8ビートと四つ打ちが行き交うリズムで魅せる「VIVID FIRST TIME」をパフォーマンスして、〈僕たち〉が思うがままに未来を楽しみ、歌えることの喜びを再確認。また「REIGNING」ではバンドリーマーと高らかに〈Wow wo wow〉とシンガロングするドラマチックな場面を現出させつつ、〈Killer Number〉を紡ぐ〈不滅のFive players〉こそがまさに〈「We are RAISE A SUILEN!!!!!」〉だと宣言。さらに〈世界よ「僕ら」を聴け〉と、音楽による世界の変革を目指すと言い放ってみせる。そして「FIVE as ONE」では正調ハードロックスタイルの楽器隊をバックにRachellがどこか優しげな歌声で、レイヤでありRaychell、ロックであり小原、マスキングであり夏芽、パレオであり倉知、チュチュであり紡木の“5人で1つ”。5人がいてこそのRASであり、誰ひとり欠けることなく、また歩みを止めることなく世界に歌を届けることを約束した。
撮影:ハタサトシ (C)BanG Dream! Project
そしてライブは最終盤に突入。重心を思いきりうしろに置いた超重低音・後ノリビートを響かせつつソロを回し合う、いかにもRASらしいジャムセッションを聞かせた5人は、そのノリから一転、続けて「HOWLING AMBITION」をプレイ。紡木の性急なラップとRaychellのダークなボーカルのコンビネーション、耳に残るヘヴィなリフをループさせつつ時折複雑でテクニカルなキメを織り交ぜるアンサンブルが光るこの曲でまたも客席をダンスフロア化すると、そのままダンストラックを2連発する。楽器隊のヘヴィメタルマナーに則ったプレイに、紡木が矢継ぎ早にフロウするラップが重なる「JUST THE WAY I AM」では、曲名をシャウトした紡木がDJ卓を離れ、所狭しとステージを闊歩。メンバーそれぞれのもとへと歩を進めてはフロウしていたかと思えば、小原の“エモい”としか形容しようのないギターソロにターンテーブルのスクラッチソロで挑みかかる。
さらにその紡木が「HELL! or HELL?」のシーケンストラックに乗せてCDJをこすり、パッドコントローラにアサインした声ネタ・音ネタを叩きまくる、いつものインプロビゼーションを披露するとフロアからはこの日一番の歓声が。そしてバンドはこの曲でエレクトロニコアバンド、ミクスチュアロックバンドとしての本領を発揮。「さあラスト!全力で地獄に行こうか?」「お前らかかってこい!」というRaychellの手招きに呼応したバンドリーマーたちの怒号のような〈ハイ!ハイ!〉コールが巻き起こると、5人はテクニカルでヘヴィ、緻密でラウドなプレイでさらにフロアをアゲにかかる。そしてその目論見はまんまと成功。フロアやステージはおろか、舞台袖までも熱狂の渦に巻き込んで、ひとまずステージをあとにした。
熱烈な声援に応えてステージに舞い戻ったRASの面々は、アンコールのためにカラフルなセットリストを準備していた。
まず投下されたのは「A DECLARATION OF ×××」だ。スローテンポの重たいキメで魅せるハードロックかと思いきや、グルーヴィな四つ打ちダンスビートやブラストビートへと大胆にリズムパターンが変化するこの曲に完全にロックされたバンドリーマーたちは、その複雑なビートを見事乗りこなし、軽快にリズムを刻んでみせる。さらに時にはRaychellの〈I know〉というコールに〈You know?〉とレスポンスし、時には彼女の〈3,2, 1, JUMP!〉の歌声にジャンプ。また「さあ、みんなで頭回そうか」の声にバンドとともにヘッドバンギングするなど、楽曲そのものとバンドのプレイを全身で存分に楽しんでいた。
そしてアンコール2曲目は「Bad Kids All Bet」。メンバーとともにコンパクトなMCを終え、スポットライトに照らされたRaychellが静かに「それじゃあいくよ」と曲名をアナウンスすると、またもフロアから大きな歓声が。これを受けた5人は、一見、クールでスムーズに進行するダンスロックのようで展開が進むにつれ、ギアが上がるようにアグレッシブで熱くなるこの楽曲のエモーションを、そのプレイで巧みにコントロール。バンドとしての練度の高さを見せつけて、バンドリーマーたちのさらなる歓声を誘っていた。
この日のライブ、さらには2DAYS公演のラストを飾るべく、RASがアンコール3曲目に投じたのは言うなれば剛速球のストレート。これまでの2曲とはまた色合いの異なる1曲だ。
「もっとやりたい」「でも、次に進むために今日を終えて、また会おう」とライブが最終盤を迎えたことを告げたRachellは「もっとみんなの声を聴きたいな」「一緒に歌おう」とバンドリーマー、さらにはスタッフにもシンガロングを要求。会場全体に〈 Wow! Wow! Wow!〉コールが広がったのをきっかけに、バンドはこの日のラストナンバー「DRIVE US CRAZY」をパフォーマンスする。最大級の熱量でシンガロングし、〈ハイ!ハイ!〉コールを贈るバンドリーマーに応えた彼女たちは、同じく最大級の熱量でこのどこまでも真っ直ぐなこの8ビートナンバーをプレイして、"HEADZ”との"RUMBLE”の終了のゴングを打ち鳴らした。
ワンマンライブに対バンライブに音楽フェス……。RAISE A SUILENはこれまでさまざまなステージでライブバンドとしての実力を見せつけてきた。しかし、今まで我々が目にしていたものなど、しょせんは氷山の一角。今回の「RUMBLEHEADZ」ではそんなことを確認させられた。
撮影:ハタサトシ (C)BanG Dream! Project
「RUMBLEHEADZ」はオーディエンスと音楽で殴り合う2日間というコンセプトのライブ。そうであれば、映像演出や軽妙なMCなどに頼るのは何かが違う。やはりバンドは音楽という名の“拳”のみを武器にオーディエンスと対峙するべきだろう。
そして当日、RASの5人は自らが磨き上げてきた音楽だけを手に素手で殴り合うようなライブを展開。見事数千人のバンドリーマーたちと五分で渡り合ってみせていた。個々のプレイやパフォーマンスの妙と強度と、バンドとしてのアンサンブルやコンビネーションの妙と強度だけで十分“HEADZ”を歌わせ、踊らせ、魅了してみせたというわけだ。果たして5人の“音楽的地力”の埋蔵量たるや、いかほどのものなのだろう?その底知れなさを実感させられただけに、この先RASは我々にどんな音楽を聴かせてくれるのか、今から期待しかない。
(C)BanG Dream! Project
なお、RAISE A SUILENは2日間の公演中に2026年春にニューシングルをリリースすることや、Single『‘FIGHT’ ADDICT』に収録されている、Fear, and Loathing in Las Vegasの提供曲「Drown Out the Noise and Push Through the Trash」のMVを制作することなどを発表している。詳細や続報は公式サイトや公式SNSでチェックしよう。
(C)BanG Dream! Project
取材・文=成松哲 撮影:ハタサトシ
セットリスト
2025.11.16「RAISE A SUILEN 2DAYS LIVE『RUMBLEHEADZ』」@TACHIKAWA STAGE GARDEN
(C)BanG Dream! Project
【配信
2DAYS通し視聴
各公演視聴
【販売情報】
・2DAYS通し視聴
販売期間:11月22日(土) 21:00まで
配信期間:各公演視聴
・各公演視聴
○DAY1
販売期間:11月22日(土) 21:00まで
配信期間:11月22日(土) 23:59まで
○DAY2
販売期間:11月23日(日) 21:00まで
配信期間:11月23日(日) 23:59まで
01.‘FIGHT’ ADDICT
02.Invincible Fighter
03.SOUL SOLDIER
04.DEAD HEAT BEAT
05.BIBIBABI BRAVER
06.THE WAY OF LIFE
07.V.I.P MONSTER
08.VIVID FIRST TIME
09.REIGNING
10.FIVE as ONE
11.HOWLING AMBITION
12.JUST THE WAY I AM
13.HELL! or HELL?
EN2.Bad Kids All Bet
EN3.DRIVE US CRAZY
■セトリプレイリスト公開中
DAY1:https://bmu.lnk.to/RUMBLEHEADZ_01pr
DAY2:https://bmu.lnk.to/RUMBLEHEADZ_02pr
「BanG Dream!(バンドリ!)」公式サイト:https://bang-dream.com/
「BanG Dream!(バンドリ!)」公式X:https://x.com/bang_dream_info
「BanG Dream!(バンドリ!)」公式Instagram:
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「BanG Dream!(バンドリ!)」公式TikTok:https://www.tiktok.com/@bangdream_music
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