中村勘九郎、中村七之助が公演の見どころや想いを語る 『春暁歌舞伎特別公演 2026』取材会のオフィシャルレポートが公開
(左から)中村七之助、中村勘九郎 撮影:福岡諒祠(株式会社GEKKO)
2026年3月7日(土)より『中村勘九郎 中村七之助 春暁歌舞伎特別公演 2026』が全国11カ所で開催される。この度、合同取材会のオフィシャルレポートが公開された。
各地のファンをはじめ歌舞伎ビギナーまで楽しみにしている中村屋の「歌舞伎特別公演」。中村勘九郎と中村七之助が中村屋一門と共に贈る巡業公演で、今年も3月7日(土)から25日(水)まで全国11カ所で開催される。今回の『中村勘九郎 中村七之助 春暁歌舞伎特別公演 2026』も客席との気さくなやりとりが人気のトークコーナーから始まり、江戸の風物詩を取り入れた『艶紅曙接拙(紅翫)』(つやもみじつぎきのふつつか べにかん)、男女のコミカルな駆け引きが楽しい『墨塗女』(すみぬりおんな)の2演目。10月30日に都内で行われた合同取材会で、勘九郎と七之助が見どころを語った。
ーー改めて、特別公演に対する想いを教えていただけますか。
勘九郎:特別公演を始めてから 22 年目になりましたが、これほど長い間続けられるのも客席をいっぱいにしてくださるお客様のおかげです。さらに嬉しいのが、この公演をきっかけに東京の歌舞伎座や名古屋の御園座、大阪の松竹座、そして九州の博多座と、『近くで歌舞伎をやっているから観に行こう』と思ってくださるお客様がグッと増えること。歌舞伎初心者の方たちにも受け入れやすい公演になっているのが、長く続けてきた意味になっているのかなと思います。
中村勘九郎 撮影:福岡諒祠(株式会社GEKKO)
七之助:22年目となる巡業公演ですけども、毎年やっていて本当に意味があるなといつも感じています。この先もまだまだ続くように、一所懸命に勤めたいですね。冒頭のトークコーナーではその土地のお客様との交流が出来るのが楽しいですし、演目の解説もさせていただきつつ、こちらからもお客様にその土地のことを逆質問するなどアットホームな雰囲気を楽しんでいただきたいです。
ーーまずは『艶紅曙接拙』の見どころを教えてください。主人公の紅翫は一門の中村いてうさんが扮し、澤村國久さんの虫売りおすず、中村山左衛門さんの大工駒三など、多彩な人物が登場しますね。
勘九郎:紅翫さんというのは実際にいた方で、商人なんですけども多趣味なものでお面を着けて三味線を弾きながら太鼓を叩き、町を練り歩いていたっていう、かなり変わった方なんですね(笑)。富士山の山開きで活気にあふれる浅草の富士浅間神社を舞台に、そんな紅翫さんの他にもいろいろな物売りが出くるのが見どころです。『虫売り』がいて、それとは別に『蝶々売』が出てくるので当時は別だったんだなとか(笑)、さらに『団扇売』に『朝顔売』と、今では見かけない人たちがにぎやかに踊る楽しい演目です。
(左から)中村七之助、中村勘九郎 撮影:福岡諒祠(株式会社GEKKO)
ーー続いて『墨塗女』の見どころはいかがでしょうか。いつも貴重な演目が揃う「特別公演」ですが、こちらは歌舞伎役者が演じるのはなんと77年ぶりの上演になります。
勘九郎:私もナマで観たことはもちろん無いですし、演目自体、詳しくは知らなかったんですが、NHK E テレ「芸能きわみ堂」で演目を見たマネージャーがぜひにと提案してくれました。都での仕事が終わって国元に帰る大名・万之丞を愛妾の花野が泣いて引き留めようとしますが、その涙は茶碗に入れた水をつけたもの。それを見ていた太郎冠者が水を墨と入れ替えて……というコミカルな作品。気楽に肩の力を抜いてご覧いただければと思います。また万之丞が私、花野が七之助、太郎冠者には中村鶴松と、特別公演では久しぶりに3人が同じ場面に出るのも見どころ。特に花野は、綺麗だけれど実は腹黒いという点が七之助にピッタリで(笑)。
七之助:いえいえ(笑)。でも本当に楽しい、コミカルな演目なんですが、花野というお役はやりがいがあるなと感じています。好きな人がいなくなるというのに涙が出なくてお茶椀の水でごまかすというのは、帰ってほしくないのか、本当は帰ってほしいのかも分からない。そこは劇中では描かれていないので、自分たちの中で解釈して固めていかないといけないなと。シンプルだけれど、実は難しい作品だなと感じています。
勘九郎:万之丞も、愛妾と別れるのはいやで帰りたくないのかと思いきや、実は帰りたいのかもというところが垣間見えるんですね。さらに太郎冠者も、どちらの味方なんだろうというのがはっきりとは分からない。その面白さをどう出していくかというのは、しっかり3人で話し合いたいなと思っています。
ーー日本舞踊での上演では、顔に付ける水を墨に変えられてしまった花野の顔が大変なことになるようですが……。
七之助:今回私たちは猿若流で演じるので、そこまで大変なことにはならないと思います。むしろ花野にやり返される万之丞と太郎冠者のほうが……どうでしょう(笑)。とにかく歌舞伎役者が演じるのは77年ぶりの上演となるので、そこも物語の流れや描写を自分たちで話し合いつつ決めていきたいですね。
中村七之助 撮影:福岡諒祠(株式会社GEKKO)
勘九郎:鶴松は今年2度目の自主公演を成功させましたし、11月歌舞伎座での三谷(幸喜)さんが書かれた作品でもいいお役をいただいているので、本当に即戦力だなと感じています。
ーー毎回、各地の名物や食事を楽しみにしていらっしゃるお2人ですが、今回の日程と開催地ではいかがですか。
勘九郎:毎回で恐縮なのですが、いま私たちにそれを聞かれると、(サウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ鶴松の影響で)どこでもサウナ、サウナです(笑)。特別公演で47都道府県すべてに伺いましたから、各地にお友だちや、いつも来てくださるお客様がいらして再会できること、そして各地のサウナ施設で汗を流すのも楽しみなんですよ。
七之助:私も新しいサウナ施設を見つけたり、再訪したりするのが楽しみですね。あとはもちろん各地のおいしい食べ物です。昼夜公演の間にいろいろなところへ気軽に出かけるようにしているので、それも楽しいことのひとつですね。
勘九郎:そういう出会いも含めて、よくご歌舞伎をご覧になっているお客様にも初めて歌舞伎をご覧になるお客様にも、ワクワクして見ていただける演目をと考えてお贈りするのがこの特別公演。今回もおなじみの演目と珍しい演目の両方が揃いましたから、すごくバランスは取れていると思います。ぜひ楽しみに劇場に足をお運びください!
(左から)中村七之助、中村勘九郎 撮影:福岡諒祠(株式会社GEKKO)
取材・文/藤野さくら 撮影/福岡諒祠(株式会社 GEKKO)
公演情報
1,トークコーナー
中村勘九郎
中村鶴松
中村七之助
紅翫・・・中村いてう
団扇売お静・・・ 中村仲之助
庄屋銀兵衛・・・ 中村仲四郎
朝顔売 阿蘇吉・・・中村仲助
町娘お梅・・・ 中村仲弥
蝶々売留吉・・・ 中村仲侍
虫売りおすず・・・澤村國久
大工駒三・・・ 中村山左衛門
3,墨塗女常磐津連中
万之丞 ・・・ 中村勘九郎
太郎冠者・・・ 中村鶴松
花野 ・・・ 中村七之助
2026年
3月7日(土)府中の森芸術劇場
3月8日(日)練馬文化センター
3月10日(火)アクトシティ浜松
3月11日(水)刈谷市総合文化センター アイリス
3月13日(金)大田区民ホール・アプリコ
3月14日(土)水戸市民会館
3月15日(日)相模女子大学グリーンホール
3月20日(金)高槻城公園芸術文化劇場
3月21日(土)J:COM 北九州芸術劇場
3月22日(日)鳥栖市民文化会館
3月25日(水)リンクステーションホール青森