GLIM SPANKYがエンディング・テーマを担当した映画「鉄の子」試写会でライヴとトークセッションを披露
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GLIM SPANKY Photo by Taiyo Kazama
『鉄の子×GLIM SPANKY 主題歌披露付き 特別試写会』 2016.2.5 神楽座
2月5日、映画「鉄の子」の特別試写会が行われ、福山功起監督と同映画のエンディングテーマ曲「大人になったら」を手がけたGLIM SPANKYが登壇し、トークセッションとライヴを展開した。
『鉄の子×GLIM SPANKY 主題歌披露付き 特別試写会』と題されたイベント。映画は、埼玉県・川口市を舞台に撮影され、親の再婚によって同い年の姉ができた小学生の陸太郎(佐藤大志)を中心に、母親のやよい(田畑智子)や姉の真理子(舞優)、鋳物工の飯塚(スギちゃん)らを通して家族の形と子供の成長を描いた作品となっており、ストーリーは福山監督の実体験に基づいたものだという。その上映に先立ち、音楽プロデューサーから「大人になったら」を勧められた福山監督が「一発で決めた」と語ったように、作品と抜群の親和性をみせるGLIM SPANKYの楽曲が披露される構成となった。
GLIM SPANKY Photo by Taiyo Kazama
まず行われたトークセッションでは、松尾レミ(Vo/G)は楽曲と映画について「良い化学反応が起きた」と語った上で、「大人になったら」については、大学生の頃に長野県の地元に帰ると、東京と地元とで就職に関する価値観の違いを感じることが多く、音楽で生活をしたいという希望に対しての非難があったこと、そういう風に大人になるにつれて閉ざしてしまった子供心を歌って、子供の気持ちを忘れた人の心をこじ開けたい、これからその時期を迎える子供たちに向けても歌った曲なのだと明かす。続いて、映画に向けて書き下ろした楽曲ではない既存の楽曲が抜擢されたことに関して、亀本寛貴(G)が「(映画に)合ってなかったらどうしようかと不安な部分もあったけど、すごく良かったです」と安堵の心境を語れば、福山監督も「普段は楽曲を紹介されて”あれ?”っていう場合もあるんです」と場内の笑いを誘いつつ「こんなに聴いて凄いと思ったのは初めてです」と賛辞を送っていた。
GLIM SPANKY / 福山功起監督 Photo by Taiyo Kazama
また、歌詞にちなんだ「大人になって解ったことは?」という質問では、
松尾「大人っていうものはいつになっても解らない、ということが解った」
亀本「周りからよく5歳児みたいと言われるので大人になった感覚がないんですけど(笑)……免許は高校生のうちに取っておけば良かった。大人になると取りに行く時間がなくて後悔してます」
福山「46歳ですが、大人の感覚は無いんです。作品を観れば分かりますけどあまりお金が無かったから、大人になったら自分の子供には色々買ってあげようと思っていたんですが……自分が食うので精一杯ですね(笑)」
と三者三様の答えで会場を沸かせた。
GLIM SPANKY Photo by Taiyo Kazama
トークセッション後は、GLIM SPANKYによるライヴパフォーマンスの時間となり、「大人になったら」がアコースティックセットで披露された。亀本がレスポールを、松尾が赤いアコースティックギターを手に取りチューニングを始めると、先ほどまでの和やかな空気から一転、凛と張り詰めた空気が場内を満たす。2人の立ち姿と纏う空気で、一瞬にしてオーディエンスを惹き込んでいく力は特筆すべき点だろう。
GLIM SPANKY・松尾レミ Photo by Taiyo Kazama
静かな歌い出しから徐々に熱を帯びていくボーカル。アコースティックギターのカッティングがリズムを刻む上に、少し枯れたブルージーなエレキギターの音色が絡んでいき、決してテンポも早くなく派手なリフがあるわけでもないにも関わらず、確かなエモーションを感じさせるサウンド。先日インタビューをした際に、元々ケルト音楽などを好んで聴き、フォーキーな楽曲の方が作るのが楽なのだと松尾は話していたが、センチメンタルなメロディかつスローテンポな上、アコースティック・アレンジを施されたこの日の「大人になったら」はその真骨頂といったところではないだろうか。
GLIM SPANKY・亀本寛貴 Photo by Taiyo Kazama
ラストのサビでは松尾がパワフルなハスキーボイスを響かせ、アウトロでは亀本が少し長めのギターソロも披露し、一曲限りの贅沢なパフォーマンスを締めくくった2人。初めて彼女たちの音楽に触れた人も多かったはずだが、もっと聴いていたいという気持ちになったのは筆者だけではないはずだ。
4月からは先日リリースした『ワイルド・サイドを行け』を引っ提げたツアーもスタートし、ますます多くのファンを魅了していきそうなGLIM SPANKY。この日「セカンドアルバムへの期待感や、”GLIM SPANKYはどこまでいくんだろう”というワクワクを持って欲しい」と亀本が話していた通り、彼女たちが進むワイルド・サイドを共に進むファンやミュージシャンが増えていき、いつしかメインストリームとなるんじゃないか、そんな期待がまた一つ膨らんだ。
撮影・文=風間大洋
GLIM SPANKY / 福山功起監督 Photo by Taiyo Kazama