コンスタンチン・リフシッツ(ピアノ) プレイズ・ラフマニノフ
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コンスタンチン・リフシッツ ©Sona Andreasyan
ロシアの巨人の精髄を真の天才が奏でる
ここに、コンスタンチン・リフシッツが弾くラフマニノフの「13の前奏曲 op.32」のCDがある。19歳目前の若き日の録音だが、繊細で詩的情緒にあふれ、風格さえ漂っている。それから20年、2016年2月に彼は、この作曲家の「24の前奏曲」全曲を披露する。幾多の経験を経た今聴かせるロシア・ピアノ音楽の精髄への期待が、限りなく高いのは言うまでもない。
1976年ウクライナに生まれ、モスクワで学んだ彼は、“天才”と呼ばれ、13歳で正式デビュー後、コンクールを経ずに、真の実力派ピアニストとしての地位を確立した。近年は樫本大進との共演でもおなじみだ。彼は、コントロールの効いたダイナミクスで、詩情とロマン豊かな音楽を聴かせる。知性と強靭な意志も併せ持ち、その風情はどこか“孤高の旅人”を思わせる。このところ力を注いでいるのはバッハの作品。日本でも再三演奏し、2014年2月には「平均律クラヴィーア曲集」第1巻・第2巻全曲を披露した。
そこで今回、バッハの「平均律」に根ざしたラフマニノフの「24の前奏曲」を弾くのは、ごく自然な流れだ。これは、有名な「前奏曲 op.3-2『鐘』」、「10の前奏曲 op.23」、「13の前奏曲 op.32」を合わせて24の調性を網羅したもの。他の同系作と違って1つの曲集ではない(ゆえに一夜で聴く機会は少ない)が、その分各曲の構成が大きく、要する技巧も曲想も幅広い。それをロシア・ピアニズムを体得し、熟成を加えたリフシッツが奏でるのだから、必聴なのは自明の理。じっくりと耳を傾ければ、きっと我々にとってかけがえのない旅になる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年1月号から)
2016.2/23(火)19:00
紀尾井ホール
問合わせ:ジャパン・アーツ03-5774-3040
http://www.japanarts.co.jp
2016.2/21(日)所沢ミューズ アークホール(04-2998-7777)