ヨーロッパ企画が新作『遊星ブンボーグの接近』で全国9ケ所ツアー。
-
ポスト -
シェア - 送る
『遊星ブンボーグの接近』宣材写真。「ステイショナ西村」で撮影された。
京都を拠点に、舞台だけでなくテレビなど全国の各種メディアで多彩な活動を繰り広げる人気コメディ劇団こそ、ヨーロッパ企画だ。そんな彼らが、昨年大きな反響を呼んだ公演『ビルのゲーツ』から約1年ぶりに、新作にて劇団本公演を行なう。タイトルは『遊星ブンボーグの接近』。今回はこれまでで最大規模の全国9ケ所(栗東、京都、名古屋、東京、大阪、高知、広島、福岡、横浜)を巡るツアーとなる。
作・演出を担当する上田誠は、演劇にありがちな“人間を描く”ことから出発するのではなく、あくまで“企画”ありきでコメディを構築する“企画性コメディ”を標榜する。「そういうスタイルの演劇って、ウチかシベリア少女鉄道くらいしかやっていない」と嘆きつつも、溢れる自信は隠せない。
気になる今回の“企画”は、“文房具コメディ”だ。これは、5年以上も前から上田が「やりたい、やりたい」と、トークショー等で公言して憚らなかったアイデア。ファンから見れば、「ついに出来るのか」とホッと胸を撫で下ろさずにはいられない。
ここでプロモーション用に書かれた上田のコメントを一読しよう。
今回は文房具コメディです。時は満ちたという気分です。子供のころから文房具にはとても親しみがあって、バットやグローブよりも文房具に近いところで暮らしてきました。打球の軌道は裏切りますが文房具は裏切りません。友達だって恋人だって裏切りますが文房具は裏切りません。そうして僕は方眼紙とセロテープで迷路ゲームを作り、4つ切りの画用紙にフェルトペンで壁新聞を書き、ホッチキスで豆本を作り、ときどき机の上に飛び込んでくるバレーボールに驚かされながら10代をすごし、今はシャーペンとスケッチブックとマグネットで劇を作ってます。遊星がいつ飛んでくるかわからないような世の中です、僕にできることは文房具コメディを作ることです。(上田誠)
公演の宣材写真(宣伝チラシにも使われている)も文房具屋で撮影されているが、劇団員の西村直子の実家「ステイショナ西村」が使われた。奈良です。
公演開催各地でのキャンペーンも精力的に実施中。テレビ神奈川では昨年に続き、公演と連動した番組『遊星ブンボーグの接近 エピソード0』の放映が決定した。
肝心の舞台の内容は見てのお楽しみ、とのことだが、文房具と聴いて多くの文房具好きは、上田にとって大学の先輩にあたる筒井康隆の『虚航船団』というSF小説を思い浮かべるのではないか。文房具とイタチの戦争を描いた実験作品だ。さすがに上田もこの小説を読み返して、新作とカブらないよう周到に注意を払っているそうだ。筒井作品よろしく、『遊星ブンボーグの接近』がSF演劇史に刻まれるような傑作になる予感を覚えるのは果たして筆者だけであろうか。
ヨーロッパ企画第34回公演「遊星ブンボーグの接近」
作・演出:上田誠
音楽:HARCO
出演:石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 土佐和成 中川晴樹 永野宗典 西村直子 本多力
/岡嶋秀昭 中西ちさと 吉川莉早 川岡大次郎
栗東プレビュー公演:2015年9/5(土) 栗東芸術文化会館さきら中ホール
京都公演:9/10(木)~9/13(日) 京都府立文化芸術会館
名古屋公演:9/16(水) 名古屋市芸術創造センター
東京公演:9/25(金)~10/4(日) 本多劇場
大阪公演:10/10(土)~10/15(木) ナレッジシアター
高知公演:10/24(土) 高知県立県民文化ホール グリーンホール
広島公演:10/29(木) JMSアステールプラザ 中ホール
福岡公演:10/31(土)~11/1(日) 西鉄ホール
横浜公演:11/5(木)~11/8(日) KAAT 神奈川芸術劇場大スタジオ
キャンペーンイベント
東京:7/18(土) 18:00~ 会場:東京カルチャーカルチャー
名古屋:7/23(木)19:00~ 会場:名古屋市芸術創造センター大会議室
広島:7/28(火) 19:00~ 会場:ヲルガン座
福岡:7/29(水) 19:00~ 会場:LIV LABO
大阪:8/8(土) 13:00~ 会場:ロフトプラスワンWEST