コムアイ(水曜日のカンパネラ)と「ラー」「ナポレオン」のMV監督が見通す、これからの音楽と映像

レポート
音楽
アート
2016.3.14
SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION「進化するミュージックビデオの今」 photo by 小見山峻

SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION「進化するミュージックビデオの今」 photo by 小見山峻

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MV、CDジャケット、アーティストポートレイトなど、現代の音楽表現にとって視覚に訴えるアートワークが欠かせない存在となっている。2016年3月4日(金)~3月6日(日)にかけて行われた「SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION」では、そんな音楽を中心としたアートに焦点を当てた企画展と、シーンの第一線で活躍するクリエイターを招いたトークショーが行われた。今回は3月6日(日)に行われたトークショー「進化するミュージックビデオの今」をレポートする。登壇者は、「水曜日のカンパネラ」のコムアイ、彼女らの楽曲である「ラー」のMVを演出した児玉裕一、「ナポレオン」の山田智和の3名。それぞれの作品の制作秘話から、これからのMVの展望についてまでたっぷり語った。

「ナポレオン」のMVを制作するにあたって山田監督とコムアイは、「街を歩く」というキーワードや、緩急のある映像といったイメージがぴたりと一致したと発言。感性を同じくする同世代のクリエイター同士が出会い、1つの作品を生み出したことの運命性を感じずにはいられない。水曜日のカンパネラの「メデューサ」のMVも担当する山田監督は、コムアイについて「生きづらいと言われている音楽業界やメディアを自由に謳歌しているようなイメージ」があり、そのイメージをMVにも反映させていると語った。「ナポレオン」「メデューサ」のMVを見る際は、山田監督の目を通じて見えているコムアイ像を感じてみてはいかがだろうか。

コムアイ(水曜日のカンパネラ) photo by 小見山峻

コムアイ(水曜日のカンパネラ) photo by 小見山峻

山田智和 photo by 小見山峻

山田智和 photo by 小見山峻


また、日清「カレーメシ」とのコラボMVである「ラー」を監督した児玉裕一は、企業と関わる作品制作はセンシティブであることを逆手にとり、「『ラー』のMVではコムアイが企業を手玉に取っている感じにしたかった」と明かした。彼女の統べる感じやカリスマ性を生かせるようなMVを目指したとのこと。業界屈指のクリエイターでもある児玉がコムアイの存在感を大いに尊重していることがわかる発言であった。対してコムアイも「YouTubeなどを通じて、児玉さんのMVに育てていただいた」と語るほどの敬愛ぶりを見せた。互いにリスペクトしあうもの同士がともに企み、世間に発信した「ラー」MVは、SPACE SHOWER MUSIC AWARDSでBEST ART DIRECTION VIDEOにも選ばれている。

児玉裕一 photo by 小見山峻

児玉裕一 photo by 小見山峻


MV制作の面白さに対しても3名はそれぞれの視点から語った。コムアイは「アルバムのアートワーク、MVを作るのが楽しみで水曜日のカンパネラを始めた。視覚に訴えるものを作ることがモチベーションになっている」と発言。「作る物が誰かに影響を与えるかもしれないと考えるとポジティブなものを与えたい」と、視覚的なアプローチからの表現に対しての強いこだわりを持っていることを伺わせた。また、自分でMVの監督をやるとすれば「自分の家などで、圧倒的にパーソナルな表情や姿を撮影したい。他の監督には撮れない作品が撮れる思うから」と、他のMV監督に対してライバル心を燃やした。コムアイの1クリエイターとしての気概を感じるには十分すぎる発言であった。山田監督は、近年の音楽リスナーが音楽を知るきっかけがYouTubeへ変化している状況を踏まえ、MVの重要性の高まりを改めて訴えた。「MVは今一番面白い場所。いろいろチャレンジも出来る」と語り、山田自身がMVに対して未だ見ぬ可能性を感じていることを明かした。また、児玉監督は、「映像はネタが出尽くしたといわれるが、見る媒体が変化したり、コムアイのような見たこともない生き物が出現するとあり方が変わってくる」とし、激動の映像シーンを楽しんでいるような余裕を見せた。

photo by 小見山峻

photo by 小見山峻


トークの中で「誰もやっていないことをやろうとしすぎて、息苦しくなったこともある」と語ったコムアイ。「でも、他の人のやっていないことを探すのでなく、自分のやりたいことをまるごと素直に受け入れられるようになって気が楽になった」と続けた。とかく新規性が求められるこの時代にあって、常に私たちを驚かせてくれる水曜日のカンパネラ。その裏には、やりたいことに対して共に熱く、真摯に挑むクリエイターたちの姿があった。あらゆる領域のアーティストたちの魂がこもった水曜日のカンパネラのクリエイション。これからどのような展開を見せてくれるのか、楽しみで仕方がない。多いに「水曜日のカンパネラのMVに育てられる」時代のリスナーでありたいと感じさせられる、そんなトークセッションであった。

 
 
 
番組情報
TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016 SPECIAL

「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016」を振り返るスペシャルプログラムをオンエア!

初回放送:3/27(日)22:00~23:00
リピート:4月予定
 

 

アーティスト情報
コムアイ (水曜日のカンパネラ)

ミュージシャン。2013年からコムアイを主演とするユニットとして始動。メンバーはコムアイ(主演)、ケンモチヒデフミ(音楽)、Dir.F(その他)の3人だが、表に出るのは基本的には主演のコムアイのみとなっている。2014年11月に発売した 『私を鬼ヶ島に連れてって』に収録されている楽曲「桃太郎」がWEBやラジオを中心に話題となり耳の早いリスナーが次々と中毒者になっている。そして、昨年11月11日に1年ぶりのアルバム『ジパング』が発売。ヤフオク!のCM楽曲の「ツイッギー」や日清カレーメシ2とのコラボ曲「ラー」など話題の楽曲が収録されている。
http://www.wed-camp.com/
児玉裕一

映像ディレクター。1975年生まれ。東北大学理学部化学系卒業。卒業後、広告代理店勤務を経て独立。2006年より「CAVIAR」に所属。2013年9月「vivision」 設立。 CMやMVなどの映像作品の企画 / 演出から、ライブの演出まで幅広く従事。2015年よりロンドンのクリエイティブエージェンシー「CANADA LONDON」 にも所属し海外の広告も手がける。
http://www.vivision.tv/
山田智和

映像作家、映画監督。東京都出身。日本大学芸術学部映画学科映像コース出身。クリエイティブチームTokyo Filmを主宰、2015年9月よりCAVIARに所属。映画、CM、MVを中心にディレクションを行う。2013年、WIRED Creative Huck Awardにてグランプリ受賞、 2014年、ニューヨークフェスティバルにて銀賞受賞。シネマティックな演出と現代都市論をモチーフとした映像表現が特色。
http://tomokazuyamada.com/
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