ホワイト・キューブで植物を観る:「ウルトラ植物博覧会」

レポート
アート
2015.8.3

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 先日、ポーラ ミュージアム アネックスで開催されている「ウルトラ植物博覧会 ~西畠清順と愉快な植物たち」を観てきた。プラントハンター西畠清順が世界中から集めてきた珍しい植物の数々が、ポーラ銀座ビル3階(と1階ショーウィンドウ)に整然と並べられている。普段はお目にかかれない奇妙なかたちの草花と出会うことができ、しおれた知的好奇心を大いに潤してくれるはずだ。

 ところで、個人的にひとつ気になったことがある。それは植物の展示方法だ。どの植物も、切り込みの入った白い布で鉢を包み、切り込みの部分から草や花、幹が突き出るようになっている。つまり、鉢や土ができるだけ目立たないように工夫されているのだ。これはおそらく、普段はアート作品の展示空間として使われるポーラ ミュージアム アネックスの内装に合わせた仕様なのだろう。純粋に植物の〈かたち〉を観賞してほしい、という展示側の意図が伝わってくる。

 ただ、そのせいか、目の前の見慣れない物体が〈植物であること〉の驚きが薄まってしまうようにも感じた。自然物としては奇妙でも、人工物、とくにアート作品として見ると平凡に思えてしまう、というのはよくある話だ。そんなわけで、ウルトラ植物博覧会の前も後も、私たちにとって最も印象的な植物体験は、毎年春の花粉アレルギーであり続けるだろう。

イベント情報
「ウルトラ植物博覧会」西畠清順と愉快な植物たち

開催期間:2015年07月03日(金)~2015年08月16日(日)
休館日:会期中無休
時間:11:00~20:00(入場は閉館30分前まで)
入場料:無料
会場:ポーラミュージアム アネックス
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