MUCC×AKi ダブルヘッドライナーツアー『M.A.D』東京公演、4時間に及んだガチ対バン

レポート
音楽
2016.3.25
MUCC/撮影=西槇太一

MUCC/撮影=西槇太一

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MAVERICK DC presents DOUBLE HEADLINE TOUR 2016「M.A.D」 2016.3.18(Fri)中野サンプラザ

結成20周年を来年に控えるMUCCと、シドのベーシストである明希が昨年より開始したソロワーク・AKi。共にMAVERICK DCに所属する二組によるダブルヘッドライナーツアー『MAVERICK DC presents DOUBLE HEADLINE TOUR 2016「M.A.D」』の東京公演が3月18・19日に中野サンプラザで開催された。『SPICE』では初日、18日の模様をお届けしよう。

今年1月より全国13箇所のホールを廻る本ツアーも12箇所目。ほとんどの会場でゲストアーティストを迎えてきたが、この日はゲストのいない正真正銘のガチンコ勝負となった。代わりにオープニングアクトとして、4月27日に3rdシングル「RUDENESS RESORT」をDANGER CRUE RECORDSよりリリースするCLØWDが登場。暗闇を切り裂く銃弾のような鋭さと煌きを放つKØUの歌声を筆頭に、迷いの無い音を放つ真っ直ぐさは、結成わずか1年の新人ならでは。若さを弱点ではなく武器に変えて、集まったオーディエンスに強烈なファーストインパクトを残した。

続いてガチンコ勝負の先攻となったのはMUCC。SATOちの激烈なドラム音が場内に轟き、ミヤ(G)が想いの丈を叫び放つと、4人の背後に映し出されていた夕景が骸骨へと変わって「睡蓮」でヘヴィにライヴの火蓋を切る。視覚と聴覚、両面で禍々しいムードを振りまきつつ、サビでは4つ打ちのダンスビートでオーディエンスを飛び跳ねさせるが、このギャップこそ彼らの真骨頂。ヘヴィグルーヴの上でシンセ音が縦横無尽に浮遊する「ENDER ENDER」に、ジャンプとヘッドバンギングが交錯する「G.G.」と、生音の沸騰するようなアグレッションを横軸に、規則的でクールな機械音を縦軸に置いて、退廃的なヴィジュアル&映像とサイケなライティングをエッセンスに加えた彼らのサウンドスケープは、触れてはいけないからこそ触れたくなる危険な魅惑に満ちている。

「もっとイッちゃっていいかな?」とパワーコーラスからぶつけた新曲「JOKER」も、ハードなサウンドにアンニュイな響きを忍ばせた味わい深いナンバーで、大写しになった赤い唇の前で狂おしくギターソロをかき鳴らすミヤと、寄り添って身をよじる逹瑯(Vo)の姿は実に煽情的。かと思えば「レインボー」では失ったものへの想いを切々と歌い上げ、「ツアーも今日で13本目。13本目の金曜日、どこよりも濃い『M.A.D』を楽しんでいっちゃって!」と煽り、ダンスビートとウェットなメロディとメタルが綯い交ぜになった「D・f・D」へと繋げるのだから、ハイブリッドにも程がある。おまけに白光柱が天と地を貫く中で情念をぶつける「試験管ベイビー」、クラゲの映像をバックに逹瑯がブルースハープを吹く「浮遊」、タイトルとは真逆の切ないリリックと音が美しいドラマを描く「死んでほしい人」と、それぞれに込められた感情も恐ろしく濃厚。だからこそ「ニルヴァーナ」に「フォーリングダウン」とシンプルなシングル曲ではいっそう一体感が爆発し、ミヤとYUKKE(B)が並んで見事なアンサンブルを聴かせる「Mr.Liar」の爆走ビートで暴れ倒すオーディエンスに「最高じゃねぇか!」と逹瑯は叫ぶのだ。

お馴染みの「蘭鋳」では、逹瑯の「この後にはAKiさんがいるんだよ。“あの人たちの後には出たくないな”って言わせたい。俺の意地悪に付き合ってくれる?」という言葉に応えて、観客全員が着席体勢から4カウントでジャンプ! そして一つの生命体のようにうねり、モッシュするオーディンスに、最後にトドメとばかり「TONIGHT」のメタリックなシャウトとフレーズが叩きつけられる。拳を振り上げ、サビを大合唱する客席が高揚感を高める中、ライヴ冒頭と同じようにミヤが何事かを叫ぶと背後には夕景が映り、逹瑯は激情をぶちまけてラストリリックを絶叫。絶望の先に希望を謳うナンバーで始まりと終わりを繋げ、全14曲を1本のドラマに変えた彼らの姿はあまりにも逞しく、ただ感極まる想いだけを胸に残した。

AKi/撮影=江隈麗志

AKi/撮影=江隈麗志

こうして先輩より熱すぎるバトンを受けた後攻・AKiのステージは、対照的に素晴らしく幻想的な光景で幕開けた。「Ray」をバックに紗幕の向こうで祈り、大きく腕を広げて羽ばたくような動きをシルエットで魅せる様は光の滴のように美しく、だからこそ次の瞬間、一気に幕が落ちてアッパー&ポジティヴな「Fahrenheit」を光の中で放つ展開のインパクトは絶大。続く「Be Free」の男気あふれるロック感といい、「掛かってこい!」という容赦ない煽りといい、キッズの頃の憧れを純粋に追い求めた初期衝動あふれるステージに、観ているこちらも胸が高鳴る。

しかし、そのまま単なるロックキッズで終わるはずがない。「今日はお前らと最高の夜にしたいです。踊り狂う準備はいいかい?」と、デジタリックなフレイバーを忍ばせて客席を揺らした「FAIRY DUST」に、グルーヴィーなシャッフルチューン「FREAK SHOW」と、感情的にベースソロを鳴らしながら身をくねらせるAKiの纏う艶めかしい空気感は唯一無二。リズム楽器であるベースを奏でながらメロディを歌うのは至難の業のはずだが、彼の場合そういった音楽概念を超えたところで楽曲自体を身体で感じ、操っているように思えた。逆に「こんばんは。シドのベースです。Shinjiじゃないほうです(笑)」と始めたMCで迷走するのは、フロントマン初心者ならではのご愛敬。

爽やかなサウンドに手拍子が沸く「Path of Light」、リリカルなムードが心地よい「Wait for You」に全英詞のエモな「Day 1」と、自らが持つ音楽の引き出しを一つひとつ開くように多彩な楽曲を届ける甘い歌声も、とにかく衒いのないひたむきさが眩しい。中でもアコースティックギターの優しい音色に自らのファルセットを重ねる「LOOP」の浮遊感は極上。時折Tシャツの袖口を捲り上げながらラストは大きく腕を上げて、飛び立つことへの希求を強く感じさせたが、もしかするとそれは彼のソロ活動における根源的なテーマと繋がるものかもしれない。

ダンスビートが突如アグレッシヴなバンドサウンドへと変転する「In Vain」からの後半戦では、ゴリゴリの低音が一気にダークネスの色を深める「ジウ」で音源にも参加しているミヤをゲストギタリストに迎え、続くベース&ドラムセッションでも客席を端から端まで煽ってテンションアップ。さらに会場中がタイトルをサビで合唱する「Sing It Loud」に、「好きに暴れようぜ!」と高くベースを掲げるフリーな「ミッドナイト/狂騒/DARLING:」からの駆け上がり方は強烈だった。「拳上げろ!」と「Brave New World」で重量級のビートが塞いだ心に風穴を開けると、最後は「The Inside War」のパワーコーラスとポジティヴなリリックが問答無用にオーディエンスを光の世界へ連れ去ってゆく。終わりのない夢を歌おう――。サビに込められた想いを音で、動きで、全てで観る者の心に刻み付けたステージに、場内からは大きな拍手が贈られた。

また、本ツアーでは日替わりの“番長”によるセッションコーナーも恒例となっており、この日は逹瑯の番長DAY。いわく「私の番長日は毎回THE YELLOW MONKEYの「バラ色の日々」をやってるけど、今日はもう1曲イエモンを」ということで、まずはミヤとAKiバンドの加藤貴之(G)を迎えたアコースティック編成で「JAM」をプレイして会場を沸かせる。銀河のようなミラーボールライトが醸し出すファンタジックな空気と、逹瑯の生々しいボーカルのギャップが生むディープな世界から一転、MUCC+AKiによる「バラ色の日々」ではステージ上の面々に笑顔が。そして本日の出演者全員を呼び込んでのラストセッションを始めようとしたところで、逹瑯に「あれ? 一人足りなくない?」と呼び込まれたのは、なんとシドのドラム・ゆうや! 「聞いてないよ!」と狼狽えるAKiをよそに、本ツアーのために作られたコラボ曲「MARBLE」が演奏されると、客席に手を振ったり、おかしな踊りをしたりと、まったくやりたい放題(笑)。しかし、これが彼なりの応援の形なのだろう。

大合唱で締めくくり、深々と頭を下げた逹瑯とAKiの前に幕が下りて、4時間に及ぶライヴは終了。後は3月26・27日の北海道公演と本ツアーで唯一のライヴハウス公演として追加された3月31日、4月1日の恵比寿リキッドルームを残すのみ。互いが何度も「楽しい」と口にした本ツアーで得られたものを糧に、また、今年もそれぞれの活動で我々に衝撃を与えてくれるはずだ。

撮影=西槇太一(MUCC)、江隈麗志(AKi) 文=清水素子

セットリスト
MAVERICK DC presents DOUBLE HEADLINE TOUR 2016「M.A.D」
2016.3.18(Fri)中野サンプラザ


◆CLØWD
01. 狼煙
02. #夏の微熱
03. キミトボクラ

◆MUCC
01. 睡蓮
02. ENDER ENDER
03. G.G.
04. JOKER(新曲)
05. レインボー
06. D・f・D(Dream from Darkness)
07. 試験管ベイビー
08. 浮游
09. 死んでほしい人
10. ニルヴァーナ
11. フォーリングダウン
12. Mr.Liar
13. 蘭鋳
14. TONIGHT

◆AKi
01. Ray
02. Fahrenheit
03. Be Free
04. FAIRY DUST
05. FREAK SHOW
06. Path of Light
07. Wait for You
08. Day 1
09. LOOP
10. In Vain
11. ジウ[Guest Guita:ミヤ]
12. BASS & DRUM SESSION
13. Sing It Loud
14. ミッドナイト/狂騒/DARLING:
15. Brave New World
16. The Inside War

◆Encore Session
逹瑯 with M.A.D ALL STARS

01. JAM
02. バラ色の日々

M.A.D SUPER ALL STARS
01. MARBLE

 
ライヴ情報
『MAVERICK DC presents DOUBLE HEADLINE TOUR 2016 「M.A.D」』
 
※公演終了分は未掲載

3月26日(土) 道新ホール
OPEN 16:30 START 17:00
MUCC / AKi / Guest Vocal&Guitar:Ken
 
3月27日(日) 道新ホール
OPEN 16:30 START 17:00
MUCC / AKi / Guest Vocal&Guitar:Ken
 
料金】前売\6,500(税込・全席指定) / 当日\8,000(税込・全席指定)
 

『MAVERICK DC presents DOUBLE HEADLINE TOUR 2016 「M.A.D」 FINAL』
 
3月31日(木) LIQUIDROOM
OPEN 17:30 START 18:30
MUCC / AKi
 
4月1日(金) LIQUIDROOM
OPEN 17:30 START 18:30
MUCC / AKi
 
料金】
前売¥6,500(税込・ドリンク代別)/ 当日¥8,000(税込・ドリンク代別)
※オールスタンディング・未就学児童入場不可

 

 

MUCC情報
『MUCC TOUR 2016』
6月25日(土)日比谷野外大音楽堂
7月9日(土)京都FANJ
7月15日(金)札幌PENNY LANE24
7月17日(日)仙台Rensa
7月19日(火)山形ミュージック昭和セッション
7月23日(土)金沢EIGHT HALL
7月24日(日)富山MAIRO
7月26日(火)浜松窓枠
7月28日(木)岐阜club-G
7月30日(土)広島クラブクアトロ
8月13日(土)松山W studio RED
8月14日(日)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
8月16日(火)名古屋クラブクアトロ
8月20日(土)水戸club VOICE
8月21日(日)新潟LOTS
8月26日(金)福岡BEAT STATION
8月28日(日)宮崎WEATHER KING
9月3日(土)大阪城野外音楽堂

料金】
前売¥6,000(税込)/当日¥6,500(税込)
※日比谷野外大音楽堂/指定席・立見席
※大阪城野外音楽堂/指定席・芝生席
※その他の会場/オールスタンディング・ドリンク代別
※未就学児童入場不可
一般発売日】4月23日(土)
MUCCオフィシャルサイト http://www.55-69.com/

LIVE & DOCUMENTARY DVD
『F#CK THE PAST F#CK THE FUTURE ON WORLD-Paradise from T.R.E.N.D.Y.-』

発売中

◆MUCC オフィシャルサイト http://www.55-69.com/

 

AKi情報
ミニアルバム『EPHEMERAL』
発売中
<初回生産限定盤(CD+DVD)> DCCA-62~63 ¥3,241(税別)
<通常盤(CD)> DCCA-64 ¥2,400(税別)
LIVE DVD「A Feeling Begins to Arise」 NOW ON SALE
<初回生産限定盤(DVD2枚組)>DCBA-19~20 ¥4,500(税別) 
 

AKi Tour 2016 『HEADZ UP & DO IT!』
5月1日(日) Thunder Snake ATSUGI
5月3日(祝・火) 町田The Play House
5月5日(祝・木) 新潟LOTS
5月7日(土) 長野CLUB JUNK BOX
5月8日(日) 金沢EIGHT HALL
5月12日(木) 梅田クラブクアトロ
5月14日(土) 神戸VARIT.
5月15日(日) 京都MUSE
5月19日(木) Live House 浜松窓枠
5月20日(金) 名古屋ボトムライン
5月25日(水) HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2
5月29日(日) 広島クラブクアトロ
5月31日(火) HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
6月10日(金) 福岡DRUM LOGOS
6月12日(日) 鹿児島CAPARVO HALL
6月18日(土) 高松DIME
6月19日(日) 松山サロンキティ
6月22日(水) 郡山CLUB #9
6月24日(金) 仙台Rensa
6月26日(日) 札幌PENNY LANE24
7月18日(祝・月) Zepp DiverCity Tokyo
 
料金】前売 ¥5,500(税込)
一般発売日】
2016年4月2日(土) ※2016年5月1日(日)~5月31(火)公演
2016年4月23日(土) ※2016年6月10日(金)~7月18日(祝・月)公演


◆AKi オフィシャルサイト http://www.dangercrue.com/AKi/
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