“料理を通じて、歌舞伎俳優を身近に感じてほしい” 『メンズキッチン』新MC中村隼人にインタビュー

インタビュー
舞台
2016.4.1
中村隼人 「メンズキッチン」

中村隼人 「メンズキッチン」

CS放送女性チャンネル♪LaLa TVで好評放送中の料理トークバラエティ「メンズキッチン」。この春、城田優から歌舞伎俳優・中村隼人にMCがバトンタッチされることとなった。料理研究家の寺田真二郎と隼人が肩肘張らないトークを交わしながら、手軽だが本格派の料理に挑んでいく番組だ。

中村隼人は、二代目中村錦之助の長男(屋号は萬屋)。近年本業の歌舞伎とともに、NHK大河ドラマ「龍馬伝」「八重の桜」、TBSドラマ「ぴんとこな」などにも出演、活動の場を広げている。そして、スーパー歌舞伎II「ワンピース」では偶然にも料理上手なサンジ役で活躍するなど今大注目の若手俳優だ。本番組の収録中にお邪魔し、話を訊いてきた。


――「メンズキッチン」出演のオファーをいただいたときの、率直な感想は? 

中村隼人(以下、隼人): 非常に驚いたのがまず一つ。「歌舞伎俳優と料理」というイメージがないでしょうし。僕が料理するイメージもない中で、声をかけて頂いたのは嬉しかったし驚きました。普段は、自分が食べるものしか料理しないし、手の込んだものは作りませんので、料理しないに等しいと思います。ですのに、こういう機会を頂いて。勉強できるし、元々食べることが好きでこだわりもあるので、自分で作れるようになれたら楽しいですね。

――収録を見学させていただきました。ものすごい盛り上がっていて、楽しいスタジオですね。

隼人: 本当ですか?よかった!今回で4本目のスタジオ収録だからちょっとでもトークも上達すればいいと思います。

番組で作るお料理が本当に美味しいんですよ。スタッフさんがおっしゃっていましたが、今まで3年半ほどやってきて一回もハズレがないそうです。この間の収録でも全部食べてしまいました。番組をご覧になっている方は女性が多いと思いますが、作っている料理は男の人が好きな味も多い。がっつり肉料理だったり。僕はああいう料理を作ってほしいです。

――寺田さんとのトークでは何かと「勝った!」「負けたー」というやり取りがあるんですが、中村さんは負けず嫌いなんですか?(笑)

隼人: 負けず嫌いというか、寺田さんがすごく仕掛けてくるから(笑) それに対応していくしかないかなって。またその対戦が面白くなってきています。僕自身まだ勝てないですが。少しでも勝てたりすると面白いと思います。僕も後輩なのでいじるよりもいじられた方がいいし、実際いじられているけど、上手く返した時は達成感にもつながるので非常に楽しいです。

――寺田さんのイメージは? 

隼人: 寺田さんは10歳上ですが、すごく気さくな方なので、いろいろ話しかけて対応してくれます。すんなり入れたのでやりやすいです。寺田さんのカレーやエビチリ等のレシピは大胆な味がするのに、和食のレシピでは繊細な感じなのでさぞモテるんだろうなと(笑)。本当ですよ。ああいう料理を作ってくれたら嬉しいですね。寺田さんも僕のことを調べてくださり、僕の好みに寄せてくれています。辛いのが好きなら豆板醤を多めに入れようとか。味濃いめにしようとか考えてくれています。寺田さんも濃い味が好きみたいで。そういうところが共通していてよかったのかな。

中村隼人 「メンズキッチン」

中村隼人 「メンズキッチン」

――ちなみに食べられないものはありますか?

隼人: セロリ、パクチー。匂いがダメです。寺田さんには使わないようにお願いしてあります(笑)でも、歳を取ると味覚が変わってくるって言うじゃないですか。僕も変わってきて、もしかすると食べられるようになるかもしれませんね。小学校くらいの時ってみんなセロリ、ピーマンとか食べられないけど、食べられるようになる。僕もピーマンは克服したんですが。でもセロリはダメでした。

――逆に、一番好きな食べ物は? 

隼人: 肉!(即答)

――若いですね。男性ですね!(笑)そういえば、歌舞伎俳優の方は、舌が肥えているのでは?と思うんですが。

隼人: 肥えている…どうなんだろうな。先輩たちにお呼ばれで美味しいところに連れて行ってもらったりすることはあります。ですが人それぞれで、食に興味が無い人もいれば、僕みたいに大好きでお昼ご飯もこだわって出かけたりとか、出前も変えてみたりとかする人もいます。

歌舞伎俳優は巡業など地方公演がたくさんあるから、食に興味を持つんじゃないですかね。毎日ホテル暮らしで違う場所を転々としているので、食べ物に困る。何を食べようかと調べて…というところから始まるので、結果グルメになってしまいます。

――ちなみに、この地域に行ったら必ず食べたくなるものってありますか? 

隼人: ありますね。例えば大阪だとお好み焼き、たこ焼きもそうですが、インデアンカレー
京都だとおうどんとか、鱧も鮎も。時期によりますが。和食が美味しい。博多だと海鮮ですね。貝とかも美味しいです。

――やっぱり舌が肥えているじゃないですか!(笑)

隼人: 肥えているというか、食べているだけですよ。それしか楽しみがないですもん。地方公演って(笑)名古屋だと昼夜味噌煮込みうどん、という日もありますよ。

市川猿之助さんが以前おっしゃっていたんですが、「食べ物は自分の身となり血になるものだから、大事にしろ」と。ああそうだなと思って。

――大事な身体ですしね。舞台の本番がそろそろ始まるという時期に、いつも食べたくなるものってありますか?

隼人: 歌舞伎座だったら、ナイルレストランのカレー(※ムルギーランチ)。あれは一か月に一回食べないと。今すごいもう!!!早く食べたい。恋しくなるグルメは劇場近くかな。

――ゲン担ぎで食べるものは?

隼人: ゲン担ぎですか……ウナギが好きなので、初日とか千秋楽は食べますね。毎回ではないですよ。高いから「お疲れ様」の意味で。

――それならば、いつかウナギや魚をさばいてみたいと思いませんか?

隼人: ウナギはさばきたくない!(笑)

――え?なぜですか?それができたらカッコイイと思うんですが。

隼人: 逃げそうじゃないですか。僕は見ているだけでいいです(苦笑)

中村隼人 「メンズキッチン」

中村隼人 「メンズキッチン」


――この番組は、MCも積極的に料理を作るんですね。そして合い間に歌舞伎の話もしながら…。

隼人: 僕がMCをやっている意味はここにあると思っています。料理に興味を持っていただきたいのも、料理が勉強できるのもありますが、歌舞伎俳優としてできるのは、少しでも歌舞伎を知っていただくこと。今我々が使っている言葉は歌舞伎が起源のものが多いですからね。僕自身も知らないことはたくさんありますので、僕も勉強しながら歌舞伎のことを発信していけたらいいなっと思います。

――ちなみに歌舞伎の演目で料理を作る場面って出てくるのですか? 

隼人: ありますよ。『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』「飯(まま)炊き」(「御殿の場」)とかで。あとは「直侍(なおざむらい)」(『雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)』)という演目ではお蕎麦を食べるという場面もあります。そのくらいですかね。料理を作っている場面は、歌舞伎にはあまりありません。江戸時代、武士はご飯は作らなくて、お手伝いさんが作っていたものだから。その辺りが、料理がピックアップされている演目が少ない理由かもしれないですね。

――『ワンピース』でサンジが料理を作るシーンは?

隼人: ないんですよねえ。台本的に。

サンジが登場したのが17年前でしょ。男性が料理する先駆けじゃないですかね。やっぱり料理は女性がするもの、という考え方は昔は根強かったし。それが今逆転してきて、寺田さんみたいな料理研究家も多くなり、僕ですら料理し始めたり。逆転していると思います。女性もますます社会に進出していますし、男性もイクメンなどが増えている。時代の流れでちょうどいいんじゃないですかね。

――20代前半の男性が出演し、料理を作るという点について、どういう方に観ていただきたいですか?

隼人: 城田さんの時から観ていただいた方にも、もちろん観て欲しい。プラスして今までこういう番組を観なかった方にも、歌舞伎の好き嫌いじゃなく、料理の好き嫌いがある方にも観ていただきたいです。

最初はレシピだけ見て難しいのかなと思っていましたが、いざやってみると手軽にできる料理を寺田さんが考えているので。そういうふうに興味を持っていなかった方にも、観ていただきたいですね。

――料理が苦手な人も敷居が低めなので、入っていきやすいですしね。

隼人: 「苦手」って「苦手意識」から来ていると思います。できないからとか。僕もそうでしたが、やってみたら意外とできました。時間が掛かってもいいからやってみて、自分で作る喜びとか、作ったものを食べてもらう喜びとかを感じてほしいです。

歌舞伎俳優は和食しか食べないんじゃない?って誤解もあります。僕はどちらかというと洋食の方が好きです。今でも歌舞伎俳優は同じ世界に住んでいないと思っている方が多いと思うので、庶民的な部分も知ってもらいたいです。皆さんが行くようなお店も行くし、ご飯も食べるし。歌舞伎俳優を身近に感じて頂きたいです。

その中で僕がやるべきことは、基本を忘れてはいけないということです。お稽古などの日々の精進を怠らないとか、歌舞伎俳優として礼儀や品を大切にするとか、そういうことは忘れずに、プライドを持ちつつ面白くしていければいいと思います。

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【中村隼人プロフィール】
スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」に出演中。5月、市川染五郎主演「-獅子王SHI-SHI-O-」のラスベガス公演に出演予定。

・衣裳協力:junhashimoto/ETOFFE
・スタイリスト:九(Yolken)
・メイク:佐藤健行(HAPP’S.)

取材・文:こむらさき

放送情報
「メンズキッチン」

■放送日時:2016年4月5日(火)スタート 毎週火曜23:00~他 放送
■放送局:女性チャンネル♪LaLa TV
■出演:中村隼人、寺田真二郎
■公式サイト:http://www.lala.tv/mens_kitchen2/index.html

 

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