ルノワールの最高傑作が初来日!『オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展』をレポート

レポート
アート
2016.5.10
《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》 1876年、油彩/カンヴァス オルセー美術館 © Musée d'Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMF

《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》 1876年、油彩/カンヴァス オルセー美術館 © Musée d'Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMF

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印象派の巨匠オーギュスト・ルノワールによる最高傑作《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》が描かれてから、今年でちょうど140周年。その記念すべき年に、オルセー美術館秘蔵のこの作品が、ついに初来日する。さらに、誰もが教科書で見たことのある代表作の数々が惜しげもなく並ぶ『オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展』(2016年4月27日(水)~8月22日(月)開催)が六本木・国立新美術館企画展示室1Fにて公開となった。本展のプレス内覧会から、満載すぎるみどころをご紹介しよう。
 

パリでも見られない!100点を超える前代未聞なルノワール展

現在パリに行っても、オルセー美術館・オランジュリー美術館のルノワールの代表作は、ほとんど壁に掛けられていない。もちろんその作品たちは、本展のために海を越えて東京に来ているからだ。中でも注目作は、初来日となる前述の《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》に加え、最晩年の知られざる大作《浴女たち》がある。

《浴女たち》 1918-1919年、油彩/カンヴァス オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

《浴女たち》 1918-1919年、油彩/カンヴァス オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

また、45年ぶりに揃っての来日となる《田舎のダンス》《都会のダンス》や、《ピアノを弾く少女たち》《ピアノの前のイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル》も誰もが教科書などで一度は目にしたことのある作品だ。当時の現代的で等身大な人々の生活が、生き生きと描かれている。

左《都会のダンス》 1883年、油彩/カンヴァス オルセー美術館 右《田舎のダンス》 1883年、油彩/カンヴァス オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

左《都会のダンス》 1883年、油彩/カンヴァス オルセー美術館 右《田舎のダンス》 1883年、油彩/カンヴァス オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

右《ピアノを弾く少女たち》 1892年、油彩/カンヴァス、オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

右《ピアノを弾く少女たち》 1892年、油彩/カンヴァス、オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

そのほかにも、人物画、風景画、デッサン、彫刻まで、100点を超える逸品が並ぶ。両美術館の代表作が垣根も国境も越えてこれだけ集結するのは、前代未聞のこと。印象派の傑作と同じく創刊140周年を迎える日経新聞が、総力を挙げて開催する展覧会というのも納得だ。

知らなかったルノワールを発見する

本展ではその展示構成もあますところがない。ルノワールの生涯をたどる10章に分けられ、豊富な資料やゆかりの画家の作品などを交え、画業の全貌を丁寧に紐解いている。

とりわけ驚いたのは、その作風の多様な展開だ。ルノワールが「私は人物画家だ」と自称していたという初期には、意外にも写実的な作品が並ぶ。中期には鉄道による旅が一般的となり、田舎の自然の中で一瞬の光を捉える喜びに満ちた、印象派らしいタッチに変貌していく。そして、晩年の裸婦画への探求は、彫刻家の協力を得て自ら彫刻を作るほどだった。また、なかなか見ることのなかったデッサン画からは、「絵の労働者」たる修練のあとがうかがえる。

《草原の坂道》 1876-1877年、油彩/カンヴァス、オルセー美術館  © Musée d'Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMF

《草原の坂道》 1876-1877年、油彩/カンヴァス、オルセー美術館 © Musée d'Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMF

《座る裸婦》あるいは《身づくろい》 1890年頃 鉛筆、白チョーク、サンギーヌ、擦筆 / 厚紙 62×51cm オルセー美術館 © Musée d' Louvre, Dist. RMN-Grand Palais / Martine Beck-Coppola

《座る裸婦》あるいは《身づくろい》 1890年頃 鉛筆、白チョーク、サンギーヌ、擦筆 / 厚紙 62×51cm オルセー美術館 © Musée d' Louvre, Dist. RMN-Grand Palais / Martine Beck-Coppola

「絵画は楽しいものでなければならない」

ルノワールが生きたのは激動の時代であるにも関わらず、その作品はどれも多幸感に満ちたものばかり。ルノワールは「絵画は楽しいものでなければならない」と語り、「現代の幸福」という新しい時代の画題を見つけ、生涯にわたって人々を希望で照らすような作品を残した。

本物を前にすると、揺れる木漏れ日を感じ、人々の笑い声が聞こえてきそうなルノワールの絵画。ルノワール好き・印象派好きならずとも、日本で傑作の数々を見られるこのチャンスを逃したくはない。

広々とした空間の中で鑑賞できる展覧会場内

広々とした空間の中で鑑賞できる展覧会場内

 

 

イベント情報
オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展

会期:2016年4月27日(水)~ 8月22日(月)
休館日:毎週火曜日 *ただし5月3日(火・祝)、8月16日(火)は開館
開館時間:10時 – 18時 金曜日、8月6日(土)、13日(土)、20日(土)は20時まで *入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京・六本木)
情報:一般・1600円 / 大学生・1200円 / 高校生・800円 *中学生以下無料
主催:国立新美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、日本経済新聞社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
展覧会サイト:http://renoir.exhn.jp/

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