何度でも帰ってきてやるぞ!NICO Touches the Walls初の大阪城ホールで再会誓う

2016.5.7
レポート
音楽

NICO Touches the Walls「NICO Touches the Walls LIVE SPECIAL 2015“渦と渦~西の渦~”」の様子。(撮影:岡田貴之)

NICO Touches the Wallsが、昨日5月6日に初の大阪・大阪城ホール単独公演「NICO Touches the Walls LIVE SPECIAL 2015“渦と渦~西の渦~”」を開催した。

本公演は昨年12月に開催が予定されていたが、古村大介(G)の手の骨折により延期されていたもの。年初の東京・日本武道館公演「渦と渦~西の渦~」でも取り入れられたアニメーター加藤隆のアニメをフィーチャーした映像演出なども交えつつ、先月終了した全国ツアーを経てパワーアップしたNICO Touches the Wallsの今を披露する2時間半のライブとなった。

場内が暗転すると、フリンジ状の幕に「渦と渦」をモチーフにしたファンタジー色の強いアニメが上映され観客の視線を奪う。幕が上がると4人のシルエットが浮かび上がり、轟音と共に光村龍哉(Vo, G)のシャウトが響いた。「大阪! 最高の1日にしようぜ!」という光村の挨拶に続いて場内が明るくなり、1曲目の「天地ガエシ」へ。スクリーンには笑顔を浮かべ会場を見渡す4人の姿が映し出され、オーディエンスの笑顔を誘う。古村は完全復活をアピールするように豪快なギターソロを弾き、会場のテンションをぐいぐいと引き上げていった。

最初のMCに入る頃には、あまりの熱気にメンバーの額に早くも汗が。光村は「本当に半年間お待たせしました! いやあ、うれしい」と憧れのステージに立てる喜びを口にし、古村は「みんなに会いたかったんだよ。今日は俺らの思いとみんなの思いを合わせて大きな渦を作りたいと思います!」と語る。その言葉に続いたのは古村のスライドギターが光る「僕は30になるけれど」と、4人の朗らかなコーラスが魅力の「ブギウギルティ」。朗らかなサウンドに合わせてハンドクラップが響き、会場に一体感が作り出された。

坂倉心悟(B)のうねるようなスラップベースで幕を開ける「有言不実行成仏」でのどかな空気は雲散。メンバーのせめぎ合うようなプレイに、緊迫した空気がホールに漂う。キラーチューン「THE BUNGY」で会場のテンションがヒートアップしたのもつかの間、今度は光村が少しかすれた声で「ウソツキ」を狂おしく歌い上げオーディエンスを酔わせる。かと思えば対馬祥太郎(Dr)のパワフルなドラミングがさく裂する「ローハイド」を投下するなど、4人は次から次へと異なるタイプの楽曲を披露して観客を圧倒していく。

その後のMCで光村は、2006年に開催した初の大阪単独公演の思い出を皮切りに、大阪への思い、大阪城ホールへの憧れをとつとつと語る。「このステージに立つことは達成すべき目標だったので感慨深いです」「大阪のことが好きで、来続けてよかったと思いながら1曲1曲歌ってます」としみじみ述べる。そして「城ホールで歌いたい曲があるので……」と彼が息を大きく吸い込んで歌い始めたのは「行方」だった。伸びやかな歌声が会場中に広がり、雄大な景色を描き出した。

音数を削り抑制を効かせたアレンジが、曲の持つ寂寥感を引き立てた「夜の果て」、東京の街を描いたアニメがフィーチャーされた「TOKYO Dreamer」を経て本編は後半戦へ。「ニワカ雨ニモ負ケズ」の間奏では、古村が奏でるギターリフに合わせて、光村が普段以上に長く、気迫のこもったスキャットを披露する。そのパフォーマンスに感化されたのか、続く「まっすぐなうた」では対馬が暴走気味のドラムでフロントの3人を煽っていく一幕も。まばゆい光が包む中、力強く奏でられた「ホログラム」が終わると、ライブのタイトルにもなっている「渦と渦」で本編は終盤に突入する。光村の「ここにいる全員の力を合わせて最高にデカイ渦を作りましょう!」という言葉に続き、渦巻き状のスモークが天井から吹く中で豪快なバンドサウンドが響いた。

アンコールでは、古村が自身のケガにより公演を延期した際に不安を抱えていたこと、ファンに支えられこの日を迎えたことを感謝の言葉と共に口にする。「今日がきっかけになったらいいなと思って。これからもっと仲よくなっていこうね。みんなのことが大好きです」と彼が口にすれば、光村は「みんなのことが大好きなのは僕ら4人の思いです。それがこれからもっともっと膨らんでいくだけだろうな」と述べる。そんな言葉に続いて新曲「ストラト」が高らかに奏でられた。

対馬の「まだまだ楽しんで! ほないくで!」という関西弁の紹介から始まったのは「お嬢さんとこいさん」のカバー。4人は絶妙な掛け合いを繰り広げながら大阪にぴったりな1曲を届け、会場を大いに沸かせる。そしてにぎやかなパフォーマンスに大歓声が起きる中、最後のMCに。光村はバンドを代表して「みんなの応援があるから気持ちよく歌えています」とファンやスタッフにお礼を伝え、「何度でも帰ってきてやるぞ! また会いましょう! どんなにつらいことがあっても『手をたたけ』!」と叫んだ。4人は観客の手拍子を浴びながら「手をたたけ」をプレイ。古村の豪胆なギターソロや、光村の「終わりたくない!」というシャウトを挟みつつ曲はクライマックスへ。4人が向かい合わせになり最後の音を鳴らし終えると、スクリーンには充実した笑顔を浮かべた彼らの顔が映し出され、NICO Touches the Walls初の大阪城ホール単独公演が成功に終わったことを観客に伝えていた。