濱田めぐみが人生初のソロミュージカルに「脳みそがパンパンです」!『Tell Me on a Sunday』製作発表レポート
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劇中の楽曲を歌い上げる濱田めぐみ
キャリア20周年を迎える女優の濱田めぐみが人生初のソロミュージカルに挑戦する。6月10日より新国立劇場 小劇場にて上演される『Tell Me on a Sunday ~サヨナラは日曜日に~』は、愛と夢を求めてNYへ移住したイギリス人女性・エマの自立を描く物語。『キャッツ』『オペラ座の怪人』など数々の名作を生み出してきたアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲による日本初演の本作を、濱田はたったひとりで演じ切る。
演出・翻訳・訳詞には、劇団四季時代からの仲である市川洋二郎。これまで日本・アメリカ・イギリスの3ヶ国にわたって活躍してきた市川にとって、日本の商業演劇の演出は本作が初となる。
製作発表では、濱田と市川のふたりが登壇し、初めてづくしの本作にかける意気込みを語った。
エマ役の濱田めぐみ
全編70分、台詞はなく、アンドリュー・ロイド=ウェバーの楽曲によって綴られる本作の感想を、濱田は「お茶漬けがない。全部メインディッシュのような感じです」とユーモラスに表現。楽曲数は全25曲にも及び、「みなさんもカラオケに行かれると思うんですけど、せいぜい1人が歌うのは10曲くらいじゃないですか。合間にくたびれてドリンクを飲んだり何かつまんだりすると思うんですけど、この作品ではそれがない。まだ稽古場でも途中でふっと落ち着いてしまっている自分がいるんです」とノンストップで70分の舞台を務め上げる苦労を打ち明けた。
一瞬たりとも気が抜けない難しさについて「人間の集中力の限界は40分。プラス30分どう付け足せばいいのだろうって」と四苦八苦しながらも、その対策を「脳トレみたいな感じですね。そういう訓練とかやった方がいいのかなって」ととぼけ、取材陣を笑わせた。稽古場でも「お疲れ様ですって言う相手がいない」とソロミュージカルならではの新鮮な感覚に驚きつつ、「自分のペースで稽古を進めていける。パワーバランスも関係なく思い切りやれるし、裸になって稽古ができる。だから居心地がいいんです」と声を弾ませた。
演出の市川洋二郎
出演者は濱田ひとりだが、劇中にはエマの恋人など様々な人物が登場する。これには、市川が「彼女の視線や仕草で他の人間も舞台上にいるということを感じていただければ」と説明。さらに「いったい誰がいるのかわかりやすく提示する仕掛けを用意しているんですけど、それは見てのお楽しみにしようかな」と含みを持たせ、期待をあおった。
ソロミュージカルに初挑戦する濱田に対し、市川は「今までやったことのないことを要求していまして」とニッコリ。その詳細を「女性らしい動きを随所随所に要求しています。中には、濱田さんが『こういうのは自分の辞書にはないわ』っておっしゃるものもしばしばあって。『それ、本当にやるの?』って言いながら稽古をやってます(笑)」と、悪戦苦闘しながらも楽しんで作品をつくっている様子がうかがえた。
親交の深いふたりが息の合ったトークを繰り広げる
ソロミュージカルだけに、本来ならスタッフの役割である場面転換もすべて濱田自らが行う。濱田は「歌いながら小道具も変えるし、衣裳も変える。これはちょっと今までにない経験。もう脳みそがパンパンですね」と本音を吐露。「みなさんが想像されていることの5倍くらいいろんなことを考えなければいけない」と気を引き締めた。
また、異国の地・NYでいくつもの恋を経験し、荒波に揉まれる主人公・エマについて「何度も同じ間違いをするんですよ、エマちゃんって。くじけて立ち上がってヘコんでまた前に進むんですけど、まだ同じ間違いをしちゃう。そこは非常に自分に似ている」と共感を寄せつつ、「彼女の持っている夢を諦めない力とそれを起動させるバイタリティは、自分が今まで20年間やってこれた核心の部分とすごい似ている」と自らの女優人生に重ね合わせた。
音楽監督の江草啓太(左)が本番でもピアノ演奏を務める
製作発表では、冒頭に『放っておいてよ』『一通目の手紙』、そして終盤に『サヨナラは日曜日に』の計3曲を濱田自らが歌唱した。劇中でも冒頭に披露される『放っておいてよ』はNYへやってきたエマの弾む胸中を歌った楽曲。濱田は歌詞をなぞるように表情たっぷりに歌い上げ、夢いっぱいのエマを体現した。副題でもある『サヨナラは日曜日に』は濱田のエモーショナルで力強い歌声が映えるスローバラード。いずれも音楽監督を務める江草啓太のピアノの生演奏によるもので、壮大なグランドミュージカルとはまた異なる、抒情的な深みを味わえる楽曲となっている。
濱田の情感たっぷりの歌声に聴衆も思わず聞き惚れた
市川は「夢と希望を胸にNYに出てきたエマが様々な喜びと悲しみに遭遇しながら人間的に成長していく。エマの旅路をお客様と共に辿る中で、生きるとは何か、人間が自分の足で立つとはどういうことなのかを一緒に考えていけたら」と本作の見どころを解説。
濱田も今回、初めて公の場でエマとして楽曲を歌い上げたことで、「自分が演じるというよりも、みなさまの心の中に飛び込んで、みなさまの心の中にいるエマと共に旅をするイメージなんだなと思いました」と新たな気づきを発見。その上で「自分の中にあるいちばん純粋な部分や、夢を持っている情熱の部分。いろんな部分をさらけだして、誠心誠意心をこめてエマという女性として生きて、みなさんと一緒に素敵な旅をしたいと思います」と1ヶ月後に控えた初日に向けて、さらなる邁進を誓った。
製作発表に臨む市川洋二郎(左)と濱田めぐみ(右)
■日時:16/6/10(金)~16/6/26(日)
■会場:新国立劇場 小劇場 (東京都)
■音楽:アンドリュー・ロイド =ウェバー
■歌詞:ドン・ブラック
■演出・翻訳・訳詞:市川洋二郎
■出演:濱田めぐみ
■公式サイト:http://hpot.jp/stage/sunday
【アフタートークショー】
濱田めぐみと演出・市川洋二郎が以下の回に異なるテーマでトーク。
◆14:00公演:6/14(火)、15(水)、16(木)、21(火)、22(水)、23(木)
◆19:00公演:6/24(金)