サラ・ブライトマンは宇宙を目指す
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サラ・ブライトマンが来日する。
この英国出身のソプラノ・ディーヴァこそ、現在のショービジネス界において最もスケールの大きなアーティストと言っても過言ではないだろう。
数字の面で言えば、40カ国以上で180以上のゴールド及びプラチナム・セールスを記録し、CD及びDVDのトータル・セールスは3,000万枚をゆうに超えている。
音楽面で言えば、ミュージカルからキャリアをスタートさせて「オペラ座の怪人」という誰もが知っているヒットをモノにし、永遠の名曲「タイム・トゥ・セイ・ グッバイ」 ではクラシックとポップスを融合させ“クラシカル・クロスオーヴァー”という新たなジャンルまで打ち立ててしまった。
日本に限った活動で言えば、NHKのドラマ「坂の上の雲」の主題歌や、映画『神様のカルテ2』で主題歌『神様のカルテ~Keep the light~』を担当。テレビ朝日系サッカー放送で使用されている「クエスチョン・オブ・オナー」も誰もが知っている曲といえる。また、1991年にはNHK紅白歌合戦にも出場し、日本ゴールドディスク大賞のクラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー(洋楽部門)を2007年、2009年、2010年の3回受賞という前人未到の記録を誇る。日本のマーケットにおいても海外アーティストとしては突出したキャリアを積んでいるといえる。
ただ、このサラ・ブライトマンのスケールの大きさはそれだけにとどまらない。
宇宙を目指した、サラ・ブライトマン
彼女は国際宇宙ステーションへ滞在するという大きな企画を打ち出し、それまでのアーティストがやり遂げたことのない途方もなく大きなプロジェクトに挑もうとしていたのだ。
先に結果からお伝えすると、残念ながら“個人的な家族の理由”によりこの宇宙計画は延期されることとなってしまったが。
詳しいことの顛末はこうだ。
サラ・ブライトマンは2012年に、米国の宇宙旅行会社「スペース・アドヴェンチャーズ社」と契約し、民間人宇宙飛行士として国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙旅行を行うと正式に発表。
以降、ロシアの「星の街」などで宇宙飛行に必要な訓練やドクターチェックを続け、その様子を自身のYouTubeの公式チャンネルで発表するなどしてきた。
モスクワのスターシティでのトレーニングや、メディカルチェックを受けるサラ・ブライトマン。
この宇宙旅行の費用は総額5,200万ドル(約62億円)ともいわれ、サラ・ブライトマンはこの費用を完全に自己資金で賄うといわれている。
当初の予定では、2015年9月にソユーズTMA-18Mで正規の宇宙飛行士2人らと共に宇宙に出発し、ISSに10日間滞在 。その後、それまでISSに滞在していた別の宇宙飛行士2人と一緒にソユーズTMA-16Mで帰還することになっていた。
サラ・ブライトマンはISSで宇宙ライヴを開催したり、宇宙教育をする予定もあったといい、実現すれば非常に興味深い、そして確実に歴史に名を残す出来事となっただろう。
ただ、この計画は2015年の5月に延期のステイトメントが発表されている。ステイトメントの中でサラ・ブライトマンは延期の理由を「個人的な家族の事情」としており、それ以上の具体的なコメントは出していない。また、これはあくまで延期であり、宇宙に飛び立つことをあきらめたわけではないという。
サラが契約しているスペース・アドヴェンチャーズ社も「私たちは彼女の今回の決定を全面的に支持すると共に、将来の宇宙飛行の実現に向け、今後もサポートを続けたい」とコメントをだしており、この先にサラ・ブライトマンが宇宙に飛び立つ可能性を残している。ただ、現実問題として今年55歳になるサラ・ブライトマンがこの先に延期された宇宙旅行を実現させうる可能性は低いと考える向きもあろうが、民間の宇宙旅行者の1人目となったデニス・チトー、3人目となったグレッグ・オルセンはともに60歳での飛行だったため、サラの飛行もまだ可能性としてはあるといえる。
ただ、少し視点を変えてみると、このとてつもなくスケールの大きい話は、ただの夢物語ではなく、彼女のアーティスト活動を支えるプロモーションの一つとして周到に準備されていたことが分かる。
サラ・ブライトマンが宇宙旅行の計画を発表した2012年。まさにというタイトルが付けられたアルバム『ドリームチェイサー(夢追人)』がリリースされたのは2013年1月。そこからシングルカットされた「Angel」のビデオは宇宙や宇宙飛行士が出てくる内容であり、アルバムのプロモーションとしてのストーリー作りとしてはこれ以上ない完璧さだ。
そして、アルバム『ドリームチェイサー(夢追人)』をフォローアップするワールド・ツアーが2013年6月より2014年2月末まで、日本での全11公演を含む過去最大規模で展開された。世界中を駆け抜けたサラは、ツアー終了後にオフを取り、2015年1月からロシアのスターシティ(星の街)で宇宙飛行のためのトレーニングを開始した(この訓練開始から、その内容に至るまでは、彼女のYouTube公式チャンネルで映像が公開されている)。
そして、予定通りであれば2015年の9月に宇宙に飛び出し、宇宙からのライブなどを実行して大きな話題となり、その勢いのまま今2016年のワールド・ツアーに流れ込むという流れ。
これぞまさに宇宙規模といえる活動計画を描いていたと考えると、つくづくサラ・ブライトマンとはスケールの大きなアーティストだ。
豪華なゲストを迎えた、スペシャルな来日ツアー
そんなサラ・ブライトマンの来日公演が、7月から始まる。この公演にはスペシャル・ゲストとして「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」等にも出演経験があるギリシャ出身テナー歌手のマリオ・フラングーリス、驚くほどに素晴らしい演奏を行う女性ピアニスト ディ・ウー、大変若く才能に溢れたカウンターテナー歌手ナルシスを迎え、これまでになく美しく豪華絢爛なショーとなる。
来日に際してのサラ自身のコメントも到着している。
<近況について>
これまでにない、とても素晴らしい一年を過ごしました。新しいアルバムのためにとても美しい素材を探したりしました。このアルバムはとても特別で、世界中の皆様に愛された「タイムレス」「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」が収録されたアルバムを彷彿させるような感じです。いくつかの楽曲は私達が新しく選んだクラシカルの名曲から、また皆様が期待しているようなクラシカル・クロスオーバーの楽曲もあります。
これらの楽曲を時間をかけても何回も歌入れをし、私の声と合わせて、全体を組み立てました。他にも沢山の事を取り入れ、アルバムはとても充実した仕上がりになっています。私が昨年旅をした様々な国の要素や雰囲気が詰め込まれています。発売は来年を予定しています。
もちらん、6月、いえ7月ですね、日本で行うコンサートにも反映させます。新作のアルバムを発売した後にコンサートも行う予定です。
日本のファンの皆様にお会いできるのをとても楽しみにしています。
<来日公演について>
今回の日本公演はハリウッド映画を彷彿させるような感じになりそうです。
とても内容の濃いものになりそうです。大変美しいクラシックの名曲から、皆様が聞くのを楽しみにしてくださっているクラシカル・クロスオーバーの楽曲の数々、またこれまでにライブでは演じたことのない楽曲もやります。
そして今回は大変魅力的なゲストを迎えます。
驚くほどに素晴らしい演奏を行う、大変美しい才能に溢れた女性のピアニスト、新進気鋭のギリシャ出身男性テノール歌手とはデュエットを演じます。
また大変若く才能に溢れたカウンターテナーと「Pie Jesu」などを披露する予定です。
これまでになく美しく、豪華絢爛なショーになりそうです。私達を過去へと少し引き戻してくれるような...。
どうぞコンサートを楽しみにしていてください。お会い出来るのを楽しみにしています。」
また、このタイミングで本公演よりも少しばかり小さい会場で行われる追加公演も決定している。
全てにおいて記録づくしのサラ・ブライトマンのステージが日本各地を縦断する。このステージを心待ちにしながらも、次に彼女が起こすスケールの大きなアクションにも注目していたい。
『SARAH BRIGHTMAN Gala concert~ サラ・ブライトマン ガラ・コンサート ~
featuring special guest Mario Frangoulis, Di Wu and Narcis ~世界でいちばん美しい歌がある~』
2016年7月11日(月)日本武道館(東京都)
2016年7月12日(火)日本武道館(東京都)
2016年7月19日(火)フェスティバルホール(大阪府)
2016年7月20日(水)フェスティバルホール(大阪府)
2016年7月22日(金)名古屋国際会議場センチュリーホール(愛知県)
2016年7月14日(木)・15日(金) 東京国際フォーラム ホールA 19時開演
2016年7月21日(木) オリックス劇場 19時開演