大橋トリオ バンマスとして臨む『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』の意気込みと見どころ

2016.7.5
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大橋トリオ 撮影=鈴木恵

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真夏の都市型ビッグイベントとして、2000年からその歴史を刻んできた『J-WAVE LIVE』シリーズが『J-WAVE LIVE SUMMER JAM』としてリニューアルされたのは、昨年2015年のこと。1日目は通常のフェススタイル、2日目は豪華ボーカリストとスペシャルバンドとのコラボレーションという形となったが、そのスペシャルバンドのリーダーで、すべての楽曲のリアレンジを手掛けるのが大橋トリオだ。今年は通算10作目のオリジナルアルバム『10』をリリース、15本の全国ツアーを大成功に収めた彼が、バンドマスターとして臨む『J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016』は、8月20日と21日、東京・国立代々木第一体育館にて。リハーサルが始まったばかりの心境と、本番へ向けての意気込みを訊いた。

――まず去年のこと、聞いていいですか。去年から始まったこの企画、最初はどんな形でお声がけがあったのか。

それは、J-WAVEの廣阪さんの思いつきですね。

――あはは。なんて具体的な(笑)。

J-WAVE 廣阪氏:この企画は、大橋トリオが誰かとコラボレーションするのを見たいという企画なので。一緒にやることで世界が広げられるだろうなという方を、みんなで話し合いながらキャスティングしています。

なるほどなるほど。

――つまり大橋さんは、真ん中に立つアーティストを支える立場でありつつ、自らも主役でもあるということで。しかも、楽曲のリアレンジも全部手掛けていますし。

いいんですかね? という感じはありますけどね。アレンジは“大橋トリオ節”をたぶん求められるだろうから、というか、それをやらないと面白くないし。でもやっぱり、それぞれのアーティストの思い入れが強い曲ばかりだろうし。それを僕の浅い知識と思い付きで、こねくり回しちゃって申し訳ないなという気もありますけど。

――いやいや。そんなことはないです。

まあ実際、“原曲のままでお願いします”と言われたりすることもありますしね。これはまあアレですけど。

――たとえば、去年の平井堅さんは……。

平井さんは本当に、“大橋さんの世界観が楽しみです”と言っていただきましたけど。どれぐらい自分の色を出せたのか、僕の中ではあんまりわかってないんですよ。それはいつも(それぞれのアーティストを)聴いてらっしゃる方々がわかることだろうから。でも去年に関しては、そこまで劇的に変えたというのは、ないかもしれないですね。そもそもJ-POPというジャンルは、なかなか難しいと思うんですよ。

――というと?

言葉を悪く言うと、過剰なアレンジだったりするんですよ、J-POPのヒットソングって。ストリングスを入れて、ホーンセクションを入れて、エレキギターを歪ませて、とか。作品として出来上がりすぎてる部分があって、それを崩すには、たとえばもう一回ピアノと歌だけにして、そこからドラムはこういうのが合うかな? とか、そういうことをしていかないと難しい。でもそれをやりすぎちゃうと……あの、みなさん本当に勝負曲なんですよ。選曲が。

――ですね。

それをあんまり変えすぎちゃうのはどうかと思うし、お客さんも嫌がるだろうなと。その兼ね合いをどううまく持っていくか。それが自分のテーマなんですけど。裏切らず、新しいものを。

――そのバランスをうまく取りつつ、去年はそれなりに満足感はあったと。

うん、まあ、あったと思いますけどね。

――去年のエピソードで、印象的なものは?

加藤ミリヤさんの「HEART BEAT」という曲をやったんですけど、その曲はもともと打ち込みの曲で、最初は“これ、どうやってやるのかな?”と。でも腕がなるというか、そういう曲だったんですよ。で、思い切りパーカッションを入れたアレンジにして、我々はやっててすごく楽しかったんです。

J-WAVE 廣阪氏:去年の『J-WAVE LIVE』がすごく良かったから、それを踏まえて、彼女は自分のライブでも、そのアレンジに近い形でやり始めてるんですよ。

素晴らしいですね、それ(拍手)。それぞれの人に、そんなふうに思ってもらえたらいいですよね。もともと、それぐらい特徴のある曲だから、ということもあると思うんですけど。

――大橋さん自身が勉強になったとか、そういう曲はありますか。

もちろん各曲にあるんですけど。たとえば平井さんの「LIFE is...」は、コードのアプローチが完全に自分の中にないものだったんですけど、それは自分のものにできたかなと。パッと出るようにはなりましたね。すごい収穫だったと思います。それはJ-POPとかそういうことじゃなくて、普通に音楽的にぐっと来たということですけど。

――たとえばDef-Techのように、J-POPの枠だけに収まらないアーティストはどうでしたか?

Def-Techは、一番やりやすかったかな。やっぱり洋楽に近いので。

――去年の、お客さんの印象は?

去年は今市(隆二/三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE)さんが出たので、女子がハンパなく多かったですね。歓声がすごくて、耳が壊れるかと思って、思わずイヤモニを外しました(笑)。今市さんは、面白かったですよ。ソロで歌うライブ出演が初めてだったので、すごく楽しんでくれたみたいだし。

大橋トリオ 撮影=鈴木恵

“今回はかなりハードル高いかもな”という認識をして、
さあどうしたもんかということですね。でも、楽しみです。

――そして今年。大橋さん以外の出演者は、JUJU、加藤ミリヤ、絢香、miwa、Superflyと、女性づくし。みなさん面識や共演の経験は?
※取材後に、平井 堅のゲスト出演が決定しました。

いえ、全員が知り合いというわけでもないです。加藤ミリヤさんは去年お会いしてますけど、JUJUさんはご挨拶したことがあるくらいで。ほかの方々は、はじめましてです。miwaさんとはさっきお会いして、対談しましたけど。イメージまんまの方でしたね。

――どんなイメージを持ってたんですか?

元気のカタマリというか、太陽みたいな感じ。……わかんない、もしかしたらどこかに闇があるのかもしれないけど(笑)。

――どうでしょう(笑)。じゃあ闇のアレンジにしますか。miwaさんのあの明るい曲を。

ああ。いいかもしれない。

――やらなくていいですけど(笑)。Superflyの志帆さんも、初めてでしたっけ。

そうです。歌に関しては、すごくこだわりの強い方だとうかがってます。前日も出ますからね。前日はたぶんご自身のバンドでやって、2日目は我々のバンドでやって。でもそんなに、ガチガチ(のアレンジ)でなくてもいいんですかね? もっと自由な感じでやれたらと思ってます。

――絢香さんには、どんなイメージを持ってます?

“歌手”だな、という感じ。みなさん、もちろんそうなんですけど、特に歌を大事にしていそうだなという印象があります。音楽ということよりも、歌に関して。想像ですけどね。

――これから本格的に、リハーサルが始まりますが。

そうですね。まずバンドでアレンジを固めてから、仮歌を入れて。大変ですよ、仮歌を歌う人は。去年は男性と女性と、一人ずつ仮歌の人がいたんだけど、今年は女性が一人だけなので。しかも、声が高い人の曲ばかりなので。

――バンドのメンバーは、去年と一緒ですか。

ちょっと違います。鍵盤とギターが違う。でも編成は一緒ですね。ホーンセクションと、ストリングスと。ドラムが二人いて。

――大所帯バンドを、バンマスとしてまとめ上げるのは、相当な仕事量なのではないかと。

でもそれぞれ、アイディアを持ってる人たちなので。そこでアイディアを出し合って、ということは、前回もしているので。それを僕が監督するということですね。すでに一回リハーサルしていて、ひととおり曲に当たってみたんですけど、“ああ、なるほどな”と。“今回はかなりハードル高いかもな”という認識をして、さあどうしたもんかということですね。でも、楽しみです。

――ちなみに、国立代々木競技場第一体育館の、あの360度の円形ステージ。あれって、やりやすいですか。

センターのセンターにお立ち台があって、バンドはその周りをぐるっと囲んでるんですよ。ステージ自体が広かったんで、あんまり360度感は感じなかったですね。でもやっぱり、センターステージはいいなと思いました。誰もがそれをやってみたいなと、思うと思うんですよ。ホールだったら、前のほうの人が近いし、後ろの人は遠いけど、センターステージは平等感があるから。あの囲まれてる感じは、いろんな人のライブ映像でも見ていて、憧れたりはしましたね。ただ音の問題が出てくるから、難しいところもあるんですけど、それは去年なんとかなっていたようなので。

――気持ちいいんでしょうね。

そうですね。楽しいです。

大橋トリオ 撮影=鈴木恵

音楽は決まったものではなくて、自由なものなので。
音楽自体を楽しんでほしいという、そのひとことに尽きると思います。

――大橋トリオとしても、数曲披露すると思いますが。どんな内容にするかは、もう決めている?

全然決めてないです。どうしましょうね。しかも今回は、紅一点の逆ですから。何て言うんだろう。

――ハーレム状態ですか。

そうですね(笑)。どうなることやら。女性の声ばかり聴いて、そろそろ男の声が聴きたくなってるんじゃないか? という頃に出て行こうかと。

――おいしいじゃないですか(笑)。

しかも僕、声が低いですから。極端なバランスで。それはそれで、僕は楽しもうと思ってます。

――出る側にも、見る側にも、たくさん発見のあるイベント。

僕は出る側の人ですけど、客席から見てみたいですね。やってる側の人にはかなわないことですけど、そしたらもっとわかってくるのにな、と思うんですけどね。

――大橋さん、今年はどういうところを楽しみに、ステージに立ちますか。

さっきも言いましたけど、去年やってみて、すごい勉強になったので。普段、あんまり人の曲を弾いたりすることはないので、“あ、こういうアプローチがあるんだ”と。それはたぶん、自分の手癖の中にもう取り込まれていたりするし、それはすごく勉強になりました。J-POPはやっぱり深いなと。

――そういう意味でも、いい刺激になるイベントに。

なりますね。

――最後に。今年のお客さんへのメッセージを、ぜひ。

音楽は決まったものではなくて、自由なものなので。音楽自体を楽しんでほしいという、そのひとことに尽きると思います。自由な音楽の楽しさを知ってほしいというか、一回頭の中を、それぞれのアーティストの情報をまっさらにして、聴いてもらったらいいかもしれない。“あの曲がこんなふうになったか”というのもいいですけど、何も考えずに見てもらうのがいいかもしれない。音楽を楽しんでもらえたらいいかなと思います。これはサポートする側の気持ちで、メインの人はまた違うでしょうけど、僕としてはそういうことですね。

――夏の恒例のイベントとして。定着していきそうですね。

求められれば、いつまでもやれますよ。体力の続く限り(笑)。


撮影=鈴木 恵 インタビュー・文=宮本英夫

 
イベント情報
SUNSTAR presents J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2016
8月20日(土)、21日(日)
会場:国立代々木競技場第一体育館

開場15:00 開演 16:00

<出演>
◆20日(土)
スガ シカオ、Superfly、秦 基博、BEAT PLANET BAND~TRICERATOPS
、K、
藤巻亮太~、UNISON SQUARE GARDEN 
and more
◆21日(日)
絢香、加藤ミリヤ、JUJU、
Superfly、miwa
平井 堅(スペシャル・ゲスト)
大橋トリオ(スペシャルバンドマスター)

各日・指定席 ¥9,300(税込)
発売中!
お問い合せ:DISK GARAGE 050-5533-0888(Weekday 12:00-19:00)
オフィシャルHP http://www.j-wave.co.jp/special/live2016